絶版文庫書誌集成

角川文庫 【は】

萩原 朔太郎 (はぎわらさくたろう)
「詩集 月に吠える」
(つきにほえる)


(画像はクリックで拡大します)

*256頁 / 発行 昭和44年(改版)
*カバー画像・平成元年刊「リバイバル・コレクション」版カバー

*カバー文
朔太郎三二歳の処女詩集。発表当時、最もすぐれた日本近代象徴詩として、その詩的表現の新しさ、音楽的旋律が
全詩壇に強い刺激を与えた。白秋、犀星らの寄せた文、著者自身による編集、出版をめぐる回想を収録。


*目次
月に吠える / 序 (北原白秋) / 序 (萩原朔太カ) / 詩集例言 / 竹とその哀傷 / 雲雀料理 / 悲しい月夜 / くさつた蛤 / さびしい情慾 / 見知らぬ犬 / 長詩二篇 / 跋 健康の都市(室生犀星) / 插畫附言(田中恭吉) / 插畫附言(恩地孝四カ) / 故田中恭吉氏の藝術に就いて(萩原朔太カ) / 松葉に光る / 松葉に光る / 散文詩 (四篇) / 純銀の賽 / 純銀の賽 / 附録 / 再版の序 / 『月に吠える』出版前後のこと / 風俗壊亂の詩とは何ぞ / 詩壇に出た頃 / 解説 伊藤信吉


長谷 章久 (はせあきひさ)
「写真 東京の中の江戸」
 (しゃしんとうきょうのなかのえど)


*カバー・都鳥りと桜田門(著者撮影)
(画像はクリックで拡大します)


*274頁 / 発行 昭和42年

*カバー文
 輝かしい江戸の文化、いまなおそのなごりを伝えてやまぬ東京の文化 ― これらをほんとうに愛する方々に本書を捧げたい。
 伝統や遺跡はもとより、独自の風習や行事、さては「いき」や「いなせ」の如き江戸っ子の気っ腑に至るまで、豊富な写真を加えての解説は、かならずや御満足を得ることであろう。
 ときあたかも明治百年、このへんで江戸開府以来四百年になんなんとする文化の実体を、明確に見きわめておくのも無意義ではあるまい。

*目次
都鳥乱舞
 東京の名鳥 / 詩情にみちた景観
皇居をめぐって
 皇居のたたずまい / 太田道灌と江戸城 / 江戸の地名の由来 / 江戸太郎の墓 / 葛西一族 / 江戸の昔をしのぶ / 浅草寺
古い伝説のなごり
 竹芝寺伝説 / 竹芝寺の遺跡 / 亀塚古墳 / 都内の古墳 / 浅茅が原一つ家伝説 / 梅若伝説 / 妙亀塚 / 梅若塚 / 将門伝説
将軍と大名の文化
 家康の江戸入城 / 江戸の都市づくり / 江戸の人口と家数 / 大名屋敷 / 江戸の名園 / 大名の知的水準 / 大名たちの生活 / 将軍の日常生活 / 将軍の墓所 / 幕府の政策 / 昌平黌(こう)
町人の世界
 町人の擡頭(たいとう) / 四民の人口 / 資本家登場 / 町人文化の開花 / 江戸っ子 / 江戸っ子から東京っ子へ
江戸っ子気質(かたぎ)
 美の代償 / なごりの町屋 / 目に止まる古建築
現代版いきの種々相
 三社祭 / 手児舞 / 鳶 / 川並 / 仕事着 / 刺青
文人気質
 芭蕉 / 江戸っ子の文人たち / 歌碑・句碑を訪ねて
柳暗花明
 吉原 / 芸者 / なごりもとどめぬ遊里
江戸っ子礼賛
 いまも見る江戸風俗 / びんざさら / 祭囃子 / 陀羅尼の鬼 / ほおずき市 / 羽子板市 / 御会式 / 酉の市 / 職人仕事 / 江戸っ子礼賛
江戸は生きている
 彰義隊と江戸っ子 / 江戸から東京へ / 文明開化 / 江戸は生きている
 江戸遺跡一覧
  カラー写真・本文写真 著者


埴原 和郎 (はにはらかずろう)
「日本人の骨とルーツ」
(にほんじんのほねとこころ)
角川ソフィア文庫



*カバー写真・世界文化フォト社提供
(画像はクリックで拡大します)

*297頁 / 発行 2002年

*カバー文
日本人の起源と形成の問題はいまだに研究者の興味を引き、論争の的になっている問題も少なくない。本書では、現代にもみられる日本人の地域性を、縄文系集団と渡来系集団の混血の濃淡によって説明し、地域性や自然環境、文化の発展などにも着目する。日本人の形成史を縄文系と渡来系の「二重構造モデル」で分析し、自然人類学の視点で日本人のルーツを探る。

*目次
第一章 アジア人の系譜
第二章 日本人のルーツ ―― 二重構造モデル
第三章 寒冷適応 ―― 日本人形成のキーワード
第四章 エリザベス・サンダース・ホームの子供たち ―― 日米混血児の歯
第五章 歯の人類学
第六章 日本人の顔
第七章 アイヌ研究事始め
第八章 日本の中の異民族 ―― エミシとハヤト
第九章 奥州藤原氏四代の遺体
第十章 「ヒマラヤの雪男」を推理する
第十一章 古代人の心を読む
第十二章 人類の現在、そして将来
 あとがき
 文庫版あとがき


馬場 あき子 (ばばあきこ)
「鬼の研究」 
(おにのけんきゅう)


