絶版文庫書誌集成

角川文庫 【こ】

圀府寺 司 (こうでらつかさ)
「ゴッホ 日本の夢に懸けた芸術家」
(Gogh)
角川文庫 Kadokawa Art Selection


(画像はクリックで拡大します)

*204頁 / 発行 2010年
*カバー / 〈灰色のフェルト帽の自画像〉
 1887年 ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)
 (C)Van Gogh Miseum,Amsterdam(Vincent Van Gogh Foundation)
 カバーデザイン / 大武尚貴(角川書店装丁室)

*カバー文
ゴッホ研究の第一者である著者が、初めて初心者向けに書き下ろした濃密な入門書登場! 必ず押さえておきたいゴッホの代表作をカラーで紹介し、その絵の魅力と描かれた背景、そして彼自身と彼を支えた人々の想いを、ゴッホの多くの資料を繙きながら詳しくかつ簡潔に解説。さまざまな伝説が一人歩きするゴッホだが、本当は何を見て、何を感じ、何を表現しようとしていたのか……。彼の気持ちもじっくり味わえる永久保存版の1冊。

*目次
 ラングロワの橋 一生に一度の夢のはじまり
 序 出生から画家になるまで
 参考文献・凡例
第一章 オランダ時代 愛に飢えた修業者
第二章 パリ時代 豊穣なる混沌の一幕
第三章 アルル時代 夢への逃避行「日本」色のユートピア
第四章 サン=レミ時代 迫りくる悪魔たち
第五章 オーヴェール=シュル=オワーズ 切れた糸
 あとがき


河野 多恵子 (こうのたえこ)
「男友達」
 (おとこともだち)


(画像はクリックで拡大します)

*226頁
*発行 昭和47年
*カバー・村上芳正

*親本の帯文
芥川賞受賞後の長篇
幼友達と愛人……二人の男によせる現代女性の怪しく真実な愛を描き新分野を開拓した野心的長篇!

*解説頁・秋山駿


河野 多恵子 (こうのたえこ)
「最後の時」
(さいごのとき)


(画像はクリックで拡大します)

*265頁
*発行 昭和50年
*カバー・村上芳正

*カバー文
 ある日、則子は正体不明の絶対者から26時間後の死を宣告された! 残り少ない最後の時間、夫の身の回りの物を整理し、心覚えをメモしているうちに則子は、今までの結婚生活が名ばかりのものではなかったかと思った……。円満な夫婦生活の中に内包されている虚偽をあばき、真に生きていると実感できる結婚生活とは何なのかを執拗に問い続けた、第6回女流文学賞受賞の表題作他5編を収録。

*目次
最後の時 / 蟻たかる / 臺に載る / 明くる日 / みち潮 / 幸福 / 解説 日野啓三


文・写真 小林 麻美 (こばやしあさみ)
「私生活 ― PRIV´E」
(しせいかつ)


*カバーデザイン・奥村靭正
 写真・著者
(画像はクリックで拡大します)

*135頁 / 発行 1988年

*カバー文
エルメスのケリー・バック。くちなし色のストッキング、真珠のピアス、リボン、黒いシーツetc ―― 長い時を経て生き残ったものたち。
思いがけない都会の雪、路地裏の光線 ―― 一瞬のきらめきを見せる風景。
おいしいごはんの味を知っているいい男 ―― 頑丈でたおやかで繊細な人たち。
大好きなものたちへの「愛しさ」「はかなさ」を、麻美が写し、綴った、美しいフォトエッセイ。

*目次
DEAR MY FRIEND
 ボーディング・パス
 男たちは何を見たのか
 おともだち“素敵な”由美ちゃん
EROTIC…!! SEX…Y…!
 公然の秘密
 少しだけ写真のこと
 ふたしか
MY FAVOURITE THINGS
 はんなりと
 昇華
 パンドラの箱
 ハイジャックしてくれる?
 あの海のように
 レクイエム

純白の濁り 沢木耕太郎


小林 秀雄 (こばやしひでお)
「ゴッホの手紙」 (ごっほのてがみ)


*カバー装画・栃折久美子
(画像はクリックで拡大します)



平成元年発行「リバイバル・コレクション」版カバー

*223頁
*発行 昭和41年

*カバー文
「僕の魂の中には大きな火があるのだが、誰も暖まりにやって来る者はいない」
天才画家ゴッホは炎の人だ。しかしその炎は俗人向の生ぬるさではない。ひたむきに燃えさかる永遠の火だ。貧しい人々への常軌を逸した献身。失恋。売春婦との結婚。そして破局。孤独の中をのたうち廻りながら弟テオに与えた切々の手紙。


