絶版文庫書誌集成

文春文庫
【き】


岸 信介・伊藤 隆・矢次 一夫 (きししんすけ・いとうたかし・やつぎかずお)
「岸信介の回想」
(きししんすけのかいそう)
文春学藝ライブラリー


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*474頁 / 発行 2014年

*カバー文
「昭和の妖怪」と畏れられた岸信介。その足跡は昭和の盛衰と軌を一にする。満州国経営に関わったのち東條内閣に参画した戦前。戦後は戦犯容疑者として巣鴨プリズンに。そして六〇年安保改定の総理として ── 幾つもの歴史的瞬間を、刎頚の友と近代史の泰斗を前に赤裸々に語り尽くした貴重な証言録。

*目次
一 満州時代
 商工省時代 ── 満州国経営
二 商工大臣から敗戦へ
 新体制運動のなかで ── 東條内閣の閣僚として
三 戦犯容疑者からの復活
 巣鴨プリズンの中で ── 日本再建連盟の建設
四 保守合同への道
 日本民主党の成立 ── 鳩山内閣の成立
五 鳩山政権下の幹事長として
 幹事長として渡米 ── 「両岸」時代
六 石橋内閣から岸内閣へ
 岸内閣ができるまで ── 東南アジア歴訪の旅
七 日米新時代と「警職法」騒ぎ
 アメリカ訪問前後 ── 試練に立つ岸内閣
八 日中問題と日韓問題
 日中関係の悪化 ── 薄明の中の日韓関係
九 安保条約改定と反対運動
 安保改定をめぐって
十 総理辞職以後
 はしがき 伊藤隆 / あとがき 矢次一夫 / 資料篇


岸田 秀 (きしだしゅう)
「性的唯幻論序説 改訂版 『やられる』セックスはもういらない」
(せいてきゆいげんろんじょせつ)


*装画・内田春菊
 装丁・野中深雪
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*443頁 / 発行 2008年

*カバー文
女が男に一方的に「やられる」セックスというものがある。人類だけに見られるこの奇妙な現象は、何に起因するのだろうか ―― 99年に本書の前身『性的唯幻論序説』を発表した後、女子学生たちから寄せられた「女の性欲への理解が浅い」という批判に、ものぐさ先生が一念発起。さらに議論と思索を重ねて、ついに完成した決定版!

*目次
第一章 すべての人間は不能である
第二章 男の性欲は単純明快である
第三章 文句を言い始めた女たち
第四章 女体は特殊な商品である
第五章 売る女たち
第六章 「女」は屈辱的な役割である
第七章 母親に囚われた男たち
第八章 性欲の発明
第九章 色の道と性欲処理
第十章 神の後釜としての恋愛と性欲
第十一章 恥の文化と罪の文化
第十二章 資本主義時代の惨めなセックス
第十三章 性交は趣味である
 あとがき / 文庫版あとがき


木村 俊介 (きむらしゅんすけ)
「変人 埴谷雄高の肖像」
(へんじん はにやゆたかのしょうぞう)


*デザイン・中川真吾
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*420頁 / 発行 2009年
*『奇抜の人』 (平凡社1999年刊) の改題

*カバー文
本書は東大教養学部の立花隆ゼミ「調べて書く、発信する」から生まれた。ゼミの一員だった著者は、ネット上の仮想大学に「埴谷雄高サイバーミュージアム」という膨大なページをつくり、巨人の実像に迫った。巨編『死霊』の作者をよく知る27人に徹底的にインタビューし、生前の埴谷雄高を生き生きと蘇らせた。

