絶版文庫書誌集成

文春文庫
【あ】


青木 冨貴子 (あおきふきこ)
「アメリアを探せ 甦る女流飛行家伝説」
(あめりあをさがせ)


*Photo・(C)San Diego Aerospace Museum
 AD・坂田政則
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*283頁 / 発行 1995年(増補改訂版)

*カバー文
日米開戦前夜、南太平洋上で世界一周飛行途上の女流冒険飛行家が消息を絶った。ルーズベルト大統領は海軍に大規模な捜索を命じたが、手掛かりひとつ発見できずに終わった。それから半世紀、今なお米国のスパイ説、日本軍処刑説など様々な憶測を生み続ける“女リンドバーグ”伝説誕生の経緯を克明に辿ったノンフィクション。

*目次
増補改訂版のためのまえがき
第一章 最後の飛行
第二章 女流飛行家の任務
第三章 レディ・リンディ
第四章 冒険飛行の終焉
第五章 孤島の滑走路
第六章 サイパン島の証言者たち
第七章 イヤハート伝説
 あとがき
 参考文献・資料 / 取材協力・資料提供者


赤瀬川 原平・南 伸坊・松田 哲夫・藤森 照信・林 丈二・路上観察学会
「路上観察 華の東海道五十三次」
 (ろじょうかんさつ はなのとうかいどうごじゅうさんつぎ)
文春文庫―ビジュアル版



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*363頁
*発行 1998年

*カバー文
名所旧跡ばかりが東海道の魅力ではない。芥川賞作家、建築探偵、イラストライター、デザイナー、編集者の路上観察学会五人衆が、安藤広重生誕200年にあやかって旧東海道を踏破。貼紙・看板・建物など街角にひそむ珍にして妙なる物件613点を採集。


秋山 加代 小泉 タエ (あきやまかよ・こいずみたえ)
「父 小泉信三」
 (ちちこいずみしんぞう)


*カバー・安野光雅
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*275頁 / 発行 1983年

*カバー文
強い父、ユーモア溢れる父、勇ましいこと、いさぎよいこと、愉快な楽しいことが好きな父、自分の家の食卓をこよなく愛した父、好きな詩歌を誦しながら涙ぐむ父、芽吹きから新緑の季節が大好きだった父……日本の師表と仰がれた小泉信三の知られざる姿を娘たちが鮮やかに描く。理想の父親像、心暖まる家庭像がここにある。

*目次
秋山加代
 最後の誕生日 / 兄・信吉 / 空襲と父の負傷 / 祖母と父のこと / 私の結婚 / エリのこと / 父・伯母・私 / 父のホスピタリティー / 電話 / 食卓 / 詩歌のこと / 病気のとき / 母のこと / 臨終

小泉 タエ
 父のこと / 浪の音 / 親友 / 子供と / 人形たち / 京都 / 木曜会・白水会 / 父の日記 / 文化勲章 / 御殿場 / 父の目 / 九州旅行 / 始球式 / 早慶戦 / 晩年の日常 / 句帖より / 別れ / あとがき / 文庫版のためのあとがき


阿久 悠 (あくゆう)
「『スター誕生』と歌謡曲黄金の70年代 夢を食った男たち」
(すたーたんじょうとかようきょくおうごんのななじゅうねんだい)


*ロゴ写真提供・日本テレビ
 デザイン・鶴丈二
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*388頁 / 発行 2007年

*カバー文
70年代は歌謡曲の黄金時代だった。テレビ番組「スター誕生」は、百恵、淳子、昌子の「花の中三トリオ」をはじめ、数々のスターを産み出し、一大ムーブメントを巻き起こした。60年代後半からGSブームやピンク・レディー、小泉今日子らアイドル全盛時代を作り上げた阿久悠による同時代ドキュメント。

