絶版文庫書誌集成

河出文庫 【み】

三島 由紀夫 (みしまゆきお)
「文豪ミステリ傑作選 ― 三島由紀夫集」
 (ぶんごうみすてりけっさっくせん みしまゆきおしゅう)


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*250頁 / 発行 1998年
*カバー装幀・里見恭助

*カバー文
自意識の迷路、背徳の愛、死の美学、殺人と恐怖の形而上学、そして小説の論理的な構成。 ― 優れたミステリ作品の持たねばならないあらゆるエレメントを具えた三島由紀夫の短篇小説のなかから、最もミステリアスな傑作12篇をえらび抜きました。ただ花が久遠に花であるための、彼は殺人者になったのだった。なぜ人は人を殺すのか、という永遠の問いを追求しませんか?

*目次
サーカス / 毒薬の社会的効用について / 果実 / 美神 / 花火 / 博覧会 / 復讐 / 水音 / 月澹荘綺譚 / 孔雀 / 朝の純愛 / 中世に於ける一殺人常習者の遺せる哲学的日記の抜粋 / 編者解題 井上明久


水木 しげる (みずきしげる)
「水木しげるの妖怪文庫 (一〜四)」
(みずきしげるのようかいぶんこ)

  

  
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*(一)197頁 / (二)197頁 / (三)197頁 / (四)201頁
*発行 1999年新装版

*目録文
稀代の“妖怪博士”が日本国中の闇の世界に取材した懐しのオバケから珍種、新種に至る一九二妖怪全図鑑


三田村 鳶魚 (みたむらえんぎょ)
「江戸の女 ― 鳶魚江戸ばなし2」
(えどのおんな)


*カバーイラスト・鳥居清長「飛鳥山花見」(部分)
 カバーデザイン・田澤司

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*290頁 / 発行 昭和63年

*カバー文
現代とはかたちが違っても、江戸時代の女性もたくましく暮らしていたのだ ―― 江戸城大奥や大名屋敷に仕える御殿女中たち、大江戸を彩った芸者の移り変り、商家の日常生活を支えた“おさんどん”の生態、そして水茶屋や囲われ者の女性たち……さまざまな女性の風俗実態を、古老からの伝聞や、資料の検証を通していきいきと浮彫りにする大江戸女性史。好評の「江戸ばなし」シリーズ第2弾!

*目次
御殿女中の話
芸者の変遷
下女談義
水茶屋の女
江戸末期の囲い者
解説 柴田宵曲
文庫本への解説 今井金吾


三田村 鳶魚 (みたむらえんぎょ)
「女の世の中 − 鳶魚江戸ばなし3」 (えんぎょえどばなし おんなのよのなか)


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*271頁 / 発行 1988年

*カバー文
アメリカの建国時代と同じように(?)、全国から集まった男たちに較べ、大江戸の女性の人口は圧倒的に少なかった……。さてそこで、女の世の中、カカア天下、男女不平等に対する目ざめ、風儀の崩れ、などなどが続出する実情を、鳶魚の傑出した眼力が見事にとらえます。春日局のヤキモチや女義太夫の生態まで描かれる男女・夫婦関係の面から描いた大江戸の女性風俗。好評「江戸の女」の姉妹篇。

*目次
江戸の女気質 / 結婚と夫婦 / 武家風儀の崩れ / 間男成敗 / 頽廃的傾向 / 嫉妬が名物 / 法律の方面から / 男女の道 / 春日局の焼餅競争 / お伝の方の一族 / 希有の女スパイ / 女豪竹本小伝 / 柳営最後の御狂言師 / 異人嫌いの喜遊 / 歌川豊国の娘


三田村 鳶魚 (みたむらえんぎょ)
「泥坊づくし ― 鳶魚江戸ばなし」
 (どろぼうづくし・えんぎょえどばなし)


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*258頁 / 発行 昭和63年
*カバーイラスト・日本駄右衛門(白浪五人男)(資料提供=国立劇場) / カバーデザイン・田澤司

*カバー文
「火事とケンカは江戸の華」とはよくいわれるが、ここにつけ加えたいのが泥坊である。泥坊こそ大江戸の闇を彩った悪の華であった。なかには今日まで語り伝えられ、民衆の間で絶大な人気を誇る大泥坊たちも数々いるが、彼らの本当の姿は果していかなるものであったのだろうか? 江戸風俗研究の泰斗が、深い学識を傾注し、虚実の皮膜を検証する、壮大な構想による大江戸泥坊史!!

