絶版文庫書誌集成

文春文庫
【た】


高木 勉 (たかぎつとむ)
「八甲田山から還ってきた男 ― 雪中行軍隊長・福島大尉の生涯」
 (はっこうださんからかえってきたおとこ)


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*275頁
*発行 1990年
*カバー写真・大海秀典 / AD・花村広

*カバー文
明治35(1902)年1月、青森歩兵第五連隊第二大隊が八甲田山縦断雪中行軍中、猛吹雪により210名中199名が凍死する大惨事が起きた。一方、福島泰蔵大尉が率いる弘前歩兵第三十一連隊の総勢37名は全員生還。どこに違いがあったのか―。より苛酷な行軍を成し遂げた福島大尉の企画力、指導力、人間像を膨大な資料をもとに描く。


高橋 治 (たかはしおさむ)
「絢爛たる影絵 ― 小津安二郎」
 (けんらんたるかげえ おづやすじろう)


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*422頁
*発行 1985年
*カバー・紫永文夫 写真提供・財団法人松竹大谷図書館

*カバー文
独身をつらぬいた巨匠小津安二郎の生涯と映像の秘密を、「東京物語」の助監督をつとめた直木賞作家が、原節子、岸恵子、杉村春子などの華麗なエピソードをまじえつつ語る。いまあざやかに甦る数々の名場面、大スター、名バイブレーヤーの面影。未刊行の短篇「幻のシンガポール」を併録。

*解説頁 E・G・サイデンステッカー


高橋 治 (たかはしおさむ)
「純情無頼 小説 阪東妻三郎」 (じゅんじょうぶらい しょうせつばんどうつまさぶろう)


*カバー・関口聖司
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*322頁 / 発行 2005年

*カバー文
不世出のスター、阪東妻三郎は映画勃興期から銀幕に登場、無声映画の傑作『雄呂血』での大立ち回りは、映画史上に輝く名シーンである。市川右太衛門、片岡千恵蔵等とともに時代劇黄金期を築き、その後も『無法松の一生』『王将』『破れ太鼓』と名作に出演し続けた阪妻の壮烈な役者人生を活写した傑作評伝小説。

*目次
第一部 『大江戸五人男』
第二部 『破れ太鼓』
第三部 父と子
第四部 『雄呂血』『無法松の一生』
 純情無頼「二代」 高橋治×田村高廣
 あとがき


高橋 源一郎 (たかはしげんいちろう)
「君が代は千代に八千代に」 (きみがよはちよにやちよに)


*デザイン・坂川栄治+田中久子(坂川事務所)
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*281頁 / 発行 2005年

*カバー文
小説がここまで辿り着けるのか! ポストモダンを突き抜けた過激さで危ないテーマを軽く、ポップにこなして、新しい小説世界の扉を開く問題作13篇。恋人はヨウコ、ラテックス製、ポルノ女優の母、死者(たぶん)が集うファミレス、「彼」と「彼女」がチェンジし続けて……。ファンキーでせつない超傑作知篇集。

*目次
Mama told me / Papa I love you / Morher Father Brother Sister / 殺しのライセンス / 素数 / SF / ヨウコ / チェンジ / チェンジA / 人生 / 君が代は千代に八千代に / 愛と結婚の幻想 / 鬼畜 / この小説の作られ方


高橋 義孝 (たかはしよしたか)
「まぬけの効用」
 (まぬけのこうよう)


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*220頁 / 発行 1984年
*カバー装画・東海林さだお

*カバー文
つねに弱者の味方である江戸ッ子教授が、まぬけの効用、無学の効用、思い上がりの効用、猜疑の効用、演技の効用を説いて、愚劣な劣等感に思い悩める人々、一生下積みになっているサラリーマンの鬱憤をはらしてくれる毒舌の処世哲学。憎ッくき上役、出世とはどういくことか、男と女、ワイセツということ、損得の哲学など40篇。


