絶版文庫書誌集成

角川文庫 【さ】

西條 八十著 / 西條 嫩子編 (さいじょうやそ / さいじょうふたばこ)
「西條八十詩集」
 (さいじょうやそししゅう)


*カバー・林 静一
(画像はクリックで拡大します)

*233頁 / 発行 昭和52年

*カバー文
 みずみずしい感受性と、艶やかな幻想と奇想が交錯し、リズミカルに融合した作品世界 ― 。
 大正八年、第一詩集『砂金』を発表して以来、エキゾチックな、抒情豊かな詩風で、大正・昭和の詩壇に、清新な風を送りつづけた多才な詩人、西條八十の代表作を集大成。

*目次
 砂金
 巴里小曲集
 美しき喪失
 紫の罌粟
 一握の玻璃
 青い椅子
 西條八十少年詩集

作品解説 西條嫩子
麦稈帽子と私 森村誠一
年譜 森一也


坂口 安吾 (さかぐちあんご)
「外套と青空」 (がいとうとあおぞら)


(画像はクリックで拡大します)

*290頁
*発行 昭和46年
*カバー・村沢朝子

*目次
外套と青空 / 女体 / 恋をしに行く / 戦争と一人の女 / 私は海をだきしめていたい / 花火 / 桜の森の満開の下 / 金銭無情 / 夜の王様 / 解説 川嶋至 / 主要参考文献 / 年譜


坂口 安吾 (さかぐちあんご)
「肝臓先生」
 (かんぞうせんせい)
角川文庫クラシックス



(画像はクリックで拡大します)

*253頁 / 発行 平成9年
*カバーイラスト メグ・ホソキ

*カバー文
町医者というものは、風ニモマケズ、雨ニモマケズ、常に歩いて疲れを知らぬ足そのものでなければならなぬ ― どんな患者も肝臓病に診たてたことから“肝臓先生”とあだ名された伊東の開業医・赤城風雲。戦争まっただなか、赤城は、蔓延する肝臓炎を撲滅せんと、寝食を忘れて研究に没頭、患者のために今日も走りまわっていた……。滑稽にして実直な、忘れ得ぬ人間像“肝臓先生”を描き出した感動の表題作ほか、『魔の退屈』『私は海をだきしめていたい』『ジロリの女』『行雲流水』を収録。安吾節が冴えわたる異色の短編集。

*解説頁・池内紀


坂口 安吾 (さかぐちあんご)
「暗い青春・魔の退屈」
 (くらいせいしゅん・まのたいくつ)


(画像はクリックで拡大します)


*262頁
*発行 1970年

*カバー文
青春は力の時期であり、同時に死の激しさと密着する時期である。そこには大きな野心と絶望、明るい希望と暗い死への誘惑が並存する。安吾の青春は、その両極の間をさ迷いつつ刻まれた。真摯な魂の軌跡であった。自らの〈暗い青春〉を回想した自伝的11短篇を年代順に配列、真剣に生きることへの自覚を呼びさます感動の作品集。 (解説・奥野健男)


坂口 安吾 (さかぐちあんご)
「ジロリの女」 
(じろりのおんな)


(画像はクリックで拡大します)

*325頁 / 発行 昭和46年
*カバー・村沢朝子

*カバー文
 私は26歳の年に平凡な結婚をし、3人の子供もある。が、私は恋愛せずには生きられない。そして、私が心を燃やす女は、すべてジロリ型の女である。 ― 芸妓、病院長未亡人、婦人記者、冷たい美貌で、人をジロリと見る、酷薄な女性への憧れと奉仕に、この世の唯一の生甲斐を感じる男の手記「ジロリの女」ほか8編を収録。

*目次
ジロリの女 / 遺恨 / アンゴウ / 日月様 / 行雲流水 / 小さな山羊の記録 / 退歩主義者 / 肝臓先生 / 水鳥亭由来 / 解説 川嶋 至 / 主要参考文献 / 年譜


坂口 安吾 (さかぐちあんご)
「散る日本」
 (ちるにほん)


*カバー・村沢朝子
(画像はクリックで拡大します)

