絶版文庫書誌集成

富士見書房・時代小説文庫 【さ】


早乙女 貢 (さおとめみつぐ)
「うつせみ忍法(上下)」
(うつせみにんぽう)


(画像拡大不可)

*上291頁・下299頁 / 発行 1994年

*目録文

「そ、そちは」「お静かに…」指は生温い襞にはさまれたままである。「女どもを呼べば、恥をかくのは御方さまじゃ」若者はにやりと白い歯を見せるひょいと女体を抱きあげた。富子は《淫ノ風》にかかって、傀儡の若者・松丸の腕の中でむせび泣いた。かって、これほど荒々しく彼女の肉体を扱った者が居ようか。義政も、主上も、山名宗全も…。名流日野家の姫に生まれ、八代将軍の室になった富子は初めて恍惚を知った。将軍義政と御台所富子との間にくり返される確執に傀儡忍者と甲賀忍者がしのびよる……。

「まいれ」義政の声もふるえている。「美しいのゥ……、花の御所というのはそなたがことか。」富子の豊満な体がなだれこむように義政に重なった。傀儡忍法による強精とは知らず、富子は久々に夫の腕の中で悶えた。(将軍に立ち還るぞ。十代将軍は、余人にわたさね、まろが……)義政はしとどに濡れた富子の体を“夫”の手で愛撫しながら、「悲しむことはないぞよ……」「……」「義尚のことも」「ええっ」次期将軍の座をめぐり、戦国大名の野望と忍者の暗闘がくりひろげられるエロティシズムあふれる忍法帖。


早乙女貢 (さおとめみつぐ)
「かげろう伝奇」
(かげろうでんき)

*297頁 / 発行 1989年

*目録文
関ヶ原の戦いで西軍に属した土佐藩士・長曾我部盛親は家康によって所領没収という厳しい処分を受けた。徹底抗戦か恭順かで藩論が真二つに割れる中、抗戦派の前衛となった一領具足の藩士の中に“影野の鷹”と呼ばれる剽悍気鋭の若者・神谷新八郎がいた。彼の情熱あふれる戦いと恋を描いた秀逸伝奇小説。(藤田昌司)


早乙女貢 (さおとめみつぐ)
「くノ一秘図」 (くのいちひず)

*290頁 / 発行 1991年

*目録文
「あ……」小菊は身をひねった。が、両手が縛らされ、もがく拍子にかえって乳房は義鑑の手におさめられた。庭番の父を主君大友義鑑によって蹴殺された小菊は復讐せんとくノ一になる! 九州の名家・大友家のお家騒動に暗躍する忍び達。大友二階崩れにより跡を継ぐ義鎮は九州だけでなく周防の大友氏征圧の野望を進める。 (縄田一男)


早乙女貢 (さおとめみつぐ)
「甲賀くノ一(上下)」
(こうがくのいち)

*上506頁・下334頁 / 発行 1989年

*目録文
美濃の守護土岐政房の嫡男盛親は父や弟の頼芸にとり入る西村勘九郎(斎藤道三)に疑惑をもち甲賀くノ一・木ノ実を使って過去を探らせる。一介の油売りから身をおこし冷酷残忍な手口で美濃国を手中に収めていく乱世の姦雄・道三と技の限りをつくし死闘する女忍者の運命を浮彫りにしたエロティシズムあふれる長篇力作!(権田萬治)


早乙女貢 (さおとめみつぐ)
「死神伝奇
(しにがみでんき)


(画像拡大不可)

*403頁
*発行 1989年

*目録文
「生みたい……、ああ、もっと!」〈猿のような子が生まれるぞ〉「お戯れを、あ、あ……」異様に感じた広沢の局は顔をあげた。朝鮮出兵、呂宋遠征の野望に燃えた秀吉は九州名護屋城に兵を進めていた。威嚇された呂宋の大守ゴメス・ペレスは秀吉暗殺を図らんと南蛮妖術者を送り込む。エロチシズムあふれる怪奇幻妖巨篇。(磯貝勝太郎)


早乙女 貢 (さおとめみつぐ)
「南海に叫ぶ」
(なんかいにさけぶ)


(画像拡大不可)