高見 順 (たかみじゅん)
「終戦日記」
(しゅうせんにっき)


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*493頁 / 発行 1992年
*カバー・平林育子

*カバー文
自己について、書くべきときが来たようだ。自己を愛するが故に、容赦なく剔抉する。自己のうちの不潔をのこらずさらけ出して、自己を不潔から救う ―― 。時は太平洋戦争終戦直後の昭和21年。40歳になった作家の血を吐くような声が聞こえてくる。これは「敗戦日記」(文春文庫)の続篇といえる、“最後の文士”の生き様の記録である。

*目次
昭和二十一年一月 / 昭和二十一年二月 / 昭和二十一年三月 / 昭和二十一年四月 / 昭和二十一年五月 / 昭和二十一年六月 / 昭和二十一年七月 / 昭和二十一年八月 / 昭和二十一年九月 / 昭和二十一年十月 / 昭和二十一年十一月 / 昭和二十一年十二月


高見 順 (たかみじゅん)
「昭和文学盛衰史」
(しょうわぶんがくせいすいし)


*カバー・柴永文夫
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*614頁 / 発行 1987年

*カバー文
大正文学の終焉から「文学界」創刊を経て太平洋戦争の終結に至るまで、激動の時代を生き抜いた文学者たちのありようを、自らの見聞に基づき、豊富な資料を駆使してヴィヴィッドに描いた文壇回顧録。同人雑誌や同人の名前が細かく記述されるなど、昭和文学史研究の上でも貴重な作品となっている。索引付き。

*目次
第一章 不断の歯痛 / 第二章 黒き犯人 / 第三章 作家と運命 / 第四章 源流行 / 第五章 分裂時代 / 第六章 緞帳の葡萄 / 第七章 三・一五前後 / 第八章 全女性進出行進曲 / 第九章 いのちのかぎり / 第十章 エスプリ・ヌーボー / 第十一章 芸術派の群 / 第十二章 二つの道 / 第十三章 死と復活 / 第十四章 文芸復興 / 第十五章 あの死、この死 / 第十六章 ファシズムの波 / 第十七章 ペン・クラブの今昔 / 第十八章 津軽の作家 / 第十九章 『新風』前後 / 第二十章 発哺の宿 / 第二十一章 文壇新体制 / 第二十二章 転向について / 第二十三章 芥川賞海を渡る / 第二十四章 右翼的文学論 / 第二十五章 徴用作家 / あとがき / 解説 野田富士男 / 人名索引


高見 順 (たかみじゅん)
「生命の樹」
(せいめいのき)


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*309頁 / 発行 1990年
*カバー・宇野亜喜良

*カバー文
ふとしたことから知り合った銀座のバーの女・由美子との情事。由美子は不思議な魅力を持つ女だが、その私生活にはどこか謎めいたところがあった。「先生、私、顔を切られちゃった」由美子からの電話だった……。親子ほども齢のはなれた女に惑溺する小説家の生命の渇き。透徹した文書で描く高見文学の傑作長篇。

*解説頁・栗坪良樹


高見 順 (たかみじゅん)
「敗戦日記」 
(はいせんにっき)


旧版
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新装版

*376頁 / 発行 昭和56年

*カバー文
“最後の文士”高見順が、第二次大戦初期から死の直前まで、秘かに書き続けた精緻な日記は、昭和史の一等資料たるのみならず、日記文学の最高峰の一つとなった。ここに収録された昭和20年の記録は、自己をも押し流しながら破局へと突き進む日本の悲劇を、仮借ない文学者の目をもって、率直に活写したハイライトの部分である。

*目次
敗戦日記
 あとがき
 「あとがき」のあとがき 高見秋子
 解説 木村一信


高峰 秀子 (たかみねひでこ)
「人情話 松太郎」
(にんじょうばなしまつたろう)


