絶版文庫書誌集成

河出文庫 【よ】

吉田 健一 (よしだけんいち)
「埋れ木」
(うもれぎ)


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*195頁 / 発行 2012年
カバーデザイン・岡澤理奈 / カバー装画・中山爾郎

*カバー文
生誕100年をむかえる「最後の文士」吉田健一が遺した最後の長篇小説作品。無為な日々を送る主人公が友人たちと時に飲み、語らいながら、急激に変貌していく東京を彷徨う。「ただ生きていればいいのさ、」と、自分に対して自分を偽ることなく、自在にして豊穣な言葉の彼方に生と時代への冷徹な眼差しがさえわたる、比類なき魅力をたたえた吉田文学の到達点。高く評価されてきた名品をはじめて文庫化。

*解説頁 「彦七に」 吉田暁子


吉野 孝雄 (よしのたかお)
「宮武外骨」
 (みやたけがいこつ)


*カバー装幀・赤瀬川原平
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*319頁 / 発行 1985年

*カバー文
宮武外骨(一八六七〜一九五五年) ― 明治大正昭和の三代にわたる反骨反権力のジャーナリスト。23歳のとき、発布直後の大日本大国憲法を揶揄し不敬罪で初入獄。以降「滑稽新聞」、「筆禍史」、「猥褻風俗史」、「面白半分」など単独の操觚者として百二十余に及ぶ雑誌・単行本を発行。この間の筆禍で入獄4回4年、罰金・発禁29回。晩年は東京大学法学部内の明治新聞雑誌文庫の基礎を創り、資料収集、充実に努めた。

*目次
序章
第一章 大頓智協会ハ讃岐平民ノ外骨之ヲ統轄ス
第二章 庄屋の息子
第三章 操觚の夢
第四章 雌伏七年
第五章 言論のテロリスト
第六章 余は時代の罪人である
第七章 廃姓外骨
第八章 東天紅
終章
年譜 / 参考資料 / 著者ノート 昭和三十年夏の日記から


吉村 武夫 (よしむらたけお)
「今ものこる江戸の老舗」 (いまものこるえどのしにせ)


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*235頁 / 発行 1987年

*カバー文
一味ちがった寿司、その店でないと食べられない素材と調理、市井の名工が作る日用品、一品ものから庶民派まで。上野の山や浅草仲見世、大川端や葛飾柴又。店々の古い由来と町筋の隠れた歴史、時代時代の人の営みと世の流れ……。
そんなこんなを秘めて今も町角にある、そんな店にちょっと寄ってみませんか。江戸明治、大正昭和と愛され生きつづける東京の老舗の名物趣味ガイドブック。

*目次
千代田区
寿司 … 笹巻毛抜鮓 / 酒 … 豊島屋 / 茶器 … ほ里つ / 漢方薬店 … 紀伊国屋
中央区
金ぷら・うずら … 嶋村 / 化粧品 … 柳屋 / 食料品 … 国分 / 半ぺん・蒲鉾 … 神茂 / 弁当 … 弁松 / 楊枝 … さるや / 薬局 … 高木清心丹 / 刃物 … うぶけや / そば … 鴨南蛮 / 魚問屋 … 尾寅 / 佃煮 … 佃源
港区
うなぎ … 重箱 / そば … 永坂更科   … 逆さ銀杏
台東区上野周辺
豆腐料理 … 笹の雪  … 朝顔市  … 桜  … 蓮 / そば … 蓮玉庵 / 製薬屋 … 宝丹 / 櫛 … 十三や
台東区浅草周辺
扇子 … 宝扇堂 / かんざし … 銀花堂 / 餅 … 金龍山 / 化粧品 … 百助 / かしわ料理 … 金田  … 銀杏 / 窯元 … 白井  … 熊手 / どじょう料理 … 駒形どぜう
墨田・江東区
染 … 竺仙 / 灸 … 弘法の灸 / しゃも料理 … 坊主 / 抹茶菓子 … 越後屋若狹 / 味噌 … ちくま味噌 / くず餅 … 船橋屋
品川・世田谷区
釜師 … 名越 / 染 … 大彦
荒川・葛飾区
団子 … 羽二重団子  … 菖蒲 / 川魚料理 … 川甚
著者ノート
所在地一覧


