絶版文庫書誌集成

河出文庫 【も】

本山 賢司 (もとやまけんじ)
「のんきに島旅」
(のんきにしまたび)


*イラスト・本山賢司
 カバーデザイン・鈴木堯
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*229頁 / 発行 2000年

*カバー文
焚火をおこし、シェラカップに注いだ酒に手が伸びる。肴は昼間、潮溜りで悪戦苦闘して獲った大好物のタコ。今日、出会った素朴な人情を振り返ると、心地よい夜風が頬をなでる。千鳥足で寝袋に潜りこめば、天空に粉をぶちまけたような天の川。傾斜地で頭を低い方にして寝入ったために、翌日、顔がパンパンに腫れていた ── 。イラスト満載、島旅の醍醐味。

*目次
まえがきにかえて
 ブラキストン線のかなたから PartT / PartU
小笠原父島
 額縁の中のシュールリアリズム / 玉虫色の疑似餌@A / 木登りに関する二、三の考察 / 遠くから聞こえる / 遥かなる海の流れに向って / タコの頭はタイムマシン
対馬
 対馬の雨 / 野生のロマンチック / 海峡をながめて
神津島
 レッツ・ゴー・島へ / マッシュポテトが大好き / しあわせの腹鼓が聞こえる / 島を夢見る
八丈島
 海のイタチ / サバイバル・ウツボ / フェニックスと鬼 / 胸中の旅心
礼文島
 オホーツク金物屋賛歌 / 北の島の川下り / 久種湖の酔いどれ天使 / 最北の焚火
奥尻島
 焚火の誓い / 灌木のカメを探して / U・R・O(未確認走行物体)を見ゆ / なんとなく因縁じみた話
佐渡ケ島
 らしくない風景概論 / イワナに釣られて川のぼり
奄美大島
 亜熱帯の異邦人 / 風に吹かれて / 奄美奇譚・火を噴く甲羅 / 憧れの沖縄航路
宝島
 海の機嫌 / にわかに島を見物す / 酒にまつわるホラ話 / 宝島アウトドアーズ・マン / 海彦の海の幸 / サメ獲り名人 / ハブなんか怖くない / 宝島からの便り
伊豆大島
 のんきなレンタカー屋さん / 野蛮なご馳走 / 島の命の水
西表島
 またも、ハブ、ハブ、南の島 / 亜熱帯のごちそう / 西表憧れの風景
メッセージ
 気分は「開拓者」 岸本葉子


森 茉莉著・早川 茉莉編 (もりまり・はやかわまり)
「黒猫ジュリエットの話」
(くろねこじゅりえっとのはなし)


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*201頁 / 発行 2017年
*カバーデザイン・松田行正+日向麻梨子 / カバー写真・PEXTA

*カバー文
「私は十四年一緒にいた黒猫のジュリエットと、寝台に横になり、ねころんでいる彼女を枕にして眠った。その楽しさは、忘れられない。彼女は全身黒い、艶のいい黒い毛並みに覆われ、足の裏の豆も、乾物屋にある乾いた黒豆のようだった。目はと透ったうす緑で瞳は深海のようなネヴィーブルウで、美貌、まるで巴里の美人であった」(本文より)

*目次
黒猫ジュリエットの話 / 魔利(マリア)の恋人ジュリエット / 牟礼魔利(むれマリア)の一日 / マリアの気紛れ書き / 或黒猫の話 / 悪魔と黒猫 / 新人評 / 東照宮の眠り猫 / サラ猫とサラ金男 / 猫の絵草紙 / 「サファリで猛獣と遊ぼう」 / ライオンを飼う女 / Japoの話 / 畑正憲の家 / 菊千代 / 犀星と猫 / 一匹の黒猫 / 残酷物語 / 白石かずこの批評、小さん、頼近美津子のVS / 太った大猫とお腹の空いた馬 / 青年になった皆川おさむ / 立川談志と三遊亭円楽 その他 / 黄金の針 室生犀星 / 森茉莉さんのこと 室生朝子


森山 大道 (もりやまだいどう)
「犬の記憶 (終章)」
(いぬのきおく しゅうしょう)


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*304頁 / 発行 2001年
*カバーデザイン・森山大道

*カバー文
ぼくには生来、物事を極から極に振る性癖があり、自分で自分を制御できなくなることがしばしばで、そのときもまさしくそうなのであった。つまりぼくは、そんな日々のなかである日突然、“オレはカメラマンになる、辛気くさいデザインなんかもう止めた”ということに決めてしまった。 ── (「大阪」より)。初めてシャッターを押したきっかけから始まる半自伝。

*目次
パリ / 大阪 / 神戸 / ヨーロッパ / 新宿 / 横須賀 / 逗子 / 青山 / 武川村 / 札幌 / 国道 / 四谷 / あとがき / 文庫版あとがき / 空は青、桜はピンク ── 北村信彦