*270頁 / 発行 1984年

*目録文
戦国から江戸時代にかけて「日本の小天地壮?を容るるに足らず」と南海に雄飛した男達の活躍を描いた六編の物語。マニラ王の娘を助けてエスパニヤ軍と戦う「若き日の助左衛門」、海賊仁科孫四郎がエスパニヤ海賊と秘宝の争奪戦を展開する「南蛮つむじ風」、他に「山田長政」「天竺美少年」「密貿易二代」「亜媽港奇譚」を収録。(清原康正)


早乙女 貢 (さおとめみつぐ)
「忍法川中島」
(にんぽうかわなかじま)

*254頁 / 発行 1984年
*カバー画像はありません。

*目録文
天文二十二年、武田勢が葛尾(かつらお)城を攻略した折、敗戦の城主村上義清を武田方に売り渡す牢人がいた。武田の軍師山本勘助は牢人を怪しみ、くの一に身辺を探らせるが……。野望に燃える希代の忍者天耳(てんじ)を主人公に、歴史の裏で暗躍する甲斐忍衆黄金虫と、北越忍衆かまいたちの熾烈な死闘を妖美なエロティシズムで描く忍法帖。(清原康正)



早乙女 貢 (さおとめみつぐ)
「忍法くノ一(正続)」
(にんぽうくのいち)


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*正編401頁・続編362 / 発行 1988年

*目録文
正編
桜満開の下、家綱の乳母・矢島ノ局は眼を虚ろにし、唇を半開きにして着物を脱いでいく ―― くノ一忍法〈さらし肌〉にかかったのだ。大奥で絶大な権力を握っていた矢島ノ局は次期大老職をねらう老中酒井忠清との間に情欲関係をもっていた。大奥の色香と政争を背景に暗躍するくノ一と甲賀、伊賀忍者の抗争を描く。 (磯貝勝太郎)

続編
夫と子供を残し、大奥に上がった四代将軍家綱の乳母・矢島ノ局には生涯知られてはならない秘密があった。自ら春日局の生れかわりと称して絶大な権力を握っていた矢島ノ局は己の情欲と権力欲のため、あらゆる手段と策略をつくす。謎のくノ一とは一体誰? くノ一、忍者の活躍を描く長篇伝奇ロマン完結!


早乙女 貢 (さおとめみつぐ)
「猫魔岳伝奇」 (ねこまだけでんき)

*280頁 / 発行 1990年

*目録文
「いつまでも……こうしていたい……ああ。」さよの眼に情火が燃えあがった。その時、天井から白猫と三毛猫がぎゃーと声をたて落ちてきた。根子間左近の刀が半円を描き、凄まじい声と血汐がふりまかれた。新妻を殺された公金横領の濡れ衣を着せられた左近が謎を解明するうちに出会った奇妙な集団“猫一族”とは!? (影山勲)


早乙女 貢 (さおとめみつぐ)
「花笛伝奇」
(はなぶえでんき)

*269頁 / 発行 1990年

*目録文
大川の花火見物の夜、青江弦四郎は奇妙な笛の音を聞いた。川に浮かぶ屋形船で殺された芸者きよ香の心の臓を、一寸の狂いもなく貫いた十方手裏剣! 江戸の夜気を裂いて飛ぶ手裏剣の正体は? 次々と起る殺人事件。被害者は何故か笛を持つ美女達。死を招く笛に秘められた謎とは!? 暴れん坊・弦四郎の剣が冴える。(武蔵野次郎)


早乙女 貢 (さおとめみつぐ)
「秘剣鱗返し − 新剣豪伝」
(ひけんうろこがえし)

*269頁 / 発行 1984年

*目録文
過酷な修業に堪えて絶妙なワザを体得した女武芸者を描く七編の物語。『秘剣鱗返し』の主人公宇乃は、上意打ちの役を果たせず逆に斬られた許嫁の仇を討つため、居合抜刀術を習い、更に激流の飛沫を斬って秘剣を会得し、遂に仇を討つ。『弦月、雲を斬る』のお久は鎌を武器とし、『蟹眼の大事』のお留以は手裡剣を打つ。

