絶版文庫書誌集成

富士見書房・時代小説文庫 【つ】


都筑 道夫 (つづきみちお)
「神州魔法陣 上下巻」 
(しんしゅうまほうじん)




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*上巻422頁・下巻395頁
*発行 1981年
*カバー・福田隆義

*カバー文
上巻
 江戸八百八町に続発する若い娘の変死! その謎を追う素浪人内藤端午〈たんご〉と独楽使いの名人巳之吉の前に、平賀源内と名のる老人が現れた。白い髪を総髪にし、無気味な顔で死びとを操る老人は一体なに者か? 端午と巳之吉は、老人にとらわれた韋駄天のお絹を救い出すべく死びと相手に壮絶な死闘をくり広げる。
 小鼠の次郎、占い師お近を伴い、二人は正体不明の老人を追って東海道五十三次を一路京へとめざすが……。

下巻
 箱根を越え、東海道を西へ進む端午たち一行四人。行く手にはさまざまな難事が待ちうけていた。若い娘の化身である巨大な狼の群、風魔一族の繁栄を願う娘夕霧との血みどろの死闘。
 「死びとを斬ることはできないが、もとの死びとに戻すてだてはある!」九死に一生を得た端午は、黒馬の滝の老人から意外な事実を聞く。お絹を救い出すべく追いつ追われつの旅は、やがて京のニ條城天守閣での壮大な大団円へとつながる。奇々怪々、奇想天外な趣向をふんだんに折り込んで描く傑作伝奇小説完結編!

*解説頁(下巻収録)・都筑道夫


都筑 道夫 (つづきみちお)
「変幻黄金鬼」
(へんげんおうごんき)


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*299頁
*発行 1982年

*目録文
女海賊頭の桂と、浪人多門美代太郎の前に魔鳥のような海賊船が現れた! 船には派手な陣羽織に異様な袴をはき、腰に太刀を差した黄金仮面こがね丸が乗っていた。桂と美代太郎は、こがね丸の奇怪な妖術で南蛮屋敷に幽閉され、恐ろしい大タコが餌食を求める海へ落ちようとしていた……。他七編。


角田 喜久雄 (つのだきくお)
「髑髏銭 (上下)」 (どくろせん)


*カバー装画・杉本一文
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*上278頁・下318頁 / 発行 昭和60年

*解説文
上(目録)
武家娘小夜が傷ついた男に託された包の中身は黒猫の死骸。その腹から現れた髑髏銭には莫大な財宝「浮田の八宝」のありかを示す手がかりが隠されていた。散在する十四枚の謎をめぐって、妖怪・怪盗・捕物名人、さらに御側用人とその娘まで加わって目まぐるしい争奪戦が展開する。小夜を救ける剣士神奈三四郎の素姓は……。
下(カバー)
 髑髏銭の謎を解く鍵を記した「精撰皇朝銭譜」を奪わんと柳沢邸に潜入した念仏の仙十郎は、銅座の赤吉の奸計にかかり書庫に閉じこめられてしまう。
 柳沢邸に来駕した将軍綱吉を襲った神奈三四郎は素性を明かし、政権を朝廷に返還せよと説く。綱吉と別れ逃走した三四郎は追手に囲まれ、柳沢邸から抜け出せず、意外にも檜の部屋にかくまわれる。三四郎に想いを寄せる檜と小夜。三四郎を救出せんと必死に策を練る念仏の仙十郎。
 髑髏銭の謎を解いた銅座の赤吉は、用心棒と共に「浮田の八宝」を求めて旅立つが、跡を追う銭酸漿に追いつかれ、死闘を展開する。柳沢保明と密約をかわした念仏の仙十郎も跡を追うのだが……。莫大な財宝を埋蔵したと伝えられる「浮田の八宝」がその姿を現わす日は近い。

*解説頁・萱原宏一


角田 喜久雄 (つのだきくお)
「風雲将棋谷」 
(ふううんしょうぎだに)


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*407頁
*発行 1981年
*カバー・杉本一文

*カバー文
 稀代の義賊、流れ星の雨太郎と仁吉の娘お絹は、蠍道人黄虫呵の罠にはまり敵同士となる。自らの証をたてるため黄虫呵に挑む雨太郎。彼を慕い運命の枷に苦悩するお絹。だが、二人を見守り救いの手をさしのべる托鉢僧がいた。謎の地、将棋谷にまつわる秘密を暴くべく、雨太郎等は山深い秘境を目指すが……。将棋谷の当主雪太郎を探す女性朱美をはじめ、多彩な登場人物が繰り広げる謎解き手法を用いた伝奇時代小説の傑作!

*解説頁・武蔵野次郎


角田 喜久雄 (つのだきくお)
「妖棋伝」(上)
 (ようきでん)




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*上巻254頁・下巻262頁 / 発行 昭和60年
*カバー装画・杉本一文

*カバー文
上巻
 享保元年六月、武尊守人(ほたかもりんど)は浅草駒形の裏通りで、断末魔にあえぐ黒装束の男にあう。その手に握られていた一枚の「銀将」と「やまびこ」に一言。その「銀将」を狙って現れた怪物“縄いたち”と浪人の一団は死闘を展開する。
 「山彦」と呼ばれた将棋の駒、莫大な財宝の隠し場所を示す地図の描かれた四枚の銀将をめぐる争奪戦に、はからずも守人はまきこまれる。
 「山彦」を狙う南町奉行所与力赤地源太郎、内大臣今出川伊季(これすえ)の側室と称する仙珠院、蔵前の札差下条元亀、旗本陣馬一令、怪物縄いたち。
 武尊守人を慕う将棋小町お京、赤地源太郎の妹楓、源太郎に思いを寄せる守人の妹梢ら、多彩な人物を配して展開される物語は、謎解きの興味も加わり、一読巻をおくあたわざる、長編伝奇時代小説である。 全二巻

下巻
 四枚の銀将に描かれた地図を頼りに下条元亀(しもじょうげんき)と仙珠院(せんじゅいん)は上州の山奥へ。それを追う赤地源太郎、武尊守人(ほたかもりんど)ら。更に陣馬一令(じんまかずはる)の一党。
 首尾よく「山彦」の秘密を手に入れた赤地源太郎らは江戸に向かうが、大宮宿で源太郎は振分荷を奪われる。振分荷は元亀の手に。あわてふためく源太郎。振分荷には如何なる謎が!
 振分荷は更に陣馬一令の手に。意外にも一令の背後には大岡越前守の影が。
 天下をゆるがす「山彦」の秘宝とは何か。振分荷の謎と引き変えに、赤地源太郎は「山彦」の秘宝を永久に葬らざるを得ないのか……。

*解説頁(下巻収録)・尾崎秀樹