絶版文庫書誌集成

河出文庫 【こ】

礫川 全次 (こいしかわぜんじ)
「サンカと説教強盗 闇と漂泊の民俗史」
(さんかとせっきょうごうとう)


*カバーデザイン・山元伸子
 カバー写真・説教強盗 妻木松吉
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*218頁 / 発行 2010年

*カバー文
昭和初期、東京に「説教強盗」が現れた。その名は妻木松吉。その兇悪な手口から、警察は犯人サンカ説を流した。捜査当局に対抗し犯人を追う、後のサンカ小説家、新聞記者三角寛。大戦を前にして物情騒然たる帝都の、富裕な新興住宅地西北地区にねらいを定めた一世説教強盗の、謎に包まれた出自と捕まるまでの犯行経路を追う。

*目次
はじめに
第1章 説教強盗とは
 泣く子も黙る説教強盗 / 前代未聞六五件の強盗 / 用意周到な犯行計画 / 強要・暴行・説教 / どんな犬でもひとにらみ / 意表をついた逃走経路
第2章 説教強盗事件の地理
 事件の地理的背景 / 旧東京から大東京へ / 関東大震災の影響 / 城西・城北への人口移動 / 説教強盗の出没範囲 / 西巣鴨町字向原 / 説教強盗の地理感覚
第3章 翻弄された捜査陣
 小沼米店における失態 / 高田署前における失態 / 旧態依然の捜査体制 / 魔の時代、昭和初年 / 捜査体制の一新 / 小沼米店の指紋をめぐって / 鮮明な四指の指紋
第4章 説教強盗捕縛さる
 前科一犯妻木松吉 / 不自然な経緯 / 捜査当局の秘密 / 左官「屋久米吉」 / 空前の大ニュース
第5章 新聞記者三角寛の挑戦
 超人的な取材活動 / 新聞と警察 / 十二月三〇日記事 / 三角寛、犯人をキャッチ / 追いつめられた捜査当局
第6章 説教強盗「山窩」説
 俗説の発生源 / 黒装束五人組 / 特殊な侵入盗 / 薄弱な根拠 / 不幸な生い立ち / 養父と松吉
第7章 「山窩」の虚像と実像
 近代「山窩」像について / 警察用語としての「山窩」 / 特殊な侵入盗と忍者 / 凶悪犯グループと忍者 / サンカ集団と忍者 / 忍者・山窩・警察 / 虚像としての「山窩」
第8章 「サンカ」とは何か
 サンカの定義 / サンカをめぐる難問 / サンカの語源 / サンカの源流 / サンカと下層生活者 / 組織性と犯罪性
第9章 サンカの漂泊性と被差別性
 宮本常一のサンカ観 / サンカと山中の住民 / サンカの被差別性 / 番非人とサンカ / 番非人とサンカの共通性
第10章 三角サンカ学の意味
 新聞記者から小説家へ / 山窩小説の意味 / サンカ学研究の動機 / 三角サンカ学の特徴 / 最後のサンカ集団 / 説教・口説き・物乞い
補章 サンカ再論
あとがき / 文庫版あとがき


古今亭 志ん生 (ここんていしんしょう)
「志ん生芸談」
(しんしょうげいだん)


*カバーデザイン・山元伸子
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*216頁 / 発行 2012年

*カバー文
座談の名手・古今亭志ん生師匠の話芸の魅力を一冊に。貧乏長屋、酒の武勇伝、廓の艶ばなし、旅の思い出、子どもたちの話……そしてきわめつけ落語芸談。「将棋で徹夜」「実用むき」「天狗の告白」「銭を求めて」「好色の戒め」「処世哲学」etc、とにかくまだまだもっと志ん生師を読みたい!あなたに。

*目次
【語り】
将棋で徹夜 / 実用むき 妻を語る / 天狗の告白 川柳の巻 / 銭を求めて 放浪の記録 / 貧乏と隣合せで五十年 / お化け長屋は愉しき哉 / ナメクジと闘う / 好色の戒め / ごあいさつ
 ・
私のくらし / 処世哲学 / ずぼらで呑んべで…… / 「紫綬褒章? そうだってね」 / 古今亭志ん生という男性
【対談】
古今亭志ん生の巻 徳川夢声と / 笑わせたがらぬ笑いの名人 竹山恒寿と / かたい話やわらかい話 福田蘭童と / とかく浮世というものは…… 青木一雄と / おしゃべり道中 大宅壮一と
●文庫解説 伸縮自在志ん生の勝手 立川談四楼


