絶版文庫書誌集成

角川文庫 【アルファベット】

A、モラヴィア著 / 大久保 昭男訳 (おおくぼあきお)
「仮面の人びと」
 (かめんのひとびと)


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*255頁 / 長篇小説
*発行 昭和45年
*カバーデザイン・日下弘

*大久保昭男「あとがき」より
 モラヴィアが『仮面の人びと』を書いたのは(略)、一九四〇年ごろである。これは、北米旅行から着想をえて、架空のラテン・アメリカの一国を舞台とし、架空の独裁者をあつかってそれを鋭く諷刺した作品である。検閲を顧慮してシチュエーションは曖昧に書かれているが、このときの作者の念頭にあったのがフランコのスペインとムッソリーニのイタリアであったことは容易に察知することができる。


D・H・ロレンス著 宮西豊逸訳 (みやにしほういつ)
「翼ある蛇(上下巻)」
 (つばさあるへび)


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*上巻409頁・下巻351頁
*発行 昭和38年
*カバー画像・平成2年刊「リバイバル・コレクション」版カバー
 カバーデザイン ― 鈴木一誌+蒲谷孝次

*カバー文
生命の根源で男女を結合させ、
新しい人間と宇宙自然人生との関係を
表現しようとした著者が、
メキシコを舞台に完全な性と
新しい生命を神秘的に描いた物語。
「チャタレイ夫人の恋人」をしのぐ
ロレンスの最高傑作。


H・G・ウェルズ著 下田直春訳 (H・G・Wells / しもだなおはる)
「世界文化小史」
 (A Short History of the World / せかいぶんかしょうし)


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*504頁
*発行 昭和46年
*平成2年刊「リバイバル・コレクション」版カバー / カバーデザイン ― 鈴木一誌+蒲谷孝次

*カバー文
宇宙の創造から
現代にいたる歴史を物語として、
わかりやすく著した名著。
世界平和を求めて
苦悩する人類の前に、
ウェルズは独自の歴史観にもとづいて、
人類史の回顧と将来への展望を提示している。


J.G.フレーザー著 (J.G.Frazer) 青江舜二郎訳 (あおえしゅんじろう)
「火の起原の神話」 (ひのきげんのしんわ)


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*346頁 / 発行 昭和49年
*カバー画像・平成元年刊「リバイバル・コレクション」版 / カバーデザイン・鈴木一誌

*カバー文
原始宗教の起源を
呪術とその儀礼に探り、
諸文化の様相を導きだそうとしたフレーザーが、
意識下にうごめく
世界各国の民俗の深層心理を
「火の神話」を通じて描いた名著。

*目次
 まえがき
第一章 序論
第二章 タスマニア
第三章 オーストラリア
第四章 トレス海峡諸島とニューギニア
第五章 メラネシア
第六章 ポリネシアとミクロネシア
第七章 インドネシア
第八章 アジア
第九章 マダガスカル
第十章 アフリカ
第十一章 南アメリカ
第十二章 中央アメリカとメキシコ
第十三章 北アメリカ
第十四章 ヨーロッパ
第十五章 古代ギリシア
第十六章 古代インド
第十七章 要約と結論
 あとがき


T・E・ロレンス著 柏倉 俊三訳 (かしわぐらとしぞう)
「砂漠の反乱 ― アラビアのロレンス自伝」
 (さばくのはんらん)


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*345頁 / 発行 昭和41年
*カバー画像・平成元年刊「リバイバル・コレクション」版カバー

*カバー文
第一次大戦の頃、
独立運動の熱風吹くアラビアに投じられた
イギリス人ロレンス中尉。
やがて彼は、対トルコゲリラ戦のなかで、
遊牧民族の無冠の王となっていく。
砂漠の民に賭けたひとりの男の、
壮大な革命と栄光の叙事詩。