*目次
第一章 少女たち
 恭子と淳子 / スターの基準 / 新しいオーディション番組 / 未知の魅力を / 森田昌子 / これは人買いなのか / 都倉俊一 / 新人類ではなく / 少女たちの時代 / 森田昌子のデビュー
第二章 ろまんの船
 山口百恵 / 花の中三トリオ / 幻想とサクセスの神 / マネージャーの執念 / ドジが受ける / 日本一周・ろまんの船 / 三木たかし / 中村泰士 / 五番街のマリー
第三章 「スター誕生」の時代
 美少女考 / 少女は妻になり / 伊藤咲子 / ディレクターとは / 埋没しない個性を / 番組の良心のような / 黒木真由美 / 音楽の専門家 / 天まで響け / 岩崎宏美の変身 / 困難な年の重ね方 / 黄金時代 / 輝きとその影と / 小林美樹 / 今日子と明菜
第四章 ピンクのモンスター
 飯田久彦の決断 / 二人の作戦 / 白い風船 / ピンク・レディー誕生 / 甲子園の狙いうち / フィンガー5の世界 / ペッパー警部 / 大化けか大コケか / 大股開き / 振付師 / 大ヒットの条件 / ミリオン・セラー連発 / 時代の幕引き
第五章 GSの旗の下に
 トウキョウ・サウンド / テケテケテケテケ / 日々の産業革命 / モンキー・ア・ゴーゴー / 少年は歌わない / B面のデビュー作 / 七人のサムライ / 田辺昭知 / ザ・スパイダーズ / 京都の天才 / 堺駿二の息子 / 長髪モニター / 優勝者
第六章 鎮魂歌を歌わないために
 三月の晴れた午後 / ザ・ビートルズ来日 / GSという呼称 / レ・ガールズ / 専属崩壊 / やさしい正規軍 / ホテルにカン詰 / 朝まで待てない / サイケと村役場 / 制服を着ないグループ / サイケ・パーティ / 黄金コンビ / 巨匠のつぶやき / 失神の時代 / 大阪からスゴイのが / 三度目のラッキー / ジュリーを待って / タイム・トラベル
日記のようなあとがき / 文庫へのあとがき / 解説 三田完


阿久 悠 (あくゆう)
「続・瀬戸内少年野球団 紅顔期」 (ぞくせとうちしょうねんやきゅうだんこうがんき)


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*265頁
*発行 1985年
*カバー・平野甲賀

*カバー文
季節の移ろいのように流れゆく青春の時 ―― 昭和20年代後半、将来の道をペンに託す竜太は、映画という暗闇の世界に没頭する。熱血漢バラケツは、甲子園めざし力投を続ける。少年たちの胸に傷みを残して別れた美少女ムメは今……。映画に、恋に、友情に、苛立つ青春の気分を、痛快にユーモラスに描く“瀬戸内少年野球団”第2弾!


足立 倫行 (あだちのりゆき)
「一九七〇年の漂泊」
(せんきゅうひゃくななじゅうねんのひょうはく)


*装画・木村繁之
 AD・平林育子
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*357頁 / 発行 1991年

*カバー文
「僕は一時間先が予測できない人生を求め旅に出たのだ。もっと自由に、もっと自由を、ただそれだけを欲してもがいていた」一九七〇年、日本中が政治闘争に揺れた年、二十二歳の著者は大学を中退して、アリゾナ、メキシコ、ロンドン、スペインと足かけ四年に亘る漂泊の旅に出た ── 自伝的青春ノンフィクション。

*目次
親友の海
助走の季節
映画の日々
アリゾナ日記
マヌエル兄弟
メキシカン・ラプソディー
ロンドンからの手紙
南部スペイン遠回り
あとがき
解説 吉原敦子


天野 祐吉 (あまのゆうきち)
「また、嘘八百!! − 明治篇 −  廣告ノ~髓トハ何ゾヤ?」 (またうそはっぴゃく)
文春文庫 ビジュアル版



*撮影・山口規子
 隆鼻師・丸山洋平
 カバーデザイン・中曽根孝善

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*381頁 / 発行 1992年

*カバー文
其の趣向の~變不可思議なるを以て洛陽の紙價を高めたる『嘘八百!』は、文學哲學機械工學心理學産婦人科學美學等の學識をば一身に兼ね具へたる天野廣告批評學大博士畢正の力作也。賣行いよいよ白熱化して怒濤の八百刷出來。豈に一讀せざる可けんや!本書を讀まぬと犬にもオトル、犬ですら本書がワカル!

