絶版文庫書誌集成

福武文庫 【や行】
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【や】

安岡 章太郎 (やすおかしょうたろう)
「人生の隣」
(じんせいのとなり)


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*275頁 / 発行 1986年

*目録文
人生の隣に寄添う文学。作家が肌で感じる文学を作家論・作品論で語るほか、随想、紀行の逸品を収録。

*目次
T作家
 仕事と名声 ― 志賀直哉
 志賀直哉宛書簡について
 イメージを生む力 ― 志賀直哉
 模倣について ― 梶井基次郎
 不吉な予感 ― 川端康成
 北原さんのこと ― 北原武夫
 弔辞 ― 北原武夫
 雨傘をさした散歩 ― 石坂洋次郎
 朝焼け夜空 ― 井伏鱒二
 静かに鉱物を育てる水 ― 中村光夫
 犬と中里さん ― 中里恒子
 幽霊の国籍 ― 遠藤周作
 吉村淳之介氏と念力について
 欲望について ― 開高健
 追放ということ ― ソルジェニーツィン
 笑いと涙 ― 十辺舎一九
 おのが身の闇 ― 与謝蕪村
U作品
 見えざる主人公 ― 森鴎外「鈴木藤吉郎」
 歴史小説について ― 森鴎外「阿部一族」
 雄大なパノラマの内的幻影 ― 岩野泡抱「長篇五部作」
 耳朶を打つ言葉 ― 北原武夫「文学論集」
 大の男の慟哭 ― 武田泰淳「富士」
 追放されたジョナサン ― リチャード・バック「かもめのジョナサン」
 二冊の本 ― 黄霊芝
 陶治された言語 ― 瀧井孝作「俳人仲間」
 花より団子の臨場感 ― 永井龍男「秋」
 女の欲、男の欲 ― 宇野千代「雨の音」
 ”此岸”の言葉 ― 日野啓三「此岸の家」
 生々流転 ― 近藤啓太郎「大観伝」
 おとし穴の効用 ― 坂上弘「藁のおとし穴」
 はかりしれざる智慧と結びついた愚かさ ― 阿川弘之「暗い波濤」
 Gently down the stream ― 岡田睦「ワニの泪」
 自由とハンスト ― 李恢成「追放と自由」
 おかしみに就いて ― 井伏鱒二「小黒坂の猪」
 生真面目な人 ― 北原武夫「文学全集」
V随想
 『ガラスの靴』の頃
 五月の薫風
 瓦礫のことば
 地方人と都会人の文章
 作文の功罪
 語学の習練
 小説の未来
W紀行
 隅田川
 南禅寺付近
 北米紀行
 軽気球に乗った街
 ナッシュビル
解説 大久保房男


山本 健吉 (やまもとけんきち)
「十二の肖像画」
(じゅうにのしょうぞうが)


*装丁・菊地信義
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*289頁
*発行 1987年

*カバー文
正宗白鳥、三島由紀夫、伊藤整、室生犀星、高見順、武田泰淳、中野重治、井上靖、舟橋聖一、上林暁、丹羽文雄、佐藤春夫 ── 。無私の精神で12人の文士の素顔を膚で触れ合って描いた独自の作家論。

*解説頁・河野多恵子


【ゆ】

よ】
横井 清 (よこいきよし)
「史話 中世を生きた人びと」
(しわちゅうせいをいきたひとびと)


*カバー絵画・『石山寺縁起』(石山寺蔵)より
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*295頁 / 発行 1991年

*カバー文
およそ四世紀余にわたる中世を生きた無数の群像は、著者の研究生活の中で深い印象を刻みこんだ人びとばかりである。実在の人物のみならず、架空の人物を登場させているのは、かえってその時代を生きた「人間」の心のありどころを示すからだという。躍動する中世の“熱気”を伝える人物「史話」十八編。

