絶版文庫書誌集成

福武文庫 【あ行】
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【あ】

【い】

井伏 鱒二 
(いぶせますじ)
「文士の風貌」
 (ぶんしのふうぼう)


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*301頁
*発行 1993年
*カバー装画・生井巖

*カバー文
太宰治、小林秀雄、志賀直哉、尾崎一雄、永井龍男、大岡昇平、三島由紀夫をはじめ、56人の文士たちの人物と作品への鋭い観察と批評が、哀切で軽妙な筆遣いにあふれる珠玉の随筆集。

*解説頁・松本武夫


今江 祥智 (いまえよしとも)
「さよなら、ピーター・パン ― 子どもの国からの挨拶、また」


*カバーデザイン・宇野亜喜良
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*437頁 / 発行・1991年

*カバー文
“子どもの本と大人の本の間にある国境のようなものを自由に往き来する越境者たらん”と願う著者が、名著『子どもの国からの挨拶』から20年を経たいま、あらためて問い直す越境の意味 ― 自らの実作を通し、また“読む美食家”としての豊富な読書体験を通して古今東西の境界文学を語る、大人のための児童文学ガイドブック。

*目次
子どもの国から
 一九六〇年の夢のようなある週…… / 子どもを読む / 夢みる理由再説 / オムライスのつくり方 / 老いと死をめぐって / ねこの額の話 / わたしの本棚から / 蜂のひと刺し / 四つの前説

越境
 中年ちゃらんぽらんとクリスタル・ヤング / 写真読み、年譜読み / 出会い、生き方、老けっぷり / しごとの周辺

子どもの国の住人たち
 神沢利子 / 乙骨淑子 / 花田清輝 / 谷川俊太郎 / 上野瞭 / 灰谷健次郎 / 山田太一 / 工藤直子 / 高田桂子 / 岩瀬成子 / 河合隼雄 / 内田麟太郎 / 川島誠 / 江國香織 / 長田弘 / アーノルド・ローベル / ライナー・チムニク / トミー・ワンゲラー / モーリス・センダック / ガブリエル・バンサン / エーリヒ・ケストナー / レイ・ブラッドベリ

ほらごらん、ぼくは忘れなかった
「さよなら、ピーター・パン」 ― あとがき


色川 武大 (いろかわたけひろ)
「狂人日記」 
(きょうじんにっき)


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*283頁
*発行 1993年
*カバー画・有馬忠士

*カバー文
狂人と健常者の狭間に身を置き、他者を求めながらも得られずに自ら死を選ぶ男の狂気を内側から描いて、現代人の意識に通底する絶対的な孤絶を表出し、読売文学賞を受賞した著者の最初で最後の純文学長篇小説。

*解説頁・森内敏雄


色川 武大 (いろかわたけひろ)
「虫喰仙次」
 (むしくいせんじ)


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*231頁
*発行 1989年
*カバー画・菅木志雄

*カバー文
人生というばくちに敗れ、はずれ者として死んでゆく男虫喰仙次に対する深い親愛と共感を綴る表題作ほか、入学試験に失敗し挫折してゆく叔父〈御年さん〉や元海軍司令の父に寄せる想いを描く作品など7篇を収録。

*目次
遠景 / 復活 / 観音 / 雀 / 陽は西へ / 虫喰仙次 / 走る少年 / 解説 岡田睦


巖谷 大四 (いわやだいし)
「本のひとこと」
 (ほんのひとこと)


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*218頁
*発行 1986年
*カバー画・巌谷純介

*カバー文
「書物とは、すべて人間の思想が凍ったものだ。そして真の読書とは、私たちが各々の「胸中の温気」でこの氷を溶かすことだ」 ― 人生と書物を愛する博覧強記の読書家である著者が、古今東西の名著から「人生のことば」を抜粋し、行間から匂いたつ生の機微を低声で語りかける滋味あふれる随想集。

*解説頁・戸板康二


【う】

ポール ヴァレリー著・粟津 則雄訳 (PaulValery・あわずのりお)
「テスト氏」
(Monsieur Teste)


*カバー写真・瀬尾明男
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*194頁 / 発行 1990年

*カバー文
「わたしは正確さを追い求めるという急性の病にかかっていた。理解したいという物狂おしい欲求の極限を目ざし、みずからのうちに、注意力の臨界点を探しまわっていた(「序文」より)」。明晰さを至上の価値と定めた著者が、思考の極限とも言うべき文学的営為の中で創造した一人の人物をめぐる物語。

*目次
 序文 / テスト氏との一夜 / エミリー・テスト夫人の手紙 / テスト氏の航海日誌から / 或る友の手紙 / テスト氏との散歩 / 対話 ―― テスト氏に関する新しい断片 / テスト氏の肖像のために / テスト氏の思想若干 / 訳註 / 解説