*目次
秘剣鱗返し / 弦月、雲を斬る / 野ざらし鉄砲衆 / 狂刃系図 / 蟹眼の大事 / 怨み兜の八幡座 / 秘伝闇の蜘蛛 / 解説 清原康正


早乙女 貢 (さおとめみつぐ)
「緋牡丹伝奇」 (ひぼたんでんき)

*487頁 / 発行 1990年

*目録文
蛇ヶ谷で拾われ、養父母に育てられていたお国は踊りの素質と天性の美貌を見込んでお国を引き取って仕込んでいたおりくが、いまわの際に言った言葉と一ふりの懐剣は何を意味するのか? 阿国歌舞伎の創始者として名高い出雲の阿国の悲恋と出生の秘密を通し、時代のビッグ・スターの誕生を描いた傑作長篇。(清原康正)


早乙女 貢 (さおとめみつぐ)
「まぼろし伝奇」 (まぼろしでんき)

*277頁 / 発行 1992年

*目録文
「ああ……、殿」森蘭丸の弟・力丸をとらえた妖美の恍惚境はまだ体の芯を疼かせている。〈そうじゃ、そなたの殿・信長を殺すがよい〉異様な声にあやつられた力丸は信長の寝所に入って行った……。上杉謙信から信長につかわされた刺客の正体は? 迎え撃つ信長の甲賀忍者とかまいたち黒羽組の凄絶な戦いを描いた長篇。 (金田浩一呂)


早乙女 貢 (さおとめみつぐ)
「妖刀伝奇」 (ようとうでんき)

*304頁 / 発行 1991年

*目録文
(何故、斬ったのだ、おれは?……)ふいに彼はわれに返った。 ―― 伊丹靭負は茫然と闇の中に立っていた。稀有の刀匠が殺気をこめ鍛えた兇刀村正が、天下一の刀鑑定家・本阿弥光悦のもとから盗まれた。以来、江戸の町を血に染め次々と人を斬る。徳川家の災いをなす不吉な刀=村正の怪奇伝説にせまった傑作長篇! (石井富士弥)


榊山 潤 (さかきやまじゅん)
「明智光秀」
(あけちみつひで)


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*342頁
*発行 1986年

*目録文
明智光秀は越前一乗谷城城主朝倉義景に仕えていた。だが義景の暗愚さに愛想をつかした光秀は、将軍足利義昭とともに京に上り、織田信長をたよった。信長の家臣として抜群の功績を上げ、異例の出世をする光秀。しかし、信長の激しい感情に翻弄され、不安を募らせていった彼は、ついに…。本能寺に至る光秀の心理を描く力作歴史小説。


榊山 潤 (さかきやまじゅん)
「戦国艶将伝」
(せんごくえんしょうでん)

*328頁 / 発行 1987年
*カバー画像はありません。

*カバー文
秀吉は名門の美しい女性を選んでは側室にした。その一人淀殿に男児が生まれ、悲劇が始まる。次の関白秀次も若き側室の妖艶さに溺れてゆく。家康と築山殿、信康とお松の方など女人の魔性に魅入られ翻弄される戦国武将たち。あわせて「南蛮絵師異聞」など歴史の襞に見えかくれする波乱の人間ドラマを描く傑作短篇集。

*目次
秀吉と秀次 / 家康と筑山殿 / 信康とお松の方 / 格式時代 / 島原の乱前夜 / 南蛮絵師異聞 ― 日本のユダ / 長崎の港 / 生きていた吉良上野 / 久米の仙人 / あこや珠 / 小野小町 / 解説 志村有弘



榊山 潤 (さかきやまじゅん)
「戦国無情 ― 築山殿行状」
(せんごくむじょう)


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*350頁 / 発行 1987年

*目録文
幼少にして今川家の人質となっていた徳川家康は、十五歳で元服したその日、主家の娘と結婚した。築山殿と呼ばれたその夫人は、しだいに家康との不和が募り、敵方武田勝頼の諜者と通じて家康への復讐をはかった。家康は築山殿を討ち、長男信康へ討手を向けた! 愛憎と陰謀の渦まくなか、家康は覇者への道を歩む。傑作歴史長編。


榊山 潤 (さかきやまじゅん)
「毛利元就(全五巻)」
(もうりもとなり)


