
*カバー装画・玉村ヒロテル
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*(一巻)247頁・(二巻)244頁
*発行 昭和50年
*カバー文
(一巻)
「鳴門秘帖」や「剣難女難」の面白さを満喫された読者のかたに、次は何を読めば ― と問われたら躊躇なく「神変麝香猫」をお奨めする。歴史の史実の一片をつまみとって一息吹きこむと、五彩あざやかに紙吹雪が舞う奇術の如く絢爛たる伝奇の舞台は、読者を魅了せずにはおかない。天草の乱後、戦機気分にわきたつ江戸で、一創三百石 ― と自慢の刀傷を披露する陣佐佐衛門に蠱惑の瞳をむける湯女のお林 ― 。開巻、早くも波瀾を呼ぶ。
(二巻)
大正三年、「講談倶楽部」に「江の島物語」が当選した作者は、作家生活を送るにはまだ若かった。さらに十年の雌伏を経て、「キング」の「剣難女難」でスタートをきる。当時、「講談倶楽部」は大衆小説の檜舞台であった。作者が本誌に初の連載として、秘材を傾けたことは充分想像される。 ― 本国追放となった高山右近の末姫の将軍憎悪。幕府転覆を企む梟雄〈きょうゆう〉正雪。これを防ごうとする智慧伊豆と小天治が三つ巴。作者、初期の代表作である。
*解説頁(二巻収録) 「神変麝香猫」茶話 清水京月
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