絶版文庫書誌集成
富士見書房・時代小説文庫 【さ】
早乙女 貢 (さおとめみつぐ)
「うつせみ忍法(上下)」 (うつせみにんぽう)
(画像拡大不可)
*上291頁・下299頁 / 発行 1994年
*目録文
上
「そ、そちは」「お静かに…」指は生温い襞にはさまれたままである。「女どもを呼べば、恥をかくのは御方さまじゃ」若者はにやりと白い歯を見せるひょいと女体を抱きあげた。富子は《淫ノ風》にかかって、傀儡の若者・松丸の腕の中でむせび泣いた。かって、これほど荒々しく彼女の肉体を扱った者が居ようか。義政も、主上も、山名宗全も…。名流日野家の姫に生まれ、八代将軍の室になった富子は初めて恍惚を知った。将軍義政と御台所富子との間にくり返される確執に傀儡忍者と甲賀忍者がしのびよる……。
下
「まいれ」義政の声もふるえている。「美しいのゥ……、花の御所というのはそなたがことか。」富子の豊満な体がなだれこむように義政に重なった。傀儡忍法による強精とは知らず、富子は久々に夫の腕の中で悶えた。(将軍に立ち還るぞ。十代将軍は、余人にわたさね、まろが……)義政はしとどに濡れた富子の体を“夫”の手で愛撫しながら、「悲しむことはないぞよ……」「……」「義尚のことも」「ええっ」次期将軍の座をめぐり、戦国大名の野望と忍者の暗闘がくりひろげられるエロティシズムあふれる忍法帖。
早乙女貢 (さおとめみつぐ)
「かげろう伝奇」 (かげろうでんき)
*297頁 / 発行 1989年
*目録文
関ヶ原の戦いで西軍に属した土佐藩士・長曾我部盛親は家康によって所領没収という厳しい処分を受けた。徹底抗戦か恭順かで藩論が真二つに割れる中、抗戦派の前衛となった一領具足の藩士の中に“影野の鷹”と呼ばれる剽悍気鋭の若者・神谷新八郎がいた。彼の情熱あふれる戦いと恋を描いた秀逸伝奇小説。(藤田昌司)
早乙女貢 (さおとめみつぐ)
「くノ一秘図」 (くのいちひず)
*290頁 / 発行 1991年
*目録文
「あ……」小菊は身をひねった。が、両手が縛らされ、もがく拍子にかえって乳房は義鑑の手におさめられた。庭番の父を主君大友義鑑によって蹴殺された小菊は復讐せんとくノ一になる! 九州の名家・大友家のお家騒動に暗躍する忍び達。大友二階崩れにより跡を継ぐ義鎮は九州だけでなく周防の大友氏征圧の野望を進める。 (縄田一男)
早乙女貢 (さおとめみつぐ)
「甲賀くノ一(上下)」 (こうがくのいち)
*上506頁・下334頁 / 発行 1989年
*目録文
美濃の守護土岐政房の嫡男盛親は父や弟の頼芸にとり入る西村勘九郎(斎藤道三)に疑惑をもち甲賀くノ一・木ノ実を使って過去を探らせる。一介の油売りから身をおこし冷酷残忍な手口で美濃国を手中に収めていく乱世の姦雄・道三と技の限りをつくし死闘する女忍者の運命を浮彫りにしたエロティシズムあふれる長篇力作!(権田萬治)
早乙女貢 (さおとめみつぐ)
「死神伝奇」 (しにがみでんき)
(画像拡大不可)
*403頁
*発行 1989年
*目録文
「生みたい……、ああ、もっと!」〈猿のような子が生まれるぞ〉「お戯れを、あ、あ……」異様に感じた広沢の局は顔をあげた。朝鮮出兵、呂宋遠征の野望に燃えた秀吉は九州名護屋城に兵を進めていた。威嚇された呂宋の大守ゴメス・ペレスは秀吉暗殺を図らんと南蛮妖術者を送り込む。エロチシズムあふれる怪奇幻妖巨篇。(磯貝勝太郎)
早乙女 貢 (さおとめみつぐ)
「南海に叫ぶ」 (なんかいにさけぶ)
(画像拡大不可)
*270頁 / 発行 1984年
*目録文
戦国から江戸時代にかけて「日本の小天地壮?を容るるに足らず」と南海に雄飛した男達の活躍を描いた六編の物語。マニラ王の娘を助けてエスパニヤ軍と戦う「若き日の助左衛門」、海賊仁科孫四郎がエスパニヤ海賊と秘宝の争奪戦を展開する「南蛮つむじ風」、他に「山田長政」「天竺美少年」「密貿易二代」「亜媽港奇譚」を収録。(清原康正)
早乙女 貢 (さおとめみつぐ)
「忍法川中島」 (にんぽうかわなかじま)
*254頁 / 発行 1984年
*カバー画像はありません。
*目録文