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*(一)356頁・(二)339頁・(三)355頁・(四)329頁・(五)248頁
*発行 1983年

*目録文
安芸郡山城主毛利元就は尼子大内の二大勢力にはさまれた小豪族にすぎず、始め尼子氏の勢力下にあった。後、大内氏と結ぶや尼子二万の大軍に囲まれる。大内義隆自刃の後、元就は陶晴賢の大軍を厳島に壊滅させ、自立の緒を握る。小国ゆえの苦痛に堪えて乱世を生き、着実にその版図を拡げた元就の生涯を描く文芸大作。 (尾崎秀樹)


榊山 潤 (さかきやまじゅん)
「歴史
二本松藩士の維新」 (れきし にほんまつはんしのいしん)


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*355頁 / 発行 1990年
*カバー・福田隆義

*カバー文
 勤王と佐幕の二大潮流が東北の諸藩に押しよせている慶応4年4月、会津藩に速やかに誅伐を加えよと主張する奥羽鎮撫参謀世良修蔵が福島北町の妓楼で暗殺された。
 これをきっかけに奥羽列藩同盟が成立する。二本松霞城は薩長新政府軍の猛攻により陥落し、隣藩三春の援軍として守備にあたっていた二本松藩士・片倉新一郎の運命も大きく転換する。敵の包囲を破り逃れるうち同藩士の鈴木を感情の対立から斬ってしまう……。
 激動の時代に名もない青年が、眼に見えない歴史の力に翻弄される姿を敗者の側に立ち描いた新潮賞受賞の代表的力作!

*解説頁・尾崎秀樹


榊山 潤 (さかきやまじゅん)
「続 歴史 福島事件の悲劇」
(ぞくれきし ふくしまじけんのひげき)


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*288頁 / 発行 1990年

*カバー文
 明治15年、二本松藩士・片倉新一郎は福島裁判所の判事補となっていた。折から自由民権運動は高まりを見せていた。福島県下でも三島通庸が福島県令として赴任すると中央政府と呼応して、民権運動の弾圧に乗り出した。新一郎はあやまって斬ってしまった鈴木直人の遺児を息子としてひきとって育てていた。その息子・好人は自由党に送り込まれていた官憲側のスパイに扇動され、恋人への愛から、家出して三島を刺そうとする……。
 二本松落城以来、種々な道をたどった元藩士達が、歴史の嵐にのまれ、翻弄される姿を描いた代表的歴史小説完結。

*目録文(正続)
勤王と佐幕の二大潮流が東北の諸藩に押しよせている慶応四年四月、会津藩に誅伐を加えよと主張する奥羽鎮撫参謀世良修蔵が暗殺された。これをきっかけに奥羽列藩同盟が成立し、二本松霞城は薩長新政府軍により陥落した。激動の歴史の波に翻弄される藩士達の姿を敗者の側に立ち描いた新潮賞受賞の代表作力作。(尾崎秀樹)


坂口 安吾 (さかぐちあんご)
「織田信長」 
(おだのぶなが)


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*379頁 / 発行 1987年
*カバー装画・東啓三郎

*カバー文
 「人間五十年、天下のうちをくらぶれば、夢幻の如くなり……」。信長は舞いながら具足を身につけ、濃姫や待女たちが見送るひまもない素速さで出陣した。めざすは今川義元の陣を敷く田楽狭間。やがて、信長は馬前に義元の首をもたせて、清洲への道をいそぐ――。
 尾張那古屋城の大馬鹿少年織田信長が、斎藤道三の娘濃姫と結婚し、天下の覇者をめざし成長してゆく颯爽たる雄姿を、独自の視点から描いた異色歴史小説。

*目次
信長
織田信長
 解説 尾崎秀樹


坂口 安吾 (さくぐちあんご)
「道鏡・家康」 
(どうきょう いえやす)


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*323頁 / 発行 1987年
*カバー装画 東啓三郎

*カバー文
 女帝の女体は淫蕩だった。そして始めて女体を知った道鏡の肉慾も淫縦だった。二人は遊びに飽きなかった。けれども凛冽な魂の気魄と気品の高雅が、いつも道鏡をびっくりさせた。夜の女帝は肉体だったが、昼の女帝は香気を放つ魂だった……。
 称徳女帝との奔放な愛欲生活を描いて新たな人物像を築いた「道鏡」をはじめ、斎藤道三、織田信長、豊臣秀吉、黒田如水、徳川家康など、乱世の英雄・奇才を独自の史観と新鮮な歴史感覚で活写した異色傑作選。