*目次
 はじめに
1 藤原頼長 ―― 変革期のなかの父子像
2 下河辺行秀 ―― 太平洋のかなたに消えた東国武士
3 北条政子 ―― 承久三年五月十九日の尼将軍
4 建礼門院右京大夫 ―― 永い余生を歌に生きた歌人
5 藤原定家 ―― 寛喜大飢饉の渦中に生きた公家歌人
6 忍性 ―― 非人・癩者に直面しつづけた律宗僧
7 一遍 ―― 遊行と捨身の生涯
8 伏見宮貞成のたたかい ―― 室町時代の皇位継承問題
9 小嶋法師 ―― なかぞらに浮かぶ“太平記作者”のおもかげ
10 ぶあく ―― 桧舞台に躍動する衆庶の面目
11 文正 ―― 絵本にたちこめる立身出世の夢
12 門次郎と願阿弥 ―― 大飢饉に直面した二人の庶民
13 いままいり ―― “女のいくさ”に敗れた一女傑の最期
14 宇野玄周 ―― 下剋上の世を生き抜いた町衆
15 千本の赤 ―― 権益争奪の地獄を生きた河原者
16 ザビエルとアンジロー ―― 万里の波涛をこえてきた師弟
17 織田信長 ―― 天正十年夏
18 宗易と宗二 ―― 「茶話」のなかの師弟像
 文庫版あとがき
 解説 ―― 横井史学の魅力 赤坂憲雄


吉田 知子 (よしだともこ)
「飛鳥の風 ― 持統女帝」
(あすかのかぜ)


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*328頁 / 発行 1994年
*カバー装丁・菊地信義 / カバー画・上村松篁「万葉の春」(財団法人松伯美術館所蔵)

*カバー文
「歴史」という大絵巻の中で、ひときわ鮮やかに輝く飛鳥時代。その飛鳥で、愛する者を守るために闘い、ついには自ら皇位を継ぐに至った一人の女性の生涯を描く ―― 飛鳥のドラマがいまに蘇る本格歴史小説。

*目次
生誕前夜 / 大化の御代 / 白い雉 / 射ゆ獣(しし) / 烏爪 / 蒲生野 / 吉野の鮎 / 壬申の乱 / 李花 / 宮滝 / 月弓 / 朝露 / 金烏 / 朝川渡る / 国はしも さはにあれども / 東の野に / 舞えや舞え / 車がまわる / 一期の夢 / 単行本あとがき / 解説 三枝和子


吉本 隆明 (よしもとりゅうめい)
「空虚としての主題」 (くうきょとしてのしゅだい)


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*281頁
*発行 1986年
*カバー画・菊地信義

*カバー文
いま書かれている小説作品は、どういう形で現在の中へ入ってくるのか。1980年代、解体現象を起しつつある文学状況にいち早く注目し、村上春樹、中上健次、村上龍、古井由吉、田中小実昌らを論じ、現代小説をその深部から解読し、本質的に把握した画期的な文芸時評集!

*解説頁・笠井潔


吉行 淳之介 (よしゆきじゅんのすけ)
「詩とダダと私と」
(しとだだとわたしと)


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*219頁 / 発行 1986年

*目録文
高校休学中に亡父のダダイスト、吉行エイスケの血を自らの内に確認して詩を書き始め、「暗室」「夕暮まで」に到達した吉行文学の淵源を解き明かすユニークな詩文集。

*目次
詩篇
 挽歌 / 月光 / 盛夏 / 白鳥賦 / 二行詩 / 短唱 ―― 懶惰 / 懶い怖れの夜 / 帰郷 / 饗宴 / 薄明 / 予感 / 工場の窓から / 隔離病室にて / 雪 / 両棲(散文詩風)

詩の周辺
 詩との出会いおよびそのその後 / 詩より詩的なもの / 「帝国」のなくなった時期 / わが詩歌 / 好きな詩 / ダダ雑感 / 窮死した詩人との出会い / 父ケイスケについて / 吉行エイスケについて

吉行エイスケ詩篇
 退屈 / 恋 / 色気 / 青い舌 / おいぼれ / 肺病患者 / 対象 / 恋の経過 / 乳 / アリノミご機嫌伺い / アルコール飯 / 外的肖像 / おいなりさん / 丸窓から酒をのむ / キス / 浮かれた概念 / アザ / 不機嫌 / すごかれた舌 / 人間逆上 / 初恋 / 支那そば屋 / なだかな夜 / 変態肉食 / 舌 / 珍料理 / ローマンス / 変態侮辱 / どろどろの人間 / ピエロット / 田園夜明前四時 / ダタイ

ダダの歴史 G・リブモン・デセーニュ / 岡田弘訳
 あとがき
 解説 飯島耕一