絶版文庫書誌集成

河出文庫 【さ】

早乙女 宏美 (さおとめひろみ)
「ロマンポルノ女優」
(ろまんぽるのじょゆう)
河出i文庫


*写真 / 日活株式会社提供
 カバーデザイン / STUDIOTABE
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*242頁 / 発行 2006年

*カバー文
豊満な肉体、悩ましい表情。あらがいながらも昂り、切なげに喘ぎ、呻き、激しく身悶えしながらのぼりつめる人妻。淫具を使っての迫真のオナニー。トロンとした瞳、半開きの口許、悩ましい喘ぎ声で圧倒するからみ場面。激しいファックシーンで見せる淫靡でステキなよがり顔。恥ずかしくてたまらないのに身体がひらいてしまい、いつの間にか快楽の深みにドップリ浸って淫美さをつのらせていく……。セックスシンボルだった女優たちの淫技艶技。

*目次
はじめに / ロマンポルノの女王★白川和子 / 清純派★片桐夕子 / 売りはデカダン★宮下順子 / SMの女王★谷ナオミ / 演技派★中島葵 / 体験派★芹明香 / 小悪魔的魅力★宮井えりな / 楚々とした美貌★志麻いづみ / 明るく爽やか★鹿沼えり / 翔んでる娘を快演★竹田かほり / 二代目SMの女王★麻吹淳子 / 元タカラジェンヌ★朝比奈順子 / 自由奔放★萩尾なおみ / 奴隷契約(!?)★松川ナミ / まことスマイル★よしのまこと / 日本人離れの容姿★朝吹ケイト / 百合族憧れキャラ★小田かおる / ロリータアイドル★山本奈津子 / SMのオリビア・ハッセー★高倉美貴 / 妖しい魅力★赤坂麗 / 最後の演技派★麻生かおり / 華と根性★小川美那子 / 巨乳で魅了★真咲乱 / 真性のマゾか★長坂しほり
 *
★ロマンポルノの楽しみ
ピンク映画との違い / 実力派の役者たち / 原作もの ―― 純文学から漫画まで / シリーズもの / 本社作品と外注作品 / 綺羅星のような監督たち / 音楽も一興 / シナリオの技 / アダルトビデオとロマンポルノ
日活ロマンポルノ 略年表 / 解説 ロマンポルノと早乙女宏美 成田尚哉
写真提供=日活株式会社


酒井 政利 (さかいまさとし)
「アイドルの素顔 私が育てたスターたち」
(あいどるのすがお)


*カバー装幀・菊地信義
 カバー写真撮影・篠山紀信
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*215頁 / 発行 2001年

*カバー文
山口百恵、郷ひろみ、南沙織など数々のスターを見出し、世に送り出した、稀代の名プロデューサーが描くアイドルたちの真実。スーパースターの宿命とも言うべきスキャンダルの裏側にあるものは……? 濁流渦巻く芸能界に一条の光を求め、スターという大輪の花を咲かせ続けた著者の、信念と情熱に満ちたノンフィクション!

*目次
scene1 「魔性」を秘めた少女山口百恵
 「山口百恵の現在」 / スーパースターが持つ魔力 / 衝撃的な光景 / 膝小僧の上の赤い花びら / ハッとするような清潔感 / この娘は恋をしているんだ! / 少女は見事に成長をとげた / 百恵神話は生きている
scene2 彼女たちのスターロード
 スターの条件とは / 初々しさが残る南沙織 / 潮の香り漂う理知的な少女 / “ソニーのシンシア” / 寝耳に水の引退発言 / 天地真理の栄光と挫折 / “白雪姫”と過ごした大晦日 / スキャンダルの大波 / 今も変わらぬ天真爛漫さ / キャンディーズが「ふつうの女の子」に戻るとき / “事件”がもたらしたプロデュース / 自己主張の出来たアイドルスター
scene3 「寺山サロン」で開眼、そして郷ひろみ
 美貌と歌声のアンバランス / 衝撃的なあるひと言 / 天性のアイドル / 「私小説」と「大娯楽」 / “ひろみ・聖子”報道の真相 / 挫折や逆境に無縁だったチャレンジ精神 / いま、旬のとき
scene4 濁流のなかに光を求めて
 スターを襲うスキャンダルの嵐 / つくられた芸能界のイメージ / 帝銀事件、平沢貞通、そして私…… / 「今は合わない方がいい……」 / 誘惑が渦巻く人間社会の縮図、芸能界
scene5 “事件ディレクター”
 「視覚派」としてのプロデューサー / 文芸書路線の先駆け、『愛と死をみつめて』 / ひばり母娘と古賀政男 / 「歌屋」論争 / アダルト歌手の魅力をひき出す
scene6 『魅せられて』を生んだ旅
 それは南太平洋から始まった / イメージソングの誕生 / ”旅の決算書” / チューブ・デビュー秘話
scene7 未完の大器宮沢りえ
 艶やかな大輪 / 『蔵』降板の真相 / “平成のひばり母娘” / フンドシ・ルックから“貴・りえ”破局へ / 代表作は「宮沢りえ」 / ブームとスキャンダルのはざまで / 前途に光がみえる

