絶版文庫書誌集成

角川文庫 【す】

スウェン・ヘディン著 (Sven Hedin) 岩村 忍訳 (いわむらしのぶ)
「さまよえる湖」
 (The Wandering Lale)


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*236頁 / 発行 昭和43年
*カバー画像・平成元年刊「リバイバル・コレクション」版カバー

*カバー文
井上靖氏の名作や椎名誠氏らの調査により
注目を浴びている
中央アジア、幻の都「楼蘭」。
本書は、古来、幻の湖として
その姿を見せなかったロプ湖をつきとめ、
楼蘭王国の
存在を明らかにしたヘディン博士の
苦闘の探険記録である。

*解説頁・訳者


杉森 久英 (すぎもりひさひで)
「天才と狂人の間」 
(てんさいときょうじんのあいだ)


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*214頁
*発行 昭和44年
*カバー・藤田実

*カバー文
 大正8年夏、「地上」と題された書きおろし長編小説が刊行されるや、空前の大ベストセラーとなった。著者は島田清次郎、いまだ20歳の青年だった。
― 北陸の没落した家に生まれ、苦労の末一躍出版界の寵児となりながら、生来の狂的素質と虚名への眩惑にその青春を押しつぶされていった清次郎の悲劇を克明に浮彫りにした伝記小説。

*解説頁 小松伸六


杉山 義法 (すぎやまぎほう)
「五稜郭」
(ごりょうかく)


*カバー・玉村ヒロテル
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*295頁
*発行 昭和53年

*カバー文
 慶応三年三月半ば、三本檣(マスト)の最新鋭蒸気軍艦が満帆に風を孕んで、富士を背に駿河湾を突っ走っていた。幕府がオランダに発注して建造した開陽丸を操っての十五人の幕府留学生の帰国であった。特に榎本釜次郎にとって、開陽丸は設計から完成まで逐一立ち会って来た、オランダ留学四年間の夢の結晶であった。「開陽丸を擁する無敵海軍があれば、幕府は磐石です」と誇らしげな榎本を迎えた勝安房は眉間を曇らせて「お前さんの仕事は幕府の幕引きだ」と宣言した。五年足らずの間に事態は切迫していた。外国にあって、ひとたび祖国に目を転ずれば、危ういかな日本、迷える東洋の小羊の感を深くした帰国した留学生達はたちまち時代の流れに飲み込まれ、ついには蝦夷共和国建設へ、そのすべての夢をたくしたのであった。

*1988年12月30日、12月31日に日本テレビで放映された日本テレビ年末時代劇スペシャルの第4作。


杉山 義法 (すぎやまぎほう)
「小説 田原坂」
 (しょうせつたばるざか)


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*322頁
*発行 昭和62年
*カバー 写真提供 日本テレビ / タイトル文字 小林與三次

*カバー文
 明治六年十月二十三日、世にいう征韓論に負けた参議・西郷隆盛は、日比谷の太政官議定所に辞表を提出し、姿を隠した。朝から小雨が降り続くなかを西郷は六尺の巨大を蓑笠で覆い、手に釣竿と魚篭を下げ、飄飄と隅田川の土手を彷徨っていた。持病の肥満症治療のための下剤で脱水症状にかかり特徴のギョロ目は光を失い、表情はひどく暗かった。時に四十六歳、西郷は病んでいた。日本最後の内乱「西南戦争」はこれより四年後のことであった。
 幕末の英雄西郷隆盛の生涯を描く大巨編。


鈴木 大拙 (すずきだいせつ)
「禅とは何か」
(ぜんとはなにか)


