絶版文庫書誌集成

角川文庫 【た】

高木 俊朗 (たかぎとしろう)
「特攻基地知覧」
 (とっこうきちちらん)


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*333頁
*発行 昭和48年

*カバー装画・安彦勝博

*カバー文
 太平洋戦争の狂気の舞台となった薩摩半島の知覧飛行場。軍の行動を秘匿するために、肉親に別れも行先も告げずに飛びたたねばならない、人間爆弾のせつなさ。機体に250キロ爆弾を装着し、いつわりの“晴れの門出、英雄の道”へと突進していった特攻隊員たちの残酷ドラマ!
 〈語られない真実〉を求めて高木俊朗が入念緻密な取材、戦争という巨大な悪魔に挑戦、悲劇の特攻隊員とその周辺をつづる。

*解説頁・入江徳郎


高橋 克彦 (たかはしかつひこ)
「浮世絵探検 ― 高橋克彦迷宮コレクション」 (うきよえたんけん)


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*239頁 / 発行 平成13年
*カバーデザイン / 芦澤泰信 「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」葛飾北斎 東京国立博物館蔵

*カバー文
浮世絵をこよなく愛する高橋克彦と各分野の専門家が楽しくユニークに、そしてわかりやすく語った浮世絵談議。横尾忠則が画家ならではの斬新な北斎観を展開すれば、宮地正人が歴史学的見地から解説し、荒俣宏は劇画のルーツとして浮世絵を探リ、水木しげるとは妖怪絵談議で花を咲かす。皆川博子とは絵師の小説を生み出す喜びを語り合い、新宮一成に浮世絵を手掛りに精神分析されて肝を冷やすなど、浮世絵を語る喜び、探る愉しみに満ちた、目から鱗の浮世絵解説本。

*目次
はじめに
第一回 北斎の逆説 … 対談者 横尾忠則
第二回 幕末情報革命 … 対談者 宮地正人
第三回 劇画のルーツは浮世絵にあった! … 対談者 荒俣宏
第四回 人間の隣に妖怪がいた! … 対談者 水木しげる
第五回 小説家の密かな愉しみ … 対談者 皆川博子
第六回 浮世絵精神分析 … 対談者 新宮一成
あとがき


高橋 克彦 (たかはしかつひこ)
「新聞錦絵の世界」 (しんぶんにしきえのせかい)


*カバー・亀海昌次
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*181頁 / 発行 平成4年

*カバー文
 明治七年七月、文明開化盛りし頃。日本で初めて発行された“新聞”の大成功をうけ、新聞錦絵は発売された。この“錦絵付きニュース”は、当時多かった文字の読めない人々にも記事が理解でき、増刷に増刷を重ねたのである。これは、一般大衆に新聞というものの興味を促し、新聞普及に大きな功績を残した。しかし、三面記事的な要素の強い新聞錦絵はやがて衰退し、明治十二,三年にはほとんど姿を消すことになった――。
 だが、新聞錦絵は今なお生きている。リポーターが事件を追うワイド・ショーや写真で事件を伝える写真週刊誌のなかに……。
 本書は明治人のナマの生活を映し出す極彩レポートである。

*目次
代表作
[新聞錦絵とは何か]
殺人
妖怪
情痴
世相
珍聞
人物・歴史
[新聞錦絵と私]
[ゴシップ文化と浮世絵]
[現代に息づく浮世絵]
[あとがき]


高橋 義孝 (たかはしよしたか)
「現代不作法読本」
 (げんだいぶさほうどくほん)


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*214頁
*発行 昭和45年
*カバー・和田誠

*山口瞳解説より
 高橋先生の『現代不作法読本』は、礼儀作法について説いているのではなくて、礼儀作法とは何かということについて読者に問いかけている本であるといってよいと思う。
 先生は、礼儀作法を人様にお教えするなんて、そんな不作法なことは出来ませんと心中に呟きながら書きすすめられたのだろうと思う。

*解説頁・山口瞳


高見 順 (たかみじゅん)
「いやな感じ」 
(いやなかんじ)


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*624頁
*発行 昭和49年
*カバー装画・熊谷博人


*カバー文
戦争前夜の暗い時代を背景に、生命の燃焼に飢えたテロリストが辿る凄絶な運命を描いて、激動の昭和史の断面を鋭く抉りだした不滅の大長編。アナーキストの群に身を投じた主人公加柴四郎は、私娼窟への耽溺、ポル派との抗争などを経て、いつしか右翼や大陸浪人と接近し、青年将校らのクーデター計画にも加担する。そして遂には、自ら中国人捕虜まで斬殺した…。

