絶版文庫書誌集成

河出文庫 【え】

江國 滋 (えくにしげる)
「絵本・落語風土記」
(えほんらくごふどき)


*カバーデザイン・山元伸子
 カバー装画・江國滋
 カバーフォーマット・佐々木暁
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*220頁 / 発行 2007年

*カバー文
日本橋は浮世小路といえば『百川』だ。「なに、袈裟がけに四、五人斬られた?」話をまくらに、落語ゆかりの東京各地を訪ね、落語の話に絡めながらその土地の今昔を綴る道中が始まる。全五十四話、一話に一点の挿絵も自筆、稀代の落語通にして名随筆家の著者がのこした、落語ファン必携のイラストエッセイ集。

*目次
〈中央区〉
  うきよ珈琲こちらでござい … 日本橋浮世小路
  ぬほんばすの最期 … 日本橋
  従五位近江守源兵衛藤原鼻利
(じゅうごいおうみのかみげんべえふじわらはなさき) … 日本橋・通り一丁目
  心学の尾てい骨 … 長谷川町三光新町
  あらもったいなや … 馬喰町
  佃の佃煮 … 佃島
  お忍び視察は日本の伝統? … 数寄屋橋
〈千代田区〉
  赤井御門守はご名君 … 丸の内
  民のクレーンにぎわいにけり … 千代田
  七ツ屋の終焉 … 麹町T
  猿のお屋敷があったとさ … 麹町U
  吉公対金さん … 神田竪大工町      
  むなぎくいめせ … 神田川
  はの字忘れていろばかり … 湯島
  野暮で不潔でうっかりもので … 本郷
  ご門番やーい … 後楽園
  みんな仲よくエンプラごっこ … 市ヶ谷・谷町
  暗闇坂の子猫 … 四谷・暗闇坂
  古戦場再見 … 新宿
  都の西北は仇討ちの名所 … 高田馬場
〈品川区〉
  労賃双方が失ったもの … 青物横丁
  天国への入口 … 品川T
  如是因如是果 … 品川U
〈目黒区〉
  さんまは冷凍にかぎる、か … 目黒
〈杉並区〉
  奥ゆかしや「某氏殿」 … 堀の内
〈練馬区〉
  大根畑は宝の山よ … 練馬
〈台東区〉
  花屋敷周遊コース … 浅草T
  浅草の挽歌 … 浅草U
  ロックの嘆き … 浅草V
  路地の表情 … 浅草W
  去年(こぞ)の雪いずこ … 吉原T
  わが久恋の吸いつけたばこ … 吉原U
  新吉原喫茶カフェー協同組合清算委員会 … 吉原V
  噂評判いたすまじく候 … 上野広小路
  牛馬にも奇効あり … 池之端仲町
  やむおえざれば仕方なし … 下谷山崎町と坂本
  風流の本場 … 根岸
  先手必勝 … 蔵前
  老船頭の証言 … 柳橋T
  柳橋有情 … 柳橋U
〈墨田区〉
  吾妻橋からガス自殺 … 吾妻橋
  消えた火種を如何せん … 両国橋
  南無溺死郡生横死諸群
(なむできしぐんじょうおうしぐん) … 両国回向院
〈江東区〉
  永代橋は人の波 … 永代橋
  宝の山にいりながら … 深川橋下
  亀太郎先生ご出世 … 深川木場
〈北区〉
  牝狐見参 … 王子
  あとの公害先に立たず … 飛鳥山
〈荒川区〉
  お熊は死なず … 千住
〈港区〉
  無用の長物右に見て … 新橋
  ほんとに地球は丸かった … 芝公園
  最後の海 … 芝浜
  古川に水絶えたり … 麻布古川橋
  われにふるさとなかりけり … 赤坂
 遁辞 ―― あとがきに代えて
 解説 ―― 随筆家江國滋 矢野誠一


江戸川 乱歩他 (えどがわらんぽ)
「サイコ・ミステリー傑作選」
 (masterpieces of Psycho Mysteries)


*カバー装画・太田美子
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*282頁 / 発行 昭和63年

*カバー文
不安、恐怖、抑圧、禁忌、破壊、死……目には見えない人間の深層心理にひそむ不可思議な謎と衝動をさぐる精神分析を手がかりに、現実に起こる奇怪な事件と犯罪の謎を推理する知的サスペンス。日本ミステリー史上の最高峰が魂のタブーと悪夢の迷路をスリリングに映し出す、究極のダブル・ミステリー。

*目次(アンソロジー)
心理試験 … 江戸川乱歩
眠られぬ夜の思い … 木々高太郎
夢の足跡 … 土屋隆夫
狂女の微笑 … 佐野洋
児童心理殺人事件 … 森村誠一
悪い記憶 … 多岐川恭
不安の分析 … 逢坂剛
解説 山前譲


江戸川 乱歩・編 (えどがわらんぽ)
「推理教室」
(すいりきょうしつ)


*カバー装幀・巌谷純介
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*248頁 / 発行 昭和61年

*カバー文
巨匠・江戸川乱歩の要請により、第一線の中堅・新鋭推理作家が渾身のトリックで書き下ろした本格的謎解きミステリーの一大饗宴 ―― 一人二役、密室と時間のトリック、足跡・指紋のトリック、凶器と毒物、自己抹殺の謎など、トリックの四十八手を網羅して、作家が読者に挑戦する、ミステリー・ファン渇望の古典的名著を四半世紀を経て文庫として復刊。解決篇を各篇の後に天地逆さまに提示!