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*209頁
*発行 2004年
*カバー・安野光雅

*カバー文
東京・浅草に生まれ、「鶴八鶴次郎」などの作品で庶民の心をつかみ、昭和十年には第一回直木賞を受賞した江戸っ子作家・川口松太郎を名エッセイスト・高峰秀子がインタビューした傑作を再刊。人情味豊かな昔話のやりとりで、ふたりの「人生の達人」が響き合う。最後の思い出を綴った書き下ろし「俺の葬式はいらねぇよ」を収録。


滝口 康彦 (たきぐちやすひこ)
「主家滅ぶべし」
 (しゅけほろぶべし)


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*346頁
*発行 1985年

*カバー文
忠臣か逆臣か――お家安泰のためには時に主君に叛くこともある。筑前福岡五十二万石の黒田家の主君忠之と家柄家老栗山大膳の確執――大膳の謀叛は果してお家断絶を救う苦肉の一策であったか? かつて、森鴎外、海音寺潮五郎などが「黒田騒動」を描いたが、この長篇は先人の諸説を踏まえて新解釈した決定版。 解説 武蔵野次郎


滝口 康彦 (たきぐちやすひこ)
「乱離の風 ― 若き日の立花宗茂」
 (らんりのかぜ)


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*390頁
*発行 1986年
*カバー・玉井ヒロテル

*カバー文
九州戦国時代、互いに覇を争い合い、離反・服属をくり返す武将たち―その乱世にあって、落日の色濃い豊後の大友宗麒一筋に義を貫き通した柳河藩主立花宗茂の、いさぎよい青春時代を中心に、実父の宝満・岩屋城主高橋紹運、義父の立花城主立花道雪との父子愛など、鮮やかに活写した長篇時代小説。


滝田 ゆう (たきたゆう)
「滝田ゆう名作劇場」 
(たきたゆうめいさくげきじょう)


*カバー装画・滝田ゆう
 AD・坂田政則

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*323頁 / 発行 1983年

*カバー文
安岡章太郎「質屋の女房」、丸谷才一「だらだら坂」、井上ひさし「あくる朝の蝉」、吉行淳之介「深夜の散歩」、遠藤周作「四十歳の男」、山口瞳「声」など、人気作家の名作22篇を、滝田ゆうが独特の玄妙・微妙・絶妙なタッチで味わい深いコマ漫画に仕立てあげた“ビジュアル版現代小説傑作集”。おなじみ滝田ゆう『劇場』シリーズの第三弾。

*目次
質屋の女房 安岡章太郎原作 / だらだら坂 丸谷才一原作 / 苦いお茶 木山捷平原作 / あくる朝の蝉 井上ひさし原作 / 深夜の散歩 吉行淳之介原作 / 小舟の上で 宮原昭夫原作 / がたくり馬車 三浦哲郎原作 / 雁風呂 丸山健二原作 / 名刺 永井龍男原作 / 四十歳の男 遠藤周作原作 / 声 山口瞳原作 / 朧夜 伊藤桂一原作 / タワリシチ・アコーシャ 藤原審爾原作 / こま 畑山博原作 / ロバート 野呂邦暢原作 / 身延線 吉村昭原作 / 意気地なし 藤沢周平原作 / 夏の葬列 山川方夫原作 / 善魔の窖 柴田錬三郎原作 / 首にまく布 黒井千次原作 / 祭の火 高井有一原作 / 南雄の美女 富士正晴原作 / ・原作者紹介 / ・文庫版のためのあとがき


滝田 ゆう (たきたゆう)
「滝田ゆう落語劇場 第一輯」 
(たきたゆうらくごげきじょうだいいっしゅう)


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*232頁
*発行 1983年
*カバー・山藤章二


*目次
王子の狐 / 富久 / 藁人形 / 素人鰻 / ぞろぞろ / 蕎麦の羽織 / 夢の酒 / 猫の災難 / 反魂香 / 岸柳島 / 湯屋番 / うどんや / 味噌倉 / 夢金 / 紙入れ
 演目解説・矢野誠一