*目次
道鏡 / 梟雄 / 二流の人 / 狂人遺書 / 家康 / イノチガケ / 解説・尾崎秀樹


坂口 安吾 (さかぐちあんご)
「明治開化 安吾捕物帖」
(めいじかいかあんごとりものちょう)


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*351頁
*発行 昭和63年
*カバー装画・東啓三郎 / カバーデザイン・熊谷博人

*目録文
歓楽と裏外交が華やかなりし鹿鳴館時代、上流社会を舞台に次々と起こる猟奇殺人事件の数々。このナゾ解きに洋行帰りの男前なハイカラ男・結城新十郎とかの勝海舟の心眼が火花を散らす。坂口安吾の隠れた名作「舞踏会殺人事件」「ああ無情」「万引一家」「石の下」「覆面屋敷」「ロッテナム美人術」「乞食男爵」のベスト七篇。(尾崎秀樹)


笹沢 左保 (ささざわさほ)
「音なし源捕物帳(一) 花嫁狂乱」
(おとなしげんとりものちょう・はなよめきょうらん)


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*339頁・全5冊
*発行 1987年

*目録文
背中に十か所も刺し傷がある血まみれの死体 ―― 呉服物問屋・和泉屋の跡取り息子幸太郎 ―― が寺の境内で発見された。近々、深川小町と名高いお秀と祝言をあげる事になっていた。が、意外にも犯人は……? 知人と事件の真相を“音なし源”が見事にあばく! その音なし源にもお小夜しか知らない秘密が……。(武蔵野次郎)

*収録作品
「光る闇」「夜桜の涙」「暗夜の花道」「鶴の八番」「“さ”の字殺し」「遠い音」「花嫁狂乱」「鬼の貌」「黄金の仏像」「雨吹き風降る」


笹沢 左保 (ささざわさほ)
「音なし源捕物帳(二) 湯治場の女」
(おとなしげんとりものちょう・とうじばのおんな)


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*330頁・全5冊 / 発行 1988年

*目録文
お勝は源太の右手を握ると、自分の衿の間に誘い込んだ……。下部の湯治場に傷を癒しに来ていた岡っ引の文治郎にお勝の情人(イロ)殺しの疑いがかかった。真相を探ろうと源太は湯宿に赴いていたのだった。恍惚の果てにお勝の目から流れる涙は一体何を意味するのか? また、片足首に巻いた晒は? 音なし源の推理と剣が冴える!

*収録作品
「賭けた浪人」「霜柱は笑う」「木枯しの辻」「湯治場の女」「凍った三日月」「赤い初雪」「罪なお年玉」「薮入りの留守」「死の初伊勢」「梅の声」


笹沢 左保 (ささざわさほ)
「音なし源捕物帳(三) 盗まれた片腕」
(おとなしげんとりものちょう・ぬすまれたかたうで)


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*298頁 / 発行 1988年

*目録文
時は五月。鯉幟の目を次々と矢で射抜く奇妙な事件が起った。射抜かれたどの商家にも十八歳の美しい娘がいた。八軒めは紺屋の房州屋だった。そしてその娘・妙が犯人と名乗り出る。が、その妙も何物かに殺された。“鯉の目を射て恋の芽を摘む!”この謎にいどむ音なし源。そして音なし源の秘密もついに……。オリジナル作品九篇収録。

*目次(収録作品)
「消えた花嫁
」「甘い毒薬」「夜の花吹雪」「子の刻参り」「斑らの蝶」「盗まれた片腕」「長屋の賭け」「飛ぶ稲妻」「笛の女


笹沢 左保 (ささざわさほ)
「音なし源捕物帳(四) 猫の幽霊」
(おとなしげんとりものちょう・ねこのゆうれい)


