絶版文庫書誌集成

角川文庫 【ふ】

フィツジェラルド著 飯島 淳秀訳 (いいじまよしひで)
「雨の朝パリに死す」
 (あめのあさぱりにしす)


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*232頁
*発行 昭和43年
*カバー画像・日本ヘラルド映画化カバー

*カバー文
 奔放な妻ヘレンとの生活に疲れはてて失意の酒に酔いしれていたチャーリーは、妻の死によって一人娘への愛情にめざめ、娘を取り返そうとパリに戻ってくるが、ふと出会った昔の女に過去が甦える。第一次大戦後のパリを背景に男女の愛情のもつれを描く。
 他に「カットグラスの鉢」「冬の夢」「罪の赦し」「金持ちの青年」を収める。


フィツジェラルド著 谷口 陸男訳 (F.Scott Fitzrerald たにぐちりくお)
「夜はやさし 上下巻」
(よるはやさし Tender is The Night)

 
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*上巻302頁 / 下巻252頁
*発行 1960年
*カバー画像・平成元年刊「リバイバル・コレクション」版カバー

*目録文
「失われた世代」の決算報告書といわれる自伝的長編小説。


フィツジェラルド (F.Scott Fitzrerald) 大貫 三郎訳 (おおぬきさぶろう)
「ラスト・タイクーン」 (The Last Tycoon)


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*291頁
*発行 昭和52年
*カバー画像・平成元年刊「リバイバル・コレクション」版カバー

*カバー文
「失われた世代」を代表する著者は、
本書を執筆中、
突然の心臓発作におそわれ急逝した。
ハリウッドを舞台にくりひろげられる
栄光と破局そして死。
未完の最高傑作に
著者自身の創作ノートを付す。


福田 隆義 (ふくだたかよし)
「画家から作家へ 絵の贈り物」 (えのおくりもの)


*カバー装画・福田隆義
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*125頁 / 発行 1983年

*カバー文
画家から作家へ ― この「絵の贈り物」は、イラストレーターの福田隆義氏が、最初に絵を書き、それぞれの作家が絵を見て思い浮かべたイマジネーションによって文章を書くという試みでつくられました。
 意匠を凝らしてさまざまな広がりをもたせる福田隆義氏の絵の世界と、この絵から展開する珠玉のストーリーの味わいをお愉しみ下さい。

*目次
推薦の言葉 沼を蔵(しま)った女たち 藤本儀一
蛾 … 吉行淳之介 / 朧夜の前に … 中田耕治 / 老年 … 藤沢周平 / 夜のリフレーン … 皆川博子 / 草原の人形 … 眉村卓 / Who? … 田村隆一 / 谷底の少年 … 藤原審爾 / 旅がらす … 池波正太郎 / 赤い夢 … 中山あい子 / ステージ … 多岐川恭 / 生と死の世界 … 柴田錬三郎 / 課題小説 … 都筑道夫 / ある猫のインモラル物語り … 戸川昌子 / 珍品はだいじに オオカミの変身 … 田中小実昌 / 渚の風景 … 佐藤愛子 / 猫の目 … 森村誠一 / 渚 … 谷恒生 / 羽根 … 樹下太郎 / 無礼 … 山田正紀 / ルーツ … 河野典生 / 返書 … 赤江瀑 / 忍冬(すいかずら) … 藤本儀一
 あとがき 福田 隆義


布施 英利 (ふせひでと)
「死体を探せ!」
(したいをさがせ)
角川ソフィア文庫


*カバー・石倉ヒロユキ
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*220頁 / 発行 1999年

*カバー文
死体は、汚らわしいものでも「仏さま」でもない。死体は「死体」なのだ ―― 。誰もがやがて死を迎える運命にあって、人類はこれまで“死”をどう捉え、“死体”をどのように扱ってきたのだろう? マス・メディア等によって死の映像が大量に流される現代、逆に現実感を失い、我々の前から姿を消してしまった死体。その死体を手がかりに、都市、芸術、精神世界、宗教など、人類史上はじめて浮かび上がってきた諸問題に切り込んだ画期的現代文明論。

*目次
T 死体のある暮らし
 1 死体洗いのアルバイト / 2 人体解剖実習 / 3 プラスチックの死体
U アーチストの視線と眼差し
 4 脳死体は死体か / 5 レオナルド・ダ・ビンチはなぜ死体解剖をしたのか / 6 映画に見る死体の食べかた / 7 死体はモノか
V メディア都市に消えた死体
 8 江戸に消えた死体 / 9 アンディ・ウォーホルの死体美学 / 10 身体の図像学 / 11 人工生命のらせんとリズム / 12 脳化都市の人体地図
W 死体を探せ!
 13 バーチャル・リアリティの死 / 14 人体という電子の鍵 / 15 電子の幽霊
 あとがき / 文庫版のためのあとがき