*目次
前口上
第一章 嘘と餅はつくほど練れる
 これでもか、これでもか
第二章 嘘つき頭に神宿る
 アーラ、不思議
第三章 嘘は発明のハハハ
 嘘から出たマコト
第四章 嘘と説教は短いほどいい
 名は体をあらわす
第五章 嘘八丁手八丁
 コトバのサーカス
第六章 嘘の上塗り
 絵は写真より強し
第七章 嘘はゲージュツのはじまり
 嘘こそモノの上手なれ
おまけ外骨先生の嘘八百
 嘘をもって嘘を制す
後口上


天野 祐吉 (あまのゆうきち)
「またまた、嘘八百!!! − 大正篇 −  廣告ノ~髓トハ何ゾヤ?」 (またまたうそはっぴゃく)
文春文庫 ビジュアル版



*撮影・山口規子
 隆鼻師・丸山洋平
 カバーデザイン・中曽根孝善

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*381頁 / 発行 1992年

*帯文
ビジュアル文庫がまたまたまた、やった!
壓倒的好評に應へ
堂々の第三彈遂に完成!
豫約殺到 早くも
壹千萬部突破!!!
見よ!
この言葉の魔術!
廉價な元手で
百萬の富を得るも
可なり
先人の機知と
ゆふもあに學ぶべし!

*目次
前口上
第一章 まっ白な嘘
 美人は一日にして成らず
第二章 ワタシ、女の味方です
 女はみんな子宮人
第三章 えー、文化はいかが
 みんなで楽しむ嘘八百
第四章 紙は神なり
 教養大バーゲン
第五章 奥様は清潔がお好き
 キレイキレイ病のすすめ
第六章 科学だって嘘をつく
 オモシロ器械大集合
第七章 嘘につける薬はない
 広告の王道を行く
第八章 いい嘘は口に甘し
 飲みねえ食いねえ
後口上
おまけ大正広告・風俗年表


天野 祐吉 (あまのゆうきち)
「嘘八百 これでもか!!!! − 昭和戦前篇 −  廣告ノ~髓トハ何ゾヤ?」 (うそはっぴゃくこれでもか)
文春文庫 ビジュアル版



*撮影・山口規子
 隆鼻師・丸山洋平
 カバーデザイン・中曽根孝善

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*381頁 / 発行 1994年

*チラシ文
無電池式電話、人造温泉など、非常時が生んだ世界的大発明と大笑い珍広告傑作集、第四弾

*目次
前口上
第一章 嘘のひと刺し
第二章 うーむ、機器怪々
第三章 ムズムズムズムズ
第四章 ヒミツ、買います
第五章 少国民は科学する
第六章 美しすぎて、ごめんね
第七章 嘘は家庭の必需品
第八章 ブンカブンカと鳴る文化
第九章 天に代わりて嘘をつく
おまけ 處女林物語
後口上
昭和戦前 広告・風俗年表


有明 夏夫 (ありあけなつお)
「東海道星取表」
 (とうかいどうほしとりひょう)


*カバー・和多田勝
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*316頁 / 発行 1984年

*カバー文
明治維新だなんてあんまりです!
大名のお抱え力士になるのが夢のフンドシ担ぎの未来はどうなる! 禄高は少いなりに三度の飯だけは頂戴できた貧乏旗本はどうなる! 京の呉服屋になりすまして七代、幕府隠密御用は今さらどうなる! ずっと続くはずの幕府がつぶれて大あわての庶民達をユーモラスに描く中篇小説集。 解説・尾崎秀樹

*目次
東海道星取表
葵と芋
最後の伊賀者たち
 解説 尾崎秀樹


アルトゥル・シュニッツラー著・池田 香代子訳 (Arthur Schnitzler・いけだかよこ)
「夢奇譚」
(ゆめきたん・Traumnovelle)


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*166頁
*発行 1999年
*カバー・大久保明子
 装画・グースタフ・クリムト「少女立像」(1902)チョーク(黒)個人蔵