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*226頁 / 発行 1954年

*目録文
世界的禅学者が現代的に解説した禅入門の書。

*目次
 序
第一回 宗ヘ經驗としての禪
 第一講 宗ヘ經驗とは何か
  個人的經驗 ― 精神的不滿 ― 不滿の分析 ― 事實の世界と價値の世界 ― 知的宗ヘと情的宗ヘ ― 囘心 ― 囘心と悟道
 第二講 何を佛ヘ生活と云ふか
  佛ヘの構成分子 ― 仏佛陀の人格、體驗、法、佛弟子等の體驗と菩提心 ― 佛ヘ的經驗の一大流れと是に注ぎ込む無數交流 ― 此の精神的大河流は印度支那日本に於て如何なる波を揚げたか ― 佛ヘ生活の基調 ― 三菩提
 第三講 佛ヘの基本的諸?念
  原始佛ヘに於ける智的傾向 ― 嚴粛主義 ― 戒律 ― 禪定 ― 情的傾向の發展 ― 羅漢と菩薩 ― 小乘と大乘 ― 本生譯及禁欲主義と大悲大智 ― 大乘ヘの理想 ― 佛陀の一生 ― 一切苦とは何の義か ― 智、悲、方便、囘向
 第四講 證三菩提を目的とする禪
  智的佛ヘの窮極 ― 三菩提とは何か ― 超知識、直覺、個人的體驗 ― 印度禪と支那禪 ― 禪の具體性と創造性
 第五講 理學から見た禪
  支那に於ける禪の始まり ― 主知主義、形式主義に對しての反抗 ― 神祕的經驗 ― 論理主義と禪 ― 禪の心理學的基礎 ― 意識下の精神活動 ― 禪の心理學的説明 ― 公案の心理

第二回 佛ヘに於ける禪の位置
 第一講 宗ヘ經驗の諸要素
  制度としての宗ヘと個人的經驗 ― 宗ヘの要素 ― 傳統的 ― 智性的 ― 神祕的
 第二講 宗ヘ經驗の諸型
  宗ヘの智性的要素 ― 智性の本分 ― 宗ヘと迷信 ― 宗ヘと科學 ― 宗ヘと哲學 ― 宗ヘに於ける智性と感情との關係
 第三講 宗ヘとしての佛ヘ
  宗ヘの神祕的要素 ― 智不到處 ― 受動性 ― 個性的色彩
 第四講 楞伽經大意(主として本經と禪宗との史的及び内容的關係)
  達磨慧可に本經を傅ふ ― 慧可以後本經の研究 ― 第六祖慧能と金剛經 ― 本經研究の必要 ― 自覺聖智 ― 阿ョ耶識と如來藏 ― 本經と起信論と禪宗
 第五講 神祕主義としての禪
  禪の特色 ― 支那に於ける始期 ― 六祖以後 ― 曹洞と臨濟 ― 公案の性質 ― 十牛圖 ― 尋牛 ― 見跡 ― 見牛 ― 得牛 ― 牧牛 ― 騎牛歸家 ― 忘牛倶忘 ― 人牛倶忘 ― 返本還源 ― 入廛垂手

 解説 吉田紹欽


鈴木 隆 (すずきたかし)
「けんかえれじい」(全2冊)




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*第1巻435頁・第2巻459頁
*発行 昭和57年
*カバー・和田誠

*カバー文
1
 南部麒六(なんぶきろく)は喧嘩となると、奇妙に、先手をとるのか得意である。平和を熱望するキリスト教徒として洗礼を受けているにもかかわらず“喧嘩するなら負けるな、勝たなきゃ駄目だ”という信念があった。中学生になってから自転車屋の息子で、スッポンという渾名の強力なバック(後ろ盾)ができ、彼直伝の横打ちの喧嘩必勝法も習得し、貫禄と箔をつけていった。
 麒六は何やら目立ちすぎるから、たびたび、上級生から狙われる。下宿の娘の道子さんと夜道を歩いていたのを、OSMS(オッスムッス)団(麒六が通っている中学の秘密組織)の団長のタクアンに見とがめられ、ヤキを入れられる破目になった。かくも危急を要する場合には、もう、スッポン氏の顔を利かせてもらうしかない!
 爽快感あふれる青春小説の決定版。
2
 脳溢血で昇天した父親の葬儀のおり、麒六は心付けを渡しそこねて、焼場の火夫と大喧嘩になった。これが麒六にとって、“娑婆(しゃば)”における最後のオドリとなった。麒六の喧嘩修業も、かつてのロマンチックなものとは異なり、今や見るかげもない。しかも麒六の青春をにぎわした先輩友人たちが、つぎつぎに戦場へ駆りだされ、“特高”は弱者いびりの権化のように威張っている。
 そんな時、麒六は、長崎の修道院にいる道子さんに逢った。手土産に持っていったカステラを食べる時の道子さんの姿に、美しさがこめられていて、彼はただ見とれているだけだった。
 昭和18年11月、麒六は新潟県高田の山砲隊に入営し“一銭五厘”の不条理な軍隊生活が始まった……。
 自由奔放な主人公を通じて、現代に忘れられた青春群像を再現!