*解説頁、秋山駿


高見 順 (たかみじゅん)
「胸より胸に」 (むねよりむねに)


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*220頁
*発行 昭和30年
*カバー・栃折久美子

*カバー文
 破綻に終った日下と優子との青春時代の恋愛。若い波多野と志津子との悲恋。この二つの物語が、戦後の浅草周辺を舞台に、微妙に関連しながら展開する。人物の意識下の複雑な混沌にまで分析の光を当てるこの作者の心理的手法は、豊かな詩才によって冴え、嵐の間の凪を思わせる静かな美しさを作中にたたえる。

*解説頁・中村真一郎


竹原 春泉画 (たけはらしゅんせん)
「桃山人夜話 ― 絵本百物語」
(とうさんじんやわ えほんひゃくものがたり)
角川ソフィア文庫


*カバー / 田島司(クラップス)
 装画 / 竹原春泉
 翻刻・現代語訳 / 越後敬子
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*191頁
*発行 2006年

*カバー文
狐者異、飛縁魔、風の神。ベストセラー作家、京極夏彦の第130回直木賞受賞作『後巷説百物語』のテーマとして一躍有名になった、江戸時代の人気妖怪本『絵本百物語』が文庫で登場! 鳥山石燕や水木しげるら妖怪絵師たちに影響を与えた、妖怪画の原点ともいうべき作品を、妖怪画、翻刻、現代語訳の3章にわけて紹介したコンパクトな逸品! 過去そして未来まで、これ以上読みやすい『桃山人夜話』は存在しない。

*目次
第一章 画図編
第二章 翻刻編
第三章 現代語訳編
解説 改題 絵本百物語 多田克己


立原道造詩集・中村 真一郎編 (たちはらみちぞう・なかむらしんいちろう)
「立原道造詩集」
 (たちはらみちぞうししゅう)


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*206頁 / 発行 昭和27年

*カバー文
 「四季」によって立原は堀辰雄の系譜につながり、西欧の近代精神と古い王朝のリリシズムを融合させ、清新透明で夢のように甘美な純粋さをもってしずかに愛とおそれの歌を奏でた。その影響の浸透はまさに雨水の熱砂に注ぐがごとくであった。惜しくも夭折したが、その青春の歌声はすげに古典として不滅の輝きを放つ。

*巻末頁
 立原道造 ― 人と作品・付本書のなりたち 中村真一郎
 解題・注解 小川和佑
 主要参考文献 小川和佑
 年譜(付『四季』年表) 小川和佑編
 索引


田宮 虎彦 (たみやとらひこ)
「別れて生きる時も ― 愛情について」
 (わかれていきるときも)


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*200頁 / 発行 昭和36年
*装幀・堀文子

*目次
一 母の場合と子の場合
二 異性との間
三 ある妻のはなし
四 愛と孤独と
五 燃える心
六 幸福
七 家
八 別れて生きる時も
九 父と子
一〇 むかしの人
 あとがき


檀 一雄 (だんかずお)
「夕日と拳銃 上下巻」
(ゆうひとけんじゅう)
角川文庫




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*上巻392頁 / 下巻388頁
*発行 2008年
*カバーイラスト・西口史郎 / カバーデザイン・大武尚貴(角川書店装丁室)

*カバー文
上巻
時は大正末期。伊達政宗公を遠祖にもつ伯爵家に、九州から一人の男がやってきた。男の名は伊達麟之介。幾多の学校を転々としては放校退学を繰り返す無法者ながら、胸がすほどの豪傑さで、人々を惹きつけていく。しかし、麟之介が放った拳銃の一発が、彼の運命を劇的に変えていく ── 。最後の無頼派・檀一雄が、実在の日本人馬賊をモデルに描いた壮大なスケールの長編小説。発表当時、各方面から大絶賛された名作が甦る。

下巻
拳銃による殺人事件を起こした伊達麟之介は、詮議の末に放免されるや、狭い日本を出奔、中国大陸へ。そこで出会った馬賊に入る。やがて、日本人でありながら馬賊の首領となる麟之介。蒙古独立運動に加わったかと思えば、満州での楽土建設に参画し、激動する日中関係を背景に奔走する。しかし終戦。麟之介は戦犯として捕らえられ―。檀一雄が、自らのロマン精神をも仮託して描いた、奔放な男の壮絶な一代記、ここに完結。