絶版文庫書誌集成

富士見書房・時代小説文庫 【は】


長谷川 伸 (はせがわしん)
「一本刀土俵入 ― 長谷川伸名作選」
(いっぽんがたなどひょういり)


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*294頁
*発行 昭和59年
*撮影・吉田千秋 / カバーデザイン・熊谷博人

*目録文
力士になる夢を抱いて路傍を彷徨(さすら)う駒形茂兵衛と酌婦お蔦の出会い。十年後、博徒に身をやつした茂兵衛は、恩義に報いるべくお蔦の夫の危機を救い一世一代の男の土俵入を果たす。『一本刀土俵入』を始め、『沓掛時次郎』『瞼の母』『雪の渡り鳥』『暗闇の丑松』の五編を収録。演劇、映画に知名度の高い著者の代表作。初の文庫化!

*解説頁・村上元三


林 不忘 (はやしふぼう)
「丹下左膳 (一) 乾雲坤竜の巻」
 (たんげさぜん けんうんこんりゅうのまき)
時代小説文庫(富士見書房)



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*350頁 / 発行 昭和59年
*カバー・成瀬数富

*カバー文
 刀剣蒐集狂の主君、相馬中村六万石、相馬大膳亮(そうまだいぜんのすけ)の命をうけ、丹下左膳は、江戸、あけぼのの里にある小野塚鉄斉の道場に試合をいどみ、血に飢えた殺人剣を振るう。小野塚家伝来の宝物、名剣乾雲丸、坤竜丸をねらい、首尾よく大剣乾雲丸を手に入れる。小野塚道場の高弟諏訪栄三郎は小剣坤竜丸を腰に乾雲丸を探す。二刀が離ればなれになると、互いに求めあい、そこに血が流れ恐ろしい渦を巻きおこさずには置かないと伝えられる。
 諏訪栄三郎を助ける乞 食姿の奇傑蒲生泰軒、又江戸町奉行大岡越前守。左膳には無頼の旗本鈴川源十郎、櫛巻お藤、つづみの与吉らが味方し、二剣をめぐって江戸の巷に血の雨が降る。
 片眼片腕のニヒルな剣士、その特異な風貌は、幾度となく映画、演劇、テレビに登場し観客を魅了した。鬼才、林不忘の描く長編伝奇小説「丹下左膳」を全て収録した完本。全五巻。

*解説頁 「林不忘の人と作品」尾崎秀樹


林 不忘 (はやしふぼう)
「丹下左膳 (二) 続乾雲坤竜の巻」 (たんげさぜん ぞくけんうんこんりゅうのまき)


*カバー・成瀬数富
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*334頁 / 発行 昭和59年

*カバー文
 乾雲丸(けんうんまる)・坤竜丸(こんりゅうまる)を求めて争う諏訪栄三郎(すわえいざぶろう)、丹下左膳(たんげさぜん)らの渦に、新たに火事装束の五人組が加わり二刀を狙う。左膳は頼りにならぬ鈴川源十郎を見限り、相馬藩に援軍を求める。相馬大膳亮(そうまだいぜんのすけ)は月輪(つきのわ)一刀流の道場主月輪軍之助を、三十名の門弟と共に江戸に向かわせる。月輪一門を途上に迎え撃つ蒲生泰軒(がもうたいけん)。
 諏訪栄三郎を慕う小野塚道場の娘弥生(やよい)、掛茶屋の娘当り矢お艶(つや)。弥生に惚れる丹下左膳、お艶に横恋慕する鈴川源十郎らの色模様をもからませて物語は展開する。
 乾坤二刀に秘められた謎を追う火事装束の一団とはそも何者。名剣を求めて三ツ巴の渦の巻く所、刃がうなり、血煙りが上がる。
 乾雲坤竜の巻、完結編。


林 不忘 (はやしふぼう)
「丹下左膳(三・四) こけ猿の巻(一・二)」
(たんげさぜん こけざるのまき)

*(一)258頁・(二)262頁 / 発行 1984年
*カバー画像はありません。

*目録文
伊賀の暴れん坊柳生源三郎が司馬道場に婿入りの引出物として持参した“こけ猿の壺”には莫大な埋蔵金が秘められていた。日光修復の費用に苦しむ柳生対馬守は壺を求めるが、壺は丹下左膳の手に、司馬道場の乗取りを企む峰丹波も壺を奪おうと謀る。壺をめぐって三者入り乱れて斬り合い、更に蒲生泰軒も加わる。壺はいずこに!



林 不忘 (はやしふぼう)
「丹下左膳(五) 日光の巻」 
(たんげさぜん)


*カバー・成瀬数富
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*414頁 / 発行 昭和60年

*カバー文
 峰丹波一味の奸計にあい、川底に作られた地下の穴蔵に閉じこめられた、柳生源三郎と丹下左膳。刻々と増す水に、哀れ二人は生き埋めとなるか……。
 “こけ猿の壺”は遂に蒲生泰軒の手に。泰軒から送られた壺の謎に挑む将軍吉宗、大岡越前守、愚楽老人。壺の蓋にはられた紙がはがされ、柳生家の財宝を秘めた地図が現れるのだが……。
 東照宮修復の任にあたる柳生対馬守は日光にむかう。作爺さんこと作阿弥も神馬の大彫りものを作るために日光へ。作爺さんを慕うお美夜ちゃんも母親お蓮と共に日光にむかうが、哀れにも人柱とされる為に捕えられてしまう。
 父親を探して日光へ旅立つチョビ安と蒲生泰軒。壺を求めて街道に妖剣を振るう丹下左膳も、櫛巻お藤と共に日光へむかう。柳生源三郎、峰丹波の一味も日光へ。真の“こけ猿の壺”は何処に。物語は一路、大団円へと向かう。
 「丹下左膳」完結編。


羽山 信樹 (はやまのぶき)
「滅びの将 ― 信長に敗れた男たち」 
(ほろびのしょう)


*カバー装画・毛利彰
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*308頁 / 発行 平成5年

*カバー文
 南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏……僧は唱えた。病人は胸元に鈍い光沢を放つ高麗茶碗を抱いていた。淋しい臨終を迎えようとしている者の名は道薫、又の名を荒木村重――一向一揆攻略、毛利攻めで織田軍団きっての猛将と名を高め、秀吉に準ずる程の地位を得た村重が、なぜ、後に臆病者、卑劣漢と罵られたのか?
 荒木村重の数奇な生涯と独自の美学にせまる「我やさき、人やさき」他、信長に滅ぼされた別所長治、吉川経家、松永久秀、清水宗治らの惨憺たる落城を描いた秀逸歴史小説!

*目次
第一話 今はただ恨みもあらず――別所長治
第二話 我やさき、人やさき――荒木村重
第三話 ものがたり、御ききあるべく候――吉川経家
第四話 おみなえし、藤袴――松永久秀
第五話 名を高松の苔に残して――清水宗治
 あとがき
 解説 岡本好古