絶版文庫書誌集成

富士見書房・時代小説文庫 【し】


柴田 錬三郎 (しばたれんざぶろう)
「裏返し忠臣蔵 ― 柴錬立川文庫」
(うらがえしちゅうしんぐら ― しばれんたつかわぶんこ)


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*282頁 / 発行 1983年

*目録文
忠臣蔵は余りにも名高い。著者の豊富な想像力は浅野家断絶の背後に横たわる浅野・吉良両家の確執をえぐり、幕閣にある柳沢吉保の謀略をさぐる。吉良上野介には剣技に秀れた双生児の弟吉良右近を配し、両家確執の発端となる浅野長友との決闘から、討入りの夜まで、双生児の存在を巧妙にあやつり独自の物語を展開する。(瀬沼成樹)


柴田 錬三郎 (しばたれんざぶろう)
「剣と旗と城」(剣の巻・旗の巻・城の巻)
(けんとはたとしろ)


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*全三巻 剣の巻336頁・旗の巻336頁・城の巻335頁
*発行 1982年

*目録文
黄金五枚で雇われ戦を商売とする眉間景四郎。平家落人部落の蹴鞠党を率い、比叡山の荒法師登天坊飛雲の陀羅尼城を奪うが、天下を窺う津雲秀郷に狙われる。破竹の勢いで台頭した小松重成と秀郷の対決の日が迫る! 景四郎を慕う音羽、忍者猿兵衛、牢人等々力権十郎ら応仁の乱後の乱世を生きる群像を描く戦国巨篇。 (武蔵野次郎)


柴田 錬三郎 (しばたれんざぶろう)
「最後の勝利者(上下)」
(さいごのしょうりしゃ)


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*上337頁・下348頁 / 発行 1982年

*目録文
秀吉の朝鮮出兵に牢人団に加わって従軍し、帰国後、豊臣、徳川の政権交代にまきこまれる三人の男たち。勝れた剣の腕を持ちながら朝鮮王国の娘朴女との愛に生きる吉岡左馬之介。堺の商人相手に一攫千金を夢みる桜場安吾。左馬之介を恩人と仰ぎながら同じ朴女に思いを寄せる小松次郎太夫らが繰り広げる戦国ロマン。 (尾崎秀樹)


柴田 錬三郎 (しばたれんざぶろう)
「素浪人江戸姿」
(すろうにんえどすがた)

*334頁 / 発行 1986年
*カバー画像はありません。

*目録文
黒羽二重の着流しに虚無の色刷く秀麗な顔貌 ―― 。もと旗本梅津長門は市井無頼に身をやつしているが、剣を使えば天下に並ぶものがない。北町奉行遠山景元にその剣技を見こまれ、渦中にとびこんだ事件とは……? 美女、怪人物、そして宿敵。能面に秘められた謎をめぐって、宿運の人物たちが剣と愛とに命をかける。本格伝奇時代長篇。


柴田 錬三郎 (しばたれんざぶろう)
「徳川三国志」
(とくがわさんごくし)


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*494頁
*発行 1988年

*目録文
徳川三代将軍家光の時代、家光の弟忠長は叔父である紀州徳川頼宣を後ろだてに幕閣に無理難題をもちかけ、将軍家と反目していた。家光の側近松平信綱は忠長と談合すべく伊賀忍者服部一夢斎の孫娘志と駿府へと旅立つ。三島の宿で待ちうける丸橋忠弥・由比正雪。春日局、柳生十兵衛など多彩な人物が展開する長篇活劇絵巻。(武蔵野次郎)


柴田 錬三郎 (しばたれんざぶろう)
「毒婦伝奇 ― 柴錬立川文庫」
(どくふでんき)

*290頁 / 発行 1983年

*目録文
浅草の海禅寺に放火した罪で磔の刑にされた千人於梅。怪盗「むささび」を捕え流行歌にまで唄われるが、運命のいたずらから主家を亡ぼしてしまう勇婦桜子。他に遊女松笠。側妾お万・おもん・お市、四谷怪談のお岩、姐己のお百、高橋お伝、明治一代女のお梅等、十人の毒婦、悪女といわれた女性たちを描いた伝奇小説。

*解説頁・尾崎秀樹


柴田 錬三郎 (しばたれんざぶろう)
「南国群狼伝」
(なんごくぐんろうでん)

