絶版文庫書誌集成

富士見書房・時代小説文庫 【ひ】


広瀬 仁紀 (ひろせにき)
「沖田総司恋唄」
(おきたそうじこいうた)

*261頁 / 発行 1981年

*目録文
幕末の動乱を流星のごとく駆け抜けた若き天才剣士、沖田総司。労咳に耐え、新選組隊士としてわずか二十五年のその生涯は、鮮烈な印象を与えずにおかない。幕末の医師松本良順の著書に拠り、近藤勇・土方歳三の活躍に清童総司の淡い秘められた恋を織り成し、独自の総司像を描き出した歴史ロマンの香り高い力作。

*解説頁・武蔵野次郎


広瀬 仁紀 (ひろせにき)
「薩南の鷹人斬り半次郎異伝」 (さつなんのたか)


(画像はクリックで拡大します)

*335頁 / 発行 1989年
*カバーデザイン・玉井ヒロテル

*カバー文
「俺どんは不覚もんで、剣術となったらさっぱり駄目なんじゃ。後学のため桜島の黒影を両断した半次郎どんの太刀風をきかせてくれ」そう言って波うちぎわにどっかと正座した巨漢の頭上間一髪の所へ、半次郎は白芒をふり下ろした。――身じろぎ一つしないこの巨漢は西郷隆盛であった。
「西郷先生ィ!!」なんの不自然さもなく半次郎はその場に平伏した。
〈先生ィ! 俺は先生の手足になりもうすぞッ〉半次郎はすすり泣き始めた。
 西郷隆盛と行動を共にし日本最初の陸軍少将となり、西南の役で城山に散った、幕末の薩摩が生んだ英傑人斬り半次郎こと中村半次郎(桐野利秋)の波瀾に満ちた生涯を描いた幕末歴史小説!

*解説頁・武蔵野次郎


広瀬 仁紀 (ひろせにき)
「新選組風雲録〈激斗篇〉」 (しんせんぐみふううんろく・げきとうへん)


(画像はクリックで拡大します)

*290頁
*発行 平成2年
*カバー装画・玉井ヒロテル

*カバー文
 激烈な土方勝三弾劾の一書を残し、新選組総長・山南敬助が壬生から姿を消したのは慶応元年2月下旬のことだった。近藤勇の次席である山南が脱走・断罪されたとあっては新選組の威名は地に落ちる。局中は騒然となった ― 。
 一方お多加にかくまわれていた桂小五郎は何とか京を脱出しようと謀るが……。
 動乱の幕末、洛中を舞台に討幕派と新選組の正義を賭けた壮絶な闘い、そして新選組の知られざる内部抗争をあますところなく描いた時代長篇!


広瀬 仁紀 (ひろせにき)
「青蓮院の獅子」
(しょうれんいんのしし)


(画像はクリックで拡大します)

*360頁
*発行 1984年
*カバー・玉井ヒロテル

*カバー文
 青連院宮尊融法親王――別名、尹宮とも中川宮とも呼ばれ、激動の幕末に孝明帝の厚い信任のもとに朝権を守護したが、長州人激派に憎悪されて謀反の冤罪で六十八歳の不遇の生涯を閉じる。なかでも、公卿岩倉具視とは竜虎相撃つ終生の好敵手となった。幕末史の動向を克明に描写し、獅子の如き貴人、中川宮朝彦親王の豊かな人間性を著者が愛惜をこめて綴る本格的幕末歴史小説。

*解説頁・武蔵野次郎


広瀬 仁紀 (ひろせにき)
「適塾の維新 上下」 
(てきじゅくのいしん)


*カバー・玉井ヒロテル
(画像はクリックで拡大します)


*上302頁・下247頁 / 発行 1983年

*カバー文

 大村益次郎を始め多くの傑士が入門したと言われる緒方洪庵の私塾適々斎塾。福澤諭吉を塾長とする適塾に蘭学を志す若者、武田太郎と鶴見斧吉がいた。二人は長崎の医学伝習所で西洋医術を学び蘭医になる。折あたかも京の町を震撼させた新選組隊士による池田屋事変であった。攘夷、佐幕派の抗争する洛中で沖田総司に出合った二人はやがて新選組と深い関わりを持つが……。
 激動の幕末維新を舞台に史上人物を脇に配して著者独自の人間味溢れる群像を描いた感動の処女歴史長編!
 第76回直木賞候補作!