天文二十二年、武田勢が葛尾(かつらお)城を攻略した折、敗戦の城主村上義清を武田方に売り渡す牢人がいた。武田の軍師山本勘助は牢人を怪しみ、くの一に身辺を探らせるが……。野望に燃える希代の忍者天耳(てんじ)を主人公に、歴史の裏で暗躍する甲斐忍衆黄金虫と、北越忍衆かまいたちの熾烈な死闘を妖美なエロティシズムで描く忍法帖。(清原康正)
早乙女 貢 (さおとめみつぐ)
「忍法くノ一(正続)」 (にんぽうくのいち)
早乙女 貢 (さおとめみつぐ)
「猫魔岳伝奇」 (ねこまだけでんき)
*280頁 / 発行 1990年
*目録文
「いつまでも……こうしていたい……ああ。」さよの眼に情火が燃えあがった。その時、天井から白猫と三毛猫がぎゃーと声をたて落ちてきた。根子間左近の刀が半円を描き、凄まじい声と血汐がふりまかれた。新妻を殺された公金横領の濡れ衣を着せられた左近が謎を解明するうちに出会った奇妙な集団“猫一族”とは!? (影山勲)
早乙女 貢 (さおとめみつぐ)
「花笛伝奇」 (はなぶえでんき)
*269頁 / 発行 1990年
*目録文
大川の花火見物の夜、青江弦四郎は奇妙な笛の音を聞いた。川に浮かぶ屋形船で殺された芸者きよ香の心の臓を、一寸の狂いもなく貫いた十方手裏剣! 江戸の夜気を裂いて飛ぶ手裏剣の正体は? 次々と起る殺人事件。被害者は何故か笛を持つ美女達。死を招く笛に秘められた謎とは!? 暴れん坊・弦四郎の剣が冴える。(武蔵野次郎)
早乙女 貢 (さおとめみつぐ)
「秘剣鱗返し − 新剣豪伝」 (ひけんうろこがえし)
*269頁 / 発行 1984年
*目録文
過酷な修業に堪えて絶妙なワザを体得した女武芸者を描く七編の物語。『秘剣鱗返し』の主人公宇乃は、上意打ちの役を果たせず逆に斬られた許嫁の仇を討つため、居合抜刀術を習い、更に激流の飛沫を斬って秘剣を会得し、遂に仇を討つ。『弦月、雲を斬る』のお久は鎌を武器とし、『蟹眼の大事』のお留以は手裡剣を打つ。
*目次
秘剣鱗返し / 弦月、雲を斬る / 野ざらし鉄砲衆 / 狂刃系図 / 蟹眼の大事 / 怨み兜の八幡座 / 秘伝闇の蜘蛛 / 解説 清原康正
早乙女 貢 (さおとめみつぐ)
「緋牡丹伝奇」 (ひぼたんでんき)
*487頁 / 発行 1990年
*目録文
蛇ヶ谷で拾われ、養父母に育てられていたお国は踊りの素質と天性の美貌を見込んでお国を引き取って仕込んでいたおりくが、いまわの際に言った言葉と一ふりの懐剣は何を意味するのか? 阿国歌舞伎の創始者として名高い出雲の阿国の悲恋と出生の秘密を通し、時代のビッグ・スターの誕生を描いた傑作長篇。(清原康正)
早乙女 貢 (さおとめみつぐ)
「まぼろし伝奇」 (まぼろしでんき)
*277頁 / 発行 1992年
*目録文
「ああ……、殿」森蘭丸の弟・力丸をとらえた妖美の恍惚境はまだ体の芯を疼かせている。〈そうじゃ、そなたの殿・信長を殺すがよい〉異様な声にあやつられた力丸は信長の寝所に入って行った……。上杉謙信から信長につかわされた刺客の正体は? 迎え撃つ信長の甲賀忍者とかまいたち黒羽組の凄絶な戦いを描いた長篇。 (金田浩一呂)
早乙女 貢 (さおとめみつぐ)
「妖刀伝奇」 (ようとうでんき)
*304頁 / 発行 1991年
*目録文
(何故、斬ったのだ、おれは?……)ふいに彼はわれに返った。 ―― 伊丹靭負は茫然と闇の中に立っていた。稀有の刀匠が殺気をこめ鍛えた兇刀村正が、天下一の刀鑑定家・本阿弥光悦のもとから盗まれた。以来、江戸の町を血に染め次々と人を斬る。徳川家の災いをなす不吉な刀=村正の怪奇伝説にせまった傑作長篇! (石井富士弥)
榊山 潤 (さかきやまじゅん)
「明智光秀」 (あけちみつひで)
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*342頁
*発行 1986年
*目録文
明智光秀は越前一乗谷城城主朝倉義景に仕えていた。だが義景の暗愚さに愛想をつかした光秀は、将軍足利義昭とともに京に上り、織田信長をたよった。信長の家臣として抜群の功績を上げ、異例の出世をする光秀。しかし、信長の激しい感情に翻弄され、不安を募らせていった彼は、ついに…。本能寺に至る光秀の心理を描く力作歴史小説。
榊山 潤 (さかきやまじゅん)
「戦国艶将伝」 (せんごくえんしょうでん)
*328頁 / 発行 1987年
*カバー画像はありません。
*カバー文
