絶版文庫書誌集成

講談社文庫 【アルファベット】

A.B.ミットフォード著・長岡 祥三訳 (Algrnon B,Mitford・ながおかしょうぞう)
「ミットフォード日本日記 英国貴族の見た明治」
(みっどふぉーどにほんにっき)
講談社学術文庫



*カバー写真 A・B・ミットフォード
 カバーデザイン 蟹江征治
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*298頁 / 発行 2001年

*カバー文
幕末維新の激動期に外交官として活躍した著者は、明治三十九年、英国皇族の首席随行員として再び来日。その様子を日記体で綴り、感想を添えて故国へ送った。四十年ぶりに見た日本はいかに変わったか。
徳川慶喜公、東郷平八郎提督や当時の高官との会見、宮中晩餐会、歌舞伎見物、日本各地での大歓迎の様子、大きく変貌した明治の姿などを生き生きと描き出す。

*目次
本書について…尾鍋輝彦
原著まえがき
第一章 横浜到着
第二章 ガーター勲章捧呈式と宮中晩餐会
第三章 歓迎会と横須賀軍港訪問
第四章 鴨猟、打鞠競技および歌舞伎見物
第五章 泉岳寺参詣と日比谷公園の大名行列
第六章 静岡訪問
第七章 京都での墓参と佐世保軍港
第八章 鹿児島訪問
第九章 江田島の海軍兵学校と広島での陸軍野外演習
第十章 京都再訪
第十一章 銀閣寺と奈良見物
第十二章 名古屋訪問
第十三章 西園寺侯晩餐会
第十四章 東京滞在
第十五章 出発の日
日英同盟について…河村一夫
ガーター勲章について
訳者あとがき
学術文庫版あとがき
参考 本書に出てくる各地の行事の主な出席者


D.スチュアート 上村 巌訳
「裸のローレンス(上下) ― アラビアのローレンスの虚像と実像」
 (はだかのろーれんす)


*カバーデザイン・舟橋菊男
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*上巻287頁・下巻298頁 / 発行 昭和55年

*カバー文
上巻
オックスフォード出身の考古学者で、第一次大戦中、英軍将校としてアラブ軍の先頭に立ち、老大国トルコの軍勢を破った“アラビアのローレンス”。伝説に包まれ、智勇兼備の英雄に祭り上げられたその虚像に鋭いメスを入れ、謎と波瀾に満ちた壮絶な生涯の軌跡を実証的に捉え直した出色の新伝記。〈本邦初訳〉

下巻
純白のアラブ衣装を身にまとい、砂漠に勇名を馳せる華麗なローレンス。が、アラブ独立運動をめぐる国際情勢は複雑をきわめ、1918年10月のダマスカス入城へと続く戦果に比例して彼の苦悩は増して行く。そして謎をはらむ突然の事故死……。矛盾に満ちた悲劇の英雄の実像に肉迫する興趣の新ローレンス伝完結。


T・ブルフィンチ (Thomas Bulfinch) / 佐渡谷 重信訳 (さどやしげのぶ)
「ギリシア神話と英雄伝説(上下)」 (ぎりしあしんわとえいゆうでんせつ)
講談社学術文庫


*カバーデザイン・蟹江征治
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*上428頁・下473頁 / 発行 1995年

*カバー文
上巻
ギリシアの神々と英雄達の物語をいきいきと描き、全世界の家庭で親しまれてきた歴史的名著。ホメーロス、ヘーシオドスの古典をもとに、天空の神・ゼウス、美と愛の女神・アプロディーテー、海の神・ポセイドーン、太陽神・アポローンなどを中心にしたさまざまな神話と伝説の世界が展開する。科学技術優先の時代にあって、内なる自己発見への旅とロマンティシズムを呼び起こす神話物語の最高傑作。

下巻
ホメーロスの代表的叙事詩『イーリアス』に描かれた、勇将智将の活躍で名高い〈トロイア戦争〉を始め、ゼウスほかギリシアの神々の物語と英雄たちの放浪と冒険の伝説をいきいきと再現する。北欧神話の『エッダ』やゲルマン民族の国民的叙事詩『ニーベルンゲンの歌』なども興味深く紹介。古代人の豊かな想像力と、人生の神秘、崇高な人間讃歌が随所にあふれた興味尽きない神話物語の新訳決定版。

*目次
上巻
訳者はしがき
序言
古代のギリシア地図
神々の系譜

神々と英雄たちの物語
1 はじめに
2 プロメーテウスとパンドーラー
3 アポローンとダプネー ―― ピューラモスとティスペー ―― ケパロスとプロクリス
4 ヘーラーと、その恋仇のイーオーとカリストー ―― アルテミスとアクタイオーン ―― レートーと農民たち
5 パエトーン
6 ミダース ―― バウキスとピレーモーン
7 ペルセポネー ―― グラウコスとスキュラ
8 ピュグマリオーン ―― ドリュオペー ―― アプロディーテーとアドーニス ―― アポローンとヒュアキントス
9 ケーユクスとハルキュオネー ―― かわせみの話
10 ウェルトゥムヌスとポーモーナ
11 エロースとプシューケー
12 カドモス ―― ミュルミドーン
13 ニーソスとスキュラ ―― エーコーとナルキッソス ―― クリュティエー ―― へーローとレアンドロス
14 アテーナー ―― ニオペー
15 グライアイ、白髪の処女たち ―― ペルセウス ―― メドゥーサ ―― アロラース ―― アンドロメダー
16 怪物たち ―― ギガンテス、スピンクス、ぺーガソスとキマイラ、ケンタウロス、ピュグマイオイ、グリュプス
17 黄金の羊毛 ―― メーデイア
18 メレアグロスとアタランテー
19 ヘーラクレース ―― ヘーペーとガニュメーデース
20 テーセウス ―― ダイダロス ―― カストールとポリュデウケース
21 ディオニューソス ―― アリアドネー
22 田園の神々 ―― エリュシクトーン ―― ロイコス ―― 水の神々 ―― カメーナイ ―― 風

