絶版文庫書誌集成

文春文庫
【え】


永 六輔 (えいろくすけ)
「芸人たちの芸能史」
 (げいにんたちのげいのうし)


*カバー・和田誠
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*269頁 / 発行 1975年

*カバー文
能・狂言からストリップにいたるまで、日本のあらゆる分野の芸能は淫靡で後めたい素姓をもっている。国民的行事といわれるNHK「紅白歌合戦」を現代の大衆芸能の集大成であると意味づけして、そのなかに河原乞 食の精神や伝統芸能がどんな形で現われてくるかをさぐったまったく新しいスタイルのドキュメント芸能史。

*目次
はじめに / ブラウン管の河原乞食 / 伝統の拒否と継承 / 紅白歌合戦とあなた / 歩きつづける芸人 / プロとアマの差 / 体力の限界を踊る / 芸名、醜名、源氏名、筆名 / 漫才 吹きだまりの芸人達 / 只今より放送を開始します / 二百万枚突破 / ショウ・マスト・ゴォ・オン / 茶の間の芸者 / オッペケヒャラリコノーエ / 毎度馬鹿馬鹿しいお笑いで / 話芸家いろいろ / 未来という名のショウ / 何が何して何とやら / 電気活動大写真 / 新派、新劇、新国劇 / 踊り踊るなら / 良俗、常識、検問 / 本家河原乞食 / ふるさとの歌まつり / 清く、正しく、美しく / テレビがゆく / 興行師次郎長 / 五郎・十郎、三木のり平 / 万国衛生博覧会 / ヒットソングの系譜 / “本誌独占緊急特報” / 僕たちに祭りはあるか / 黄土花の世界 ― 芸人往還録 / おわりに


江藤 淳 (えとうじゅん)
「海は甦える 第五部」
 (うみはよみがえる)


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*363頁
*発行 1986年
*AD・倉田明典

*カバー文
シーメンス事件は野党=山県有朋にとって、山本内閣=政友会攻撃の絶好の好餌となった。もはや政権維持は不可能とみた権兵衛は、大正3年3月、内閣総辞職を決意する。同年5月、予備役に編入。権兵衛が自ら育て、体現した「海の時代」が終り、日本は有史以来最大の戦争=第一次大戦を迎えることになった。壮大なドキュメンタリー・ノベル。全5巻完結。

*解説頁・西部邁


海老沢 泰久 (えびさわやすひさ)
「青い空 幕末キリシタン類族伝(上下)」
(あおいそら)


*(C)Dean Conger/CORBIS/amana images
 デザイン・関口信介
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*上431頁 / 下478頁発行 2009年

*カバー文

江戸時代、キリシタンは改宗しても幕府の監視下にあった。幕末に生きる主人公・宇源太も五代前の祖先が信者だったため、監視を受け、苛酷な生活を強いられていた。友人が殺されその敵討ちを果たした宇源太は、村を出て江戸へ向う。江戸で剣術を学び、尊敬できる宗教家と出会った宇源太。しかしそれは、新たな悲劇の幕開けだった。

勝海舟と知り合った宇源太は、勝の頼みで浦上へキリシタンの救済に向う。幕藩体制が崩壊すれば、信仰の自由を手に入れることができると信じた敬虔な人たち。しかし、その思いを新政府は無残に打ち砕いていく。数多くの研究書・史料を駆使し、「日本はなぜ神のいない国になったのか」を問いかける傑作時代小説。

*目次

発端 / 国抜け / 六十里越街道 / 改名 / 江戸の空の下 / 弓町吉野道場 / 千年の夢 / 変転 / 神仏 / 晴れのち曇り / 海舟暗殺

バスチャンの預言 / 未来の息子 / 大政奉還 / 聖断 / 偽官軍 / 五倫の道 / 長い旅 / おもな参考文献 / 解説 高山文彦