フックス著 安田 徳太郎訳 (やすだとくたろう)
「完訳 風俗の歴史 第7巻 市民階級の自由宣言」 (かんやくふうぞくのれきし)


*カバー・クールベ「泉」
 写真提供・A&M社

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*370頁 / 発行 昭和47年

*目次
 フックスのまえがき
はじめに
 ブルジョア国家の誕生 / ブルジョア時代の性生活
一 ブルジョア時代
 1 ブルジョア社会の支配の始まり
  手工業から機械工業へ / 拡大するブルジョアの利益 / 立ち遅れたドイツの近代化
 2 観念と実践
  中性の終結と人権の目ざめ / ルソーの示した新しい性の理想 / 新たしい結婚の目的 / 新しいモラルの示威 / 階級闘争の成立と激化 / 市民階級と君主制との妥協 / プロレタリア階級への恐怖 / イギリス・ブルジョア階級の偏見 / 資本主義の生活法則 / 資本主義と奴隷売買 / イギリス工場における児童虐待 / 家内工業での児童労働者 / 婦人労働者の苦難 / 繁栄の中の飢餓 / ドーミルの「ツナの宿屋」は語る / 労働者たちの悲惨な宿命 / ドイツ労働者の生活 / スペイン貧民の穴居生活 / 富の蓄積と大衆の貧困 / 農業労働者の場合 / 性観念の転化 / 女性の貨幣価値 / しろうと売春の流行 / 貞淑と変態の両面 / 処女を買う遊蕩家たち / 専制主義的遊蕩の残存 / 労働階級の性生活 / 住居状態の及ぼす風紀への影響 / 農業労働者たちの退廃
 3 偽善
  プロレタリア階級の勢力獲得まで / ブルジョア階級の趣味 / 礼儀作法に示されるブルジョア道徳 / 性と自由恋愛の追放 / 持参金目当ての結婚 / イギリス上流社会の偽善 / アメリカ人もまた偽善の皮の下で

二 ブルジョア時代の肉体的人間
 1 ブルジョア的理想美
  時代によって変わるイタリア / ルネサンスの発展 / ロココへの憎悪と熱狂 / 古代ローマの英雄たちが理想像 / 理想的タイプの男性の条件 / 女性の理想像も変わった
 2 ブルジョア的理想
  理想像としての実業家 / エロチックな曲線の再現 / 新しい享楽的なタイプの女性 / 世紀末のデカダン趣味 / 一方では乳房への願望
 3 機械時代の影響
  ロダンの証言 / 衣服と工業による美の破壊 / 美しさを破壊する資本主義の利潤率
 訳注
「風俗の歴史」第七巻補遺
 補遺第三巻(原書)のまえがき
 補遺
 訳注


フックス著 安田 徳太郎訳 (やすだとくたろう)
「完訳風俗の歴史 第8巻 世紀末の風潮」 (かんやくふうぞくのれきし)


*カバー・ブロンツィーノ「時と愛のアレゴリー」
 写真提供 A&M社
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*394頁 / 発行 昭和47年 / 全9巻