秀吉は名門の美しい女性を選んでは側室にした。その一人淀殿に男児が生まれ、悲劇が始まる。次の関白秀次も若き側室の妖艶さに溺れてゆく。家康と築山殿、信康とお松の方など女人の魔性に魅入られ翻弄される戦国武将たち。あわせて「南蛮絵師異聞」など歴史の襞に見えかくれする波乱の人間ドラマを描く傑作短篇集。
*目次
秀吉と秀次 / 家康と筑山殿 / 信康とお松の方 / 格式時代 / 島原の乱前夜 / 南蛮絵師異聞 ― 日本のユダ / 長崎の港 / 生きていた吉良上野 / 久米の仙人 / あこや珠 / 小野小町 / 解説 志村有弘
榊山 潤 (さかきやまじゅん)
「戦国無情 ― 築山殿行状」 (せんごくむじょう)
(画像はクリックで拡大します)
*350頁 / 発行 1987年
*目録文
幼少にして今川家の人質となっていた徳川家康は、十五歳で元服したその日、主家の娘と結婚した。築山殿と呼ばれたその夫人は、しだいに家康との不和が募り、敵方武田勝頼の諜者と通じて家康への復讐をはかった。家康は築山殿を討ち、長男信康へ討手を向けた! 愛憎と陰謀の渦まくなか、家康は覇者への道を歩む。傑作歴史長編。
榊山 潤 (さかきやまじゅん)
「毛利元就(全五巻)」 (もうりもとなり)
榊山 潤 (さかきやまじゅん)
「歴史 ― 二本松藩士の維新」 (れきし にほんまつはんしのいしん)
榊山 潤 (さかきやまじゅん)
「続 歴史 ― 福島事件の悲劇」 (ぞくれきし ふくしまじけんのひげき)
坂口 安吾 (さかぐちあんご)
「織田信長」 (おだのぶなが)
坂口 安吾 (さくぐちあんご)
「道鏡・家康」 (どうきょう いえやす)
坂口 安吾 (さかぐちあんご)
「明治開化 安吾捕物帖」 (めいじかいかあんごとりものちょう)
笹沢 左保 (ささざわさほ)
「音なし源捕物帳(一) 花嫁狂乱」 (おとなしげんとりものちょう・はなよめきょうらん)
笹沢 左保 (ささざわさほ)
「音なし源捕物帳(二) 湯治場の女」 (おとなしげんとりものちょう・とうじばのおんな)
笹沢 左保 (ささざわさほ)
「音なし源捕物帳(三) 盗まれた片腕」 (おとなしげんとりものちょう・ぬすまれたかたうで)
笹沢 左保 (ささざわさほ)
「音なし源捕物帳(四) 猫の幽霊」 (おとなしげんとりものちょう・ねこのゆうれい)
笹沢 左保 (ささざわさほ)
「音なし源捕物帳(五) 浮世絵の女」 (おとなしげんとりものちょう・うきよえのおんな)
笹沢 左保 (ささざわさほ)
「木枯し紋次郎 − 命は一度捨てるもの」 (こがらしもんじろう いのちはいちどすてるもの)
笹沢 左保 (ささざわさほ)
「木枯し紋次郎 ― 奥州路・七日の疾走」 (おうしゅうじなのかのしっそう)
笹沢 左保 (ささざわさほ)
「木枯し紋次郎 ― お百度に心で詫びた紋次郎」 (おひゃくどにこころでわびたもんじろう)
笹沢 左保 (ささざわさほ)
「木枯しは三度吹く−木枯し紋次郎」 (こがらしはさんどふく)
笹沢 左保 (ささざわさほ)
「木枯し紋次郎 ― 虚空に賭けた賽一つ」 (こくうにかけたさいひとつ/こがらしもんじろう)
笹沢 左保 (ささざわさほ)
「木枯し紋次郎 ― 三途の川は独りで渡れ」 (さんずのかわはひとりでわたれ)
笹沢 左保 (ささざわさほ)
「木枯し紋次郎 ― 赦免花は散った」 (こがらしもんじろう ― しゃめんばなはちった)
笹沢 左保 (ささざわさほ)
「木枯し紋次郎 ― 上州新田郡三日月村」 (こがらしもんじろう じょうしゅうにったごおりみかづきむら)
笹沢 左保 (ささざわさほ)
「木枯し紋次郎 ― 女人講の闇を裂く」 (こがらしもんじろう ― にょにんこうのやみをさく)
笹沢 左保 (ささざわさほ)
「木枯し紋次郎 ― 人斬りに紋日は暮れた」 (こがらしもんじろう ひときりにもんびはくれた)
笹沢 左保 (ささざわさほ)
「木枯し紋次郎 ― 無縁仏に明日をみた」 (むえんぼとけにあすをみた)
笹沢 左保 (ささざわさほ)
「木枯し紋次郎 ― 夜泣石は霧に濡れた」 (よなきいしはきりにぬれた・こがらしもんじろう)
笹沢 左保 (ささざわさほ)
「木枯し紋次郎 ― 六地蔵の影を斬る」 (ろくじぞうのかげをきる こがらしもんじろう)