*カバー装画・永田力
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*340頁 / 発行 昭和53年
*カバー文
天領、甲州は八代郡黒駒の名主の次男勝蔵は、惚れた百姓娘が石和の代官の妾奉公にとられたことからぐれて、無宿渡世の道に入った。吃安こと竹居の安五郎の縄張りの一部を譲り受けた勝蔵は、子分も殖え、しだいに売り出す。裕天や三蔵に荒らされた賭場を取返す荒仕事、復讐のための喧嘩出入り、諸国の親分衆に渡りをつける旅修業。ひと廻り大きくなった勝蔵は、やがて宿命の敵役清水次郎長と対決する。
講談浪曲や時代劇で巷間流布された如く、次郎長は果して正義派のヒーローだったか。勝蔵は極悪人だったか。
動乱の幕末維新を博徒として生き、官軍に加わって奥州戦争での功績もありながら哀れな末路を辿った勝蔵の人間像を、長命と名声を得た次郎長との対比において見事に描破した作者初の時代小説。克明な史実、冷徹な推理眼とメリハリのある名文で、つくられた次郎長伝説を覆す傑作長編である。
*目次
斬に処す
附「甲州黒駒余聞」
解説 清水信
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