小島 政二郎 (こじままさじろう)
「食いしん坊」
(くいしんぼう)


*カバーデザイン・山元伸子
 カバーフォーマット・佐々木暁
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*254頁 / 発行 2011年

*カバー文
無類の食道楽小島政二郎は、うまい物に身も心も捧げた稀代の食通であった。納屋橋饅頭、麩嘉の笹巻き、名古屋流スキ焼、黄肌の鳥、桐正宗、ももんじ豊田屋といった逸話から、隠れた銘店、名も知れぬ小店の頑固親父のこだわりまで。鏡花、芥川、魯山人…といった文人との食の想い出に到る、味の文壇交友録。

*目次
一 東京のお菓子 / 二 納屋橋饅頭 / 三 お茶の話 / 四 麩嘉の笹巻き / 五 片岡鐵兵と椿餅 / 六 芥川の舌 / 七 名古屋流のスキ焼と信州蕎麦 / 八 魯山人と黄肌の鳥 / 九 桐正宗 / 十 生野の蒲焼 / 十一 長浜の鴨、松坂の牛 / 十二 鶴屋のお菓子 / 十三 大阪でひどい目に合った話 / 十四 上野の御馳走 / 十五 特製の茹小豆 / 十六 掃雲台のソラ豆 / 十七 水上瀧太郎と樽中の味 / 十八 菊正のブーケ / 十九 コーヒーとフィルトル / 二十 白木屋のラール / 二十一 子母澤さんからの秋田米 / 二十二 三上於菟吉の悪酒 / 二十三 泉すゞ流うまい番茶の焙じ方 / 二十四 鏡花と突ついた鍋 / 二十五 笹の雪 / 二十六 魔法瓶に例のを一つ / 二十七 修善寺の新井 / 二十八 大磯の名水 / 二十九 向両国ももんじ豊田屋 / 三十 鶴屋八幡「つきせぬ」 / 三十一 うまい物には負けろ / 三十二 肝焼の中の釣り針 / 三十三 天下無敵の小満津 / あとがき / あとがき・その二 / 文庫解説 うまい物好きがみた文壇裏面史 重金敦之


後藤 明生 (ごとうめいせい)
「挾み撃ち」
(はさみうち)
河出文庫BUNGEI Collection


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*292頁
*発行 1991年
*カバーデザイン・菊地信義

*カバー文
「あの外套はいったいどこに消え失せたのだろう?」 ―― 遠い昔に失われた一着の外套を探して、〈記憶の迷路〉を巡る“わたし”。その記憶と現実とに挾み撃ちされた姿を通して、鋭く現代の存在の不安を描出した問題作。


小林 麻美 (こばやしあさみ)
「ブルーグレイの夜明け」
(ぶるーぐれいのよあけ)


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*188頁
*発行 1984年

*目録文
女優として、歌手として、そしていま詩人として生きる麻美が、揺れ動く青い心を、語り詩い撮る


五味 康祐 (ごみこうすけ)
「剣には花を(上下)」
(けんにははなを)

 
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*上?頁 / 下351頁
*発行 1984年

*目録文
後世剣聖と謳われた鉄舟・山岡鉄太郎の豪放闊達な若き日々を、勤皇佐幕入り乱れる江戸を舞台に描く


五味 康祐 (ごみこうすけ)
「無刀取り」
 (むとうどり)


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*253頁
*発行 1984年

*カバー文
流祖石舟斎から宗矩・十兵衛・兵庫・連也斎、至妙の剣を揮う柳生の道統――しかしそれは暗殺と真剣勝負の血ぬられた歴史でもあった。一見、残忍非情とのみ見えるこれらの勝負のひとつひとつに、三十年後、五十年後までもを見越した底知れぬ武略の深さが秘されていた。
戦国興亡の時代を剣一筋に生き抜き、徳川三百年の礎を陰で築き上げた柳生兵法の強さの秘密を明かす剣豪小説六篇。


五味 康祐 (ごみこうすけ)
「無明斬り」
(むみょうぎり)


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*269頁
*発行 1984年

*目録文
父宗矩の意を体して、各地で豪剣を揮う十兵衛三厳。柳生兵法の神髄を描く小説の白眉六篇