絶版文庫書誌集成

河出文庫 【て】

寺尾 善雄 (てらおよしお)
「宦官物語 ― 男を失った男たち」 (かんがんものがたり)


*カバー装幀・巌谷純介
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*246頁 / 発行 1989年

*カバー文
古代から、ほとんど全世界の王朝に存在していた宦官は、なぜ中国で異例の発達をとげ、強大な勢力集団となったのか? そもそも宦官とは、宦官制度とは何か? 英雄豪傑美女たちが権謀術策をこらして争った王朝交代劇を、宮廷の深奥部からあやつった特異な男たちの実像――その発生から実態、生態、歴史、終焉までのすべてを描き出し、秘められた中国史の内幕にせまる、歴史ノンフィクション!

*目次
はしがき
奇怪醜悪なその実態
 天子操縦上の心得 / あふれる宦官希望者 / 皇帝の“夜”の奉仕者 / そのセックス、夫婦者もいた / グロテスク人間 / その誕生から最期まで
中国史に投げた影
 殷ごろから、すでに存在 / 後漢を滅亡に導く / 唐では皇帝の廃立も意のまま / 史上最大の宦官帝国の明 / 宦官、帝制とともに消滅
宮廷での生活
 師父について学ぶ / 御前太監の一日 / 女主人と宦官
宦官の終焉
 清代における機構 / 給料と賞賜 / いちじるしい上下の格差 / 井戸に投げ込まれた珍妃 / 宦官への刑罰 / 晩年の寺廟生活 / 宦官を紫禁城から追放
濁中の光彩・蔡倫と鄭和
 紙を発明した学者・蔡倫 / 空前の大航海王・鄭和 / その他の名宦官
歴史を騒がせた宦官 ―― 悪徳宦官列伝
 皇帝を“馬鹿”にした趙高 ―― 秦
 国を手中に収めた五侯・十常侍 ―― 後漢
 皇帝をも殺害した三悪人 ―― 唐
 天子の悪業教師・劉瑾 ―― 明
 西太后の情夫? 季蓮英 ―― 清
 最後の大物宦官・小徳張 ―― 清


寺尾 善雄 (てらおよしお)
「漢詩故事物語」
(かんしこじものがたり)


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*387頁
*発行 1984年

*目録文
波瀾万丈の中国で生まれた名詩選。原詩・読み下し文・解釈・時代背景・エピソード等で詩を鑑賞する


寺山 修司 (てらやましゅうじ)
「絵本・千一夜物語 寺山修司コレクション[」
(えほんせんいちやものがたり)


*カバー装幀・鈴木成一
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*348頁 / 発行 1993年

*カバー文
才気縦横の語部・寺山修司と華麗な絵師・宇野亜喜良が共作した傑作。エロチック絵本。舞台を現代の東京、不夜城・新宿におき、ヤクザ、プロレスラー、クラブホステス、悪徳医者、犬殺し、フリークス、おかま、等等が語りつぐ、波爛万丈、息もつかせぬエロスの饗宴。スキャンダラスな劇作家・寺山が、都市演劇の粋を一冊の絵本にまとめた名作。

*目次
前口上
第一夜 ── 第三夜
 ありとあらゆる壜詰を売る壜詰商会と「さよならの壜詰」の話
第四夜 ── 第五夜
 善良な犬殺しと三人の映画女優の物語 入浴場面付
第六夜
 傴僂男の殺人事件と赤いバラの話
第七夜 ── 第九夜
 盲をあなたに
第一〇夜 ── 第一四夜
 ああ、アリ馬場「開け、ゴマ!」
第一五夜 ── 第二二夜
 アラジンの不思議な男性自身
第二三夜 ── 第二五夜
 はづかしきジャックと豆の木
第二六夜 ── 第三〇夜
 大山デブコ殺人事件
 解説 ── 寺山修司と終りの感覚 山口昌男


寺山 修司 (てらやましゅうじ)
「新・書を捨てよ、町へ出よう 寺山修司コレクションT」
(しんしょをすてよまちへでよう)


*カバーデザイン・鈴木成一
 カバーフォーマット・佐々木暁
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*320頁 / 発行 2006年

*カバー文
ピブロフィリア(書物狂い)の青年期に歌人としてスタートし、古今東西の本に精通した著者が、言葉と思想の再生のためにあえて時代と自己に向けて放った鮮烈なアジテーション。“青少年のための家出入門”などの実用的エッセイから、美空ひばり論、渥美清論などの鋭利な人物評まで寺山修司の広範な視点がわかる名著。