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*302頁 / 発行 1988年

*目録文
秋風の吹き始める盂蘭盆に美貌の長唄の師匠お若が半裸で殺されていた ―― ひとり住いのお若の死体の側には猫のミケがいた。色気たっぷりのお若のもとには男の弟子達が多く集まっていた。近々、お若を妾として囲うつもりの遠州屋清兵衛に岡っ引きは強引に目をつけた。岡っ引対音なし源! 真の下手人は誰か! 全篇オリジナル作品。

*目次(収録作品)
「革財布の中身」「捨子のお恵」「江戸を去る朝」「盗人嵐」「嘲笑(わら)う墓」「猫の幽霊」「歓喜の辻君」「逃げた七百両」「塒(ねぐら)のない男」


笹沢 左保 (ささざわさほ)
「音なし源捕物帳(五) 浮世絵の女」
(おとなしげんとりものちょう・うきよえのおんな)


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*303頁 / 発行 1988年

*目録文
糸物問屋のお袖は、江戸で評判の浮世絵師『お染十態』のモデルお染と同性愛の仲であった。そのお袖が殺された。下半身は剥き出しになり、欲情に狂ったらしい男の歯型が乳房にいくつも残っていた。さあ、音なし源のお出まし! そして驚くべき事実が明らかに……。時代小説に新風を吹きこんだ音なし源シリーズ完結。

*目次(収録作品)
「野良犬と蝶」「宿場女郎」「浮世絵の女」「キツネ憑き」「女難の纏」「満月に怒る」「女房殺し」「人質騒動」「師走の血」


笹沢 左保 (ささざわさほ)
「木枯し紋次郎 − 命は一度捨てるもの」 (こがらしもんじろう いのちはいちどすてるもの)


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*250頁 / 発行 1983年
*カバー装画・成瀬数富

*目録文
奈良井宿に宿をとった紋次郎は幼馴染みの長兵衛にある。折しも奈良井宿の元締大徳屋佐之助が抜け荷の罪で捕われた。密告者を知る吾市と長兵衛。吾市は殺され、長兵衛は熱病で意識がない。紋次郎は五里の道を福島から名医を背負って連れてくる。病癒えた長兵衛を囲んで宿場の人達が密告者の名を聞くのだが……。他三編。

*解説頁・萩原進


笹沢 左保 (ささざわさほ)
「木枯し紋次郎 ― 奥州路・七日の疾走」 (おうしゅうじなのかのしっそう)


*カバー装画・成瀬数富
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*253頁 / 発行 昭和60年

*カバー文
 清水港から千石船に乗りこみ銚子に向かった木枯し紋次郎は、途中暴風雨にあい、八の戸に流れ着く。大名領の多い奥州には賭場も親分衆の住まいもなく。渡世人は生きられない。一日も早く関八州に抜けなければならない。紋次郎の急ぎ旅が始まる。
 一方、奥州に縄張りを広げようと企む大前田栄五郎は、名代として一の子分猿田の巳之吉を差し向け、別に宮原の文吉を頭に三十人の身内を石巻へと向かわせる。宮原の文吉は十五年前の遺恨を晴らすために八木沢の七蔵の家を襲い惨殺するが、居あわせた紋次郎と七蔵の娘お染をも殺害しようとする。
 奥州に出張った秘密を守るため、又殺人の目撃者としてもこの二人の口は封じねばならない。関東へと急ぐ二人を宮原の文吉は幾度か襲うのだが……。
 関東を目前にして最後の対決をする紋次郎の前に現われた猿田の巳之吉。一刀流の達人と云われる巳之吉と刃を交える紋次郎に勝目はない ― 。
 木枯し紋次郎シリーズ唯一の長編。

*解説頁・縄田一男


笹沢 左保 (ささざわさほ)
「木枯し紋次郎 ― お百度に心で詫びた紋次郎」
 (おひゃくどにこころでわびたもんじろう)


*カバー装画・成瀬数富
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*282頁 / 発行 昭和59年

*カバー文
 天保十一年、房州那古村の清兵衛一家に草鞋を脱いだ木枯し紋次郎。かつて渡世人だった清兵衛が堅気になり一家四人でひっそり暮らしていた。平穏な日々を送る紋次郎は、皮肉にも清兵衛の娘婿、熊川の勘八を殺めたことを知る。折しも、勘八の仇討に間々田六右衛門の身内が紋次郎を追っていた…。身内の報復とはいえ、罪のない清兵衛を惨殺した間々田一家に紋次郎の怒りの刃が殺気だつ。 表題作他四篇収録。