滝田 ゆう (たきたゆう)
「滝田ゆう落語劇場 第二輯」 (たきたゆうらくごげきじょうだいにしゅう)


*カバー・山藤章二
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*290頁 / 発行 1983年

*カバー文
お待たせしました! おなじみ落語の名作・ケッ作を劇画化した、滝田ゆうの“見る落語”の第二輯です。このたびは演目をグーンとふやして、「強情灸」「粗忽の使者」「青菜」「二階ぞめき」「元犬」「あくび指南」「船徳」「千両みかん」「芝浜」などしめて二十番。前輯に劣らずよろしくお引き立てのほど隅から隅まで~。 

*目次
猫の皿 / 強情灸 / 死神 / 粗忽の使者 / 青菜 / 悋気の火の玉 / 狸賽 / 二階ぞめき / 蔵前駕籠 / 元犬 / 包丁 / 愛宕山 / 茶の湯 / ぬけ雀 / あくび指南 / 船徳 / 千両みかん / もう半分 / 片棒 / 芝浜
 演目解説・矢野誠一


田澤 拓也 (たざわたくや)
「虚人 寺山修司伝」
(きょじんてらやましゅうじ)


*イラスト・金子恵
 デザイン・坂田政則
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*320頁 / 発行 2005年

*カバー文
徒手空拳で青森から上京し、草創期のテレビ界を舞台に、さまざまな人物と交流しながら名声を求めていった寺山修司。だが俳句、短歌、ドラマといった彼の作品は、「模倣」の連続であった。「都会と地方」、「現実と虚構」という二つの軸から、寺山修司のバーチャル・リアリティ(仮想現実)性を明らかにする。

*目次
 プロローグ
第一章 老母買ふ町
第二章 自己なき男
第三章 空にまく種子
第四章 祖国はありや
第五章 新しき家具
第六章 テレビの死霊
 エピローグ
 あとがき
 文庫版あとがき 主要参考文献
 解説 大月隆寛


田草川 弘 (たそがわひろし)
「黒澤明VS.ハリウッド ―『トラ・トラ・トラ!』その謎のすべて」
(くろさわあきらばーさすはりうっど)


*デザイン・石崎健太郎
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*585頁 / 発行 2010年

*カバー文
黒澤明監督による日米共同製作映画『トラ・トラ・トラ!』。1968年12月、撮影開始直後、なぜクロサワは解任されたのか。この日本映画界最大の謎に迫った、ノンフィクションの金字塔。本書は、大宅壮一ノンフィクション賞、講談社ノンフィクション賞、大佛次郎賞、芸術選奨文部科学大臣賞の史上初4冠受賞作。