*目次
一 ブルジョア的服装
 1 服装における民主主義
  国際的制服の誕生 / 男性的文化の象徴
 2 流行の変化
  ブルジョワ時代の特徴的現象 / 流行を左右する二つの重要な原因 / 移り変わる男性モード / 女性モードについての二つの見解 / 流行の伝統と論理をもつパリ
 3 革命服
  「服を着て裸体に見せる」 / ギリシア式服装の実現 / 女だけに許された露出 / 透明な服装の流行 / モードを支配する支配階級
 4 クリノリーヌ
  コルセットとふくらむスカート / クリノリーヌへの批判と賛同 / 流行の方向転換
 5 服装による裸体
  女性はヒップを誇示する / 裁縫師は単純化に熱中する
 6 デコルテとブラウス
  デコルタージュの科学 / 有産階級のデコルテ好み / 恋つきブラウスの解決したこと
 7 女のドゥス
  下着の進歩と目的 / 靴下と靴下どめの役割 / ジュボンとズロース / 絵や舞台に現れた下着
 8 流行服の改良
  改良運動の失敗 / 改良思想敗北の理由
二 結婚と恋愛
 1 理性による結婚
  売買対象としての恋愛
 2 結婚周旋屋と求婚広告
  要求から生まれた機関 / 求婚広告に見る結婚の条件 / 軍人と貴族の広告例 / 習慣になった爵位の売買 / アメリカ女性のあこがれ / 絵画に現われた結婚風俗 / 結婚のための策略 / 結婚取引きのための餌
 3 コケットリー
  すべては男性を手に入れる手段 / ネグリジェの新しい型水着
 4 フラート
  求愛の前奏曲から性満足の代用品へ / フラートでの談話 / 半処女の正義感 / 過大に評価された処女性 / 娘のフラートを許す別の理由 / 国際的現象になったフラート / ロシア上流階級の恋愛観 / フラートにおける階級差 / フラートの近代的解決
 5 結婚前の性関係
  その支配的原則 / 資本主義のやむをえない結果 / 結婚への経済的制約 / 農村における風紀の実体 / 接待婚と寝台の奴隷制 / おそくなる結婚年齢 / 教会の批判と世論
 6 自由恋愛
  個人の独立を前提に / ポエーム的恋愛の悲劇 / 労働者の結婚と自由恋愛
 7 性教育
  啓蒙と無知と客観的理解 / ヘッダ・ドロネクの経験 / 無知の上に築かれた道徳と結婚 / 無知と偽善の絶対支配 / 性教育のプログラム
 8 産児制限
  有産階級に多い理由 / 人間の利己的な意志 / 修正できない自然法 / 人工流産の流行
 訳注
「風俗の歴史」第八巻補遺
 補遺
 訳注


船山 馨 (ふなやまかおる)
「続 お登勢」 
(ぞくおとせ)


*カバー・佐藤忠良
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*516頁 / 発行 昭和52年

*カバー文
 徳川幕府は倒れ、明治新政府は樹立された。
 しかし、待望された四民平等の夢は破れ、官員が武士に代り、士農工商の別が消えたあとに、皇族、華族、士族、平民の新序列が生まれた。
――いったい、貢たちはなんのために命を的にたたかってきたのだろうか。
 お登勢は胸の詰る思いがしたが、なおも明日への希望を捨てず、旧稲田藩から移住した人々と共に静内開拓に励んだ。
 が、徴兵令、廃刀令など政府の諸政策は旧士族階級の間に次第に不平を高め、明治10年、遂に西南戦争が勃発、お登勢との愛に新生をかける加納陸太郎も西郷軍討伐の志願兵となって南下した。……
 北海道を舞台に、幕末から明治への激流の中にけなげな一生を刻んだヒロインを描く大河小説完結篇。

*解説頁 小松伸六

【親本】毎日新聞社
299頁・単行本 / 1973年発行 (画像はクリックで拡大します)


船山 馨 (ふなやまかおる)
「花と濤」上下巻
 (はなとなみ)


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*上巻478頁・下巻528頁 / 発行 昭和55年
*カバー・佐藤忠良

*上巻カバー文
 明治13年、秋 ― 8歳で父を失った人形師の子、庄太は母親に連れられて故郷淡路島より海を渡り、阿波の木偶人形師、定蔵のもとに弟子入りした。父の死後、母が新しい男との生活のためにあづけられたことを自覚した庄太は、父に劣らぬ人形師になる決意を幼な心にかためていたのだった。そのとき、定蔵の一人娘、夏江はまだ2歳の幼女であった。
 ひたむきな修業に励み、人形師としての腕を認められた庄太の心には、美しく成長した夏江への思いが強く芽ばえていった……。
 民衆の生活を奪いながら富国強兵への道へと、大きく移り変わる明治の世を背景に展開する感動の長編大河ロマン。


プラトン著・山本 光雄訳 (やまもとみつお)
「プラトン書簡集哲学者から政治家へ」
 (ぷらとんしょかんしゅう)


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*245頁 / 発行 昭和45年
*カバー画像・平成2年発行「リバイバル・コレクション」版カバー

