絶版文庫書誌集成

講談社文庫 【き】

紀田 順一郎 (きだじゅんいちろう)
「文庫の整理学」
 (ぶんこのせいりがく)
講談社学術文庫



*カバーデザイン・志賀紀子
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*285頁 / 発行 昭和60年

*カバー文
かつて文学や思想の古典や名著を中心に、教養書としてのイメージが強かった文庫も、最近は現代を呼吸する新刊書の延長という極めて流動的な性格が強くなった。したがって、特定の分野や主題にどのような書目が出ているかを把握するのは、なかなか容易ではない。本書はこのような状況のもとで、文庫をいかに選択し、いかに活用していくかを、具体的書名を挙げながら懇切丁寧に解説した。文庫の豊かな世界を拓く必携のガイドブック。

*目次
T 歴史と人間
 1 古代から中世まで / 2 江戸時代 / 3 明治から昭和戦前まで / 4 第二次世界大戦 / 5 戦後 / 6 自伝 / 7 回想録(世相・風俗) / 8 伝記

U 現代
 1 現代の企業 / 2 サラリーマン / 3 日本人論 / 4 現代アメリカ / 5 現代ソビエト / 6 日本人と海外生活 / 7 犯罪

V 生活と文化
 1 ことばと文化 / 2 笑い / 3 音楽(付・映画) / 4 スポーツ / 5 旅 / 6 山 / 7 食味 / 8 健康・老い / 9 歳時記 / 10 動物

W 文庫図書館
 1 学問のすすめ / 2 読書論 / 3 古典(近代文学) / 4 宗教

終章 文庫の整理学
あとがき


金 素雲 (きむそうん)
「三韓昔がたり」
(さんかんむかしがたり)
講談社学術文庫


*カバーデザイン・志賀紀子
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*286頁 / 旧仮名遣い
*発行 1985年
*小堀桂一郎 校訂・解説

*カバー文
『三韓昔がたり』と名づけたこの本の中には、古い昔から朝鮮にあった、さまざまな語りぐさが集められてゐる。およそ四十あまり ―― 。戦ものがたりや、忠義の話もあるが、ところどころ、思はず顔のほころびるやうな気軽な話も取入れておいた。いづれも、きみたちには、はじめての聞く耳新しい話だ。それだけに何かきみたちを、考へさせるものがあるだらうと思ふ。古いことを通じて、一つでも多く新しい意味を学び取らう。(はしがきより)


木村 尚三郎 (きむらしょうざぶろう)
「西欧文明の原像」 (せいおうぶんめいのげんぞう)
講談社学術文庫



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*418頁 / 発行 1988年
*カバーデザイン・菊池薫 / メリアン作 ヨーロッパ絵地図より

*カバー文
西ヨーロッパは、ほぼ一千年に及ぶ各地、各国の争いを克服して、今その大陸主義の姿をあらわしつつある。本書は、十二、十三世紀と現代を絶えず往復しながら、ヨーロッパ文化圏に内在する根源的な要素を探り、西欧文明の原像を再構成するため、象徴的な森の意味をはじめ、農村、城(貴族)、都市の四つに視点を捉えてその歴史的な意義を明らかにした。国民国家から大陸型国家への変貌を追求する斬新な史眼が捉えた野心的な文明論。

*目次
序説
 1 歴史的思考とヨーロッパ / 2 時代と個人 / 3 対話の精神とアメリカ
第一章 変貌する現代ヨーロッパ
 1 フランスの古い顔と新しい顔 / 2 西ヨーロッパにとっての古典古代 / 3 新しいヨーロッパの誕生
第二章 ヨーロッパの原像
 1 産業社会と農業社会 / 2 森の王国 / 3 森と都市のあいだ ― 農民の世界
第三章 ヨーロッパの法と社会
 1 殺しの思想 / 2 豚の裁判 / 3 古代ゲルマンの家と女性 / 4 戦士集団と家の子集団
第四章 貴族の心 ― ヨーロッパ型支配の構造
 1 騎士道と公共の観念 / 2 ゴヤのマハと高枕 / 3 天皇訪欧があきらかにしたもの
第五章 都市 ― 枠の文化
 1 ヨーロッパ市民の生活感覚 / 2 冬のパリ / 3 枠の文化
第六章 近代の神話
 1 ジャンヌ・ダルク / 2 神秘学の復活 / 3 魔女狩りの精神風土 / 4 宗教改革とは何か / 5 進歩の観念
あとがき
参考文献
索引


木山 捷平 (きやましょうへい)
「おじいさんの綴方・河骨・立冬」
(おじいさんのつづりかた・こうほね・りっとう)
講談社文芸文庫


*デザイン・菊地信義
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*332頁 / 発行 1996年

*カバー文
幼い弟の突然の死と同時に木山捷平にも同じ災厄があった。祖父、父、母、懐かしい山や川、風と土と光。幼年この道に花、青春この道に鳥、壮年風雪の中、木山捷平は都会や満洲での苦難に打ち克ち独自の飄飄とした文学を創る。暖かさ、懐かしさ、優しさ溢れる初中期の中短篇秀作集。

