絶版文庫書誌集成

講談社文庫 【み】

三浦 哲郎 (みうらてつろう)
「踊子ノラ」
 (おどりこのら)


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*259頁 / 発行 昭和60年
*カバー写真撮影・梶畑好男 雪の石狩川にかかる旭橋

*カバー文
さいはての地に抒情あふれる踊子物語。女子大に学んだ日も、男たちとの夜も、すべては遠い思い出。過ぎ去った日を追わず、明日を夢見ず、踊り疲れて楽屋を出れば、今夜も外は、心も凍らせる一面の雪……。哀しみに耐え、ひたすらに生きる女の姿を、美しい北海道の風光のなかに鮮やかに描く長編小説。

*解説頁・駒田信二


三浦 哲郎 (みうらてつろう)
「随筆集 下駄の音」
 (ずいひつしゅうげたのおと)


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*302頁
*発行 1994年
*カバー装画・山高登

*カバー文
師の風貌に欠かせぬ下駄の音。白夜の旅に想うさまざまな感慨――移りゆく四季の実感、生まれ育った故郷のこと、旅のこと、家族のこと、文学への想い……日常の一齣に、芳醇な文学の香りをそえて、人生への深く、暖かい視線で綴る、三浦哲郎の名随筆。随筆集『下駄の音』『一尾の鮎』より達意の名文66編を精選収録。


三浦 哲郎 (みうらてつろう)
「随筆集 春の夜航」 (ずいひつしゅうはるのやこう)


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*286頁
*発行 1993年
*カバー装画・山高登

*カバー文
ささやかな生活の断片に、人生の一齣をすくいとって、文学の香りをそえる……生まれ育った故郷のこと、子どものころのこと、友人や家族のこと、移りゆく四季の実感、文学への想いを滋味豊かな筆致と人生への深く暖かい視線で綴る、三浦哲郎の名随筆。随筆集『せんべの耳』『春の夜航』より名文63編を精選。


三浦 哲郎 (みうらてつろう)
「野」
(の)
講談社文芸文庫


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*318頁 / 発行 1990年
*デザイン・菊地信義

*カバー文
著者の故郷を舞台にそこに住む人々とその暮しを描く。厳しい自然と対峙する強靭な生命力のしたたかさ。優しく哀しくユーモア滲む短篇の名手・三浦哲郎の瑞々しき豊饒の世界。「金色の朝」「がたくり馬車」「沈丁花」ほか〈故郷〉の匂い染み込む作品群十六篇。新境地を拓いた著者ならではの短篇集。

*目次
金色の朝 / がたくり馬車 / 泉 / ひとさらい / 蜂 / 寒雀 / 罰 / 軍鶏 / 合歓の町 / ボールペン / 秋風 / 墓地にて / 沈丁花 / 柿の蔕 / 災難 / 楕円形の故郷
 著者から読者へ / 解説 秋山駿 / 作家案内 栗坪良樹 / 著書目録 勝又浩


三浦 哲郎 (みうらてつろう)
「夕雨子」 
(ゆうこ)


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*261頁
*発行 昭和52年
*カバー装画・小松久子

*カバー文
遠い、北の町の盛り場で、ステージに立ち、酔客相手に裸身をさらす踊り子ひとり。彼女がどんな哀しみにみちた過去を抱いているのか、客は誰も気にしない。所詮彼女は流浪の芸人であり、風でしかないのだ。そして月日が残酷に移ろってゆく。踊り子の人生哀歓を、美しい抒情性と澄明な筆致で綴った、連作小説集。

*解説頁・駒田信二


三上 参次 (みかみさんじ)
「江戸時代史(七)」
 (えどじだいし)
講談社学術文庫



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*231頁
*発行 昭和52年
*カバーデザイン・平野甲賀

*カバー文
本巻は、天保の大飢饉を契機とする大塩平八郎の乱から始まり、水野忠邦による天保の改革が主題となる。蘭学が栄え、次第に諸外国からの開国の要求が強まるあたりでこの『江戸時代史』は終る。ペリー来寇以降の幕末の擾乱から明治維新に至るまでの記述が欠けているのは惜しまれる。巻末の辻善之助・中村孝也両博士による追悼文は、三上参次の人間像を生き生きと伝えると共に、明治大正の歴史教育の実態を知る上で貴重な資料である。

