絶版文庫書誌集成

文春文庫
【な】


永井 龍男 (ながいたつお)
「回想の芥川・直木賞」
(かいそうのあくたがわなおきしょう)


*カバー・近藤和子
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*289頁 / 発行 1982年

*カバー文
芥川・直木賞の創設から、候補作品収集、選考委員会の日取り、会場の設定まで事務の一切を処理し、戦後は選考委員をつとめた筆者が、四十余年前から回顧する。芥川賞がいかに生れたかを始め、選考過程や予選通過作品の貴重な資料をもとに、内側から見たエピソード、秘話などを愛情をこめて描く両賞波乱の歴史。

*目次
第一章
第二章
第三章
第四章
 あとがき
 註
 芥川賞と作家たち(対談・瀧井孝作=島村利正)〈一部〉
 芥川賞の生まれるまで(対談・佐佐木茂索=永井龍男)
 芥川賞直木賞受賞作・予選通過作品一覧


中島 岳志 (なかじまたけし)
「血盟団事件」
(けつめいだんじけん)


*写真・三輪和美
 デザイン・矢萩多聞
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*473頁 / 発行 2016年

*カバー文
昭和七年、前大蔵大臣・井上準之助、三井財閥総帥・団琢磨が襲撃された連続殺人事件。実行犯は茨城の大洗に拠点を構える「血盟団」だった。二十代の若者たちは、なぜ日蓮宗のカリスマ僧侶・井上日召に心酔し、凶行に走ったのか。最後の団員や元首相の証言、裁判記録などから“昭和史最大のテロ”の謎に迫る!

*目次
序章
第一章 若き井上日召
第二章 煩悶青年と護国堂
第三章 革命へ
第四章 一人一殺
終章
あとがき / 文庫版あとがき / 引用参考文献 / 解説 平野啓一郎

*関連書(サイト内リンク)
 寺内大吉, 「化城の昭和史 二・二六事件への道と日蓮主義者」〈上下〉 中公文庫


中野 不二男 (なかのふじお)
「マレーの虎 ハリマオ伝説」
(まれーのとら)


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*250頁 / 発行 1994年
*カバー・鈴木道雄 / 写真・谷繁樹氏提供(谷豊の、おそらくは20歳頃の姿。“ハリマオ”となる直前に写したものと思われる)

*カバー文
マレーの虎・ハリマオこと谷豊は、二度ヒーローとなった。第二次世界大戦中には、部下三千人を引き連れて密林を駆け回った伝説の男として。そして戦後には、軍の命令に逆らって民衆と共に戦う「快傑ハリマオ」の主人公として ―― 。しかし、謎の生涯を熱帯の半島に追っていくと、意外な素顔が浮かび上がってくる。

*目次
プロローグ 伝説
第一章 異邦人
第二章 サヤ・オラン・ジッポン(おれは日本人だ)
第三章 北緯一度への疾走
第四章 ヴィクトリア・ストリート
エピローグ 九九日間の証明
あとがき
解説 小山修三


永畑 道子 (ながはたみちこ)
「恋の華・白蓮事件」
 (こいのはな・びゃくれんじけん)


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*270頁
*発行 1990年
*カバー・菊地信義

*カバー文
有夫の身でありながら年下の青年弁護士・宮崎竜介の子を身ごもった伊藤Y子、歌人の柳原白蓮。類まれな美貌に恵まれた彼女は、大正十年十月のある日、二回り年上の夫、九州の炭鉱王と呼ばれた伊藤伝右衛門のもとから奔り、前代未聞の“女からの絶縁状”を公開する。夫の出方しだいでは白蓮も竜介も姦通罪に問われる……。


夏堀 正元 (なつぼりまさもと)
「風来の人 ― 小説・高田保」
 (ふうらいのひと・しょうせつたかだたもつ)


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*243頁
*発行 1985年
*カバー・安彦勝博

*カバー文
戦後の混乱期にあった昭和23年の暮から、新聞連載が始まった随想「ブラリひょうたん」は、痛烈な揶揄と諷刺で庶民感情を代弁して時の権力に噛みつき、高い世評を得た。多彩な才能を持ちながら、韜晦のなかに生きた風変りな作家高田保の生涯を、大正・昭和史を背景に鮮やかに浮かび上がらせた異色の長篇小説。

*解説頁・小川和宏


南條 範夫 (なんじょうのりお)
「英雄色を好む ― 小説 伊藤博文」
 (えいゆういろをこのむ)


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*522頁
*発行 1990年
*カバー装画・村上豊

*カバー文
「伊藤、少し慎んではどうか」と明治天皇にたしなめられたほど伊藤博文の好色は有名だった。戸田伯爵夫人、下田歌子をはじめ、浮名を流した女性は数知れない。吉田松陰、桂小五郎、高杉晋作、井上馨、山県狂介ら長州の生んだ維新群像の中で、ひときわ異彩を放つ若き日の博文(俊輔)を鮮やかに描く長篇。

*解説頁・清原康正


南條 範夫 (なんじょうのりお)
「幻の観音寺城」
(まぼろしのかんのんじじょう)


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*299頁
*発行 1986年

*カバー画像=写真・土倉一夫 / AD・竹内和重

*カバー文
抗争渦巻く戦国乱世、近江の名門六角氏の本拠・観音寺城で何が起ったか ―― 城主高頼の嫡子氏綱の急逝で残されたのは幼い嫡孫義実と京育ちの絶世の美女月の方だった。家督を継承できなかった次子定頼の邪悪な執念が燃えたぎる。甲賀者が活躍し、城盗りの策謀に明け暮れる乱世で、残虐な武将の野望にさらされる美女の運命は?

親本

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文藝春秋
*295頁
*発行 1981年
*装幀・竹内和重
*単行本

*帯文
無惨なり! 戦国乱世の美女たち
近江の名門六角氏の観音寺城に夜ごと徘徊する幽鬼。抗争渦巻く乱世。残虐な武将の飽くなき野望に曝させたのは狂女の恨みの刃だった