絶版文庫書誌集成

講談社文庫 【え】

江藤 淳 (えとうじゅん)
「アメリカと私」 
(あめりかとわたし)


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*319頁 / 発行 昭和47年

*カバー文
二年間にわたる大学町プリンストンでの〈生活〉。教授・学生・隣人たちとの交渉を通して、若き異邦人の英知と感性がとらえ得た、巨大国アメリカの人間と政治と文化 ―― 異色のエッセイとして一分野を確立したと謳われる名著。

*目次
 文庫版への序
1 アメリカと私
   適者生存 / プリンストン / 大学 / 城 / パーティー / 東と西 / 普林亭主人 / 学生たち / 事件 / 別れ

2 アメリカ通信
   第一信 / 十月二十八日の午後 / キューバ危機の中で / “不安な巨人”日本について / 生きている“古さ” / 合衆国と地方主義 / 深い南北の溝 / 冬と春の間 / 青春と狂気 / 海老原喜之助の回顧展 / 私の見たアメリカ / ケネディ以後 / エリート / アメリカの古い顔 / 国家・個人・言葉 / 米国から欧州へ / 学問の自由化

プリンストンと江藤淳 鈴木光男
 年譜

江藤 淳 (えとうじゅん)
「成熟と喪失 ― “母”の崩壊」
 (せいじゅくとそうしつ)


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*244頁 / 発行 1978年
*カバーデザイン・舟橋菊男

*カバー文
「海辺の光景」「抱擁家族」「沈黙」「星と月は天の穴」「夕べの雲」など、現代文学の秀作の細部を、“母”の崩壊という主題のもとに分析、産業社会の進展にともなう農耕文化の衰退によって作家と作品が直面する困難な状況を照らし、新たな可能性を問う ― 著者の思想的先駆性が批評の新領域をひらいた記念作。

*解説頁・批評の時代性と先駆性 磯田光一


江藤 淳 (えとうじゅん)
「漱石とアーサー王傳説 ― 『薤露行』の比較文學的研究」
(そうせきとあーさーおうでんせつ)
講談社学術文庫


*イラスト・橋口五葉
 カバーデザイン・蟹江征治
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*372頁 / 発行 1991年

*カバー文
『漱石とアーサー王傳説』は、「『薤露行(かいろこう)』の比較文学的研究」という副題を持っている。直接ここで問題とされているのは、短篇『薤露行』である。この小品の意味を解き明かそうとする江藤氏の分析力はきわめて鋭利で、漱石の内部の最も根源的な部分にまで達しているため、それは漱石の全作品につながる。そしてさらには、漱石の人間の本質にまで迫る重要な問題を孕んでいるのである。(「解説」より)

*目次
まえがき
序説
一 時代的背景と表題の問題
二 本文校訂
三 『漾虚集』の問題
    ―― 文學と視覺藝術との相關關係を中心として
四 留學以前の漱石とアーサー王傳説
    ―― 一九〇〇年刊マクミラン版『アーサーの死』に見られる漱石の書入れを中心として
五 マロリーと漱石
六 戯曲『キング・アーサー』と漱石
    ―― バーン=ジョーンズと漱石
七 漱石と英國世紀末藝術(T)
    ―― 一八九三年刊デント版『アーサーの死』におけるビアズレィに挿繪および雑誌『スチューディオ』を中心として
八 漱石と英國世紀末藝術(U)
    ―― 一八五七年刊モクソン版『テニソン詩集』のためのホルマン・ハントとD・G・ロゼッティの木版畫を中心として
九 テニソンと漱石(T)
    ―― 『ランスロットとエレーン』と『シャロットの女』を中心として
十 テニソンと漱石(U)
    ―― 『シャロットの女』の問題
十一 『薤露行』の構成と主題
十二 『薤露行』の意味するもの
    ―― 漱石の内的經驗と文體
參考文獻目録
あとがき
解説 高階秀爾


江藤 淳 (えとうじゅん)
「夏目漱石」
 (なつめそうせき)