*解説頁 「明治大正の江戸時代観」 秋山謙蔵
*全七巻


三木 紀人 (みきすみと)
「鴨長明」
(かものちょうめい)
講談社学術文庫


*カバーデザイン・蟹江征治
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*260頁 / 発行 1995年

*カバー文
隠者文学の代表作といわれる『方丈記』の作者鴨長明は、京都下鴨社社家の次男。自閉的な性格で妻子とも三十代の初めに離別した。詩歌管絃にすぐれ、歌人としても活躍したが、五十歳のとき下鴨社の人事異動に敗れ、大原に移って出家した。晩年の著作『方丈記』『無名抄』『発心集』に彼の独自な生き方を読みとることができる。生涯、心の救済と格闘し続けた数奇者としての長明の一生を縦横に描いた好著。

*目次
「学術文庫」版まえがき
一 幼年期
 下鴨社 / 時代 / 叙爵 / 川のほとり
二 孤独
 父の引退 / 父の死とその余波 / 住みわびぬ / 死の衝動
三 出発期
 改元 / 山門との紛争 / 菊合 / 勝命入道
四 異性体験
 妻の素姓 / 悲恋の気配 / 高松院の死
五 大火と辻風
 山門騒動 / 大火の夜 / 大火の惨状 / 辻風の惨状
六 都遷り
 天狗の所為 / 新都のさま / 旅立ち / 神は福を降さず
七 飢饉と戦乱
 時代の推移 / 家集の成立 / 『月詣集(つきもうでしゅう)』
八 歌林苑
 俊恵法師との出会い / 歌林苑の創始 / 歌林苑体験
九 三十歳前後
 孤立 / 大地震 / 余震
十 三十代
 『千載集(せんざいしゅう)』 / せみの小川 / 伊勢への旅
十一 中原有安(なかはらありやす)
 音楽家長明 / 有安の閲歴 / 有安と政界
十二 四十代へ
 石清水若宮社歌合 / 有安の死 / 差図を好む男
十三 新古今時代
 活躍の跡 / 和歌所 / 三体和歌会 / 大内の花見など
十四 遁世
 人事異動の敗北 / 真葛原(まくずはら) / 秘曲づくし / 『新古今集』の成立
十五 大原から日野へ
 手習 / 禅寂 / 日野
十六 草庵の日々
 方丈 / 山中の景気 / 鎌倉下向 / 実朝との会見
十七 最晩年、そして死
 『方丈記』の成立 / 『無名抄(むみょうしょう)』 / 『発心集(ほっしんしゅう)』 / 『月講式(げっこうしき)』
略年譜


三島 由紀夫 (みしまゆきお)
「太陽と鉄」
(たいようとてつ)


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*181頁
*発行 昭和46年

*カバー文
近代の運命を一身に担い、その復権の試みに生命を賭けた三島由紀夫が、死の決意の下に発見した文学の新しい領域 ―― 告白と批判の間に位する〈自伝的評伝〉の形で、自己のうちなる様々な堆積を詩的な文体で表白 ―― その芸術と思想の遺書ともいうべき問題の書、併せて文学的自伝「私の遍歴時代」を収録。

*解説頁・田中美代子


三島 由紀夫 (みしまゆきお)
「剣」
 (つるぎ)


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*250頁 / 発行 昭和46年

*カバー文
沈静な光を宿す黒胴、飛び散る汗、竹刀の乾いた叫び……汚濁混迷の世界の中で彼だけが水晶のように透明であった。清らかな微笑をたたえ、反俗の精神に燃えて、きびしく純粋に生きる若者国分次郎――鬼才三島のとぎすまされた秘剣が、低俗の現代に鋭く挑む! ほかに世評高い珠玉作八編。

*目次
剣 / 月 / 葡萄パン / 雨のなかの噴水 / 莓 / 帽子の花 / 魔法瓶 / 真珠 / 切符 / 解説 佐伯彰一 西欧文学への挑戦 / 収録作品について / 年譜