*目次
白刃を縛る五日の掟
雷神が二度吠えた
賽を二度振る急ぎ旅
年に一度の手向草
お百度に心で詫びた紋次郎
 解説 中村敦夫


笹沢 左保 (ささざわさほ)
「木枯しは三度吹く−木枯し紋次郎」
(こがらしはさんどふく)


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*254頁
*発行 1983年
*カバー装画・成瀬数富

*目録文
一ノ宮神社の祭礼で活気づく甘楽村で、板鼻の武右衛門の身内が殺される。怒った武右衛門が六人の無法者を連れて甘楽村を襲ってきた。村人に助勢を頼まれ、只一人立ち向かう相州生まれの紋次郎。その紋次郎に掏り取られた財布を取り返そうと追ってきた木枯らし紋次郎が、怯える村人の前に近づいてきた……。他三編。(小松伸六)

※目録文の内容に辻褄が合わない箇所(太字部分)があるのですが、そのまま載せております。


笹沢 左保 (ささざわさほ)
「木枯し紋次郎 ― 虚空に賭けた賽一つ」 (こくうにかけたさいひとつ/こがらしもんじろう)


*カバー装画・成瀬数富
(画像はクリックで拡大します)


*254頁 / 発行 昭和59年

*カバー文
 上州の亀穴峠にさしかかった矢先、突如襲われる木枯し紋次郎 相手は峠に住む八人兄弟で、弓矢、槍、山刀と矢継ぎ早の奇襲である。虐待された村人に危害を加えることはあっても、旅人を襲ったことは一度もない兄弟がなぜ紋次郎を……。虚しい闘いの末、紋次郎が見たのは末っ子八郎が裏切った姉の首を刎ね、自害する無惨な光景だった ― 。
 表題作他三篇収録。

*目次
虚空に賭けた賽一つ
旅立ちは三日後に
桜が隠す嘘二つ
二度と拝めぬ三日月
 解説 上野ミ志


笹沢 左保 (ささざわさほ)
「木枯し紋次郎 ― 三途の川は独りで渡れ」
(さんずのかわはひとりでわたれ)


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*253頁
*発行 昭和59年
*カバー装画・成瀬数富

*目録文
越後高田の商家で二百両の金が奪われた。その頃、北国街道を南へ向かう木枯し紋次郎は病人らしい男から出産間近い妻あてに荷物を届けてくれと頼まれる。荷物が間にあわなければ子供が間引かれるという。三日後、荷物を届けた紋次郎の前に意外な事実が! 人を欺いた男の断末魔の呻きが木枯しの音に混じる。他三篇。 (清原康正)


笹沢 左保 (ささざわさほ)
「木枯し紋次郎 ― 赦免花は散った」
(こがらしもんじろう ― しゃめんばなはちった)


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*261頁
*発行 昭和56年
*カバー装画・成瀬数富

*目録文
木枯し紋次郎は長脇差(ながどす)を横に払った。銀色の閃光が走るや、男の指が宙に舞い、血がほとばしり出た! 幼馴染みの兄弟分の裏切に紋次郎の頬の傷がひきつり、くわえた楊枝の木枯しに似た乾いた音が、鋭くヒューッと鳴った。義理も人情もないヤクザ渡世を描き、時代小説に新分野を開いた野心作。他四編。

*解説頁・武蔵野次郎


笹沢 左保 (ささざわさほ)
「木枯し紋次郎 ― 上州新田郡三日月村」
(こがらしもんじろう じょうしゅうにったごおりみかづきむら)


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*261頁
*発行 1983年
*カバー装画・成瀬数富

*カバー文
木枯し舞う師走の銅(あかがね)街道を新田郡へさしかかった紋次郎は、落雷にあって倒れ、石切人足与作の孫娘お市に救われる。その頃、生まれ故郷の三日月村では盗賊泥龜の喜三郎一味の来襲におびえていた。三日月村の人々は紋次郎に助勢を乞うが断られる。行き過ぎる紋次郎を、お市も助力を求めて追うのだが……。他四編。 (武蔵野次郎)