*目次
プロローグ
第一章 桁外れの男たち
 第一節 二匹目のドジョウ
    ひらめき / 風雲児の軌跡 / 人生の転機 / 友情と栄光 / ゼロからの出発 / 「クロサワを獲れ」
 第二節 巨匠の孤独
    一通のエア・メール / 出会い / 監督からの電話 / 黒澤の決意 / 「利益配分制
(プロフィット・シュアリング)」の落とし穴 / 黒澤プロの再出発
第二章 天の召命
(べルーフ)
 第一節 怪物
(ジャガナート)の暴走
    機関車という生き物 / 発進
(テイク・オフ) / 英語版撮影稿 / 文化の壁(カルチャー・ショック) / 謎のドタキャン / 「映画芸術に対する良心」
 第二節 運命の女神
(フォーチュン)の紡ぎ車
    二兎を追え / 因縁話 / 鷲
(イーグル)の目をした男 / 鶴の一声 / 肩の高さほどあった資料の山
第三章 クロサワ・マジック
 第一節 アメリカにあった「準備稿」
    幻の『虎 虎 虎』 / クロサワ・オリジナル / エルモの決断 / 『姿三四郎』と『七人の侍』 / 見えないものを見せる
 第二節 時空を超えて
    師匠へのオマージュ / 喉に刺さったトゲ / 天の目
 第三節 登舷札のフーガ
    もう一つの原作 / コロスで始まる悲劇 / ドラムの連打
(ロール) / 天から鳴り響くラッパの音 / 目で聴く、耳で見る / 武満徹が読み解いた音の演出 / 「司令長官というのはもてるね」 / 茶目な山本五十六 / 動き回る影法師
第四章 シシュフォスの苦行
 第一節 真珠湾への道
    三頭の虎 / 板挟み / ガイドライン / スタートの蹉跌 / エルモ版「準備稿」 / 二人のリチャード / エルモの誤算 / ハワイ会談の惨
 第二節 フォックス空軍
    パイロットの目線 / 二十枚の紙芝居 / 八機種百六十機 / エルモ版「決定稿」 / 図上演習 / エルモの親書 / 不安と焦燥
 第三節 迷走の軌跡
    突き戻された脚本 / 甦る悪夢 / 露呈した対立軸
 第四節 ダリルの賭け
    製作延期の謎 / 言えない事情 / 陽気なクリスマス / 雨降って地固まる / ダリルの訪日 / 阿吽の呼吸 / リライトの名人 / ビバリーヒルズの誓い
第五章 クロサワのこだわり
 第一節 歴史に残る名画
    動揺したフォックス / ミフネ争奪戦 / 淵田のいない真珠湾攻撃
 第二節 二百枚の絵コンテ
    画家か映画監督か / 楽しそうだったクロサワ / 照準器の“水泡”
 第三節 巨大オープン・セット
    実物大の「長門」と「赤城」 / ウソを受容させるリアリティ
 第四節 未知なるものに賭ける
    “山本五十六”一般募集 / 大魚を逸す / 苦労人 / “山本五十六” / “つくる”演出
 第五節 クロサワ艦隊いざ出陣
    威風堂々 / 動き出した人形たち / エルモの感慨
第六章 “ドキュメント”破滅への秒読み
(カウントダウン)
 第一節 太秦
(うずまさ)の悪夢
    米側の資料で辿る夢の跡 / なぜ東映京都撮影所だったのか / ぎっしり詰まった撮影予定
 第二節 緊張していた黒澤(撮影第一週)
    ダリルの意気込み / 好意と無関心と / 「製作日報」に記された事実 / 波乱含みの幕開き
 第三節 クロサワ乱れる(撮影第二週)
    米側は撮影快調 / 黎明の発艦 / 監督のこだわりとスタッフの離反
 第四節 崩壊した撮影現場(撮影第三週)
    エルモの再来日と黒澤の自滅
 第五節 エルモの「一番長い日」(撮影第四週)
    馬謖を斬る / 未明の決断 / 国際三元電話会議 / 受け皿の模索(二十四日の朝) / 解任通告(二十四日午後) / 訣別の書簡
第七章 《検証その一》思いこみの謎
 第一節 クロサワは総監督だったか?
    誤報 / 総監督という英語はない / 監督は一人しか要らない / エルモの当惑
 第二節 身の危険
    山本五十六が背中に乗っていた / 陸軍悪玉・海軍善玉説 / 「ヘルムート」と呼ばれた男
 第三節 素人俳優起用の誤算
    別れのとき / ダリルの電報 / 身から出た錆 / 「職業俳優への挑戦状」 / たじたじの態 / 本領発揮 / 後日談
 第四節 京の都人
(みやこびと)と東人(あずまびと)クロサワ
    京都をこよなく愛した黒澤 / 『羅生門』の影 / 京都での成功の記憶 / 堅気とやくざのコラボレーション / 任侠映画を作る人たち / 砧と太秦の労働条件の差 / 現場スタッフへの気配り / 先斗町を行く軍服の一群 / 大島渚や深作欣二でさえ
第八章 《検証その二》診断書の謎
 第一節 クロサワは病気だったか?
    駆けめぐったノイローゼ説 / 実は“解任”だった / 「私は病気ではない」
 第二節 診断書を読む
    クロサワは二度“倒れた” / アメリカにあった三通の診断書 / 「神経衰弱症」とは何か
 第三節 クロサワらしさの秘密
    予兆は何度もあった / 二度の“発作” / 病気との共生 / ドストエフスキーとゴッホ / 「病気」とは何か
 第四節 保険会社の判断
    キャスト・インシュアランス / フォックスと保険会社の攻防 / 紛糾した保険金支払い交渉 / 三十人の証言 / 万事休す
 第五節 幻のクロサワ“復帰”説
    リチャードの“密命” / あり得なかった“復帰”
第九章 《検証その三》契約書の謎
 第一節 消えた契約書
    顔のいいペテン師 / 獅子身中の虫 / スキャンダルという名の人間模様
 第二節 英文契約書を読む
    契約書が出てきた / 白髪三千丈 / 二十六ページの契約書 / 相手の土俵 / 英文契約書という異文化
 第三節 もつれたクレジット問題
    監督の格付け争い / 日の目を見なかった妥協案 / 勝ち目はなかったクロサワ
 第四節 編集権は誰のものか
    ハリウッドの常識 / 揃っていた編集の名手たち
 第五節 契約書に見るハリウッド文化
    下請け契約書 / 作家
(オトウール)か職人(アルチザン)か /
エピローグ
 あとがき
 文庫版のためのあとがき
 参考文献