 あとがき / そして五年 ―― 文庫版あとがき / 解説 阿木耀子


坂口 安吾 (さかぐちあんご)
「安吾新日本地理」 
(あんごしんにほんちり)


*カバーデザイン・田村義也
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*318頁 / 発行 昭和63年

*カバー文
日本歴史の源流は何処に求められるか? 伊勢神宮か、飛鳥古京か、意外にも遠く飛騨・高山か? 埼玉県の高麗神社には何が秘められているのか……敗戦後10年にも満たぬ昭和20年代後半に、あらゆるタブーを乗り越えた前人未到の地平から古代史の謎に取り組んだ驚くべき業績。敗戦により剥き出しにされた祖国の実像を大胆に描破する日本再発見大紀行 ― いま甦る安吾歴史三部作の代表的名著。

*目次
安吾・伊勢神宮にゆく
道頓堀罷り通る
伊達政宗の城に乗り込む
飛鳥の幻
消え失せた沙漠
長崎チャンポン
飛騨・高山の抹殺
宝塚女子占領軍
秋田犬訪問記
高麗神社の祭の笛
解説 未完への意志 関井光男
安吾新日本地理・坂口安吾年譜 関井光男


坂口 安吾 (さかぐちあんご)
「安吾新日本風土記」 (あんごしんにほんふどき)


*カバーデザイン・田村義也
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*246頁 / 発行 昭和63年

*カバー文
日本全国を歩いて古老たちの話を訊き、日本人の全く新しい歴史を書きたい ―― 天孫降臨の地宮崎県の高千穂の謎、飛騨の国の秘密、山の伝承などをさぐる日本史再発見の旅。敗戦後まもない昭和20年代の後半、明治以来のタブーに敢然と挑み、今日の古代史ブームの端をひらいた安吾の先駆的な業績を、未発表未刊行論考をも収めて再編集。好評の安吾歴史三部作完結篇!

*目次
歴史探偵方法論
安吾日本風土記
 「安吾・新日本風土記」仮題について ――
 高千穂に冬雨ふれり《宮崎県の巻》
 富山の薬と越後の毒消し《富山県・新潟県の巻》
飛騨の秘密
日本の山と文学
鉄砲
ヨーロッパ的性格 ニッポン的性格
安吾武者修業 馬庭念流訪問記
桐生通信
回想 書かれなかった安吾風土記《高知県の巻》 … 竹内一郎
解説 日本の文化の源流に向かって … 関井光男
安吾新日本風土記・坂口安吾年譜 … 関井光男


坂口 安吾 (さかぐちあんご)
「日本論」
 (にほんろん)


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*339頁
*発行 1989年
*カバーデザイン・田村義也

*カバー文
敗戦後の混乱期に、新生日本文学の旗手として、伝説的光芒を放ち、時代を駆け抜けた巨星の代表的論考を一巻に集成。
第T部 日本語について 「新カナヅカヒの問題」「敬語論」「戦後文章論」等
第U部 日本および日本人について 「日本文化私観」「堕落論」「天皇小論」「天皇陛下にささぐる言葉」「恋愛論」等
祖国と人間への愛につらぬかれた不滅の名評論に全集未収録作を含めた決定版!

*解説頁 坂口安吾の場所 関井光男


阪田 寛夫 (さかたひろお)
「童謡でてこい」
 (どうようでてこい)


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*276頁
*発行 1990年

*カバー文
「赤とんぼ」「蝶々」「夏は来ぬ」「青い眼の人形」といった懐かしい童謡から「ぞうさん」「サッちゃん」などの新しい童謡まで、誰もが知っていて歌ったことのある童謡を50曲ほどとりあげ、どのようにして歌詞がつくられ、曲が作曲されたかを、作詞者、作曲者のエピソードをおりまぜて、たのしく、わかりやすく綴った童謡の歴史。とりあげた曲の歌詞をすべて収載。巻末に年表付。巌谷小波文芸賞受賞。

*解説頁 阪田寛夫の磁石 藤田圭雄


作者不詳・田村 隆一訳 (たむらりゅういち)
「我が秘密の生涯」
(わがひみつのしょうがい)


*カバーデザイン・渡辺和雄
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*602頁 / 発行 1998年

*カバー文
飛ぶ鳥落とす勢いのヴィクトリア朝大英帝国で、ひたすらセックスに没頭した紳士がいた。幼児期の女中との戯れ、少年時代の初体験、大人になっての娼館通い、中年以降の処女への執着……総数なんと千二百人以上の女性との繋逅を克明に記録し、「たいへんな本」と故・開高健氏を驚愕させた究極の性のルポルタージュを詩人・田村隆一の名訳でおくるダイジェスト版! 作者不詳。