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*224頁
*発行 昭和46年
*カバー装画・舟橋菊男

*カバー文
日本近代の巨人・漱石をめぐる“小伝説”を大きくくつがえし、圧倒的な新しい総石像を示す、俊英江藤淳の処女作!
漱石を通じて展開される、著者自身の精神の自画像と独創的な日本文化論は、戦後文芸評論史上の画期的成果として注目される。

*解説頁・入江隆則


エドウィン・O・ライシャワー著 國弘 正雄訳 (EDWIN O.REISCHAUER くにひろまさお)
「ライシャワーの日本史」
(らいしゃわーのにほんし)
講談社学術文庫


*カバーデザイン・蟹江征治
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*504頁 / 発行 2001年

*カバー文
今日の日本はいかにして形成されたか。日本の気候風土と日本人の創作工夫の気質は、繊細な美意識と逆境から立ち直る精神を培う一方、背後から政治が操られる独自の支配形態を生み出した。日本生まれの著者が、東西世界を見渡す高い視点から、日本史の主流と傍流とを区別し、各時代の危機的局面を日本人がどのように克服していったかを明らかにする。

*目次
学術文庫版へのあとがき / 日本の読者に
第一部 伝統的な日本
 1 国土と民族 / 2 中国の模倣時代 / 3 国風文化の発展 / 4 封建社会の発展 / 5 封建制度の成長と返船 / 6 国内の再統一 / 7 後期封建制の変容
第二部 近代化される日本
 8 近代国家への移行 / 9 立憲政治と帝国 / 10 経済と政治の発展 / 11 軍国主義の台頭 / 12 第二次世界大戦
第三部 戦後の日本
 13 アメリカの占領 / 14 国家の存続 / 15 戦後の達成 / 16 懐疑の十年 / 17 世界のなかの役割
訳者あとがき / 年表


恵美 嘉樹 (えみよしき)
「日本の神様と神社 ― 神話と歴史の謎を解く」
(にほんのかみさまとじんじゃ)
講談社+α文庫


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*256頁 / 発行 2009年
*カバーイラスト・富永商太 / カバー写真・恵美嘉樹 / 鈴木成一デザイン室

*カバー文
神話だけど事実かもしれない! 古代の日食を調べると天の岩屋戸事件に符合! 因幡の白兎は実在した? 天孫が降りた高千穂ってどこ? 好太王と戦ったのは日本の皇后!
神話のよりどころである『古事記』『日本書紀』『風土記』をひもとき、ミラクルとしての神話と、最新研究の成果をともに楽しめる本! 全国神社の豊富な写真、図解でわくわく古代史最前線!

*目次
 まえがき ― 神話と歴史が同時にわかるガイドブック
第1章 日本を産んだ神
第2章 国譲りと天孫降臨
第3章 ヤマト建国、戦場を駆ける神々
第4章 神となった英雄への挽歌


エルンスト・ライズィ著 / 鈴木 孝夫訳 (Ernst Leisi・すずきたかお)
「意味と構造」
(いみとこうぞう / Der Wortinhalt)
講談社学術文庫


*カバーデザイン・志賀紀子
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*313頁・横書き / 発行 1994年

*カバー文
〈意味〉の問題は、現代の言語学の中心課題である。ライズィは、単語が持つ意味の最小単位を要素(コンポネント)と名づけた。英語とドイツ語の対応語を画期的な分析分類法を駆使して具体的に比較することから出発して、個々の語においてさまざまな要素が作り出す意味の構造を解明。ソシュールに始まる〈二十世紀の学問〉としての言語学の流れをもっともラジカルに進めた、意味構造論の先駆的名著。