*目次
一 ストーズのジッダ行 / 二 フェイサルのもとにおもむく / 三 フェイサルとその募兵 / 四 イェンボ付近の牽制 / 五 フェイサルの北上 / 六 戦略と政略 / 七 シリアを目ざして / 八 真の砂漠 / 九 族人の饗宴 / 一〇 遊牧民と遊牧生活 / 一一 海にひらく戦局 / 一二 アカバ、スエズ、アレンビー / 一三 方針の再編成 / 一四 敵地へ突進して / 一五 鉄道爆破 / 一六 勝利と戦利品 / 一七 決意を固めて / 一八 再び鉄路を越える / 一九 奉仕と説教 / 二〇 鉄橋へむかう / 二一 列車の捕獲 / 二二 人間界へ帰る / 二三 タフィレ進撃 / 二四 冬ごもり / 二五 マアン包囲戦 / 二六 輸送と兵站 / 二七 内紛を精算して / 二八 最先鋒に立って / 二九 イギリス空軍の協力 / 三〇 トルコ第4軍の壊滅 / 三一 イギリス軍と会同して / 三二 ダマスクス入城 / 三三 急忙の組閣 / 三四 解任の願い / 三五 エピローグ / あとがき


角川文庫発刊に際して 角川源義

 第二次世界大戦の敗北は、軍事力の敗北であった以上に、私たちの若い文化力の敗退であった。私たちの文化が戦争に対して如何に無力であり、単なるあだ花に過ぎなかったかを、私たちは身を以て体験し痛感した。西洋近代文化の摂取にとって、明治以後八十年の歳月は決して短すぎたとは言えない。にもかかわらず、近代文化の伝統を確立し、自由な批判と柔軟な良識に富む文化層として自らを形成することに私たちは失敗して来た。そしてこれは、各層への文化の普及滲透を任務とする出版人の責任でもあった。
 一九四五年以来、私たちは再び振出しに戻り、第一歩から踏み出すことを余儀なくされた。これは大きな不幸ではあるが、反面、これまでの混沌・未熟・歪曲の中にあった我が国の文化に秩序と確たる基礎を齎らすためには絶好の機会でもある。角川書店は、このような祖国の文化的危機にあたり、微力をも顧みず再建の礎石たるべき抱負と決意とをもって出発したが、ここに創立以来の念願を果すべく角川文庫を発刊する。これまで刊行されたあらゆる全集叢書文庫類の長所と短所とを検討し、古今東西の不朽の典籍を、良心的編集のもとに、廉価に、そして書架にふさわしい美本として、多くのひとびとに提供しようとする。しかし私たちは徒らに百科全書的な知識のジレッタントを作ることを目的とせず、あくまで祖国の文化に秩序と再建への道を示し、この文庫を角川書店の栄ある事業として、今後永久に継続発展せしめ、学芸と教養との殿堂として大成せんことを期したい。多くの読書子の愛情ある忠言と支持とによって、この希望と抱負とを完遂せしめられんことを願う。
 一九四九年五月三日



「角川文庫解説目録2020」 (かどかわぶんこかいせつもくろく)
角川文庫


*カバーデザイン・原田郁麻
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*672頁 / 発行 2020年

*カバー文
1949年の創刊以来、角川文庫は、古今東西の古典・名著から数多くの話題作や新進作家の最新作まで、ジャンルの幅を広げながら刊行を続けてきました。本書には、日本文学(時代小説含む)、海外文学、角川ホラー文庫の各ジャンルごとに、2019年12月末現在で刊行中の作品を著者50音順の整理番号順に掲載。「著者名索引」と「書名索引」を利用して、あなたにぴったりの1冊を見つけてください。人気作家12人のエッセイを特別収録。

*目次
角川文庫創刊70周年記念エッセイ
 有栖川有栖 / 上橋菜穂子 / 冲法丁 / 北村薫 / 黒川博行 / 堂場瞬一 / 畠中恵 / 万城目学 / 道尾秀介 / 森見登美彦 / 柚月裕子 / 米澤穂信

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