絶版文庫書誌集成

文春文庫
【か】


海音寺 潮五郎 (かいおんじちょうごろう)
「悪人列伝 (四)」
 (あくにんれつでん)


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*286頁
*発行 1976年
*カバー・粟屋充

*カバー文
歴史というものが持っている無限の滋味を教え、日本歴史の面白さに開眼させるという役割を、この史伝は担っている。本巻では、大槻伝蔵、天一坊、田沼意次、鳥居耀蔵、高橋お伝、井上肇の六人をとりあげ、あるいは悪人の仮面をはぎ、あるいは悪人の悪人たるゆえんを、精確にしかも暖かく描いている。

*解説頁・綱淵謙錠


海音寺 潮五郎 (かいおんじちょうごろう)
「戦国風流武士 前田慶次郎」
(せんごくふうりゅうぶし まえだけいじろう)


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*284頁
*発行 2003年

*カバー文
戦国一の傾き者、前田慶次郎。前田利家の甥として幾多の合戦で武功を挙げる一方、本阿弥光悦と茶の湯や伊勢物語を語る風流人でもある。そんな慶次郎はまた希代の悪戯者で、利家を水風呂に叩き込んだり、秀吉の目前で猿廻しを演じてみたりと大活躍。後に上杉景勝に仕え、最後まで自由に生きた一生を描く。 解説・磯貝勝太郎

富士見書房・時代小説文庫版(サイト内リンク)


梶山 季之 (かじやまとしゆき)
「罠のある季節」
 (わなのあるきせつ)


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*430頁
*発行 1977年
*カバー・小林秀美

*カバー文
ストリップ劇場、お触りバー、ライブ・ショー、そして……それが罠なのだろうか。新しい女性生理用品の開発・発売をめぐって、メーカー、媒体、広告代理店のあいだに、虚々実々の闘いが始まる。罠をかけ、あるいは罠にはまり、しかもなおどろどろしたビジネスのなかで生きつづける人間たちのマンガチックな人生。


春日 太一 (かすがたいち)
「あかんやつら 東映京都撮影所血風録」
(とうえいきょうとさつえいじょけっぷうろく)


*写真・佐藤亘(2013年10月31日犬吠埼にて)
 題字・華雪
 デザイン・関口聖司
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*530頁 / 発行 2016年

*カバー文
東映京都撮影所。『旗本退屈男』『仁義なき戦い』など名作誕生の場所には破天荒な映画人たちの歴史がある。破格のスター・中村錦之助、鬼と呼ばれた製作者・岡田茂、「緋牡丹」藤純子の心意気、照明・殺陣師ら裏方の職人たち ── 。エロとヤクザとチャンバラと。熱き映画馬鹿たちを活写した決定版ノンフィクション。

*目次
序幕 小指のない門番
第一部 時代劇黄金期
第二部 混乱する撮影所
第三部 暴力とエロスの都
第四部 必死のサバイバル
終幕 逆風の中で……
 おわりに / 文庫版あとがき / 主要参考文献 / 解説 水道橋博士


春日 太一 (かすがたいち)
「ドラマ『鬼平犯科帳』ができるまで」
(どらまおにへいはんかちょうができるまで)


*デザイン・野中深雪
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*281頁 / 発行 2017年

*カバー文
28年間に渡り放送された「鬼平犯科帳」。その人気の秘密を番組スタッフのプロデューサーから殺陣師や録音技師、美術監督などに直接インタビュー。今の世で正統的時代劇を放送する上での、苦労話、ここだけの話、内緒の話がテンコ盛り。さらに「オール讀物」に掲載された「鬼平」関連の記事も収録。鬼平ファン必読の一冊である。

*目次
はじめに
序章 鬼平、京都へ行く
第一章 スタッフインタビュー
 プロデューサー篇 能村庸一 / 佐生哲雄
 脚本家篇 田坂啓 / 安倍徹郎
 製作部篇 黒田満重
 演出部篇 石原興 / 酒井信行
 監督補篇 坂光幸
 編集篇 園田弘一
 記録篇 竹内美年子 / 野崎八重子
 録音篇 中路豊隆
 調音篇 上床隆幸
 撮影篇 江原祥二
 照明篇 林利夫 / はのひろし
 俳優事務篇 松本保子
 美術篇 西岡善信
 題字篇 竹内史朗
 殺陣師篇 宇仁貫三
第二章 ドラマ『鬼平』の魅力を検証する
 池波原作時代劇の変遷
 原作と脚本の違い
 盗賊たちの魅力
 二時間スペシャル時代の動向
終章 鬼平、京都を去る
おわりに


河竹 登志夫 (かわたけとしお)
「黙阿弥」 (もくあみ)


*カバー・大久保明子
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*310頁 / 発行 1996年

*カバー文
坪内逍遙は河竹黙阿弥を「明治の近松、我国のシェークスピア」と称讃した。多くの人々に親しまれ、最多上演作家として、逝って百年余の今なお舞台に生き続ける作者。その義理と恩義に厚い、「忍」から「容」への七十八年の生涯と不屈の作家魂、江戸作者の誇りを、秘蔵の原稿・手記をもとに、曾孫がやさしく語る黙阿弥評伝の決定版。