*目次
おじいさんの綴方 / 掌痕 / 父危篤 / 抑制の日 / 歯痛の日 / 河骨 / ねんねこ / 幸福 / 立冬 / 枯木の花 / 著者に代わって読者へ 木山みさを / 解説 岩阪恵子 / 作家案内 常盤新平 / 著書目録 木山みさを


ギルバート・ホワイト著 / 山内 義雄訳 (Gilbert White / やまうちよしお)
「セルボーンの博物誌」
(せるぼーんのはくぶつし)
講談社学術文庫


*カバーデザイン・小泉弘
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*411頁 / 発行 1992年

*カバー文
十八世紀後半、英京ロンドンの南西セルボーンに住んだギルバート・ホワイトは、敬神の念篤く、世に隠れ自然を友とする清廉な生涯を送った。深く草木動物を愛したホワイトは、美しい山野を歩き自らの眼で確かめた観察を達意の文に綴り、二人の著名な博物学者ペナントとバリントンに届けた。その書簡集こそ本書。ファーブル、ダーウィンを先導し、たとえ英国は滅びても本書は不朽と讃えられた名著。

*目次
序 たとえ英国は滅びても本書は永遠に残るだろう… 山内義雄
第一部 自然の生態 ── ペナント氏宛の手紙 (全44通)
第二部 自然の胎動 ―― バリントン氏宛の手紙 (全66通)
 鳥類・哺乳類 和名対象表
 解説 木村陽二郎


金 石範 (きん・せきはん/きむ・そくぽむ)
「鴉の死」 
(からすのし)


*カバー装画・田村義也
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*322頁 / 発行 昭和48年

*カバー文
1984年4月3日、真の「解放」を求めた済州島人民は武装蜂起を決行。官憲の弾圧は熾烈をきわめ、島民20数万の三分の一が虐殺されたという。「人間」の価値が抹殺された現実を前に、絶望を超越してなお「人間」を追求した傑作「鴉の死」連作。ほかに、朝鮮人の強制労働や民族的怨念を描いた「糞と自由と」「虚夢譚」を収録。

*目次
看守朴書房
鴉の死
観徳亭
糞と自由と
虚夢譚
 あとがき
 解説 岡庭昇


金田一 京助 / 荒木田 家寿 (きんだいちきょうすけ/あらきだいえひさ)
「アイヌ童話集」 
(あいぬどうわしゅう)


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*237頁
*発行1981年
*カバー装画・池田仙三郎

*カバー文
アイヌの神々や英雄たちをうたった叙事詩「ユーカラ」やアイヌのだいじな神のアイヌラックル(オキクルミ)をたたえた聖伝〈オイナ〉、祖先の武勇談や英雄談を語りついだ昔話〈ウエペケル〉から、代表的なものを選んで物語風に書きなおした童話集。アイヌの人々の楽しい暮らしや美しい心が生き生きと感得できます。毎日出版文化賞受賞。


金田一 京助 (きんだいちきょうすけ)
「日本語の変遷」
(にほんごのへんせん)
講談社学術文庫


(画像拡大不可)

*201頁 / 発行 1976年

*カバー文
アイヌ語学者として、又、教科書・辞書の編者として、広く世に知られた金田一京介の日本語論。日本語の歴史を平明に説いた「日本語の変遷」、新しい国語法を提唱した「規範文法から歴史文法へ」、日本語改革に情熱を傾けた著者の仮名遣論「新国語の生みの悩み」、音韻・文法の両面から日本語を論じた「日本語の特質」の4篇から成る。その該博な学識に裏付けされた日本語論は、国語問題が国民的規模で論じられている今日、必読の好著である。

*目次
第1 日本語の変遷
序論
1 第1期上代日本語 ―― 奈良時代及び奈良時代以前
2 第2期古代日本語もしくは古典日本語 ―― 平安時代のおよそ400年
3 第3期中世日本語 ―― 鎌倉・室町時代のおよそ500年弱
4 第4期近代日本語 ―― 江戸時代の約300年
5 第5期現代日本語 ―― 明治・大正・昭和の時代

第2 規範文法から歴史文法へ
序論
1 言語現象の二面性
2 言語の伝承性
3 言語の流動性
4 文法論の対象
5 規範文法から記述文法へ
6 記述文法から歴史文法へ
7 音韻論と文法論との交渉
8 音韻変化の法則
9 形態変化の法則
10 説明を与えたいことども一、二
結論

第3 新国語の生みの悩み

第4 日本語の特質
1 総論 ―― 日本語は膠着語
2 音韻組織の特質
3 文法組織の特質
4 結論