*カバー文
ギリシャ哲学の高峰であるプラトンが、デュオニソス等当時の一流政治家たちへ宛てた手紙の数々。訳者多年の研究による解説を付す。

*目次
 凡例
第一書簡 (ヂオニュシオスへ)
第二書簡 (ヂオニュシオスへ)
第三書簡 (ヂオニュシオスへ)
第四書簡 (デオンへ)
第五書簡 (ペルヂッカスへ)
第六書簡 (ヘルメイアス、エラストス、コリスコスへ)
第七書簡 (ヂオンへ)
第八書簡 (ヂオンへ)
第九書簡 (アルキュタスへ)
第十書簡 (アリストドロスへ)
第十一書簡 (ラオダマスへ)
第十二書簡 (アルキュタスへ)
第十三書簡 (ヂオニュシオスへ)
 訳注
 解説
  一 『プラトン書簡集』の真偽について
  二 プラトンのシケリア旅行
  三 ヂオンの遠征とその結果
 年表
 ヂオニュシオス家の系図
 プラトンの系図
 ヂオニュシオスの城壁完成後のシュラクサイの地図
 プラトン及びヂオン時代の南イタリアとシケリアの地図
 あとがき
 索引


フランシス・ジャム著, 安東次男訳 (あんどうつぐお)
「野うさぎ物語」 (のうさぎものがたり)


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*114頁・旧仮名旧字体 / 発行 昭和28年
*カバー画像・平成元年刊「リバイバル・コレクション」版カバー

*カバー文
象徴主義の晦渋と対照をなす
清純なジャムの詩型は、
田園の風物をとらえ、
素朴な人々を描き、
大麦の穂のうえに、
天使の群れ飛ぶ姿を写し出した。
愛と神との遍歴の中に歌い上げられた
初期散文詩・詩篇を収録。


フランソワ・ボワイエ著 花輪 莞爾訳 (はなわかんじ)
「禁じられた遊び」 (きんじられたあそび)


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*222頁
*発行 昭和45年
*写真提供・東和映画 映画「禁じられた遊び」より

*紹介文
戦禍で両親を失った少女ポーレットは、あてもなく田舎の村へ行きミッシェル少年と会う。ふたりは大人の騒動をよそに、モグラやヒヨコの墓に十字架をたてるという秘密の遊びに熱中する。感動を呼ぶ名作。

*挿絵・山内國任


フランツ・カフカ著 (Franz Kafka) / 中井 正文訳 (なかいまさふみ)
「アメリカ」


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*436頁
*発行 昭和47年
*カバー画像・平成元年刊「リバイバル・コレクション」版カバー

*カバー文
故国ドイツを追われたカール少年はアメリカに渡る……。
現在、最も注目すべき作家カフカの
一種の冒険旅行小説の形式を借りた本書は、
「城」「審判」とともに
孤独三部作といわれ、
絶好のカフカ入門テクストである。


フロイド著 安田 徳太郎・安田 一郎訳 (やすだとくたろう・やすだいちろう)
「性と愛情の心理」 (せいとあいじょうのしんり)


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*222頁
*発行 昭和30年
*カバー・栃折久美子

*カバー文
フロイドの神経症患者に対する体験が、心理現象に対する性の重要性を認識せしめたのである。本書は、その性に関する三つの先駆的な考察をおさめる。
「『文化的』性モラルと現代の神経質」
「愛情生活の心理学」
「性の理論に関する三つの論文」その一「性の常軌逸脱」その二「小児性欲」その三「思春期の改造」及び「総括」


フロイド/イェンゼン 安田 徳太郎 安田 洋治訳 (やすだとくたろう やすだようじ)
「文学と精神分析 【グラディヴァ】」
 (ぶんがくとせいしんぶんせき)


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*227頁 / 発行 昭和35年
*カバー画像・平成2年刊「リバイバル・コレクション」版 カバーデザイン・鈴木一誌+蒲谷孝夫

*カバー文
ドイツの作家イェンゼンの空想的な著作「グラディヴァ」をフロイドが精神分析的アプローチで読み解く。
精神分析の文学への最初の応用として絶賛された画期的著述。

*目次
 訳者のまえがき 安田徳太郎
グラディヴァ ― イェンゼン
「グラディヴァ」における妄想と夢 ― フロイド
 解説 安田一郎


フロベール著 / 神部 孝訳 (Gusutare Flaubert・かんべたかし)
「サランボオ(上下巻)」
(Salammbo)




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*上215頁・下205頁・旧仮名旧字体
*発行 昭和28年
*カバー画像・平成元年発行の「リバイバル・コレクション」版カバー
 カバーデザイン・鈴木一誌

*カバー文
今は跡かたもなく消え去った前三世紀のカルタゴを舞台に、ヌーボー・ロマンの源流に位置するフローベルが描く女神官「サランボウ」の至純の恋。〈小説の世紀〉を代表する傑作。

*解説頁・根津憲三