*解説頁 1巻・和田誠 2巻・伊藤桂一


鈴木 理生 (すずきまさお)
「シリーズ江戸学 江戸の橋」
(えどのはし)
角川ソフィア文庫


*カバー画・「名所江戸百景」「両国橋大川ばた」
 (歌川広重画 国立国会図書館蔵)
 カバーデザイン・片岡忠彦
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*302頁 / 発行 2008年

*カバー文
「橋」は「端」でもあり、異なる性格の地域と地域が接触する場所が「はし」であった。「橋」が架けられたことで、その両岸の「端」が「はし」でなくなり、広い地域を形成していく。水の都・江戸という大都会の生活に、橋はなくてはならない重要な都市施設だった。機械などのない時代、どんな道具や材料そして技術を使い橋は架けられたのか?江戸の橋の作られ方を徹底研究。江戸のモノづくりの技術と知恵が満載の1冊!

*目次
第一章 隅田川の橋
 1 両国橋と巨木 / 2 千住大橋と槇 / 3 新大橋と永代橋
第二章 橋はどのように造られたか
 1 江戸の橋づくりの技術 / 2 江戸の橋のメンテナンス / (コラム)橋番(はしばん)の実態
第三章 日本橋界隈の橋
 1 江戸の水路と高橋(たかばし) / 2 日本橋はいつできたか / 3 「水」の条件 / (コラム)橋の持(メンテナンスのあり方)
第四章 堀と橋
 1 外濠の風景 / 2 堀川と舟入堀
第五章 銀座界隈の橋
 1 京橋と銀座 / 2 木挽町と歌舞伎 / 3 数寄屋橋の埋め立て
第六章 橋の昔と今
 1 明治の橋 / 2 水辺と橋の大きさ
 あとがき / 文庫本のためのあとがき


鈴木 三重吉 (すずきみえきち)
「古事記物語」
 (こじきものがたり)


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*222頁 / 発行 昭和30年
*カバー・佐々木マキ

*カバー文
 日本の童話・童謡が世界の水準に達したのは三重吉の刊行した「赤い鳥」に負う。「古事記物語」は民族文化の源としてこの古典を、児童の読みものとして、美しい文章でわかりやすく書き下したもの。三重吉の遺作中いちばん多く読まれているものの一つ。祖国日本への愛と、著者の童心・夢が生んだ名作である。

*目次
女神の死 / 天の岩屋 / 八俣の大蛇 / むかでの室、へびの室 / きじのお使い / 笠沙のお宮 / 満潮の玉、干潮の玉 / 八咫烏 / 赤い盾、黒い盾 / おしの皇子 / 白い鳥 / 朝鮮征伐 / 赤い玉 / 宇治の渡し / 難波のお宮 / 大鈴小鈴 / しかの群、ししの群 / とんぼのお歌 / うし飼、うま飼 / 注 / 解説 坪田譲治 / さしえ 遠藤拓也


スタンダール著 / 宗 左近訳 (Stendhal/そうさこん)
「カストロの尼 ― 他四篇」 (かすとろのあま)



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*291頁 / 発行 昭和45年
*カバー画像・平成2年「リバイバル・コレクション」版カバー

*カバー文
スタンダールいわく「小説は若い伯爵夫人が徹夜して読むようなおもしろさをもたねばならぬ」。表題作ほか傑出したドラマの数々を収録した珠玉の短編集。

*収録作品
「ヴァニーナ・ヴァニーニ」
「カストロの尼」
「パリアノ公爵夫人」
「サン・フランチェスカ・ア・リッパ」
「ヴィットリア・アッコランボニ・ブラッチャーノ公爵夫人」