*目次
慶長前後の模様 / ラッパ、スッパ / 山賊と海賊 / 江戸廻りの泥坊 / 天和から宝永まで / 複雑になった享保 / 雲霧仁左衛門 / 日本左衛門 / 五人小僧 / 鼠小僧次郎吉 / 鬼坊主清吉 / 青木弥太郎 / 三田村鳶魚紹介 稲垣史生


南方 熊楠著 / 責任編集・解題 中沢新一 (みなかたくまぐす / なかざわしんいち)
「南方熊楠コレクション U 南方民俗学」 (みなかたみんぞくがく)


*カバー装幀・奥村靫正
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*584頁 / 発行 2009年

*カバー文
その方法はきわめて現代的で、構造人類学をつうじて、二十世紀後半の人間が手にするようになったものと、きわめて多くの共通点をもっている。熊楠はそのような方法に独力でたどりついている。…彼はマンダラの論理からヒントを得て、新しい神話学の方法を、つくりあげようとしたのだ。そのために、彼のつくりだそうとしていた方法は、いまでも新鮮な輝きを、失わない。  ― 中沢新一「解題 南方民俗学」より

*目次
解題 南方民俗学 ― 中沢新一
第一部 具体の科学としての南方民俗学 ― 論文集成
 千里眼
 平家蟹の話
 山神オコゼ魚を好むということ
 西暦九世紀の支那書の載せたるシンダレラ物語
 猫一疋の力に憑って大富となりし人の話
 人柱の話
 邪視について
 睡眠中に霊魂抜け出づとの迷信
 通り魔の俗説
 睡人および死人の魂入れ替わりし譚
 臨死の病人の魂、寺に行く話
 睡中の人を起こす法
 ダイダラホウシの足跡
 厠神
 ひだる神
 鷲石考
 燕石考
第二部 世界民俗学へ ― 柳田国男宛書簡より
 オコゼについて
 山男について、神社合祀反対の開始、その他
 粘菌の神秘について
 言語の音、幼児の言語獲得について、その他
 無鳥郷の伏翼、日本人の世界研究者、その他
 狂人になること、反進化論、その他
 剃頭した親子、盛長する石、その他
 神社合祀反対運動の終結、その他
 ルーラル・エコノミーについて、柳田批判、その他
 猥雑の肯定、その他
 民俗学雑話、山男についての結論、その他
  語注 ― 長谷川興蔵


南方 熊楠著 / 責任編集・解題 中沢新一 (みなかたくまぐす / なかざわしんいち)
「南方熊楠コレクション V 浄のセクソロジー」 (じょうのせくそろじー)


*カバー装幀・奥村靫正
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*548頁 / 発行 1991年

*カバー文
彼は性の領域で、つねに多様で、多形的な関係の広がりを発見しようとしていたのだ、それは、ちょうど生命の領域に、彼が粘菌のような、多様で、多形的な生命形態を探求していたのと、同じ思想にもとづいている。……性の領域は、熊楠にとって、自分の生のあり方を変革する可能性をもったオペレーションにほかならなかった。  ― 中沢新一「解題 浄のセクソロジー」より

*目次
解題 浄のセクソロジー ― 中沢新一
第一部 淫書の効用 ― 論文集成
 月下氷人 ― 系図紛乱の話
 婦人(おんな)を?童(わかしゅ)に代用せしこと
 千人切りの話
 淫書の効用
 婦人の腹中の瘡を治した話
 樟柳神とは何ぞ
 「摩羅考」について
 人魚の話
 奇異の神罰
 鳥を食うて王になった話
第二部 友愛としての同性愛 ― 岩田準一宛書簡より
 浄愛と不浄愛、粘菌の生態、幻像、その他
 直江兼続と上杉景勝、大若衆のこと、その他
 カゲロウとカゲマ、御座直し、『弘法大師一巻之書』、その他
 ちご石、北条綱成、稚児の谷落とし、「思いざし」、その他
 女の後庭犯すこと、トルコ風呂、アナバの猫、その他
 口碑の猥雑さ、化け物譚、腹上死、柳田批判、その他
  語注 ― 長谷川興蔵