下巻
23 アケローオスとヘーラクレース ―― アドメートスとアルケースティス ―― アンティゴネー ―― ペーネロペー
24 オルペウスとエウリュディケー ―― アリスタイオス ―― アムピーオーン ―― リノス ―― タミュリス ―― マルシュアース ―― メラムプース ―― ムーサイオス
25 アリオーン ―― イーピュコス ―― シモーニデース ―― サッポー
26 エンデュミオーン ―― オーリーオーン ―― エーオースとティートーノス ―― アーキスとガラテイア
27 トロイア戦争
28 トロイアの陥落 ―― ギリシア軍の帰還 ―― オレステースとエーレクトラー
29 オデュッセウスの冒険 ―― ロートパゴス ―― キュクロープス ―― キルケー ―― セイレーン ―― スキュラとカリュプディス ―― カリュプソー
30 パイアーケス人 ―― 求婚者たちの最後
31 アイネイアースの冒険 ―― ハルピュイアたち ―― ディードー ―― パリヌーロス
32 下界 ―― エーリュシオン ―― シビュレー
33 カミーラ ―― エウアンドロス ―― ニーソスとエウリュアロス ―― メーゼンティウス ―― トゥルヌス
34 ピュータゴラース ―― エジプトの神々 ―― 神託所
35 神話の起源 ―― 神々の彫像 ―― 神話の詩人(うたいて)
36 近代の怪物たち ―― フェニックス ―― 怪蛇バシリスク ―― 一角獣 ―― サラマンドラ
37 東洋の神話 ―― ゾロアストラ ―― ヒンドゥー教徒の神話 ―― カースト ―― ブッダ ―― ダライ・ラマ
38 北欧の神話 ―― ヴァルハラ ―― ヴァルキリュヤたち
39 トールのヨツンヘイム訪問
40 パルドゥルの死 ―― 妖精たち ―― ルーン文字 ―― スカルドたち ―― アイスランド ―― ゲルマン神話 ―― ニーベルンゲンの歌 ―― ニーベルンゲンの財宝 ―― ヴァーグナーのニーベルンゲンの指環
41 ドゥルイたち ―― アイオナ
解説
訳者あとがき
索引


V.v. ヴァイツゼッカー著 木村 敏・大原 貢訳 (Viktor von Weizsacker きむらびん・おおはらみつぐ)
「病因論研究 ― 心身相関の医学」
(びょういんろんけんきゅう)
講談社学術文庫


*カバーデザイン・蟹江征治
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*183頁 / 発行 1994年

*カバー文
フロイトに共鳴したヴァイツゼッカーは、内科学に精神分析を導入するという野心的な試みを行ない、独自の心身相関論を構築した。デカルト以来の心身二元論と、心身両者間の単線的な因果性を徹低的に排除し、心と身体が相互に原因と結果となって、円環の関係で一体となると主張する。発病を人生のドラマ、生活史のドラマと捉える観点の必要性を説いた画期的研究の初訳成る。待望の文庫オリジナル。

*目次
まえがき
一 ドラマ、その内容と形式面。
  興奮の移動。性と道徳性の役割。
  ── 扁桃炎
二 歴史性。いわゆる心因性。主体の導入。
  機能障害の分析。両価性と拮抗性。
  ── 尿崩症
三 悪循環。症状の発生。
  ある人物への結びつきの意味。
  ── 発作性頻脈
四 ヒステリー性麻痺
五 複視
解説 木村敏


W・アービング著 江間 章子訳 (えましょうこ)
「アルハンブラ物語」
 (あるはんぶらものがたり)


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*377頁 / 発行 昭和51年
*カバー写真・イスラムの兵士(パリ国立図書館蔵の13世紀のペルシャの写本より)

*カバー文
アルハンブラ ―― グラナダの丘に黙然とそびえる、ムーア人の赤い城、八世紀初頭から八〇〇年間君臨したイスラム教徒の栄光と悲嘆の歴史を秘めて、今なおムーアの古王の復活を静かに待つ。イスラム建築の粋を集めたその宮殿の繊細華麗な美しさに魂を奪われた著者が、その存在を世に知らせんと綴った、アルハンブラの歴史・伝説・ロマンス。

*目次
英国王立美術院デビッド・ウィルキー殿 / 旅 / ムーア後のアルハンブラの統治者たち / アルハンブラを訪れた日 / コマシスの塔 / スペインに於けるイスラム教徒の統治 / 私の仲間、アントニアの家族とマティオ / ドロレスとオス鳩 / ムーア人の部屋に住む / 日光を浴びるアルハンブラ / アルハンブラの住民たち / ライオンの中庭 / ボアブディルの幻影 / バルコニーで / 大金持ちになった石屋のはなし / 丘の上の散歩 / アルハンブラの伝説について / 風見のある家 / アラビア人占星術師のはなし / 王女たちの塔 / 美しい三人の王女のはなし / 老伯爵の宴 / 愛の巡礼アハマド王子のはなし / ムーアの遺産のはなし / 〈アルハンブラのバラ〉のはなし / アルハンブラに住みつく老軍人の日々 / 片腕の長官とある公証人のはなし / 片腕の長官と怪しげな兵士のはなし / 小さなサンチカと二人の妖精の彫像のはなし / アルハンブラを築いたムハマド・アブ・アルアマール王 / アルハンブラを完成したユスフ・アブル・ハジャジ王 / グラナダを去る日 / 解説 江間章子