絶版文庫書誌集成

河出文庫 【あ】

秋吉 茂 (あきよししげる)
「美女とネズミと神々の島」
(びじょとねずみとかみがみのしま)


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*253頁 / 発行 1984年

*目録文
南海の孤島・悪石島の人情と生活を活写したルポルタージュの傑作。第13回エッセイストクラブ賞受賞

*目次
上陸 / 米んめし / キダカの総代 / きよらウナグの島 / 霧ばえの日々 / ネズミさま / 一対九 / 神さまへの挑戦 / 島の先生たち / 洗骨の歌 / ハダシの美女たち / ヘコのツメ / 赤い舟 / ビンづめ作戦 / 一二三四五六 / 平家の旗 / みちのしま / わが「みちのしま」へ愛をこめて


阿久 悠 (あくゆう)
「歌謡曲春夏秋冬 音楽と文楽」
(かようきょくしゅんかしゅうとう おんがくとぶんがく)


*カバーデザイン・菊地信義
 カバー装画・細谷正之
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*350頁 / 発行 2008年

*カバー文
言葉は「私」を本当に伝えるか? 言葉は人と人を本当につなぐか?季節を、土地を、時を巡って世を映し、心を伝える歌 ── 。それは時代の中でどう歌われ、役割を変えてきたのか。「東京」「殺人」「心中」等、百のキーワードを挙げ、言葉痩せた今の日本に、息づく詞の再生を求めた、稀代の作詞家による渾身の集大成。

*目次
 まえがき
春は東京にだまされる
夏は金魚と遊びたい
秋は小指が痛くなる
冬は心中がしたくなる
 あとがき
 解説 藤田宜永


阿久 悠 (あくゆう)
「球心蔵」
(きゅうしんぐら)


*カバー装画・山藤章二
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*327頁 / 発行 1999年

*帯文
「タイガースは忠臣蔵である!!」(阿久悠)
そんなバカなと読みはじめたら、しまいにゃすっかりその気になてしまった。不思議だ。 ── 山藤章二

*カバー文
タイガース監督・村雨烈が、ジャイアンツ監督・長与太陽を試合中に殴った! 例えばそれは「忠心蔵」松の廊下の刃傷事件。監督交代、選手の入れ替えに球界は上を下への大騒ぎ。野球を通して人生の哀歓を描き、日本人の美学とロマンを映し出す極上のエンターテイメント。野球小説を超えた「深くて面白いワクワク日本人論」ここにあり。

*目次
序章 / Tの悲劇 / 落日から / 彼方へ / 虎走る / ええじゃないか / 終章 / あとがき ── 忠臣蔵とタイガース / 解説 ── これから読みます 山藤章二


朝日新聞社編 (あさひしんぶんしゃ)
「武蔵野むかしむかし」
(むさしのむかしむかし)


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*375頁
*発行 1985年

*目録文
武蔵野の誕生から自由民権運動まで、全篇読み切り一二〇話。大人も子供も楽しめる歴史物語の傑作!


荒木 一郎 (あらきいちろう)
「さよならがいいたくて」


*カバーイラスト・峰岸達
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*220頁 / 発行 1987年

*カバー文
「アタシ…」と電話で言う女。どこのドナタときくのはヤボ。「今、クスリ飲んだとこなの。さよならがいいたくて…」とそのアタシ。自殺!? エート、この声は誰だっけ ── 。いいかげんな“私設管理人”を職業としている好漢五段昇のユーモア・ミステリー他、将棋盤づくりとカヤの木をめぐる百年前の殺人事件のカラクリを解く推理佳作。新進作家・荒木一郎の軽やかな語り口を楽しめる1冊。

*目次
さよならがいいたくて
終りはゴムマリの如く
ブティック
榧(かや)の木
解説 荒木一郎の世界 川本三郎


荒俣 宏編 (あらまたひろし)
「アメリカ怪談集」 (あめりかかいだんしゅう)


*カバーイラスト・E.J.SULLIVAN「MAUD」(by A.L.TENNYSON)より
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*351頁 / 発行 1989年

*紹介文
開拓時代の名残りをとどめる綺譚から都市の恐怖まで、アメリカ怪談のエッセンスを収録。

*目次
牧師の黒いヴェール … N.ホーソーン 佐藤清訳
古衣裳のロマンス … H.ジェームズ 鈴木武雄訳
忌まれた家 … H.P.ラグラクラフト 荒俣宏訳
大鴉の死んだ話 … A.H.ルイス 谷口武訳
木の妻 … M.E.カウンセルマン 野間けい子訳
黒い恐怖 … H.S.ホワイトヘッド 荒俣宏訳
寝室の怪 … M.W.フリーマン 野間けい子訳
邪眼 … E.ウォートン 奥田祐士訳
ハルピン・フレーザーの死 … A.ビアス 飯島淳秀訳
悪魔に首を賭けるな―教訓のある話 … E.A.ポオ 野崎孝訳
死の半途に … B.ヘクト 吉田誠一訳
ほほえむ人びと … R.ブラッドベリ 伊藤典夫訳
月を描く人 … D.H.ケラー 荒俣宏訳
編者あとがき 西の果ての怪異談史 荒俣宏訳
初出一覧


安藤 鶴夫 (あんどうつるお)
「三木助歳時記(上下)」
(みきすけさいじき)




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*上330頁・下330頁 / 発行 2008年
*カバーデザイン・松岡史恵

*カバー文

安藤鶴夫が最も愛し、評価した落語家・三代目桂三木助。その生涯の日々を、著者が最晩年に深い哀惜をこめてたどった渾身の長篇小説を生誕百年を機に文庫化。博奕にのめりこんだ青春時代をへて、踊りの師匠などの遍歴の果てに伝説的な落語家となるにいたる数奇な人生を、時代や人々の息づかいの中に悠然と描く畢生の名作。

安藤鶴夫が晩年、そのすべてを賭けて書き続け、絶筆となった日本文学の秘められた名作。下巻のはじまりの時代は戦後。四十歳をすぎて初めて恋をして、それでもまだ博奕がやめられない落語家は三代目桂三木助を襲名、近藤亀雄こと安藤鶴夫の協力のもと、古典〈芝浜〉に挑み、この名演によって、その名を不動のものにする。

*目次

遠い神楽 / 弟子たち / 寒い朝 / くるひと / 鼻 / 雲 / 客送り / さんご玉 / さくら餅 / 厄日 / おなじ日 / 月

あれみやしゃんせ / 男橋女橋 / 春燈 / つばめくる / 上げ潮 / ちょいとな / 長崎にて / 鐘 / 時 / 解説 こんかめと桂三木助 / 解説 立川談春


安藤 鶴夫 (あんどうつるお)
「わたしの寄席」
(わたしのよせ)


*カバーデザイン・松岡史恵
 写真・金子佳三
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*370頁 / 発行 2008年

*カバー文
生涯を昭和の寄席と苦楽をともにした安藤鶴夫の多様で深い魅力を伝える名著。五代目古今亭志ん生、八代目桂文楽ら愛する芸人たちの肖像を時代のぬくもりとともに伝え、落語の楽しみ方をあたかも落語のように語り、古典落語をあざやかに再現する。寄席をめぐる時代の転換の記録としても貴重な一冊。

*目次
T
落語のたのしみかた / 五代目・古今亭志ん生 / 浮世節・西川たつ / 林家とみ / 八代目・桂文楽 / 文楽十八番集のための解題 / 志ん生のための解題 / 志ん生夫婦 / 神田の寄席
U
なかいり
V
落語長屋 / あたま山 / 寝床 / 風流あくび指南 / めか馬
 あとがき / 解説 小沢信男