水上 勉 (みずかみつとむ)
「壺坂幻想」
(つぼさかげんそう)
講談社文芸文庫


*デザイン・菊地信義
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*256頁 / 発行 2008年

*カバー文
盲目で死んだ祖母への鎮魂に、作家は壼坂寺に詣でた。山道を辿ると、みかん水を売って祖母を大切にした叔父の悲運、生きている母の姿など、親族の誰彼もの不幸が思い浮かんでくるのであった……。『雁の寺』『越前竹人形』『飢餓海峡』の著者が、作家生活二十年にして初めて、書かずにはいられないテーマに突き当たった。水上文学晩年の陰翳に満ちた豊かな文学世界の到来を約束する連作短篇集。

*目次
壼坂幻想 / みかん水と棒剣 / 下駄と仁丹 / 鑛太郎 / 丹波ほおずき / 狐 / 籾炭 / 冬の一日 / 戌の七十九歳 / 近江石山晴嵐町 / 解説 高橋英夫 / 年譜 祖田浩一 / 著書目録 祖田浩一


水上 勉 (みずかみつとむ)
「才市・簑笠の人」
(さいち・さりゆうのひと)
講談社文芸文庫



*デザイン・菊地信義
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*294頁
*発行 1994年

*カバー文
念仏に生き、八十三歳で一生を終えた、下駄職人浅原才市。下駄作りの際に出るかんな屑に書き残した、一万首に及ぶ信仰の歌 ―― わしのこころわ わやわやで /
くもともとれの / きりともとれの / かぜともとれの ――
無名の庶民の営為に心惹かれて、その謎めく生涯を深く追究した、伝記小説「才市」。一所不住・清貧孤独に徹した良寛の境涯に迫る「蓑笠の人」。信仰を主題の力作二篇。

*巻末頁
 著者から読者へ
 解説 川村湊
 作家案内 祖田浩一
 著者目録


皆川 博子 (みながわひろこ)
「トマト・ゲーム」


*カバー装画・磯野宏夫
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*304頁 / 発行 1981年

*カバー文
今、二台のマシンが壁に向って突進する。スピンターンした地点と壁との間隔を競う恐怖のオートバイゲーム。譲れない愛の勝利者をめざして……。血みどろの青春と、それをひそかな疼きの思いで見守るもう一つの過ぎ去った青春。一瞬の燃焼に賭けた二つの時代の痛みと残照を描く表題作ほか五篇。秀作ネオロマン。

*目次(収録作品)
トマト・ゲーム
アイデースの館
遠い炎
アルカディアの夏
花冠と氷の剣
漕げよマイケル
 解説 尾崎秀樹


皆川 博子 (みながわひろこ)
「花櫓」
(はなやぐら)


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*519頁
*発行 1999年
*カバーデザイン・宇野亞喜良

*カバー文
江戸芝居町、中村座。八代目中村勘三郎には二人の娘があった。妾の子、お菊。正妻の子、お珊。気性も、抱く夢も違う、娘から女への成長と葛藤。市川団十郎、松本幸四郎、尾上菊五郎ら、きら星のごとき名優たちの息づかいの中に描かれる凛々しくも、真珠のように輝く恋物語。櫓が上がり、柝が鳴る。恋の舞台の幕が開く。

*解説頁・宇江佐真理


皆川 博子 (みながわひろこ)
「冬の旅人(上下)」
(ふゆのたびびと)




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*上519頁 / 下421頁
*発行 2005年

*カバー装画・18世紀ボドゥエンの挿絵から / アニチキン宮殿の外観とネフスキー大通り
 カバーデザイン・柳川貴代+Fragment

*カバー文

裕福な骨董商の家に育った少女・環は、幼いころに見た一枚の西洋画に心を奪われる。その運命の導くまま、聖像画を学ぶために、17歳で革命前夜の帝政露西亜へと留学するが、尼僧たちのいる窮屈な名門女学院を脱走、市中の貧民窟、そしてシベリアへと北の大地を彷徨い、絵筆をとりつづける。大河歴史ロマン。

時は19世紀末。一枚の絵に魅入られ、芸術の悪魔に身も心も奪われた環は、露西亜の大地を彷徨い続ける。高名な美術収集家トレチャコフ、怪僧ラスプーチンとも出会い、宮廷へと招かれるが、やがて抗いがたい革命の炎と欲望、過酷な運命の渦に巻き込まれていく……。実在の人物に想を得た壮大な歴史フィクション。

