絶版文庫書誌集成
角川文庫 【アルファベット】
A、モラヴィア著 / 大久保 昭男訳 (おおくぼあきお)
「仮面の人びと」 (かめんのひとびと)
D・H・ロレンス著 宮西豊逸訳 (みやにしほういつ)
「翼ある蛇(上下巻)」 (つばさあるへび)
H・G・ウェルズ著 下田直春訳 (H・G・Wells / しもだなおはる)
「世界文化小史」 (A Short History of the World / せかいぶんかしょうし)
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*504頁
*発行 昭和46年
*平成2年刊「リバイバル・コレクション」版カバー / カバーデザイン ― 鈴木一誌+蒲谷孝次
*カバー文
宇宙の創造から
現代にいたる歴史を物語として、
わかりやすく著した名著。
世界平和を求めて
苦悩する人類の前に、
ウェルズは独自の歴史観にもとづいて、
人類史の回顧と将来への展望を提示している。
J.G.フレーザー著 (J.G.Frazer) 青江舜二郎訳 (あおえしゅんじろう)
「火の起原の神話」 (ひのきげんのしんわ)
T・E・ロレンス著 柏倉 俊三訳 (かしわぐらとしぞう)
「砂漠の反乱 ― アラビアのロレンス自伝」 (さばくのはんらん)
角川文庫発刊に際して 角川源義
第二次世界大戦の敗北は、軍事力の敗北であった以上に、私たちの若い文化力の敗退であった。私たちの文化が戦争に対して如何に無力であり、単なるあだ花に過ぎなかったかを、私たちは身を以て体験し痛感した。西洋近代文化の摂取にとって、明治以後八十年の歳月は決して短すぎたとは言えない。にもかかわらず、近代文化の伝統を確立し、自由な批判と柔軟な良識に富む文化層として自らを形成することに私たちは失敗して来た。そしてこれは、各層への文化の普及滲透を任務とする出版人の責任でもあった。
一九四五年以来、私たちは再び振出しに戻り、第一歩から踏み出すことを余儀なくされた。これは大きな不幸ではあるが、反面、これまでの混沌・未熟・歪曲の中にあった我が国の文化に秩序と確たる基礎を齎らすためには絶好の機会でもある。角川書店は、このような祖国の文化的危機にあたり、微力をも顧みず再建の礎石たるべき抱負と決意とをもって出発したが、ここに創立以来の念願を果すべく角川文庫を発刊する。これまで刊行されたあらゆる全集叢書文庫類の長所と短所とを検討し、古今東西の不朽の典籍を、良心的編集のもとに、廉価に、そして書架にふさわしい美本として、多くのひとびとに提供しようとする。しかし私たちは徒らに百科全書的な知識のジレッタントを作ることを目的とせず、あくまで祖国の文化に秩序と再建への道を示し、この文庫を角川書店の栄ある事業として、今後永久に継続発展せしめ、学芸と教養との殿堂として大成せんことを期したい。多くの読書子の愛情ある忠言と支持とによって、この希望と抱負とを完遂せしめられんことを願う。
一九四九年五月三日
「角川文庫解説目録2020」 (かどかわぶんこかいせつもくろく)
角川文庫