小林 秀雄 (こばやしひでお)
「常識について」 (じょうしきについて)


(画像はクリックで拡大します)

*324頁
*発行 昭和43年

*カバー装画・栃折久美子

*カバー文
著者は真の意味の創造的な叡智の評論家である。その独自の直観、読む人の心を捉えてはなさない。「常識について」「真贋」「蟹まんじゅう」等のユニークなエッセイをはじめ、「政治と文学」「ソヴェトの旅」の講演を含め、円熟した著者の現在を語るものである。

*解説頁・吉田?生


小林 秀雄 (こばやしひでお)
「ドストエフスキイの生活」
 (どすとえふすきいのせいかつ)


(画像はクリックで拡大します)

*261頁
*発行 昭和43年

*カバー文
年少にして母を失い、父は農奴に惨殺され自らは空想的社会主義者の群れに投じて社会改革を夢みる文学青年ドストエフスキイは金使いの荒いブルジョワ息子であった。思想犯、死刑囚、シベリア流刑人、姦通、失恋、パリー旅行、借金、賭博、あらゆるどん底の痛苦をなめ尽くし、なおも溢れる人間への愛。彼の作品は血と涙の結晶なのだ。


小林 秀雄 (こばやしひでお)
「私の人生観」
 (わたしのじんせいかん)


*カバー・栃折久美子
(画像はクリックで拡大します)

*179頁 / 発行 昭和29年

*カバー文
日本はなぜ敗れたのか。近代日本文化とはかくももろいものだったのか、そしてこの軽薄な戦後文化の氾濫は何か、敗戦の傷痕を全身にうけて己をずたずたに引裂いた著者が深い反省と沈潜から立ち上がって文壇に突きつけた果し状はこれだ。著者の叡知と真実の光っている名作。他にユニークな随筆二十一篇収録。

*目次
1
 骨董 / 同姓同名 / 失敗 / 処女講演 / 初舞台 / 僕の大学時代
2
 山 / カヤの平 / 初夏 / 湯ヶ島 / 蔦温泉
3
 菊池さんの思い出 / 横光さんのこと / 島木君の思い出 / 嘉村君のこと / 真船君のこと / 嵯峨沢にて / 富永太郎の思い出 / 瓢鮎図 / 崑ちゃん / 中原中也の思い出
4
 私の人生観
 
 解説
  小林秀雄 ― 人と作品 / 作品解説 亀井勝一郎
  主要参考文献 吉田?生 / 年譜 吉田?生


小松 和彦 監修 (こまつかずひこ)
「妖怪 YOKAI ジャパノロジー・コレクション」
(ようかい)
角川ソフィア文庫


*カバー / 北斎「百物語 お岩さん」
 (一財)日本浮世絵博物館
(画像はクリックで拡大します)

*206頁 / 発行 2015年
デザイン 木村裕治 / 佐藤幹 木村デザイン事務所

*カバー文
不安や恐怖を与える不可思議な現象を説明する存在として生み出された妖怪文化。目にみえないその姿を、日本人は古くから想像力を駆使して描いてきた。北斎・国芳・芳年・石燕をはじめ、有名妖怪絵師たちが描いた妖怪画百点超を、オールカラーで大公開! 人間の前に出現し、飲んで踊って、戦い、退散する場面、さらに妖怪の種類や絵師ごとに、その多彩な魅力をたっぷり紹介。魑魅魍魎で時に滑稽、可愛くて怖ろしい、紙上「妖怪画の展覧会」へようこそ。

*目次
 はじめに
第一章 妖怪出現!
第二章 妖怪の宴
第三章 いざ、戦い
第四章 妖怪退散!
第五章 妖怪事典
 河童 / 鬼 / 天狗 / 山姥・山男 / 幽霊 / 化け物いろいろ / つくもがみ
第六章 偉大なる絵師たち
 北斎 / 国芳 / 芳年 / 石燕 / 暁斎 / 芳幾 / 鴻山
第七章 妖怪で遊ぶ
最終章 お化け大集合!
 おわりに


小松 左京 (こまつさきょう)
「青い宇宙の冒険」 (あおいうちゅうのぼうけん)


