絶版文庫書誌集成

福武文庫 【さ行】
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【さ】

三枝 和子 (さえぐさかずこ)
「小説 かげろうの日記 ― 道綱の母・寧子の恋」 (しょうせつかげろうのにっき)


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*220頁
*発行 1994年
*カバー装画・長谷川青澄 / カバー装丁・中島かほる

*カバー文
なげきつつひとり寝る夜のあくるまはいかに久しきものとかは知る ―― 「あなたを幸せにする」そう約束してくださったはずなのに。持ち前の男ぶりの良さで人望と女たちの愛とを一身に集める夫、兼家への想いに身を焦がす日々。美貌の才女として知られた「蜻蛉日記」の著者、藤原道綱母の生涯を平安の王朝に鮮やかに染め上げた歴史物語。

*解説頁・森まゆみ


【し】
澁澤 龍彦
(しぶさわたつひこ)
「エピクロスの肋骨」 (えぴくろすのろっこつ)


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*136頁
*発行 1991年
*カバー画・木村繁之

*カバー文
ダンディズムと軽さのエレガンスを基調とする澁澤文学の出発を告知する表題作ほか、才能の萌芽が燦たる處女作「撲滅の賦」、功緻で瀟洒な小品「錬金術的コント」の三篇を収録する ―― 著者自らが、死の直前に発掘を予言していた最初期作品集。

*解説頁・「旅」のはじまり 巖谷國士


澁澤龍彦 (しぶさわたつひこ)
「犬狼都市(キュノポリス)」
(けんろうとし)


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*197頁
*発行 1986年
*カバー画・栗田政祐

*目録文
宝石凝視のなかでの犬狼貴族との婚姻を幻想的に描いた表題作ほか、「陽物神譚」「マドンナの真珠」の3篇を収録。超硬度の明晰な文体で捉えた、エロティシズムあふれる澁澤文学不朽の名作。

*解説頁・倉橋由美子



澁澤 龍彦 (しぶさわたつひこ)
「偏愛的作家論」
(へんあいてきさっかろん)


*カバー画・柄沢齊
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*365頁 / 発行 1986年

*カバー文
石川淳、三島由紀夫、稲垣足穂、滝口修造、埴谷雄高、吉行淳之介、鷲巣繁男、野坂昭如、花田清輝、谷崎潤一郎、日夏耿之介、江戸川乱歩、久生十蘭、夢野久作、小栗虫太郎、橘外男、中井英夫、吉岡実、南方熊楠など、著者が偏愛する日本の作家24人への熱いオマージュに満ちた白眉の作家論。

*目次
石川淳
 評伝的解説
 『夷斎遊戯』
三島由紀夫
 三島由紀夫氏を悼む
 絶対の垣間見んとして……
 『天人五衰』書評
 輪廻と転生のロマン ―― 『春の雪』および『奔馬』について
 『音楽』解説
 セバスティアン・コンプレックスについて ―― 三島戯曲の底にあるもの
 女だけの女の芝居 ―― 三島由紀夫『サド侯爵夫人』を見て
 サドと三島由紀夫
 『午後の曳航』
 『美の襲撃』
 サロメの時代
 琥珀の虫
 三島由紀夫とデカダンス ―― 個人的な思い出を中心に
稲垣足穂
 タルホ星頌
 『少年愛の美学』
 『僕のユーカリ』『東京遁走曲』
 『ヒコーキ野郎たち』
林達夫
 エピキュリアン・リヴレスク
滝口修造
 卵形の夢
埴谷雄高
 あのころの埴谷さん
吉行淳之介
 終戦後三年目……
鷲巣繁男
 形而上学のカテドラルのために……
野坂昭如
 『エロ事師たち』解説
 『骨餓身峠死人葛』
花田清輝
 『花田清輝著作集』に寄せて
 花田清輝頌
安西冬衛
 『安西冬衛全詩集』
泉鏡花
 吉村博任『泉鏡花 ―― 芸術と病理』
谷崎潤一郎
 地震と病気 ―― 谷崎文学の本質
 『瘋癲老人日記』
 谷崎潤一郎とマゾヒズム
堀辰雄
 堀辰雄とコクトー
 海彼の本をめでにけるかも
日夏耿之介
 錬金の幻夢にこがれ……
 魔道の学匠
江戸川乱歩
 玩具愛とユートピア ―― 乱歩文学の本質
 『パノラマ島奇談』解説
久生十蘭
 『久生十蘭全集』第二巻の解説
 スタイリスト十蘭
夢野久作
 夢野久作の不思議
 『夢野久作全集』第一巻
小栗虫太郎
 『黒死館殺人事件』解説
橘外男
 『青白き裸女群像・他』解説
岡本かの子
 岡本かの子あるいは女のナルシシズム
中井英夫
 『悪夢の骨牌』書評
吉岡実
 吉岡実の断章
南方熊楠
 悦ばしき知恵あるいは南方熊楠について
単行本あとがき
 巻末エッセイ 巌谷國士