笹沢 左保 (ささざわさほ)
「木枯し紋次郎 ― 女人講の闇を裂く」
(こがらしもんじろう ― にょにんこうのやみをさく)


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*278頁
*発行 1981年
*カバー装画・成瀬数富

*目録文
水呑み百姓の六番目に生まれ、危うく間引かれる運命だった紋次郎に振り返るべき過去はない。島抜けの罪を負い、今日もさすらう「アウトロー」だ。二十数年前二本木村で起きた輪姦事件での村人たちの冷酷な仕打ちに、復讐を予告する謎の男。戦々兢々の闇夜、事件に巻き込まれた紋次郎の長脇差の冴えは鮮やか! 他四篇。 (武蔵野次郎)


笹沢 左保 (ささざわさほ)
「木枯し紋次郎 ― 人斬りに紋日は暮れた」 (こがらしもんじろう ひときりにもんびはくれた)


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*253頁
*発行 1985年
*カバー装画・成瀬数富

*目録文
霧の中で突然弓矢の攻撃を受けた紋次郎は勘だけを頼りに人影に斬りつけた。相手は弓の名人勘親娘であった。年明けに祝言を挙げることになっていた娘お香は、このときの傷の為に破談になったうえに借金の返済まで求められる。弓勘親娘の苦難を救う為に紋次郎は五十両で人斬りを引き受けたが、その相手は意外にも……。他三篇。


笹沢 左保 (ささざわさほ)
「木枯し紋次郎 ― 無縁仏に明日をみた」
(むえんぼとけにあすをみた)


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*252頁
*発行 1983年
*カバー装画・成瀬数富

*目録文
信州と上州を結ぶ鳥居峠を目前にして、朝靄の中を草津村へと急ぐ紋次郎は、渡世人風の親子と道連れになる。無事峠に辿り着いたのも束の間、親子の父親が紋次郎と間違えられて殺された! 怒りに狂う息子は紋次郎の脇腹を刺す。瀕死の重傷に苦しむ紋次郎の背後に、渡世人たちの黒い影が忍び寄って来た……。他四編。

*解説頁・中島河太郎


笹沢 左保 (ささざわさほ)
「木枯し紋次郎 ― 夜泣石は霧に濡れた」
 (よなきいしはきりにぬれた・こがらしもんじろう)


*カバー装画・成瀬数富
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*249頁 / 発行 昭和58年

*カバー文
 「この子にお父(とっつ)あんだと名のってやっておくんなせえ」
 天保九年、飢饉に喘ぐ上州湯原で無宿人木枯し紋次郎の名をかたり手籠めにされて生まれた幼児清次郎。身におぼえのない紋次郎だが、清次郎の頑な子供心に幼い頃の自分を投影する。清次郎の親がわりである湯原の勘八と名のる貸元は偶然にも紋次郎の幼なじみだった。 〈木枯らし紋次郎シリーズ〉第5弾!

*目次(収録作品)
馬子唄に命を託した
海鳴りに運命(さだめ)を聞いた
夜泣石は霧に濡れた
駆入寺(かけいりでら)に道は果てた
明鴉に死地を射た
 解説 磯貝勝太郎


笹沢 左保 (ささざわさほ)
「木枯し紋次郎 ― 六地蔵の影を斬る」
 (ろくじぞうのかげをきる こがらしもんじろう)


*カバー装画・成瀬数富
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*211頁 / 発行 昭和56年

*カバー文
 「生れは上州新田郡三日月村で、木枯し紋次郎と呼ばれているものにございます」 ―― 日割れした三度笠に薄汚れた道中合羽。月代をのばし、肉がそげ落ちた左の頬には古い刀傷があたった。
 炎天下の水戸街道にさしかかった紋次郎に、突然斬りかかった男。身に憶えのないことで、彼の命を狙う六人の殺し屋達。ギラギラ輝く日射しを受けて、紋次郎の身体は照っていた……。
 〈木枯し紋次郎シリーズ〉第3弾!

*目次
六地蔵に影を斬る
噂の木枯し紋次郎
木枯しの音に消えた
雪燈籠に血が燃えた
 解説 武蔵野次郎