絶版文庫書誌集成

文春文庫
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野坂 昭如 (のさかあきゆき)
「死屍河原水子草」
 (しかばねがわらみずこぐさ)


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*299頁
*発行 1981年
*カバー・深尾庄介

*カバー文
水中に毒蛇黒竜棲み、堰となり石と化したる死屍の臭いに誘われ、異形の獣猛禽集い、げにこの世の地獄、人倫の通いさらになし ― 飢餓と近親相姦の凄惨な絵巻を繰り広げた著者の代表作の他、「垂乳根心中」「パンパン・ガール」「性在万象」「心中志願」「別府の鰻」「万有淫欲」「わるまどい」「方舟の局部」、の八佳篇収録。

*解説頁・天沢退二郎


野坂 昭如 (のさかあきゆき)
「四畳半色の濡衣」 (よじょうはんいろのぬれぎぬ)


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*214頁
*発行 1982年
*カバー・山藤章二

*カバー文
〈方九尺の四畳半はいにしえより色のにぎわい、香りゆかしき閨のうち、いくよの夢は宝舟、立てし帆柱いとめでたきありさま筆に写さんと……〉金阜山人の名著「四畳半襖下張」を再録して刑法175条わいせつ文書販売人の罪に問われた著者が、珍腐山人と号し憤然と記した痛烈パロディ。わいせつとは何かを問う問題作。


野呂 邦暢 (のろくにのぶ)
「諌早菖蒲日記」 
(いさはやしょうぶにっき)


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*298頁
*発行 1985年

*カバー文
幕末、外国船が沖合洋上に出没し世情なにかとあわただしい安政2年(1855)の初夏から暮にいたる半年間、九州諫早藩の砲術指南藤原作平太の娘、15歳になる志津の清純多感なみずみずしい日常――彼女の周辺にはさしたる事件はおこらない、が、まったく無風状態でもありえない――を描ききった歴史長篇。

*解説頁・松本道介