(画像はクリックで拡大します)

*284頁
*発行 昭和51年
*カバー・生頼範義

*カバー文
 K市の新興住宅地・こうじが丘にあるまもるの家では、この三晩、獣がうなるような怪音が地底から響いてきた。学校図書室の古文書にも ― 四百年以上も前から正確に六十年間隔でこの怪現象が起きている ― と記録されていた。そういえば、この丘では、松葉がねじれ曲がっていたり、蟻やこうろぎが無数に死んでいる。しかも、付近で見つけた折れ釘や針金が磁気をおびていた。妙だ、天変地異の前ぶれだろうか?
 “怪音”に吸い寄せられたかのように、こうじが丘の土中深く引きずりこまれ、謎と危険に満ちた異様な体験をするまもるたち。広い宇宙を“外側”から見つめた、著者最高の宇宙冒険ロマン!

*解説頁・柴野拓美


小松 左京ほか (こまつさきょう)
「SFバカばなし ― おもろ放談」 
(えすえふばかばなしおもしろほうだん)


(画像はクリックで拡大します)

*316頁
*発行 1981年

*カバー文
宇宙感覚のおしゃべり大会
食糧危機は目じゃないよ、霊魂だって食えるんだ。
人口増加はホ モでふせごう。
奇才、怪才、珍才、変才…SF作家が勢揃い
どんな話が出てくるか、
爆笑大座談会がはじまるよ。

*出席者
 石井喬司 / 大伴昌司 / 小松左京 / 筒井康隆 / 豊田有恒 / 平井和正 / 星新一 / 矢野徹


五味川 純平 (ごみかわじゅんぺい)
「自由との契約 (上)」 (じゆうとのけいやく)


(画像はクリックで拡大します)

*534頁
*発行 昭和49年
*上中下巻全三冊
*カバー・日暮修一

*カバー文
 日本の敗戦によって、満洲(中国の東北地区)の治安はみだれ、一夜のうちにものの価値が逆転した。昨日までのチャンコロはジャングイ(旦那)に変わった。 ―― 満洲で手びろく商売をやり、中国人たちとも多彩なつきあいがあった千石研介。だが、敗戦による混乱は大きかった。もはや満洲は、日本人にとって希望の地ではない。千石は、わずか20瓲の小さな機帆船で密航。16日間の漂流の果てにたどりついた日本だったが……。敗戦で殺気だった内地に、求めるべき自由はあったのだろうか。著者会心の長編小説。


今 東光 (こんとうこう)
「悪太郎」 
(あくたろう)


(画像はクリックで拡大します)

*564頁
*発行 昭和36年

*カバー文
 まだ中学生でありながら、女と関係を持ち、その間には喧嘩沙汰がたえなり。相手が教師であろうと上級生であろうと平気でなぐり飛ばす。数学がきらいで、文学を愛する“悪太郎”こと今野東吾。直情径行、自分を偽らずに生きる悪太郎の青春の日々が描かれる。著者の自伝小説ではないが、一面を語っていることは間違いない。

*解説頁・十返肇


今 東光 (こんとうこう)
「お吟さま」 
(おぎんさま)


*カバー・紅地雪持柳模様胴衣(部分)
(画像はクリックで拡大します)

*1978年東宝映画化(中野良子主演)カバー
*158頁
*発行 1960年

*カバー文
 十六世紀末、秀吉が全国統一を目ざし、九州征伐、小田原攻めと戦いを繰り返していた頃……。
 千利休の娘お吟は、キリシタン大名である高山右近を一途に慕いつつ、二十になる今日迄嫁入りもせず過してきた。だが秀吉の横恋慕の為、二人は遂に結ばれず、お吟は一人静かに死出の旅へとむかう。
 今東光が情感をこめて謳いあげた戦国ロマン。


コンラッド著・蕗沢 忠枝訳 (ふきざわただえ)
「文化果つるところ」(上下巻)
(ぶんかはつるところ)


(画像はクリックで拡大します)

  *上巻227頁・下巻168頁
*発行 昭和28年
*カバー画像・平成2年刊「リバイバル・コレクション」版/カバーデザイン・鈴木一誌+蒲谷孝夫

*カバー文
ポーランドに生まれ、十一歳で孤児となったコンラッドは、放浪のすえイギリス船の船員となり世界中を航海した。本書は極限状況に投げ出された人間の恐怖と苦闘を描いた初期傑作長編。