*目次
T 戯れと観喜……幼児期から少年時代へ
 幼児期の幼cunt / 自涜の驚異 / 大願成就 ── シャーロットとのいきさつ / 百姓娘姉妹との交歓
U お楽しみはこれから……青年時代
 ウォータールー街のフランス女 / 地主屋敷での冒険 / ヴォクソールの幼女 / 貧乏ぐらしと安物買い / わが救い主メアリ / 麗人メアリとの交歓 / サラ・メイヴィスの魅力 / うちとけてくるサラ
V 百花繚乱……中年時代
 忘れてきた雨傘 / 新局面打開 / 懐胎にあこがれる子宮 / 中欧諸国艶道行脚 / 大理石の乳棒で不気味な芸当 / 浴槽の苦戦
W 艶舞は果てしなく……初老時代
 退役将校夫人の過去の秘密 / 娼婦サラとの特異な交観 / 除き穴の向こうの世界の諸相 / 男 ─ 女 ─ 男、果てしない愉悦 / 絹のドレスの甘美な代償 / 小さなカントの破瓜物語 / 漏斗のバカ遊び ── サラとの別離
解説(小池滋) / 奇書『我が秘密の生涯』(開高健) / 訳者あとがき あらためてLOVEのために


ザッヘル・マゾッホ著・種村 季弘訳 (たねむらすえひろ)
「毛皮を着たヴィーナス 種村季弘コレクション」
(VENUS IM PELS)


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*235頁
*発行 1983年

*カバーイラスト・金子國義 / カバーデザイン・渡邊かをる


*カバー文
カルパチアの保養地で毛皮の似合う美しい貴婦人と出会った青年は、残酷なヴィーナスに足げにされ鞭打たれる喜びを発見する。ふたりはフィレンツェに旅し、青年は婦人の奴隷になる契約を結ぶが、彼女に接近するギリシア人の出現に新たな苦悩の快楽を経験する ── マゾヒズムの性愛をファンタジックな世界に昇華させ、サドと並び称されるマゾッホの傑作長編小説。


佐藤 鉄章 (さとうてっしょう)
「召集兵 ― 中国・し江作戦の全記録」 (しょうしゅうえい ちゅうごく・しこうさくせんのぜんきろく)


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*279頁
*発行 1989年
*カバーイラスト・新妻石根

*カバー文
一九四四年十一月、秋田県北部の女学校教師だった著者は、妻と幼い三人の子どもを残し、最後の召集兵として中国大陸へ出征する。目的地さえ告げられぬまま天蓋車に詰めこまれての強行軍。やがて、中国大陸を南下、?江、洞口、宝慶周辺の山岳地帯に投げ出された兵士たちを待ちうけていた戦争とは……。本書は、飢餓と狂気、殺戮の恐怖のなかで記録したメモが語りかける日中戦争の真実である。

*「し江作戦」の「し」はクサカンムリに「止」です。


三代目 三遊亭 金馬 (さんゆうていきんば)
「浮世断語」
(うきよだんご)


*カバーデザイン・水上英子
 カバー写真・共同通信フォトセンター
 カバーフォーマット・佐々木暁
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*278頁
*発行 2008年

*カバー文
この随筆はひとりよがりの芸談ではない。いうならば明治大正昭和三代にわたる世相や人心の推移変遷を筆にした観察記であり、落語そのものの真の醍醐味を語った趣味論であり、得がたい風俗史の資料メモであり、言語生活録である。面白さを追求した教養人、金馬に始まり金馬に帰る、落語の名著の決定版。

*目次
はしがき / 咄家の着物 / 咄家の食物 / 刺青の話 / 芝居と落語 / ピン / 珍芸変人 / 変名と渾名 / 落ちと当意即妙 / 寿限無論 / 符牒の語源 / 昔の言葉と悪口 / 噺家の発明と警句 / 蔵前と裸駕 / 旅の恥 / 失敗 / 釣りは童心 / 桜鯛 / 犬 / 地虫 / 無駄 / 奇禍 / あとがき 奥野信太郎 / 解説 金馬に始まり金馬に終わる 原健太郎

旺文社文庫版(サイト内リンク)


三遊亭圓生・宇野信夫監修 (さんゆうていえんしょう・うののぶお)
「圓生の落語1 双蝶々」
(えんしょうのらくご・ふたつちょうちょう)


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*313頁
*発行 2010年
*カバーデザイン・鳥居和昌 / カバー写真・金子桂三 / カバーフォーマット・佐々木暁

*カバー文
巧みな人物描写、洗練された語り口で、今なお名人の名を不動のものとする、三遊亭圓生の名演集。表題作「双蝶々」他巧みな人物描写、洗練された語り口で、今なお名人の名を不動のものとする、六代目三遊亭圓生の名演集。悪の道に堕ちた息子とその両親との切ない情を描いて涙を禁じ得ない表題作「双蝶々」他、「ちきり伊勢屋」「札所の霊験」「梅若礼三郎」「お若伊之助」の全五篇を収録。 ◎文庫版解説=柳家喬太郎