*目次
青少年のための家出入門
 巻頭論文 ―― 青少年のための家出入門 / 自由だ、助けてくれ / 誰が力石を殺したか / サザエさんの性生活 / 母恋春歌調 / ひらかな仁義

痩せた日本人のための書
 現代悪人論 / 口から出まかせの恋愛論 / アソビ学入門 / モダンジャズ入門 / 壮大な〈性〉の音楽を / ほんとの教育者

現代絵師論
 佐伯俊男論 ―― 春画地獄 / 横尾忠則論 ―― ぼくは友人横尾忠則について話したい / 林静一 ―― 毒絵具の妖怪画報、花ほととぎすのみだら絵

三文エロイカ
 喜劇俳優 ―― 渥美清 / プロレスラー ―― ジャイアント・馬場 / 流行歌手 ―― 美空ひばり / 競輪選手 ―― 高原永伍 / 美人スター ―― 山本富士子 / プロボクサー ―― 藤猛 / 漫画家 ―― 富永一朗

グループ探訪
 わだつみ会 / 漫画家集団「ガロ」 / 言友会 / 笹崎ボクシング・ジム ―― 泣くな妹よ

あとがき ―― 抜けぬ言葉への執着
 解説 ―― この書を持ちて、その町を捨てよ 橋本治


暉峻 康隆 (てるおかやすたか)
「落語の年輪 江戸・明治篇」
(らくごのねんりん)


*カバーデザイン・松岡史恵
 カバーフォーマット・佐々木暁
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*397頁 / 発行 2007年

*カバー文
その起源は戦国時代にまでさかのぼる「舌耕芸」落語の歴史を、詳細な調査と、落語家たちへの限りない共感をもって描き出した本格的落語通史の前編。この「江戸・明治篇」では、落語の原点「咄」の誕生から、御伽衆の活躍、寄席の成立、三遊亭圓朝の登場、明治の上方落語の盛衰までを描く。詳細な資料研究と落語家たちの生きた声の取材をもとにして綴る、画期的な落語通史の前編。

*目次
まえがき
序章 落語名義考
 1 咄と噺と話
 2 咄から落語へ
一章 近世前期の咄 ―― 御伽衆から職業的咄家の時代へ
 1 落語の原点
 2 仕方咄の成立
 3 辻咄と座敷咄のはじまり
   上方の辻咄 / 江戸の座敷咄
 4 浮世草子と落し咄
二章 近世後期の咄 ―― 寄席咄の全盛時代
 1 上方の会咄
 2 江戸の会咄
 3 寄席咄時代のはじまり
   江戸の寄席咄 / 多様化した寄席芸能 / 上方の寄席咄 / 東西寄席のメカニズム / 乞胸頭仁太夫の寄席芸能
 4 江戸戯作と落語
三章 明治の東京落語 ―― 名人円朝の登場
 1 三題咄の流行
 2 三遊派の形成
   円朝の芸道精神 / 晩年の円朝
 3 柳派その他の動静
 4 落語界のアプレ・ゲール
 5 東京落語の再出発
 6 明治の大衆文学
四章 明治の上方落語 ―― 分裂から凋落へ
 1 桂派の台頭と分裂
 2 桂派と浪花三友派の競合
 3 落日をまねく“反対派”
索引


暉峻 康隆 (てるおかやすたか)
「落語の年輪 大正・昭和・資料篇」
(らくごのねんりん)


*カバーデザイン・松岡史恵
 カバーフォーマット・佐々木暁
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*375頁 / 発行 2007年

*カバー文
「アカデミズムに裏打ちされた国文学者の著者でありながら、これだけジャーナリスティックな視点で記述された通史はこれまでなかった」(矢野誠一・解説より)。「江戸・明治篇」に続き、震災・戦災での受難と衰退、そして昭和の黄金時代、上方落語の復活までを描く。落語史の貴重資料、著者渾身の「舌耕文芸年譜考証」所載。

*目次
一章 大正落語戦国史 ── 咄家の離合集散
 1 寄席演芸株式会社と睦会 / 2 群雄きそいたつ / 3 上方落語の灯は消えて / 4 大正大震災前後
二章 昭和の東西落語界 ── 新旧協会の競合
 1 芸術協会の成立 / 2 二つの流れ / 3 ラジオ騒動
三章 戦中・戦後の東西落語界 ── 東西落語の再編成
 1 “はなし塚”由来 / 2 戦雲晴れて / 3 孤塁を守った楽語荘同人 / 4 陽はまたのぼる
舌耕文芸年譜考証
 解説 矢野誠一
 索引