*装丁 / 菊池信義
カバー写真 / 吉越立雄
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*291頁 / 発行 2002年
*カバー文
観る者を幻想の世界に誘う「能」。観客はその優れた様式美に目を奪われがちであるが、能の本質は巧みに構成された戯曲に基づく演劇性にある。そして、演じられているのは人生の究極のドラマだ。名人・友枝喜久夫の稽古舞台での「仕舞」を観る機会を得た著者は、眼前で行われる繊細な動きに目をとめ、そこに込められた意味を解き明かしていく。素顔で、装束をつけずに舞う仕舞だからこそ発見できる面白さに次々と出会いながら、舞台上のわずかな所作に秘められたドラマと、ひとりの名人の姿をリアルに描き出す、刺激的な能楽案内。
*目次
序章
仕舞という作品世界
祈りの言葉
言葉の森 ── 翁
宿命の血
無限の愛 ── 海人
都鳥の扇 ── 隅田川
狂女の道行 ── 蝉丸
優美さと野生と ── 天鼓
さやけき秋の月 ── 三井寺
暗い故郷への旅 ── 弱法師
恋の女
釆女の謎 ── 釆女(クセ)
悪妻か、良妻か ── 砧
李夫人の画像 ── 花筐(クセ)
捨てられた女の呪詛 ── 花筐(クルイ)
筐の女御 ── 花筐(キリ)
月光に輝く浜辺 ── 松風(ロンギ)
人間の絶望について ── 松風(キリ)
能のエロティシズム ── 三輪(クセ)
暗闇の女の影 ── 夕顔
戦さの風景
運命の音 ── 熊坂
殺人者の顔 ── 実盛
テロリストの絶望 ── 景清(独吟)
SF戦争映画 ── 田村(キリ)
氷の刃のきらめき ── 藤戸
文治元年十一月六日 ── 船弁慶
戦争の幻影 ── 頼政
漂泊の人生
巌頭に立つ男 ── 杜若(クセ)
かきつばたの庭 ── 杜若(キリ)
女曲舞の芸人 ── 百万(クセ)
生の幻影
地獄の風景 ── 阿漕
水面に散る桜 ── 桜川
人生の秋 ── 芭蕉
人間は柳の精になれるか ── 遊行柳
深窓の少女 ── 楊貴妃
来世の予感
黄金の林 ── 江口(クセ)
地上の菩薩 ── 江口(キリ)
唯心の浄土 ── 誓願寺
石の怨念 ── 殺生石(キリ)
天女変相 ── 羽衣
山姥の謎 ── 山姥(クセ)
四季の屏風 ── 山姥(キリ)
あとがき
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