*目次
まえがき …… 江戸川乱歩
孤独な朝食 …… 樹下太郎
ガラスの眼 …… 鷲尾三郎
眠れない夜 …… 多岐川恭
四人の同級生 …… 永瀬三吾
湯壷の中の死体 …… 宮原竜雄
影なき射手 …… 楠田匡介
見晴台の惨劇 …… 山村正夫
不完全犯罪 …… 鮎川哲也
月夜の時計 …… 仁木悦子
消えた井原老人 …… 宮原竜雄
サーカス殺人事件 …… 大河内常平
バッカスの睡り …… 鷲尾三郎
表装 …… 楠田匡介
呼鈴 …… 永瀬三吾
薄い刃 …… 飛鳥高
あるエープリール・フール …… 佐野洋
競馬場の殺人 …… 大河内常平
無口な車掌 …… 飛鳥高
孔雀夫人の誕生日 …… 山村正夫
解説 山前譲


江夏 美好 (なつえみよし)
「下々の女」 上下巻
 (げげのおんな)


*カバー装画・山高登
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*上巻469頁・下巻412頁 / 発行 1981年

*カバー文
【上巻】
貧しい「下々の国」と呼ばれた飛騨・白川郷の旧家に生まれた「ちな」は厳しい大家族制の古く、重い因習のもとに成長する。しかし時代の波は容赦なく押し寄せ、若者たちを揺り動かす。「厄介おじ、おば」として一生結婚もできずに実家の下男、下女として働くしかなかった若者たちも、他国に職を求め、やがて結婚して、子供を産む。「ちな」の夫は不器用で、懸命に生きる彼女に次々と苦難が押し寄せる30数年ぶりに戻った白川郷、合掌造りの家、戦争の影響が大きく自然も人々も変貌させていた・・・。明治・大正。昭和の三代を生きた女の一生を作者江夏美好が文字通り命を懸けて書いた畢生に傑作。名もない女の一生を描いて共感を呼んだ感動のロングセラー
【下巻】
夫の今治が鉱山を定年退職し、ちなたちは長年夢みつづけてきた白川村の合掌造りの家に暮らすことになった。しかし三十数年ぶりの故郷は、折から激しさを加えた戦争の飛沫をうけて自然も人々も大きく変貌していた ― 。「下々の国」飛騨で生れ、明治・大正・昭和の三代を生き、そして飛騨で生活を閉じた名もない女の一生を描いて共感を呼んだ感動のロングセラー。


江村 洋 (えまうらひろし)
「フランツ・ヨーゼフ ハプスブルク『最後』の皇帝」


*カバーデザイン・岩瀬聡
 カバー写真・PPS通信社
 カバーフォーマット・佐々木暁
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*456頁 / 発行 2013年

*カバー文
もはやハプスブルク家の光も消えかけようとした一九世紀後半、「一致団結して」をスローガンに、ひとりの皇帝が現れた。その後、六八年の長きに渡って帝位を守り続け、王家の復活を夢見続けたその男、フランツ・ヨーゼフ―しかし、運命の輪は彼を翻弄し、次々と悲劇に襲われる。帝都ウィーンの光と影とともに、ハプスブルク家の落日を描いた本邦初の傑作評伝。

*目次
 序章
第一部 ―― 若き皇帝
 第一章 三月革命
 第二章 絶対主義への回帰
 第三章 バイエルン公女との結婚
 第四章 クリミア戦争
 第五章 ソルフェリーノ
 第六章 マクシミリアン大公とメキシコ帝冠
 第七章 ケーニヒグレーツへの道
 第八章 ケーニヒグレーツの戦い
第二部 ―― オーストリア=ハンガリー帝国
 第一章 「アウスグライヒ(和協)」の成立
 第二章 アウスグライヒ以後
 第三章 普仏戦争のかたわらで
 第四章 ウィーン万国博覧会
 第五章 アドリア海への旅
 第六章 ベルリン会議(一八七八年)
 第七章 銀婚式
 第八章 ターフェ内閣
 第九章 ターフェの言語令
第三部 ―― ふたつの訃報
 第一章 ドイツ、イタリアとの三国同盟
 第二章 三帝会議(一八八四‐八五年)
 第三章 カタリーナ・シュラット
 第四章 マイヤーリング
 第五章 マリー・ヴァレリーの結婚
 第六章 皇帝と孫
 第七章 バデーニの言語令
 第八章 ジュネーブ湖畔の凶事
第四部 ―― 晩年のフランツ・ヨーゼフ
 第一章 フランツ・フェルディナントの結婚問題
 第二章 帝都ウィーンの繁栄
 第三章 普通選挙法
 第四章 ボスニア・ヘルツェゴヴィナの併合
 第五章 カール大公とツィタ・フォン・ブルボン=パルマの結婚
 第六章 サライェボの銃声 / 第七章 王朝の落日 / エピローグ
  あとがき
  解説 フランツ・ヨーゼフ ―― 旧き良き
     ハプスブルク帝国の表徽 山之内克子
  フランツ・ヨーゼフ年譜 / 主要参考文献 / 人名索引