 慶応四年、福澤諭吉と再開し旧交をあたためる若き蘭方医武田太郎と鶴見斧吉。激しい殺戮が続く江戸の町で沖田総司を診察する斧吉は、患者の娘が官兵に犯されて無残な死体となっているのを目撃する。悲憤慷慨した斧吉は勇猛の士土方歳三率いる旧幕軍の軍医となって箱館戦争の銃撃戦のなかにいた。一方、斧吉の安否を気遣う太郎は、福澤の慶応義塾で教鞭を執っていた…。
 幕末維新を熾烈に生きる若き獅子たちが織りなす人生模様。第76回直木賞候補作!

*解説頁(下巻に収録)・武蔵野次郎


広瀬 仁紀 (ひろせにき)
「土方歳三散華」 
(ひじかたとしぞうさんげ)


(画像はクリックで拡大します)

* 400頁
* 発行 1982年
*カバー・玉井ヒロテル

*カバー文
 徳川幕府崩壊とともに消えた幕末集団“新選組”。なかでも鬼副長の異名をもつ土方歳三は「死ぬなら戦場で死にたい!」と、五稜郭で討伐軍に討たれ、男の生きざまを見事に演じた。幕末の悲痛さを一身に具現したかのように、争闘し、闘死して35歳でこの世を去る。冷徹を極めた人間、土方歳三にみる男の美学を描いた力篇!

*解説頁・武蔵野次郎


広瀬 仁紀 (ひろせにき)
「洛陽の死神」 (らくようのしにがみ)


*カバー・玉井ヒロテル
(画像はクリックで拡大します)

*253頁 / 発行 1984年

*カバー文
 文久三年二月、将軍上洛の警護のために参集した浪士隊のなかに、水戸藩士清川八郎を始め、のちに『新選組』局長となった剣豪芹沢鴨、近藤勇らがいた……。『新選組』誕生の経緯から内部抗争へいたる様を、芹沢鴨に焦点をあて、合法磊落な人間味溢れる人となりを捉えて描く初期新選組物語。
他に短篇二編を収録。

*目次
洛陽の死神
川原町三条下ル
薩南の鷹
 奇妙な暗殺 ― あとがきにかえて 広瀬仁紀
 解説 武蔵野次郎


広瀬 仁紀 (ひろせにき)
「幕末鬼骨伝」 (ばくまつきこつでん)


(画像はクリックで拡大します)

*279頁 / 発行 平成5年
*カバー装画・安彦勝博 上下見面づくし(紙の博物館蔵)

*カバー文
(新選組とても……押しまくり、斬りまくってばかりいては、やがて滅亡の外ないのだ)機会を待って新選組を尊王に衣替えできぬものか!?
伊東甲子太郎が「不逞な野心を抱いたのはこの瞬間だった。 ― 新選組はなぜ分裂したのか? この謎にせまる著者会心の書き下ろし 「高台寺の鵺」を初めとして、幕末から明治にかけ歴史の裏舞台で活躍した松本良順、山岡鉄舟、頭山満ら強烈な個性を描いた傑作人物伝。

*目次
高台寺の鵺(ぬえ) ― 伊東甲子太郎
最後の御典医 ― 松本良順
青嵐独歩録 ― 山岡鉄舟
松籟颯々 ― 頭山満
 解説 郷原宏


広瀬 仁紀 (ひろせにき)
「乱世の知恵者 三井財閥創設者・三野村利左衛門」 (らんせのちえもの・みのむらりざえもん)


*カバーデザイン・玉井ヒロテル
(画像はクリックで拡大します)

*290頁 / 発行 1988年

*カバー文
 19歳の時、庄内から初めて江戸に出た利八――三野村利左衛門は油問屋に勤め、辛酸をなめつくす。そして幕閣の俊才、勘定奉行の小栗上野介忠順に出会い、当時、莫大なご用金を課せられて窮地におちいっていた豪商三井家の大番頭となる。
 幕府と新政府の間に立ち卓越した時流感覚に基づいた知恵で、三井財閥を築き上げた男の一生を見事に描いた歴史経済小説。
 これは剣のない維新史であり、現代にも生きる企業内における模範的人間像である。

*目次
商況不振すこぶる難渋の次第
ここに至りて残額免除の命あり
時務を知らざる片意地者
格別結構の御用筋にて
同苗自己の所有にあらず
時期を失する勿れ
 解説 小松伸六