*カバー写真・吉越立雄氏提供
(画像はクリックで拡大します)
*282頁 / 発行 昭和51年

*カバー文
 私が『鬼の研究』において求めようとしたものは、鬼という異形の思想にかくれて生きた人々のあったことへの嗟嘆であった。説話や民話、伝承の主人公として、さまざまの変容を重ねつつ、滅び、滅ぼされていった鬼たちの精神史は、どこを取り上げても、より人間的な存在への意志や心の葛藤を感じさせる。鬼の歴史に一貫する隠微な情念の暗さ、そうした暗さにしか生きられなかった日本の怪・力・乱・神の存在こそ、最も尖鋭な歴史の反照部分であったといえよう。 ―― 「あとがき」より

*目次
はじめに―鬼とは何か
一章 鬼の誕生
二章 鬼を見た人びとの証言
三章 王朝の暗黒部に生きた鬼
四章 天狗への憧れと期待
五章 極限を生きた中世の鬼
おわりに―鬼は滅びたか
文庫版あとがき
解説 池田弥三郎



羽山 信樹 (はやまのぶき)
「流され者 (6)壬生宗十郎・死生の章」
 (ながされもの)


*カバー装画・ペーター・佐藤
(画像はクリックで拡大します)

*385頁
*発行 1986年

*カバー文
 幕末、日本国を乗っ取り、世界制覇を夢みたとてつもない男がいた。
 無二の親友竜馬の暗殺死に慟哭した宗十郎は、その出世(しゅっせい)の暗い秘密を握った敵の陥穽を前に、最愛の人までも自ら犠牲にせざるを得なかった……。
 謎の参謀“歩詰めの政”を中心とする八丈海軍の不穏な反乱の動き、そして伊勢守ら幕府方との知力を尽した暗闘は、いよいよ急を告げ、対決の刻は迫る……。
 流刑の島に展開する、和製スーパーヒーロー壬生宗十郎の華麗な愛と壮絶な死闘! 大反響のうちに白熱のシリーズ全6冊ついに完結。

*解説頁・武蔵野次郎

羽山 信樹 (はやまのぶき)
「幕末刺客列伝」 
(ばくまつしかくれつでん)


*カバー・ペーター佐藤
(画像はクリックで拡大します)


*285頁 / 発行 1987年

*カバー文
 刺客と呼ばれた十人の男たちは皆、声無く散っていった。闘うことだけを“生の証し”とし、対極にある“死”は安住の地に他ならなかった。
 近代国家への黎明期、“人斬り”という暗殺剣に生きた男たちの姿を鮮やかに甦らせた、衝撃の連作全十編。
 超時代小説『流され者』で鮮烈なデビューを遂げた、期待の大型新人作家が放つ入魂の連作時代小説。

*目次
以蔵の指〈岡田以蔵〉 / 新兵衛の肚〈田中新兵衛〉 / 信吾の歯〈那須信吾〉 / 半次郎の腕〈中村半次郎〉 / 総司の眸〈沖田総司〉 / 唯三郎のふぐり〈佐々木唯三郎〉 / 次左衛門の掌〈有村次左衛門〉 / 彦斎のつむじ〈川上彦斎〉 / 歳三の瞼〈土方歳三〉 / 博文の貌〈伊藤博文〉 / 解説 尾崎秀樹


原口 統三 (はらぐちとうぞう)
「二十歳のエチュード」 
(はたちのえちゅーど)


*カバー・広みさお
(画像はクリックで拡大します)

*212頁 / 発行 1952年

*カバー文
 身をもって表現の虚偽を知り、それから区別された自我の純潔を生きようとした青年は、20歳でみずからの生命を絶たねばならなかった。しかも、エチュードは「僕は最後まで誠実ではなかった」のことばで結ばれる。この壮烈かつ潔癖な魂の存在は、同じ世代を生きつつある人々を激しくつき動かすことだろう。

*目次
 立ち去る者 森有正
初期詩篇
 天外脱走
 海に眠る日
 小唄
 断片
二十歳のエチュード
 訣別の辞に代えて
 Etudes 1
 Etudes 2
 Etudes 3
書簡・遺書・雑篇
 注釈
 解説 橋本一明
 原口統三略年譜


バルザック著 竹村 猛訳 (Honore de Balzac・たけむらたけし)
「純愛 【ウジェニー・グランデ】」 
(じゅんあい・Eugenie Grandet)


(画像はクリックで拡大します)

*283頁
*発行 昭和32年
*平成2年刊「リバイバル・コレクション」版カバー / カバー・デザイン ― 鈴木一誌+蒲田孝夫

*カバー文
ウジェニーの純愛と父グランデの貪欲。さまざまな情熱のかたちを完璧な人物描写と風俗描写で描く詩情ただよう「人間喜劇」。著者四大傑作の一。


バートン / 大場正史訳 (Sir Richard Burton/おおばまさふみ)
「バートン版 アラビアンナイト物語 ― 千夜一夜物語拾遺」



(画像拡大不可)

*326頁 / 発行 1965年
*カバー画像・平成2年刊「リバイバル・コレクション」版カバー

*カバー文
これほど全世界に広く流布されている物語は少ない。民話として中東に語り伝えられた奇想天外な美しい空想の世界を、定評あるバートン版で贈る。

*目次
アラジンと不思議なランプ
 訳注
アリ・ババと四十人の盗賊
道化者・アブ・アル・ハサン
賢者と三人の息子の話
強盗と女の話
三人の男と主イサの話
王座と財宝をとり返した王の話
ふさぎ屋とぺてん師の話
ふたりのいかさま師の話
いかさま師と両替屋と驢馬の話
 訳注