ウィンターフェルト,ヘンリー著 関 楠生訳 (Winterfeld,Henry せきくすお)
「カイウスはばかだ」
(Caius ein Dummkopf)


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*266頁
*発行 1990年

*カバー文
舞台は古代ローマの小さな学校。「カイウスはばがだ」と書字板に書かれた落書きが、思いもよらぬ事件を巻きおこし、生徒たちは探偵団をつくって、これに挑みます。 ―― いつの時代も変わらない子どもたちの姿を楽しく、愉快に描いたドイツ児童文学の名作。


内田 百 (うちだひゃっけん)
「青葉しげれる」
(あおばしげれる)


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*225頁 / 発行 1993年
*カバー装丁・田村義也

*カバー文
郷里・岡山で中学生の頃から琴の手習いを始め、近所へも弾き聴かせたくなる腕前だった百閨B昭和12年には、同好の士を集め「桑原会」を発足する。「一体に道楽は本業よりもきびしいものであって、本業は怠ける事が出来るけれど、道楽にはその道がない。」夏には裸で琴に向い、道楽に励んだ百閧フ音楽エッセイ。畏友宮城道雄との対談も収録。(編集 中村武志)

*解説頁・吉田ひろ生


内田 百 (うちだひゃっけん)
「贋作吾輩は猫である」
 (がんさくわがはいはねこである)


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*271頁
*発行 1992年
*カバー装丁・田村義也

*カバー文
夏目漱石の『吾輩は猫である』の主人公吾輩が、ビールを飲んでカメの中に落ちて、ナムアミダブツを唱えたけれど、酔いが醒めればカメの縁から這い上がってくる。独語教師・五沙弥入道宅に移して「猫」が見る人間模様を描く百阡ナ『吾輩は猫である』。

*解説頁・柘植光彦


内田 百 (うちだひゃっけん)
「新・大貧帳」
 
(しんだいひんちょう)


*カバー装丁・田村義也
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*309頁 / 発行 1989年

*カバー文
大正から昭和にかけて、バクダイな額に変貌する金を高利貸しから借りた百關謳カ。返したくとも返せない危機的状況をつまびらかに叙した悲喜劇が借金の機微をあらゆる角度から照射する。百阨カ学を初めて現代かなづかいしたアンソロジー。

*目次
内田百閧フ作品を新漢字、新仮名づかいにするについて(中村武志)
夏の鼻風 / 俸給 / 質屋 / 秋宵鬼哭 / 百鬼園旧套 / 風燭記 / 炉前散語 / 御時勢 / 芥子飯 / 売り喰い / 志道山人夜話 / 金の縁 / 砂利場大将 / 錬金術 / 書物の差押 / 胸算用 / 揚足取り / 布哇の弗 / 鬼苑道話 / 雑木林 / 百円札 / 二銭紀 / 他生の縁 / 大晦日 / 歳末無題 / 吸い殻 / 払い残り / 年頭の債鬼 / 迎春の辞 / 大人片伝 / 無恒債者無恒心 / 百鬼園新装 / 黄牛 / 可可貧の記 / 貧凍の記 / 櫛風沐雨 / 高利貸に就いて / 債鬼 / 鬼の冥福 / 地獄の門
 解説 中村武志


内田 百閨@(うちだひゃっけん)
「新編 ノラや」 
(しんぺんのらや)


*カバー装画・谷中安則
 カバー装丁・田村義也

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*281頁 / 発行 1993年

*カバー文
「猫の一番可愛い所は耳である。こっちを向いてぴんと立てていても、向こうを向いて三角の後ろを見せていても、尤もらしく物物しく、小さくて時時片っ方ずつ動いて、そこの所が一番猫らしい」。
 百闡にするりと入りこみ、或日ふいに戻らなかったノラ。愛猫の行方を案じ嘆く「ノラや」を始め、白猫に化けた女中の話など、昭和初期から晩年にいたるまで、猫の話ばかり20篇を集めたアンソロジー。 (編集・中村武志)

*目次
梅雨韻 / 白猫 / 立春 / 竿の音 / 彼ハ猫デアル / ノラや / ノラやノラや / ノラに降る村しぐれ / ノラ未だ帰らず / 猫の耳の秋風 / クルやお前か / カーテル・クルツ補遺 / ネコロマンチシズム / 垣隣り / 木賊を抜けて / 身辺と秋筍 / アビシニア国女王 / ピールカマンチャン / 「ノラや」 / 猫が口を利いた
 解説 井坂洋子


内田 百 (うちだひゃっけん)
「第一阿房列車」 
(だいいちあぼうれっしゃ)


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*275頁
*発行 1991年
*カバー装丁・田村義也

*カバー文
「阿房(あぼう)と云うのは、人の思わくに調子を合わせてそういうだけの話で、自分で勿論阿房などと考えてはいない……なんにも用事がないけれど、汽車に乗って……」抱腹絶倒の紀行文学の傑作。