立花 隆 (たちばなたかし)
「天皇と東大(全四巻)」
(てんのうととうだい)


*写真・Getty Images
 カバー・石崎健太郎
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*T 583頁・発行 2012年 / U 517頁・発行 2012年 / V 533頁・発行 2013年 / W 526頁・発行 2013年 /

*カバー文
T 大日本帝国の誕生
日本近現代史の最大の役者は天皇であり、その中心舞台は東大だった ── 。長い長い鎖国の時代が終わり、日本という近代国家はどのように誕生し、どのように現代へとつながるのか。明治十年に設立され、国家運営の人材を供給しつづけた東大という覗き窓を通して描く。「知の巨人」立花隆による入魂の大作、ついに文庫化。
U 激突する右翼と左翼
明治は去り、日本は右傾化の道を歩みはじめる。大正デモクラシーの時代を経て、国家主義者が陸続と台頭する一方、勢いを増した共産党への弾圧も強まる。そして、昭和初頭、血盟団事件、五・一五事件を大きな契機に、国をあげて戦争体制に突入していく ── 。歴史の転回点で、東大が果たした役割を詳細に検証する、怒涛の第2巻。
V 特攻と玉砕
“天皇機関説”排撃の風潮が漂うなか、二・二六事件を奇貨として、軍部は政治支配を確立し、以後、日本社会は、テロと戦争に覆い尽くされていく。「挙国一致」「尽忠報国」。そして、敗色が濃くなるなかで敢行された「特攻」と「玉砕」。いったい何が国民をあの悲劇の道に導いたのか。東大の思想的責任を鋭く問う、迫真の第3巻。
W 大日本帝国の死と再生
昭和20年8月15日、日本のかたちは劇的に変貌した。大日本帝国の解体、天皇の人間宣言、そして国家のための人材養成を旨としていた帝国大学の変質 ── 。「あの戦争はなぜ始まり、なぜすべてを失うほどの大敗北を喫するに至ったのか」と考えつづけた著者が、七年にわたり書き継いだ歴史ノンフィクションの金字塔、ここに完結。