*308頁 / 発行 昭和48年

*カバー文
 生きるとは何か? そして国家とは、戦争とは、好色とは、風流とは、 ― 小説家であると同時に名エッセイストを謳われた坂口安吾が、伝統の断絶のなかに“ふてぶてしい生”を語った卓抜な文学・人生・日本文化論。将棋の名人戦に取材した表題作のほか、「FARCEに就て」「文学のふるさと」「ラムネ氏のこと」「わが精神の周囲」「戦の文学」など、初期より晩年におよぶ評論19篇を収録。

*目次
FARCEに就て / 牧野さんの死 / かげろう談義 / 茶番に寄せて / 文学のふるさと / ラムネ氏のこと / 私は誰? / 二合五勺に関する愛国的考察 / 余はベンメイす / わが戦争に対処せる工夫の数々 / 散る日本 / 観戦記 / 戦争論 / わが精神の周囲 / 俗悪の発見 / 孤独と好色 / チッポケな斧 / 風流 / 戦の文学 / 解説 川嶋至 / 主要参考文献 / 年譜


坂口 安吾 (さかぐちあんご)
「道鏡・狂人遺書」
 (どうきょう・きょうじんいしょ)


(画像はクリックで拡大します)

*298頁 / 発行 昭和45年
*カバー・村沢朝子

*カバー文
安吾にとって歴史とは人間のドラマである。そこには人間の愛や憎しみや野心が激しく交錯する。諸豪族相争い、暗黒の陰謀渦巻く世に、魂と肉体の至福を求めてお互いの愛を貫く称徳帝と道鏡を描く「道鏡」、大明征伐の重い野望に己の命を圧殺されて行く苦悩の秀吉を描く「狂人遺書」、そこに歴史の裏側に見た、人間の生臭い、真実の姿がある。

*目次
 道鏡 / 梟雄 / 織田信長 / 狂人遺書 / 家康 / イノチガケ / 注釈 / 解説  若かりし日の坂口安吾 江口清 / 作品解説 磯田光一 / 主要参考文献 / 年譜


坂口 安吾 (さかぐちあんご)
「能面の秘密 安吾傑作推理小説選」
 (のうめんのひみつ)


*カバー装画・伊藤鑛治
(画像はクリックで拡大します)

*280頁 / 発行 昭和51年

*カバー文
 「酔ってアンマをとるうちには変な心も起きやすいから、その壁にかかった鬼女の面をかぶってもらおう」
 メ クラのオツネは、客の大川からいつものようにそう言われ、鬼女の面を顔につけてアンマを終えたが、その夜、旅館が火事となった。焼け跡から発見された大川の変死体。
 過失死か、他殺か?
 事件の謎は、ただ無気味な鬼女の面だけが知っていた。……
 表題作ほか七篇を収録。鬼才安吾が、知的パズルの面白さを存分に駆使した、傑作推理小説集。

*目次
投手殺人事件 / 南京虫殺人事件 / 選挙殺人事件 / 山の神殺人 / 正午の殺人 / 影のない犯人 / 心霊殺人事件 / 能面の秘密 / 解説 権田萬治 / 主要参考文献 / 年譜


坂口 安吾 (さかぐちあんご)
「ふるさとに寄する讃歌」
 (ふるさとによするさんか)


(画像はクリックで拡大します)

*291頁
*発行 昭和46年
*カバー・村沢朝子

*目次
ふるさとに寄する讃歌 / 黒谷村 / 海の霧 / 霓博士の廃頽 / 蝉 / 姦淫に寄する / 淫者山に乗り込む / 蒼茫夢 / おみな / 木々の精、谷の精 / 波子 / 解説頁 川嶋至 / 主要参考文献 / 年譜


坂口 安吾 (さかぐちあんご)
「夜長姫と耳男」 (よながひめとみみお)


(画像はクリックで拡大します)

*359頁
*発行 昭和47年
*カバー・村沢朝子

*カバー文
 兎の様な大耳と馬に似た顔を持つ飛騨のタクミの耳男は、夜長の長者の家に招かれ、はじめて美しい姫を見た。そして、長者から姫の守り本尊の仏像を刻むことを命じられたが、彼が心に決めたのは、怖ろしい馬の顔の魔神を彫ることだった。民話に取材、驕慢な美女と醜い男との不思議な愛憎を描く表題作ほか、安吾晩年の諸作を収録。

*目次
夜長姫と耳男 / 犯人 / 都会の中の孤島 / 牛 / 中庸 / 幽霊それから / 発掘した美女 / 握った手 / 文化祭 / 保久呂天皇 / お奈良さま / 解説 川嶋至 / 主要参考文献 / 年譜