*解説頁・池内紀


内田 百 (うちだひゃっけん)
「第二阿房列車」 (だいいちあぼうれっしゃ)


*カバー装丁・田村義也
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*197頁・新仮名遣い / 発行 1991年

*カバー文
レールの継ぎ目を刻む心地よい音に誘われて、何にも用事のない旅が続く。第二阿房列車は、新潟、横手、京都、九州へとひた走る。痛快無比の紀行文学。

*目次
雪中新潟阿房列車
 上野 新潟
雪解横手阿房列車
 上野 横手 横黒線 大荒沢
春光山陽特別阿房列車
 東京 京都 博多 八代
雷九州阿房列車 前章
 東京 八代
雷九州阿房列車 後章
 八代 熊本 豊肥線 大分 別府 日豊線 小倉 門司
 解説 池内紀


内田 百 (うちだひゃっけん)
「出船の記」 (でふねのき)


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*248頁
*発行 1993年
*カバー装丁・田村義也

*カバー文
昭和14年、日本郵船会社の嘱託となった百閨B披露航行に出る大型客船に乗りこんだり、神戸 ― 横浜間をのんびりゆられて往復したり、船旅を楽しみ始める。はじめての航海を綴った「波光漫筆」など航海紀行21編の他に、勝手気侭な鉄道紀行文を収録。目的のない旅を好んだ百閧フ紀行文アンソロジー。 (編集 中村武志)

*解説頁・川村二郎


内田 百 (うちだひゃっけん)
「百鬼園先生言行録」 (ひゃっきえんせんせいげんこうろく)


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*268頁 / 発行 1990年
*カバー装丁・田村義也

*カバー文
「漱石先生が、御自分で玄関に出て、己は留守だよと云う嘘をついた話がありますが、この嘘はだれを騙した事になりますか」と聞かれて目玉の黒玉をきゅっ、きゅっと動かすだけで返事をしない甘木君。上質なユーモアがまぶされた、眩惑的な百陂_理の妙。百阨カ学を初めて現代かなづかいにしたアンソロジー。 (編集 中村武志)

*目次
百鬼園先生言行録 / 百鬼園先生言行余録 / 百鬼園先生言行録拾遺 / 弾琴図 / 官命出張旅行 / 忙中謝客 / 猪の昼寝 / 狸気濛濛 / 正直の徳に就いて / 茗荷屋の足袋 / 鉈豆 / 泥坊三昧 / 清香記 / 石油洋灯 / 泥坊談義 / 百鬼園浮世談義 / 七体百鬼園 / おの字 / 忘却 / 一年早死する / 門の柳 / 目 / 歯 / お前ではなし / 列車食堂の為に弁ず / つもりの遺り繰り / 無伴奏
 解説 松浦寿輝


内田 百 (うちだひゃっけん)
「まあだかい」


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*273頁
*発行 1993年
*カバー装丁・田村義也

*カバー文
かつての学生たちが、還歴を過ぎて齢を重ねる百閧囲んで、今年もお決まりの大宴会。学生たちが葬式の予行演習をするかと思えば、百閧ヘ寿命を縮める策を自ら考える……。毎年きこえる大合唱は“まだ百閧ヘ死なざるやまだ百閧ヘ死なざるや”百閧ニその学生たちのあたたかい交流の場・摩阿陀会の二十年を集めたアンソロジー。(編集中村武志)

*解説頁・黒澤明


【え】


【お】
小澤 善雄
(おざわよしお)
「評伝 国吉康雄 ― 幻夢と彩感」
(ひょうでんくによしやすお)


*カバー画・国吉康夫
 カバー装丁・菊地信義

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*277頁 / 発行 1991年

*カバー文
1906年、17歳で単身アメリカにわたった国吉康雄。言葉が通じなかったために得意の絵でコミュニケーションの方法をつかんだ少年は、やがて美術学校を経て、当時のアメリカを代表する画家となってゆく。日本生れのアメリカ人画家、国吉康雄の作品と生涯の軌跡を綿密な描写で浮きぼりにする。収録図版多数。

*目次
 序章
第一部 一九一〇 ー 一九二八年
 第一章 ニューヨーク市 / 第二章 パトロンと友人たち / 第三章 デビュー / 第四章 牛、鶏、子供 / 第五章 国吉の日本 / 第六章 国吉のヨーロッパ

第二部 一九二八 ー 一九四一年
 第一章 リトグラフ / 第二章 新しい展開 / 第三章 日本訪問 / 第四章 アメリカン・ルネッサンス / 第五章 ナショナリズム / 第六章 暗い色

第三部 一九四二 ー 一九五三年
 第一章 戦争 / 第二章 明暗 / 第三章 絶えざる移行 / 第四章 栄誉と回帰への始まり / 第五章 新境地 / 第六章 道化師と烏

  あとがき / 文庫版あとがき / 図版資料 / 主要参考文献 / 解説 川本三郎