清水 きん (しみずきん)
「夫 山本周五郎」 
(おっとやまもとしゅうごろう)


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*236頁 / 発行 1988年

*カバー文
反骨と意気地の姿勢ゆえに“曲軒”と綽名された山本周五郎が、「わが人生のもっともよく有難き伴侶、わが妻よ」と讃え、周五郎の戦後から晩年、死に至るまでの旺盛な作家活動を支えつづけたきん夫人が、山本周五郎の知れざる側面をも語った感動の夫婦愛の物語。

*目次
さむらい亭主
 ご近所の人 / 主人と女性たち / さむらいの血 / 親がわり / 枕頭の朗読 / はじめての大金 / なくなった表札
かあさんのおかげ
 後妻の座 / 不思議な話術 / 天下われひとり / 小説の敵 / かあさんのおかげ
貧しい人たちのために
 ケチとぜいたく / 理想の像、原田甲斐 / 大事にした編集者 / 自己暗示の名人 / 選挙はすべて棄権 / 貧しい人たちのために / 一家のあるじ
寒い朝
 自殺したい気持 / 原稿用紙に触るな / さとごころ / しあわせもの / 寒い朝
 解説 木村久邇典


城 市郎 (じょういちろう)
「発禁本」
 
(はっきんぼん)


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*311頁 / 発行 1991年

*カバー文
志賀直哉『濁った頭』、秋田雨雀『骸骨の舞踏』、伊藤晴雨『責の研究』、高橋鉄『人性記』、ピチグリリ『貞操帯』、ヴァンデ・ヴェルデ『完全なる結婚』 ― 治安維持法違反、風俗壊乱などの罪に問われて発禁処分となった百余冊の一部抜粋と数々のエピソードで綴る「裏」の文学史!

*目次
寝白粉・姉の妹・袖と袖 … 小栗 風葉 / 発展・入れ墨師の子 … 岩野 泡鳴 / ひょう風・細雪・その他 … 谷崎 潤一郎 / 下畫・輪廻 … 森田 草平 / 犠牲 … 藤森 成吉 / 腕くらべ … 永井 荷風 / 骸骨の舞踏・太陽と花園 … 秋田 雨雀 / 一九二八年三月十五日・蟹工船 … 小林 多喜二 / 極みなき破局・真理の春・その他 … 黒島 伝治 / 再建 … 島木 健作 / 濁つた頭 … 志賀 直哉 / 生きてゐる兵隊 … 石川 達三 / 青春の逆説 … 織田 作之助 / 芦屋婦人・その他 … 丸尾 長顕 / 血と血 … 外村 繁 / 中年・その他 … 丹羽 文雄 / 初旅 … 林 芙美子 / 青狐 … 火野 葦平 / 石中先生行状記・若い人 … 石坂 洋次郎 / 鷲の唄 … 椋 鳩十 / 丹沢山の山窩 … 三角 寛 / 夢想庵無語 … 武林 夢想庵 / 男 … 林 禮子 / 手袋 … 東郷 青児 / 右翼テロ / 娑婆 … 吹上 佐太郎 / 大本教 / 「驕楽」「かへで」など / 土墻に描く … 内野 健児 / 無産者 … 西川 百子 / 曾根崎艶話 … 小林 一三 / 春宮美学 … 小村 定吉 / 夢判断と夢の研究 … 谷村 黄石洞 / デカメロン … ボッカッチオ / ファンニー・ヒル … クレランド / 輪舞 … シュニッツラー / 肉体の悪魔 … ラディゲ / 同性愛関係書・同性愛文献 / 責の研究 … 伊藤 晴雨 / 人間研究 … 砂山 岳紅 / 桃源花洞 … 竜王 山人 / 廓読本 … 中村 長次郎 / 生活文化 / 娼婦と暮して一ヶ月 … ショワジイ / 貞操帯 … ピチグリリ / ガミアニ … ミュッセ / ユリシーズ … ジョイス / セクサス … ヘンリー・ミラー / 完全なる結婚 … ヴァン・デ・ヴェルデ / 久保盛丸の著作 / 末摘花 / カーマスートラ / 愛の経典 / 人性記・その他 … 高橋鉄 / ちょっと愛して … 清水正二郎 / 単行本あとがき / 文庫版あとがき / 解説 青木正美