*目次
序・形而下と形而上のプロフィール 立花 隆
「般若豊」の生活 C・Oさん、F・Oさん
何か笑っちゃう 武田 花さん
持続 高梨 豊さん
ウエヤオダカ 松本 昌次さん
あんな大説教者(笑)になろうとは…… 本多 秋五さん
病気と光 小川 国夫さん
二重人格 鶴見 俊輔さん
ドン・キホーテの世代 秋山 駿さん
観念 瀬戸内 寂聴さん
動き 島田 雅彦さん
十代 三田 誠広さん
手触り 標 交紀さん
コンディション 中村 真一郎さん
最晩年 古澤 和子さん
複層 中村 明一さん
時間の差 黒井 千次さん
贅沢 宮田 毬栄さん
自由度 坂本 龍一さん
大ホラ吹き(笑)ですよね…… 飯田 善國さん
制度内で優れている 山口 泉さん
詭弁 島尾 伸三さん
固定 小島 信夫さん
子供と自然 大庭 みな子さん
欠けた部分 司 修さん
年齢を超えて 中村 雄二郎さん
特殊 吉本 隆明さん

インタビューを終えて
インタビューを終えて十年後に


木村 義雄 (きむらよしお)
「ある勝負師の生涯 将棋一代」
(あるしょうぶしのしょうがい しょうぎいちだい)


*カバー・高麗隆彦
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*302頁
*発行 1990年

*カバー文
東京下町の貧しい下駄職人の息子が、おのれの将棋の腕を頼りに、貧乏のどん底から這い上り、成功への階段を一歩一歩のぼっていく姿は、将棋ファンならずとも胸うたれずにはいらない ―― 。木村義雄十四世名人の達意の筆は、自身の立志伝をさわやかに綴ると共に、今や懐しい大正・昭和初期の東京の下町風俗を鮮やかに甦らせます。

*目次
 まえがき 天狗太郎
町将棋 / 新天地 / 初奉公 / 転換期 / 好敵手 / 通勤 / 流寓時代 / 曙光 / 新機運 / 再転期 / 大成会 / 新修行 / 闘病 / 未断惑 / 新構想 / 再試練
 父の思い出 木村義徳


キャサリン・ヘプバーン著 芝山幹郎訳 (Katharine Hepburn・しばやまみきお)
「Me キャサリン・ヘプバーン自伝(上下)」
(みーきゃさりんへぷばーんじでん)




*装幀・大久保明子
 Jacket Photograph;Snap Photo/Orion Press
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*上472頁 / 下378頁
*発行 1998年

*カバー文

進歩的な両親のもとでのびのびと育ち、飛込みや木登りが得意な女の子が、やがて演技にめざめ、舞台女優としてデビュー。そしてハリウッドへ。アメリカ映画がいちばんしあわせな時代だった。生涯一度の結婚、キューカー監督との出会い、ハワード・ヒューズとの恋、主演映画の裏話など、女優キャサリン・ヘプバーンは回想する。

スペンサー・トレイシーとの27年間がついに語られる。出会い、愛しあい、そして訪れる永遠の別れ。それまで「私」中心だった彼女が、彼のすべてを受け入れ、愛した。自在につづられる人生のスケッチからは、幸福の香りがあざやかにたちのぼってくる。美しく歳を重ねることの充実感がある。訳者渾身の労作である年譜、訳注つき。

*目次

プロローグ
 T 両親のこと / ハートフォード / フェンウィック / ブリン・マー
 U ラディ / 駆出し時代 / 『戦士の夫』 / 初めてのハリウッド / 初期の出演映画 / ニューヨークへもどる / 『湖』
 V ジョージ・キューカー / リーランド / ハワード・ヒューズ / ハリケーン / L・B・メイヤー / 私の出た映画 / シェイクスピア / スペンサー

 W メモリアル・デイ / ウィリー・ローズと彼のマセラッティ / 『小麦は緑』
 X フィリス / ふれあい / 声 / 目 / よいお年を
 Y 愛 / さよなら、カリフォルニアの家 / ディア・スペンス
おかげさまでここまで
 キャサリン・ヘプバーンとその時代 ―― あとがきに代えて
 おもな登場人物と映画作品に関する訳注