宮武 外骨 (みやたけがいこつ)
「面白半分」
 (おもしろはんぶん)


*カバーデザイン・作場知生
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*250頁 / 発行 1996年

*帯文
物騒きわまる奇思妙想!
どうだ、ヘッポコども! 真面目にこの名案を実行してみる気はないか。

*カバー文
面白半分の記者は面白半分に筆を執り、面白半分の読者は面白半分に知識を得ねばならぬ。年じゅう苦虫を食いつぶしたような顔をして暮らす者は一生の不幸である。人間、何がためにこの世に生まるるぞや。「世の中は食うてハコして寝て起きて、さてその先は死ぬるばかりぞ」生きんがために生まれるなり。 ― 雑誌「面白半分」

*目次
 外骨は文章がおもしろい(まえがき) ― 吉野孝雄
緒言
馬鹿とはいかん
むしろ悪を勧めよ
生理学上の難問題
遊女と色気
古今奇譚と語源の怪
日本風俗罵倒録
新聞と広告の内幕話
アメリカ様
 解説 ノンキな筆まかせはナルホドさすがに 何かしらトテモよろしいと思ふ ― 砂古口早苗


宮武 外骨 (みやたけがいこつ)
「刑罰・賭博奇談」
 (けいばつとばくきだん)


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*253頁 / 発行 1998年
*カバー装幀・作場知生

*カバー文
窃盗、暴行、浮気……社会の規則に違反した者たちが、いかに処罰され刑を受けてきたかを、興味深い奇妙奇天烈な実例を紹介しながら編纂した、特異な歴史資料『私刑類纂』。
日本のギャンブル史を体系的にまとめ、文化史、民俗史的にも驚天動地の豊穣な世界を垣間見せてくれる『賭博史』。
正史の裏側を大胆に開陳した比類のない貴重な二篇の名作。

*解説頁 「刑罰と賭博の文化人類学」山口昌男


宮武 外骨 (みやたけがいこつ)
「明治奇聞」
(めいじきぶん)


*カバー装幀・作場知生
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*265頁 / 発行 1997年

*カバー文
明治の奇人として有名な宮武外骨が、同時代の新聞雑誌から収集した驚天動地の珍妙な記事を、テーマ別に紹介した「奇談集」。記憶術の出版ブーム、美容健康法やコックリさんの流行、世界終末論などをはじめとして、現代から見ても不思議なくらいに共通する要素を持った、明治人の精神とその愉快な一面を、今までにない新しい視点で堪能できる抱腹絶倒の一冊。

*目次
まえがき 「外骨の一撃」 ―― 吉野孝雄
自序
明治奇態流行事情
明治ことはじめ
明治名数集
明治新政府の怪問題
明治演説史
新聞雑誌の新想案
震災画報
 解説 時代のスタイルブック ―― 池内紀


三好 徹他 (みよしとおる)
「東京銀座ミステリー傑作選」
(ぎんざみすてりーけっさくせん)


*カバー装幀・巌谷純介
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*268頁 / 発行 昭和62年

*カバー文
♪むかし恋しい銀座の柳……文明開化のシンボル・鹿鳴館やガス灯の明治期から、カフェー花盛りの大正・昭和期を経て、焼跡から鮮やかに甦り世界のGINZAへ ―― 時代の移ろいを背景に、銀座に群れ集う老若男女の儚い夢と欲望の行方を、横溝正史・日影丈吉菊村到加納一朗黒岩重吾梶山季之赤川次郎三好徹大下宇陀児が解き明す華麗なミステリー絵巻。ミステリー紀行シリーズ東京篇!

*目次(アンソロジー)
銀座小景 或いは、貧しきクリスマス・プレゼント … 横溝正史
魅惑の街・銀座 … 三好徹
美人通り魔 … 日影丈吉
銀座綺譚 … 大下宇陀児
霧の中の女 … 横溝正史
ふしぎな紳士 … 菊村到
怪談銀座稲荷 … 加納一朗
青ざめた装飾 … 黒岩重吾
銀座祭り殺人事件 … 梶山季之
「通(つう)」 … 赤川次郎
銀座心中 … 三好徹
解説 山前譲