*目次
一 黙阿弥のいない天覧劇
 鹿鳴館文化の仇花 井上外相邸の仮設舞台 招かざる黙阿弥 天覧劇の景況と反応 「勧進帳」改訂事件 黒雪山人 ― とは何者か
二 大江戸の黙阿弥
 七代目團十郎との出会い 勘当息子の作者入門 親玉追放 浅草移住そして結婚 大江戸の落日
三 最良の日々
 白浪もの受難 失意と「忍」と小團次と 新羅婆袈選者 小團次の憤死 明治初年
四 「黙」の字の謎
 明治の本 改良運動の重圧 洋服を着た黙阿弥 引退 「默」の字の真意
五 ふたつの家と娘たち
 團菊と黙阿弥 逍遥、支援に立つ 浅草から本所へ ふたりの娘 黒雪山人は黙阿弥
六 晩年と遺書
 「忍」から「客」へ 箱根七湯めぐり 死への準備 「著作大概」と最後の本読み 終焉 遺書
 年譜 / あとがき / 文庫版へのあとがき


河原 敏明 (かわはらとしあき)
「良子皇太后 美智子皇后のお姑さまが歩んだ道」
(ながここうたいごう)


*カバー・斎藤深雪
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*318頁 / 発行 2000年

*カバー文
美智子皇后を皇室に迎えたときの複雑な胸の内、皇太子誕生までの苦悩……。菊のカーテンに阻まれ、時にとまどい傷つきながらも、国母陛下として、一人の女性として美しく生き抜いた九十七年の生涯。皇室ジャーナリストの第一人者である著者が、美智子妃いじめの張本人としてタブー視されてきた、皇太后の素顔に迫った入魂の書。

*目次
 まえがき
第一章 お誕生から少女時代
第二章 ご婚約からご成婚まで
第三章 夫婦愛
第四章 母君として、お姑さまとして
第五章 終戦前後の日々
第六章 国母陛下として
第七章 素顔の皇太后さま
終章 お腰を痛められてから
 〔関連資料〕天皇家の系図 / 久邇宮家の系図 / 良子さまの年譜
 文庫版のためのあとがき


案内人 川村 湊 (かわむらみなと)
「満洲鉄道まぼろし旅行」
 (まんしゅうてつどうまぼろしりょこう)


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*317頁
*発行 2002年
*カバー・坂田政則

*カバー文
さあ、昭和12年の満州へ行こう。列車は特急あじあ号、泊まりはヤマトホテルと満州三大温泉、各都市では名所旧跡を遊覧、満州鉄道のスタンプラリーも付いているぞ ―― 大連から哈爾濱(ハルピン)・ノモンハンまでを20日間で踏破する仮想旅行記。350点を超す写真・図版・地図は貴重な満州国当時の実物を使用。満州国建国70年、大望の文庫化。


川本 三郎 (かわもとさぶろう)
「君美わしく 戦後日本映画女優讃」
(きみうるわしく)


*カバー写真・「流れる」より
 (写真提供・東宝株式会社)
 デザイン・関口聖司
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*428頁 / 発行 2000年

*カバー文
戦後日本映画の黄金期をいろどった憧れの名女優17人への連続インタヴュー。大監督や共演男優の想い出、女優を目指したきっかけ、六社協定の荒波、そして、その後の人生 ── とっておきの逸話から浮かび上がるのは、戦争をくぐりぬけ、女優という職業を生き抜いてきた毅然たる女性の姿である。スチール多数収録。

*目次
女優嫌いの大女優・高峰秀子 / ういういしく清楚な白い花びら・津島恵子 / 天衣無縫な戦後の明るさ・淡島千景 / 笑顔を絶やさぬ“あんみつ姫”・久我美子 / ひそやかに咲く白い百合・八千草薫 / 自由闊達な現代女性の色っぽさ・岡田茉莉子 / 舞台に生き、映画に生きた名女優・杉村春子 / 五社協定と闘った美女・山本富士子 / はじめてヌードになったグラマー女優・前田通子 / 寂し気な日本的抒情美人・新珠三千代 / ”東映城”のお姫様・高千穂ひづる / 貧しくもけなげに生き・二木てるみ / いつまでもあでやかな大女優・山田五十鈴 / 映画への夢と”バラと痛恨日々”・有馬稲子 / 銀幕に花開いたクール・ビューティー・司葉子 / 愛らしい女学生から官能的なをんなへ・若尾文子 / 白いブラウスの似合う先生・香川京子 / あとがき / 解説 関口裕子


神吉 拓郎 (かんきたくろう)
「フツーの家族」
(ふつーのかぞく)


*カバー・和田誠
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*298頁 / 発行 1992年

*カバー文
山田屋雑貨店は、お不動さまの門前、昔ふうにいえば、よろず屋である。建て替えずに何代もつづき、店には隅々まで懐しい空気が染みついている。当主をゆずり店番をする時太郎老人を中心に、その家族、近在のひとびとの、ささやかな日常の哀歓を、あたたかな陽溜りをおもわせる語りで展げる十七の短い物語り。淡い滋味にみちた作品。

*目次
ファミコン騒動 / 青い目の親戚 / お婆ちゃんの夢 / 信の大旅行 / ミヨ姉ちゃんの結婚 / 松乃湯事件 / 走れ母ちゃん / おとなの話 / 天から降ってきた弟 / お爺ちゃんの特技 / ホラ吹き大ちゃん / 純の初恋 / ハーフムーン旅行 / 行く人来る人 / お爺ちゃんの自叙伝 / わしらの町