*目次
学術文庫版への著者まえがき
原本著者まえがき
原本訳者序文
T 方法論
 A 目標設定
 B 言語行為における変動的なものと恒常的なもの
 C 慣習としての語
 D 言語外慣習の記述
 E 慣習としての言語
 F 条件型の学習
 G 語条件の記述
 H 形容詞内容および動詞内容の定義
U 指示対象の記述
 A 実体化の概念
 B 名詞
  1 事物として叙述される過程、性質、関係
  2 個体詞
  3 集合詞
   a)集合合詞 b)類集合詞 c)物質詞
  4 部分詞
  5 欠如詞
 C 形容詞
  1 静的および動的な性質
  2 条件としての関係
  3 現勢と潜勢
  4 対象と結合している形容詞
  5 欠如形容詞
 D 動詞
  1 条件としての過程
  2 条件としての状態
  3 欠如動詞
  4 指示対象の能動および受動
  5 過程集合詞と過程部分詞(動作態)
V 名詞および動詞に対する静的および動的条件
 A 序論
 B 名詞
 C 動詞
  1 数の上の条件
   a)主体(行為者) b)対象の数
  2 主体と対象の状態
   a)主体における条件 b)対象における条件
  3 意味論的一致
  4 関節隠喩
  5 表現的動詞および理性的動詞
W 複合的語内容
 A 定義
 B 空間的条件
  1 環境の状態
   a)名詞 b)動詞
  2 方向性を持った量(ヴェクトル)
   a)動詞 b)形容詞 c)名詞
 C 時間的条件
  1 名詞
  2 動詞
  3 形容詞
 D 様々な空間時間的環境条件
  1 親族関係
  2 指示対象と共に行われる動作
 E 目的の上から条件づけられている語
  1 目的の上から条件づけられている語
   a)目的かつ原因的条件 b)純粋に目的のみの条件
  2 動詞
   a)動結果に条件づけられている動詞 b)同一と相違に関する我々の考え方 c)条件としての行為及び結果
 F 相対的な条件とその規準
 G かくれた絶対的規準
 H 話者とその環境
X 補遺
 A 最近の出版物
 B 意味論と構造主義
  1 科学の対象としての言語体系
  2 諸要素の二面性
  3 内容の性質
  4 指示定義以外の語使用
  5 抽象語
  6 話者と聞き手
  7 複合語
  8 多義性
  9 語の本来的(普通)でない使い方
  10 歴史的意味論
  11 構造的意味論の可能性
  12 範疇に対する批判

原著者参考書目
学術文庫版訳者あとがき
英語索引
ドイツ語索引


文・絵 遠藤ケイ (えんどうけい)
「誰もがもう一度やってみたい こども遊び大全」
(こどもあそびたいぜん)
講談社+α文庫



*装画・遠藤ケイ
 デザイン・鈴木成一デザイン室
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*399頁 / 発行 1997年

*カバー文
メンコ、ベーゴマ、たが回し、馬乗り、鉛筆野球、ゴム跳び、おはじき、糸でんわ、みかん釣り──。こどもたちは家を飛び出し、町内の路地や裏の空き地、神社の境内に集まった。そして、ありとあらゆるものを使って、自由奔放・天真爛漫に遊んでいた。それは、こどもの特権だった。
そんな活気に満ちた元気いっぱいの日々が、今、ここに帰ってくる!!

*目次
男の子編
ベーゴマ / ビーダマ / メンコ / クギ遊び / たが回し / 陣地遊び / 竹馬 / 馬乗り / 石けり / ジャンケン / こま遊び / 竹トンボ / 草笛 / 紙ヒコーキ / ケン玉 / 鉛筆野球 / けんけんがえ / カン蹴り / だるまさんが転んだ / トンボ釣り / 虫のいたずら / スズメ捕り / 鉄砲 / ちゃんばらごっこ / 変装ごっこ / 草木相撲 / 釣り / 字隠し / レントゲン / 凧合戦 / 将棋遊び / 玉かち / 竹スケート

女の子編
ゴム跳び / 縄跳び / かごめかごめ / とおりゃんせ / 鬼ごっこ / まりつき / 石けり / お手玉 / おはじき / あやとり / 折り紙 / 指遊び / 貝遊び / ハンカチ遊び / 影絵 / らくがき / 糸でんわ / しゃぼん玉 / ままごと / 草花遊び / おしゃれ遊び / みかん釣り / 羽根つき

あとがき
さくいん


遠藤 周作 (えんどうしゅうさく)
「哀歌」 (あいか)
講談社文芸文庫



*デザイン・菊地信義
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*358頁 / 発行 1988年

*カバー文
肉体の恐怖の前には精神など全く意味を失ってしまう。臆病に生き臆病に埋もれて、自分がどんなに卑怯なのかどんなに弱いのか、たっぷり承知している ―― 弱者。
弱者を凝視して聖書とキリストの意味を追究し、『沈黙』への展開を示唆した注目すべき短編集。
人間の深層によどむ〈哀しみの歌〉を表題に据え、「その前日」「四十歳の男」「大部屋」「雲仙」など十二編を収める。