佐々木 幹郎編 (ささきみきろう)
「在りし日の歌 ― 中原中也詩集」
 (ありしひのうた なかはらちゅうやししゅう)
角川文庫クラシックス



(画像はクリックで拡大します)

*252頁
*発行 平成9年
*カバーデザイン 間村俊一 / 彫像制作・撮影 三谷龍二

*カバー文
処女詩集『山羊の歌』刊行の二カ月前、長男文也が誕生。中原中也は詩作・翻訳に旺盛な活動を続ける。しかし、それは蝋燭の炎が燃え尽きる寸前の輝きに似ていた。彼の詩は、徐々にこの世では聞こえない音を浮かび上がらせるようになる。そして、文也の突然の死。不幸は宿命のように彼の上に舞い降りた……。本書には「亡き児文也の霊に捧ぐ」という言葉とともに、中原中也が最後に編集した詩集『在りし日の歌』全篇と、同時期の代表作を精選。詩人最晩年の活動のすべてを示す。

*解説頁・佐々木 幹郎


佐藤 健寿 (さとうけんじ)
「奇界紀行」
(きかいきこう)


*カバー写真・佐藤健寿
 カバーデザイン・鯉沼恵一(ビュープ)
(画像はクリックで拡大します)

*352頁 / 発行 2020年

*カバー文
タイの海中に石像を探して生死 をさ迷い、砂漠のサイケな救済の山を訪れ、インド最高の聖者サイババとご対面。大漫画家とリアルマッドメンの地を旅し、世界の果ての雪原で鹿の血を頂き、廃墟のチェルノブイリにを彷徨し、時には謎の古代遺跡に呪われながら、懲りずに澁澤龍彦の足跡を辿り、そしてUFO村で人々の優しさに触れる ―― 。写真家・佐藤健寿は何を求めて旅をするのか?奇妙な人々と奇界を巡る、 オールカラーフォトエッセイ!

*目次(CONTENTU)
台湾、あるいは珍奇の島へ
アフリカ霊感商法 呪術師と獣の市場
南米山奥の異星人に愛された村
バツー洞窟と世界最大の苦行祭
奇界コラム@ ムハンマドが愛した猫と、猫のコーヒー
タナ・トラジャ 死のために生きる人々
砂漠にそびえるサイケデリックな神の山
レイモンド・モラレス 封鎖された怪物たちの庭園
珍奇大国、タイに溺れて
地獄・HIV・ドラえもん
日原鐘乳洞 知られざる奥多摩スペランカーの世界
奇界日記・パプアニューギニア編 諸星大二郎先生とマッドメンの森へ
人類最古のコンピューター、アンティキティラの機械
呪いの遺跡、ナン・マドールで呪われて
奇界コラムA 十九年間空港で暮らした男
クンストカメラ 叡智と驚異の部屋
ギョベクリ・テペ 人類最古の神殿
奇界日記・インド編 不食の男・予言の葉・聖者サイババ
イタリア紀行 澁澤龍彦を追って
台湾再訪 二人のアウトサイダー老人を訪ねて
チェルノブイリの影響
ネネツ族 世界の果てで、命を頂く
そこそこ幸せな普通の国、ブータン
奇妙な世界をめぐる私と、奇妙な本を作る人々と


ザ・ブルーハーツ
「ドブネズミの詩(うた)」


*カバー・平塚重雄
(画像はクリックで拡大します)

*220頁 / 発行 1992年

*カバー文
音楽に出会わなかったら、
今でもお母さんの
乳しゃぶっとったかも
しれんなあ。

わけわかんない田舎もんだったからや、
東京に行って音楽やりぁ
なんとかなると思うとった。
その結果がブルーハーツ。
  ―― 本文より ――
待望の文庫化!

*目次
Train‐Train / 少年の詩 / ブルースをけとばせ / 人にやさしく / 爆弾が落っこちる時 / ラインを越えて / ロクデナシU / ながれもの / シャララ / 未来は僕等の手の中 / キスして欲しい / 世界のまん中 / パンク・ロック / ブルーハーツのテーマ / ロクデナシ / 僕の右手 / ダンス・ナンバー / メリーゴーランド / 電光石火 / 青空 / NO NO NO / チェインギャング / レストラン / おまえを離さない / ミサイル / リンダリンダ