絶版文庫書誌集成

福武文庫 【ら行】
ホーム | 福武文庫索引

【ら】



ロートレアモン伯爵著・藤井 寛訳 
(Le Comte de Lautreamont・ふじいひろし)
「マルドロールの歌」
 (Les Chants de Maldoror)


(画像はクリックで拡大します)

*301頁
*発行 1991年
*カバー写真・瀬尾明男

*カバー文
「天に願わくは、読者が大胆になり、しばしのあいだ彼が読むもののように凶暴になって、これらの暗く毒にみちたページの荒涼とした沼地をたどりつつ……」呪詛の如き異様な雰囲気で始まる本書は、〈悪〉の化身マルドロールをめぐる六つの歌から成り、万華鏡のような変幻自在なメタファーで謳いあげる〈悪の教典〉である。




和田 芳恵
 (わだよしえ)
「一葉の日記」
 
(いちようのにっき)


(画像はクリックで拡大します)

*372頁 / 発行 1986年

*カバー文
樋口一葉の“私小説”ともいえる十六歳から二十五歳で夭逝するまでの日記を一年ずつ区切りながら、上流婦人のサロン萩の舎への参加、朝日新聞記者半井桃水との出会いと別れなど、伝記的事実を踏まえた形で、詩的直観の鋭さと推理想像の逞しさ、厚い人間観と文学観をあます所なく発揮して、一葉の全体像に迫った作家評伝。

*目次
序説 / 十六歳から十九歳まで / 二十歳 / 二十一歳 / 二十二歳 / 二十三歳 / 二十四歳 / 二十五歳 / 人と時代 / あとがき / 補注 野口碩 / 解説 竹西寛子


アルファベット】

A・v・フォイエルバッハ著 西村克彦訳 (にしむらかつひこ)
「カスパー・ハウザー」
 (kaspar hauser)


*装丁・菊地信義
(画像はクリックで拡大します)

*196頁 / 発行 1991年

*カバー文
1828年、聖霊降誕祭のさなか、奇妙な野良着姿の少年がニュルンベルクの町に忽然と現れた。歩くのもままならず、満足に話すこともできない、その特異な言動は様々な憶測をよぶ ― 。“近代刑法学の父”が生涯最後に遺した、謎に満ちた観察記録は、ヨーロッパ中の関心を引き起こし、今日まで二千以上の文献を生んだ。原著からの本邦初完訳。

*目次
序文にかえて ― フォイエルバッハ
カスパー・ハウザー ― 人間の精神生活に対する犯罪の一例
 一 奇妙な少年の出現
 二 少年の身体に見られた特徴
 三 塔に閉じこめられていた当時
 四 野生児か犯罪の被害者か
 五 他人や自然に対する経験
 六 少年の異常な知覚や能力
 七 暗殺の被害者としての少年
 八 著者の好意とその限界
訳者あとがき
 解説 山下武


J.G.バラード著 飯田隆昭訳 (J.G.Ballard・いいだたかあき)
「第三次世界大戦秘史」
(だいさんじせかいたいせんひし)


(画像はクリックで拡大します)

*311頁
*発行 1994年

*カバー文
1995年1月27日午後6時47分、第三次世界大戦勃発……そして終結へ。その間わずか4分、核戦争をスラップスティック風に描いた「第三次世界大戦秘史」。エイズが蔓延した21世紀における性の様を描く「エイズ時代の愛」。中東紛争を戯画化した「ウォー・フィーバー」など、近未来を舞台にイマジネーションを刺激する14篇を収録したバラードの最新短篇集。(『ウォー・フィーバー』改題)