*目次
 T
再発 / 男と九官鳥 / その前日 / 四十歳の男 / 大部屋

 U
童話 / 雑木林の病棟 / 帰郷 / 札の辻 / 雲仙 / 私のもの

 V
例之酒癖 一盃綺言

 著者から読者へ
 解説 上総英郎
 作家案内 高山鉄男
 著書目録 広石廉二


遠藤 周作 (えんどうしゅうさく)
「金と銀」
(きんとぎん)
遠藤周作文庫


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*263頁 / 発行 1974年
*装幀・辻村益朗 / 装画・山内秀臣

*カバー文
貧乏生活はもうコリゴリ。出世競争を誓った職なしの三人の男が、元旦早々鍋釜かついでオンボロアパートを飛びだした。巷で拾ったふとした奇縁が彼等の進路をふりわける。そして、皮肉にもデモの渦中で右翼の志士、機動隊員、カメラマンとしてあい対する意外な再会が訪れた。ほのかな恋をおりまぜ、ユーモラスで涙ぐましい若者の奮闘ぶりを、軽快な筆にのせて活写した青春長篇小説。

*解説頁、泉秀樹


*「遠藤周作文庫」全54巻・別巻1
 (えんどうしゅうさくぶんこ)





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*発行 1974年〜1978年

*カバー文
『遠藤周作文庫』について
 ※『遠藤周作文庫』は、日本初の文庫判による完全個人全集です。
 ※『遠藤周作文庫』は、これまでに発表された著者の全作品を、それぞれジャンルごとに、単行本未収録の作品も多数加えてまったく新しく編成したもので、既刊の単行本や文庫本とは収録作品が必ずしも同一ではありません。
 ※背表紙の分類記号「A」は純文学作品、「B」は評論・翻訳・戯曲、「C」は中間小説、「D」はエッセイ・紀行です。
 ※全集として皆様の書架に全巻揃えていただけるよう、心をこめてデラックスな造本にしました。

*全巻内容(1974年8月時点での出版案内より)
 《純文学作品》
A1 白い人・青い小さな葡萄
A2 黄色い人・影法師
A3 海と毒薬・夏の光
A4 火山・地なり
A5 最後の殉教者・母なるもの
A6 巡礼・アデンまで
A7 哀歌
A8 留学
A9 療友たち・パロディ
A10 純文学長篇小説
A11 純文学長篇小説
A12 未発表純文学長篇小説
 《評論・翻訳・戯曲》
B1 長篇文芸評論
B2 宗教と文学ほか
B3 堀辰雄論ほか
B4 テレーズ・デスケールーほか
B5 戯曲・シナリオ集T
B6 戯曲・シナリオ集U
 《中間小説》
C1 快男児・怪男児
C2 協奏曲
C3 灯のうるむ頃
C4 金と銀
C5 どっこいショ
C6 楽天大将
C7 結婚ほか
C8 さらば、夏の光よほか
C9 おバカさん
C10 ヘチマくん
C11 一・二・三!(上)
C12 一・二・三!(下)
C13 闇のよぶ声
C14 大変だァ
C15 黒ん坊
C16 ただいま浪人(上)
C17 ただいま浪人(下)
C18 口笛をふく時
C19 彼の行きかた
C20 ユーモア小説集T
C21 ユーモア小説集U
C22 ユーモア小説集V
C23 怪奇小説集T
C24 怪奇小説集U
C25 わたしが・棄てた・女
C26 ピエロの歌(上)
C27 ピエロの歌(下)
 《エッセイ・紀行》
D1 狐狸庵閑話
D2 ぐうたら交友録 狐狸庵閑話U
D3 ぐうたら人間学 狐狸庵閑話V
D4 ぐうたら好奇学 狐狸庵閑話W
D5 ぐうたら愛情学 狐狸庵閑話X
D6 恋することと愛すること
D7 聖書のなかの女性たち
D8 日本紀行
D9 世界紀行
別巻 解説遠藤周作のすべて(サイト内リンク)