*235頁 / 発行 1989年
*カバー画像はありません。

*目録文
天下泰平の世、豊臣家を裏切って徳川幕府についた大名家の夫人や娘たちを犯し、その下腹に「ゆめおとこ」の絵文字を残してゆく忍者「影」。彼に従う故真田幸村の老党赤猿佐助。歴史の裏側で暗躍する密輸商、宿命の浪人、美貌の斎宮など男女の愛憎をおりまぜて、舞台は江戸から切支丹一揆にゆれる天草へと、剣と野望を壮大なスケールで描く。



柴田 錬三郎 (しばたれんざぶろう)
「日本男子物語・柴錬立川文庫」 (にほんだんしものがたり)

*294頁 / 発行 1983年
*カバー画像はありません。

*目録文
幕末から維新への動乱期に、藩魂を貫き壮絶な死闘を展開して今なお人々の哀感をそそる「会津白虎隊」。その他「上野彰義隊」「函館五稜郭」「水戸天狗党」「網走囚徒」「異変桜田門」「大和天誅組」「日本人苦学生」「カラフト隠密」「純情薩摩隼人」等、勇猛果敢に闘った日本男子の義勇譚を痛快な筆致で描く十編の物語。

*解説頁・武蔵野次郎


柴田 錬三郎 (しばたれんざぶろう)
「忍者からす ― 柴錬立川文庫」
(にんじゃからす)

*302頁 / 発行 1983年
*カバー画像はありません。

*目録文
三万六千を数える熊野神社の末社を諜報網とし、歴史の裏側に潜む陰の存在として、「熊野の誓紙」を裏打ちする忍者組織、熊野神鴉(みからす)党。山中鹿之介を始め、戦国から江戸時代にかけて活躍した幾多の歴史上の人物に深く関わり、その運命を左右した忍者“鴉”の活躍を奇想天外な発想と広大なスケールで描く忍者伝奇小説。(清原康正)


柴田 錬三郎 (しばたれんざぶろう)
「抜打ち侍」
(ぬきうちざむらい)


(画像拡大不可)

*236頁
*発行 1988年

*目録文
旗本随一の剣客正木弥九郎は、旗本の身でありながら勤王の志を持ち、そのために目付役は幕府覆滅をはかる危険人物として暗殺の剣客を送る。刺客は直新陰流の達人、弥九郎とのあいだに凄絶な死闘がくり返される。窮地を脱した弥九郎をめぐる美貌の女たち、そして弥九郎の出生の秘密とは…。「金四郎日和」「鼠小僧次郎吉」を収録。


柴田 錬三郎 (しばたれんざぶろう)
「貧乏同心御用帳」
(びんぼうどうしんごようちょう)

*372頁 / 発行 1989年
*カバー画像はありません。

*カバー文
時は天保年間、江戸町奉行所の町方隠密同心・大和川喜八郎は剣をとっては幕臣中、右に出る者はない。貧乏にも、いかなる難事件にも、粋な辰巳芸者にも、瓢瓢乎として顔色はかわらない。手下の岡っ引豆六と同居する九人の孤児の少年たちで、大江戸に暗躍する巨悪に敢然と挑戦する。貧乏同心喜八郎の推理と剣技が冴える異色捕物帳。


柴田 錬三郎 (しばたれんざぶろう)
「風雲稲葉城」 (ふううんいなばじょう)


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*263頁
*発行 1987年

*カバー文
残虐非道を重ねて戦国の世に一方の雄となった美濃国城主斎藤道三。この老いた奸雄は手輿で、敵対するわが子義竜の陣に進む。道三・義竜父子の確執を扱った表題作のほか、眠狂四郎の原型を思わせる虚無的な軍師が登場する「戦国旋風記」など、乱世に躍動する多彩な人間模様を描いく傑作短篇集。(武蔵野次郎)

*目次(収録作品)
「風雲稲葉城」「本能寺」「謀叛」「戦国旋風記」「塚原卜伝」「海賊往来」「初冬物語」


柴田 錬三郎 (しばたれんざぶろう)
「風魔鬼太郎 ― 柴錬立川文庫」
(ふうまおにたろう)


