絶版文庫書誌集成

富士見書房・時代小説文庫 【い】


井口 朝生 (いぐちあさお)
「江戸は花曇り」
 (えどははなぐもり)


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*292頁 / 発行 昭和63年
*カバー装画・深井国 / カバーデザイン・熊谷博人

*カバー文
「捜し当てたぞ、うぬっ!」旅支度のやつれた町人姿は夫・増淵雄次郎であった……。とよ美の祖父・長島素軒と学問上対立し破門され、大塩平八郎の乱に加わって長い間、音沙汰なかった夫がとよ美の眼前にいた。生きるため公儀金座改役の後藤三右衛門の囲い女となっていたとよ美の運命を描いた表題作他5篇収録。
 江戸の町に織りなす人情の機微と女達への哀惜がただよう、捕物帳アリ、岡場所物アリ、医家物アリ、面白さ満載の作品集。

*目次
江戸は花曇り / こわれた夜 / ほくろ供養 / 秋化粧 / 鬼退治 / 泥の街 / 解説 石井富士弥


井口 朝生 (いぐちあさお)
「真田幸村(上下)」
(さなだゆきむら)


下巻カバー(画像はクリックで拡大します)

*上267頁・下283頁
*発行 1989年

*目録文
秀吉の死によって世は風雲急を告げていた! 真田幸村の人柄に惹かれ集まった猿飛佐助、由利鎌之助、清海らの真田十勇士、対する徳川方の服部半蔵、霧隠才蔵らの忍者の活躍を通し、武門の意地と矜りをもって、激動の時代を生きた戦国の卓越した戦略家・幸村の波乱にみちた生涯を見事に描いた著者快心の時代長篇!

*解説頁・山口正二


井口 朝生 (いぐちあさお)
「戦国武州むらさき帳」 
(せんごくぶしゅうむらさきちょう)


*カバー装画・深井国
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*324頁 / 発行 1988年

*カバー文
 “鉄砲を打て”隆貞が低く命令した。銃兵は火縄の火を吹き銃を構えた。その時、笠戸城の大手門が開かれ、一つの灯が進みでた。小人数の女ばかりの行列。笠戸城主信光の母沙和であった。敵の城主の母を妻に迎える事にした岩窪城主隆貞。その子小太郎は初め反発するが、次第にその人柄と美しさにひかれていく……。そして上杉謙信との戦いも始まろうとしていた。
 表題作他、竹中半兵衛と妻真那姫千弥との物語「高嶺の霞」「野の花と軍師」等、井口文学の真髄をあらわす清冽な秀作集。

*目次
兜の白菊
戦国武州むらさき帳
妖童記
桃影抄
高嶺の霞
野の花と軍師
 解説 志村有弘


井口 朝生 (いぐちあさお)
「武田雑兵伝」
(たけだぞうひょうでん)


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*367頁 / 発行 平成元年
*カバー装画・深井国 / カバーデザイン・熊谷博人

*カバー文
「角はなぜ泣くの? 輿入れはめでたい事よ。千場弥五郎さまはきっといい人。赤手のような掌のない娘を妻に迎えてくださる位だから……」ぬいはそう言って笑った。ぬいの笑顔には涙が光っていた。
 甲斐・白坂の郷主笹尾四郎兵衛頼久の美しい娘ぬいは近々、武田の重臣小山田信茂の家来千場弥五郎に嫁ぐ事になっていた。ぬいを慕う角蔵は軍役が回ってこないのに自ら軍役を申し出た ―― 。
 歴史の表層に顔を出さず埋没していく数多くの雑兵。その生きざまを詩情豊かに描いた秀逸長篇小説。

*解説頁・磯貝勝太郎


井口 朝生 (いぐちあさお)
「伊達政宗」
(だてまさむね)

*324頁 / 発行 1990年

*目録文
「だーん!」政宗の鉄砲が火を吹いた。畠山義継の卑劣な謀略に父を犠牲にし、悲憤を胸に立ちむかう伊達政宗。永禄十年、米沢藩主伊達政宗の嫡男として生まれた政宗は痘瘡にかかり、右眼を失った。風雲定まらぬ戦乱を背景に独眼竜とおそれられた奥州の雄・伊達政宗の若き日の姿と親子の情愛を描いた力作時代長篇。(竹村篤)