吉本 隆明 (よしもとたかあき)
「情況としての画像 : 高度資本主義下の[テレビ]」 (じょうきょうとしてのがぞう)
文藝コレクション


*カバー装幀・菊地信義
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*206頁 / 発行 1995年

*カバー文
四六時中、たえまなく送り出されてくるテレビ番組を見るとは、一体どういう行為なのか。ブラウン管の中に私たちが本当に見ているのは何なのだろう。リアルタイムのTV番組を通して〈情況〉を抉る著者ならではのアクチュアルな書。

*目次
テレビはどこへゆくか / スポーツ視たまま / 映像の共同体 / 報道番組T / 報道番組U / 年末と年始の祭り / エコロジー談義T / 視聴率はどうか / ハイビジョンをめぐって / 美空ひばりT / テレビCMはいま / 視聴者の言ってみるだけ / エコロジー談義U / テレビの話芸 / ドキュメントの画像 / 視線論 / 昭和天皇の死 / Mr.マリック論 / 手塚治虫論 / テレビのよさといかがわしさ / ドキュメント性とドラマ性 / 報道番組V / 天安門事件 / 美空ひばりU / 「現在」化と大衆 / あとがき / 解説 橋爪大三郎 / 僕の現在は、単なる“現在”にすぎない 榎本陽介


吉屋 信子 (よしやのぶこ)
「小さき花々」
(ちいさきはなばな)


*カバーデザイン・大野リサ
 カバー装画・さやか
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*237頁 / 発行 2010年

*カバー文
幼い頃、教会の日曜学校で仲良くなったみつると栄ちゃん。女学校に進学したみつると対照的に、父の病気のせいで芸者になった栄ちゃんを襲う悲しい運命……(『天国と舞妓』)。貧富の差など社会の流れの中で引き裂かれゆく少女たちを描く、「少女の友」黄金期に『花物語』の続編として連載された少女小説の傑作集。

*目次
忘れぬ眉目
 早春の天守閣 / 松井さん / その秋のころ / わかれ
天国と舞妓
 ヘ会 / 舞扇 / お小姓姿 / 天国
姉の幻影
 おんぶ / 姉妹の秘密 / そのおもかげ /
素直な心のひと
 地主の娘 / たんぽぽ / わかれ / 小さき貴婦人 / 神の鞭
田舍の親類
 小豆一升さん / 石楠木 / 優しい人
小さい父さん
 生きた記念品 / 小さき暴君 / 悲しき金魚鉢 / 金魚屋の店 / いい兄さん
考へる子
 ハイキングの前夜 / その途上 / 竜胆の花 / 乗合自動車 / ちいチャン / 一つの光景 / 考える子
たまの話
 初奉公 / 忠実なお守 / 小さき女王様 / 秋雨の降る日 / こぼれた花 / 彼女の運命
人形の家
 外国少女の小説 / 小さきランプ
女の子
 ずる休み / さびしき天地
解説 近代ナリコ


吉屋 信子 (よしやのぶこ)
「徳川秀忠の妻」
(とくがわひでただのつま)


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*179頁
*発行 2010年
*カバーデザイン・市川衣梨 / カバー装画・水口理恵子「蓮」

*カバー文
浅井長政とお市の方の末娘として生まれ、三度の政略結婚で二代将軍・秀忠の妻となった達子(通称・江)。実姉である秀吉の妻・淀君や実娘・千姫らと戦乱によって引き裂かれ、さらに実子・家光とその乳母・春日局とも対立したその波瀾万丈な人生を、伝説の作家・吉屋信子が精魂込めて描いた傑作。 ◎解説=縄田一男


吉屋 信子 (よしやのぶこ)
「わすれなぐさ」


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*221頁
*発行 2010年
*カバーデザイン・大野リサ / カバー装画・さやか

*カバー文
美しく我侭なお嬢様・陽子、人造人間とあだ名される優等生・一枝、無口で風変わりな個人主義者・牧子。一枝と心を通わそうとする牧子だったが、華やかな魅力に溢れる陽子の操る糸に絡めとられていく……。夏休みの水泳合宿、学校帰りの横浜ドライブ ── 少女小説の女王が描く、昭和ロマン漂う少女たちの愛と友情の物語。 ◎解説=内田静枝