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*249頁
*発行 1983年

*目録文
大阪城真田丸に現れた忍者風魔鬼太郎。不敵にも秀頼の面前で淀君を犯すと、真田幸村に予告する。豊臣秀吉に毒殺された父、秀吉に犯された母の怨みを晴らす、蒲生氏郷の遺児風魔鬼太郎の痛快な復讐譚等、九編の物語に、忍びの術を駆使する主人公が登場し、それに真田幸村と十勇士が深く関わって活躍する忍者伝奇小説。(榊原和夫)

*収録作品
「竹中半兵衛」「佐々木小次郎」「抜刀義太郎」「清酒日本之助」「風魔鬼太郎」「山田長政」「徳川家康」「伊藤一刀斎」「大阪夏の陣」


柴田 錬三郎 (しばたれんざぶろう)
「復讐・志士」
(ふくしゅう・しし)


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*254頁
*発行 1987年

*目録文
孤児として養われた家の一人娘との結婚を断られた腹いせに娘の母親を犯す青年武士。病臥中のその夫は二人の密通の無念を遺書に記す。そして、葬儀の数日後……。復讐が復讐をよぶ愛憎葛藤のドラマ「復讐」とはじめ。幕末維新の奇人変人たちが躍動する諸短篇はバラエティに富み、時代小説の面白さを堪能させる。

*目次
復讐 / 平山行蔵 / 真説鼠小僧次郎吉 / 実説「安兵衛」 / 奇人 / 志士 / 学問浪人 / 寺田屋兇変 / 怪談累ケ淵 / 孤身漂流記 / 解説 武蔵野次郎


柴田 錬三郎 (しばたれんざぶろう)
「柳生但馬守」
(やぎゅうたじまのかみ)

*262頁 / 発行 1988年
*カバー画像はありません。

*目録文
慶長十九年十二月、大阪冬の陣は終った。その頃柳生但馬守宗矩は徳川家康から秀吉の愛妾淀君奪取の命をうけた。故郷柳生に急使を送り策をねる宗矩の奇策を見抜いていたのは大阪城の真田幸村と猿飛佐助の二人のみ。戦国末期を舞台に後藤又兵衛、曾呂利新左衛門など異色の登場人物が活躍する奇想天外、奇趣横溢の伝奇時代小説。


子母沢 寛 (しもざわかん)
「遺臣伝」 
(いしんでん)


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*275頁
* 発行 1981年
*カバー・熊谷博人

*カバー文
 直心影流の剣の名手榊原鍵吉。幕末、旗本の長男に生まれ剣一本で身をたてるが、時代の激流が彼を見舞う。変転する運命の中に江戸人の意気をたて通す鍵吉。彼をとりまく男たちの熱い友情、ひそかな想いを遂げることなく病死するおみわのけなげな愛など、江戸市井に刻まれたさまざまな人生をも併せ描く名編。

*解説頁・巌谷大四


子母沢 寛 (しもざわかん)
「新選組始末記 ― 決定版」 (しんせんぐみしまつき)


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*509頁
*発行 1982年

*目録文
著者は新選組を変革期の「負け犬」と考え、彼らの敗残のあわれさを書き残しておきたいと考えたのではなかろうか。十年の歳月を費やして資料を調べ、聞き書きをし、新選組研究の宝典を書いた。本書は、既刊の「新選組始末記」を始め「新選組遺聞」「新選組物語」などをもとに、著者が再編集し補筆した決定版である。

*解説頁・小松伸六


白井 喬二 (しらいきょうじ)
「富士に立つ影 (一)裾野篇」 
(ふじにたつかげ)


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*493頁 / 発行 1981年
*カバー装画・西山英雄

*カバー文
 文化二年、富士の裾野愛鷹(あしたか)山麓「山風舎」で調練城の設計をめぐり二大築城家が迫真の築城問答を展開する。赤針(せきしん)流熊木伯典(くまきはくてん)と賛四(さんし)流喜運川兵部(きうがわびょうぶ)の高弟、佐藤菊太郎である。村の百姓多勢の支援で賛四流菊太郎が軍師として有利な立場にいた。だが、軍師決定の当日、奸智にたけた伯典の策略で意外な結果となり、以後両家はおたがいに怨念をはらむ……。菊太郎の許嫁で、伯典に刺青をされた悲運の娘お染、花火師の美濃屋竜吉、村の娘お雪等が絡み、宿敵の両家が三代にわたり対立する時代と人との争闘史を壮大なスケールで描く大長編小説!


