*カバーデザイン・大武尚貴
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*208頁 / 発行 2016年
*カバー文
読者の性欲を刺激し、淫心をかき立ててきた官能小説。単純な行為をいかに濃密に淫靡に、いやらしく描くか ── 。先人たちは苦労して、読者の妄想を逞しくさせる官能用語を編み出した。「花弁」「小鳥の嘴」「マグロの赤身」「熱帯」……女性器の斬新な描写からは、表現へのフロンティア精神が感じられる。官能小説の文体確立までの歴史を追いつつ、独自の表現を磨き、鎬を削ってきた作家たちの豊潤で奥深い日本語の世界に迫る。
*目次
はじめに
序章 官能小説の文体の歴史
猥褻裁判 / チャタレイ夫人の恋人 / 四畳半襖の下張 / 団鬼六の『花と蛇』 / 川上宗薫の構造表現 / 豊田行二の登場 / 館淳一のデビュー / 女性征服系から癒し系へ / 女流作家の系譜
第一章 性器描写の工夫
女性器表現の種類 / 複雑な形状
植物派 花にたとえる / 果実にたとえる
魚介派 伝統的な表現 / 海産物
動物派 昆虫や鳥の嘴
陸地派 母なる大地の裂け目
直接派 部分的な効果
肉表現 前後に付ける言葉 / 男性器表現の種類 / 「棒」派と「茎」派
肉表現 なぜ太くて硬くなければいけないか
第二章 性交描写の方法
前戯編 舌戯の多様化 / フェラチオ表現 / クンニリングス表現
性交編 五つの分類 / 恋愛系 / 癒し系 / 嬲り系 / 凌辱系 / 絶倫系
エクスタシー編 絶頂語表現 / 悲鳴表現
オノマトペ表現 四種類の音 / 舐め音 / 粘液音 / 挿入音 / 射精音
第三章 フェティシズムの分類
乳房フェチ 巨乳表現 / 美乳表現
腋窩フェチ 敏感な性感帯
尻フェチ お尻派の種類 / お尻表現 / 後背位へ
アナルフェチ 膣とは異なる快感
太腿フェチ 性交より素股プレイ
脚フェチ パンストの肌触り
足指フェチ 舐めフェチの極致
下着フェチ 付着した粘液の匂い
第四章 ストーリー展開の技術
男女の組み合わせをどうするか / ストーリーの重要性
近親相姦もの わずか五人の登場人物
女教師もの 性教育と匂いフェチ
女性遍歴もの 女性作家が描いた男性像
SMもの 複雑な人間関係とアクチュアルなテーマ
第五章 官能小説の書き方十か条
第一条 官能小説は性欲をかきたてるだけのものではない
第二条 好きな作家を見つけよ
第三条 まず短編を書いてみる
第四条 官能シーンを早く出せ
第五条 自分がしたくても出来ないことを書く
第六条 三人以上の人物を登場させよ
第七条 恥ずかしいと思うな
第八条 オノマトペをうまく使う
第九条 性の優しさ、哀しさ、切なさを知っておく
第十条 書いている途中でオナニーをするな
あとがき / 文庫版のあとがき
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