*目次
T 大日本帝国の誕生
文庫版のためのはしがき / はしがき
第一章 東大は勝海舟が作った
第二章 明治四年、東大医学部は学生の八割を退学させた
第三章 初代学長・加藤弘之の変節
第四章 『国体新論』と「天皇機関説」
第五章 慶応は東大より偉かった
第六章 早大の自立精神、東大の点数主義
第七章 元落第生・北里柴三郎博士の抵抗
第八章 「不敬事件」内村鑑三を脅した一高生
第九章 東大国史科の「児島高徳抹殺論」
第十章 天皇「神格化」への道
第十一章 日露開戦を煽った七博士
第十二章 戸水寛人教授の「日露戦争継続論」
第十三章 戸水事件と美濃部達吉
第十四章 元白虎隊総長・山川健次郎の奔走
第十五章 山川健次郎と超能力者・千里眼事件
第十六章 沢柳・京大総長の七教授クビ切り事件
第十七章 東大経済は一橋にかなわない
第十八章 大逆事件と森戸辰男
U 激突する右翼と左翼
第十九章 大正デモクラシーの旗手・吉野作造
第二十章 “右翼イデオローグ”上杉慎吉教授と大物元老
第二十一章 元老・山県有朋の学者亡国論
第二十二章 血盟団事件に参加した帝大生
第二十三章 東大新右翼のホープ・岸信介
第二十四章 新人会きっての武闘派・田中清玄
第二十五章 三・一五共産党大検挙の波紋
第二十六章 河上肇はなぜ京大を去ったか
第二十七章 河上肇とスパイM
第二十八章 血盟団と安岡正篤
第二十九章 昭和維新の最先端にいた帝大生・四元義隆
第三十章 国家改造運動のカリスマ・井上日召
第三十一章 血盟団事件 幻の“紀元節テロ計画”
第三十二章 共産党「赤化運動」激化と「一人一殺」
第三十三章 血盟団を匿った二人の大物思想家
第三十四章 権藤成卿と血盟団グループの壊滅
第三十五章 日本中を右傾化させた五・一五事件と神兵隊事件
V 特攻と玉砕
第三十六章 滝川事件 鳩山一郎と美濃部達吉
第三十七章 京大・滝川幸辰教授はなぜ狙われたか
第三十八章 狂信右翼・蓑田胸喜と滝川事件
第三十九章 筧克彦と「神ながらの道」
第四十章 美濃部達吉、統帥権干犯問題を撃つ
第四十一章 美濃部達吉の大反論「一身上の弁明」
第四十二章 ゾルゲ・昭和天皇・平沼騏一郎
第四十三章 天皇機関説論争が招いた二・二六事件
第四十四章 昭和天皇と満州事変
第四十五章 東条が心酔した平泉澄の皇国史観
第四十六章 神官・平泉澄と人間魚雷「回天」
第四十七章 二・二六事件 秩父宮と平泉澄の密談
第四十八章 公爵近衛文麿と平泉澄
第四十九章 終戦阻止クーデタ計画と平泉門下生
第五十章 特攻と玉砕 平泉澄の戦争責任
第五十一章 東大法学部のタブーと恥
第五十二章 矢内原忠雄 キリスト者としての反体制
第五十三章 「太った豚」による矢内原忠雄追放劇
W 大日本帝国の死と再生
第五十四章 経済学部教授を獄中に葬ったスパイH
第五十五章 経済学部三国志、宿命の権力闘争
第五十六章 河合栄治郎派の崩壊と戦時経済研究会
第五十七章 「大逆」と攻撃された津田左右吉の受難
第五十八章 軍艦総長・平賀譲の経済学部大粛清
第五十九章 戦時経済の寵児・土方成美 絶頂からの転落
第六十章 粛学の立役者、田中耕太郎の四面楚歌
第六十一章 難局の経済学部長 舞出長五郎の小心姑息
第六十二章 「無罪、さもなくば重罰を」河合栄治郎の深謀
第六十三章 反ファッショ人民戦線と河合栄治郎
第六十四章 平賀東大 戦時体制下の大繁栄
第六十五章 南原繁総長と昭和天皇退位論
第六十六章 天皇に達した東大七教授の終戦工作
補遺
文庫版のためのあとがき / 参考文献一覧 / 索引