白井 喬二 (しらいきょうじ)
「富士に立つ影 (二)主人公篇」 (ふじにたつかげ)


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*440頁 / 発行 1981年
*カバー装画・西山英雄

*カバー文
 文政十年、房州清澄山に軍学者頼母木介堂(たのもぎかいどう)を訪ねた若侍が一人。富士裾野の調練城軍師として一時活躍した熊木伯典の一子公太郎である。二十数年前、伯典の狡猾な策略で喜運川家は家名断絶となり、喜運川兵部の娘お染は秘かに伯典へ報復を誓う。だが、伯典に発覚し、危うく村の娘お雪こと芸者小里に助けられる。小里と伯典の間に生まれた公太郎。明朗で純真無垢な自然児だが、なぜか影法師なる邪魔が入り失敗ばかり繰り返す。世代は変れども過去の不行状が子孫に投影するとはなんの因果であろう!


白井 喬二 (しらいきょうじ)
「富士に立つ影 (三)新闘篇」
(ふじにたつかげ)


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*474頁 / 発行 1981年
*カバー装画・西山英雄

*カバー文
 春まだ浅い小倉賛洲園で紅顔の美少年侍佐藤兵之助の送別の宴が開かれていた。二十数年前、富士の裾野の調練城軍師争いでみごと敗北した賛四流佐藤菊太郎の一子兵之助。今ふたたび日光霊城審議で築城家両家が顔を合わそうとしていた。才気煥発な佐藤兵之助に対し何事も無頓着な熊木公太郎。両家の争闘は親子二代にいたり、果たしてどちらに軍配があがるか?


白井 喬二 (しらいきょうじ)
「富士に立つ影 (四)帰来篇」 
(ふじにたつかげ)


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*452頁 / 発行 1982年
*カバー装画・西山英雄

*カバー文
 天保元年、舞台は再び富士の裾野愛鷹山麓で繰り広げられる ― 。
 二十数年前の調練城軍師決定で引き起こした事件の真実を暴くべく、築城家両家はおたがいに生証人、花火師美濃屋竜吉を探す。竜吉の持っている口書調印の証状がすべての鍵であった。思いがけずも一足先に公太郎の手に渡った証状だが……。
 両家の怨念はより一層複雑に絡んでとどまるところを知らない。


白井 喬二 (しらいきょうじ)
「富士に立つ影 (五)運命篇」 (ふじにたつかげ)


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461頁 / 発行 1982年
*カバー装画・西山英雄

*カバー文
 天保九年四月二十五日。
 かの日光霊城審議より十年目、両築城家二代目兵之助は幕辺調練隊隊長に、公太郎は昌平校武技師範となる。両門成敗帰着の三度目の会見は火蓋を切って放たれた。だが、思わぬ出来事からまたも物別れに終わる。また、運命のいたずらで斬り場破りの罪人となった公太郎を追う兵之助。いよいよ両門の仇敵は佳境に……。


白井 喬二 (しらいきょうじ)
「富士に立つ影 (六)幕末篇」 (ふじにたつかげ)


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*450頁 / 発行 1982年
*カバー装画・西山英雄

*カバー文
 不倶戴天の築城家二門、二代目公太郎は非業の死をとげ、兵之助は片脚不自由の身となり家名を捨てる。
 幕末の乱世、いよいよ三代目熊木城太郎と佐藤光之助の仇敵に、兵之助とお園の不義の子兵吾が加わる。城太郎は、父公太郎に似て天衣無縫だが無気力に陥ることしばしば。光之助は若輩ながら父のいない家庭を護り健気に生きている。孫代に至りまたも邂逅する築城家二門。両門は動乱の幕末にいかに変貌するであろうか……。


白井 喬二 しらいきょうじ)
「富士に立つ影 (七)明治篇」 (ふじにたつかげ)


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*468頁 / 発行 1982年
*カバー装画・西山英雄

*カバー文
 幕末の時世、浪士団で邂逅する築城家三代目光之助と城太郎。一方、私慾のみに生きた過去を悔い天衣無縫な仇敵公太郎を偲ぶ兵之助は、思い残すことなく城太郎に討たれる。時代の変遷につれ、生活苦の中で真の人間の生きる意義をつかむ光之助。孫子三代の築城家両家の争闘は、文明開花の足音とともに終わりをつげようとしていた…。
 三代にわたる争闘と人間愛を描いた長編時代小説完結篇。