*カバー文
平穏で円満な家庭生活に恵まれた医師フリードリーンだったが、春の息吹が感じられるある夜、ふとしたことから、秘密のパーティーに潜入する。そこで言葉を交わした女性に強く惹かれるが……。夢と現実の間に描かれる性的妄執の世界。『夢判断』のフロイトに「わが精神のドッペルゲンガー」と言わせた作家シュニッツラーの問題作。



アレックス アベラ著・牧野 洋訳 (Alex Abella・まきのよう)
「ランド 世界を支配した研究所」
(RAND CORPORATION)


*カバー写真・Hulton Archive / Getty Images
 デザイン・中川真吾
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*510頁 / 発行 2011年

*カバー文
対日空爆戦略を指揮した男たちが作り上げた軍事シンクタンク ── 「ランド研究所」。政治から経済まで様々な分野でアメリカ戦後史を陰に陽にリードし続けた天才たちの遺産は、ゲーム理論、システム分析、インターネット、合理的選択理論と、今なお私たちのマインドを支配し続けている。初の本格ノンフィクション。

*目次
第一部 ランド誕生
第二部 軍産複合体に成長
第三部 ケネディとともに
第四部 ペンタゴンペーパーの波紋
第五部 アメリカ帝国
第六部 そしてこれから
 あとがき / 注記 / 訳者あとがき / 世界を動かしたランドの人脈 巻末
 解説 ランド研究所 ── 合理主義の殿堂 小谷賢


アンディ・ウォーホル著・パット ハケット編・中原 佑介 / 野中 邦子訳
(Andy Warhol・Pat Hackett・なかはらゆうすけ・のなかくにこ)
「ウォーホル日記〈上下〉」 (Warhol Diaries)




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*上683頁・下385頁
*発行 1997年
*装画・山本容子 / デザイン・渡辺和雄

*カバー文

アンディは、世界のどこにいようと欠かさず毎日オフィスに電話し、前日の出来事を口述した。憧れの有名人とパーティで遭遇した興奮、名士や金持ちのつきないゴシップ、映画や他人の美術作品への歯に衣きせぬ感想…。ほとんど子供じみた好奇心と率直さで、周囲に興奮と恐怖をまき散らした話題の奇書新編集版!ポッピズムの真髄。


テープ・レコーダー片手に、インタヴューや夜毎のパーティに極積的に顔を出す一方で、“恋人”からの電話を待ちつづけたり、一人自宅でコメディ番組を見て幸せな気分になったりもする。10年間にわたって語られた厖大な言葉からは“ポップ・アートの巨匠”という枠におさまりきれない、たくさんのアンディが浮かびあがってくる。


安東 仁兵衛 (あんどうじんべえ)
「戦後日本共産党私記」
 (せんごにほんきょうさんとうしき)


*カバー・島田紀子
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*427頁 / 発行 1995年

*カバー文
堤清二が、不破哲三や高沢寅男、渡辺恒雄もいた―いま明らかにされる戦後の学生運動と日本共産党東大細胞の実態。南原繁・矢内原忠雄総長、森戸辰男文相との対決、「全学連」結成、反レッド・パージ闘争、スパイ・リンチ事件、スターリン批判と党内闘争、そして安保闘争と脱党…。若い血がたぎった戦後日本、青春の記録。

*目次
第一章 入党から六・二六ゼネスト / 第二章 全学連と党中央との軋轢 / 第三章 幻影と敗北 / 第四章 五〇年分裂と反帝闘争 / 第五章 公然たる全党的分裂 / 第六章 反レッド・パージ闘争 / 第七章 スパイ査問・リンチ事件 / 第八章 国際派・東大細胞の崩壊 / 第九章 東大細胞の再建その他 / 第十章 六全協と復党〔ほか〕 / 第十一章 文京地区委員として / 第十二章 東京都委員として / 第十三章 七回党大会に向けて / 第十四章 七回党大会 / 第十五章 『現代の理論』事件 / 第十六章 安保闘争 / 第十七章 離党へ / 文庫のためのあとがき / 解説 辻井喬