城 市郎 (じょういちろう)
「続・発禁本」 
(ぞくはっきんぼん)


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*243頁 / 発行 1991年

*カバー文
森鴎外『ヰタ・セクスアリス』、永井荷風『ふらんす物語』、佐藤紅緑『復讐』、滝川幸辰『刑法読本』、樋口麗陽『大日本裏面史』など、明治以降発禁となった著作の数々をたどり、現代における言論・表現の自由を問い直す。巻末に「近代日本発禁小史」を収録。

*目次
『恋愛文学』ほか … 青柳 有美 / 『都会』ほか … 生田 葵山 / 『復讐』 … 佐藤 紅緑 / 『ヰタ・セクスアリス』 … 森 鴎外 / 『ふらんす物語』 … 永井 荷風 / 『男犯』ほか … 武野 藤介 / 『クロポトキンの社会思想の研究』 … 森戸 辰男 / 『刑法読本』・『刑法講義』 … 滝川 幸辰 / 『大日本裏面史』 … 樋口 麗陽 / 『古事記及日本書紀の研究』 … 津田 左右吉 / 宮武外骨と発禁本 / 梅原北明と発禁本 / 佐藤紅霞と発禁本 / 『相対会報告』 … 小倉 清三郎 / 藤原純逍と発禁本 / 『女礼賛』 … 宇佐美 不喚洞 / 『寝室宝典』 ― 性生活もの ― ほか / 『赤い風船あるいは牝狼の夜』 … 犯罪者同盟編 / 『ファニー・ヒル』『グループ』『キャンディ』 / 資料・近代日本発禁小史 / 文庫版あとがき / 解説頁・青木正美


庄野 潤三 (しょうのじゅんぞう)
「ザボンの花」
(さぼんのはな)


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*290頁
*発行 1991年
*カバー絵画・初山滋

*カバー文
東京郊外に移り住んだ家族は、四年生の男の子を頭に二年生の女の子、そして幼稚園前の男の子のいる賑やかな5人家族。奔放な3人の子供達を中心に若々しい父母、近隣の人々、夕方になるとなぜか吠え出す愛犬ベルらの優しく温かな交流 ―― 子供達の華やぎと移りゆく自然の美しさの中に生の原風景を紡ぎ出す庄野文学の記念碑的長篇。

*解説頁・阪田寛夫



杉浦 明平 
(すぎうらみんぺい)
「泥芝居」
 
(どろしばい)


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*262頁
*発行 1986年

*カバー文
小半島の農地整理の歴史が一人の悪党を生んだ。悪党次郎さが土地ころがし、アサリ泥棒、町会議員選挙の買収、理不尽な訴訟などと八面六臂の大活躍。庶民の痛快無比な「悪」を通し、現代日本農村の退廃の縮図を描く悪漢小説(ピカレスクロマン)。

*解説頁・?秀美