*目次

T章 一八八〇年〜
U章 一八八一年〜


V章 一八八八年〜
W章 一九〇三年〜
X章 一九一二年〜
 あとがき
 解説 真中耕平


三宅 英利 (みやけひでとし)
「近世の日本と朝鮮」
(きんせいのにほんとちょうせん)
講談社学術文庫


*カバー図版・「朝鮮人行列図巻」
 (東京国立博物館所蔵)より
 カバーデザイン・蟹江征治
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*504頁 / 発行 2006年

*カバー文
二千年に及ぶ日本と朝鮮との交流の中で、江戸時代に両国の平和がもっとも保たれ、友好的たり得たのはなぜか。文禄・慶長の役で断たれた日朝関係修復交渉の基本に、家康がおいた「和好」の精神、国交再開後十二回も来朝した朝鮮通信使、銀の路の核をなした対島藩の倭館貿易……。東アジアの国際関係を視野に入れつつ、鎖国下の日朝関係を捉え直す。

*目次
はじめに
第一章 東アジア社会への復帰
 一 国際化をはかる徳川家康 / 二 朝鮮王朝との国交回復 / 三 むすび
第二章 朝鮮通信使
 一 通信使の成立と内容 / 二 中世(朝鮮王朝前期)の通信使 / 三 豊臣政権と通信使 / 四 近世(朝鮮王朝後期)の通信使 / 五 喜怒哀楽の道中 / 六 幕府と諸藩の応対 / 七 むすび
第三章 銀の路 ── 対馬藩の倭館貿易
 一 藩運をかけた倭館の再開 / 二 対馬藩による国内販売ルート / 三 銀の路 ── シルバー・ロード / 四 朝鮮人参 / 五 むすび
第四章 日本における朝鮮観
 一 朝鮮観の源流 / 二 朝鮮観の発展 / 三 朝鮮観の確立 / 四 むすび
第五章 朝鮮官民の日本観
 一 日本観における三つのグループ / 二 廟堂官人の日本観 / 三 通信使の見た日本 / 四 実学者の日本観 / 五 むすび
おわりに
原本あとがき / 学術文庫版あとがき / 参考文献 / 通信使一覧


宮田 珠己 (みやたたまき)
「ふしぎ盆栽ホンノンボ」
(ふしぎぼんさいほんのんぼ)


*カバー写真・宮田珠己(ホンノンボ)。
 細川葉子(ミニチュア)
 カバーデザイン・柳川昭治
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*232頁 / 発行 2011年

*カバー文
「仮にも一国の伝統文化が、こんなおもちゃのようなマヌケな感じでいいのか!」。ベトナムに旅した著者の琴線を揺さぶった“ヘンな岩”ホンノンボ。それは山か島のようで、家や人物のミニチュアがのっており、水を張った鉢のなかにある。もっともっと多くのホンノンボに出会いたい ―― 幻の傑作紀行エッセイ待望の文庫化。

*目次
第1章 ベトナムのふしぎな盆栽
 ヘンな岩発見 / 小さな桃源郷 / ふしぎ盆栽はどこにある
第2章 ホンノンボを見に行く
 ハノイの暴走する盆栽 / 本拠地ニンビンへ / ニンビンの盆栽屋オヤジが妻に感謝する / 桃源郷タムコック / 素敵な高低差の古都ホアルーにて
第3章 香港・中国編
 中国にもあるぞ、と曾さんは言った。 / 中国にホンノンボはあるか / 佛山ミニチュア大行進
第4章 そしてまたベトナムの旅
 グエンさんの屋上庭園 / チュンさん宅で思わぬ発見 / バチャンミニチュア探し / リウさんの盆栽園 / ンガンさんのまだ売れていないホンノンボ
 あとがき
さらなるホンノンボの旅へ / 文庫版あとがき
解説 浅生ハルミン


宮本 又次 (みやもとまたじ)
「大阪商人」
(おおさかしょうにん)
講談社学術文庫


*カバー図版 / 「摂津名所図会」より
 (大阪城天守閣蔵)
 カバーデザイン / 蟹江征治
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*384頁 / 発行 2010年

*カバー文
密貿易を組織した毛剃九右衛門(けづり八右衛門)、独占的地位で巨利をあげた糸割符商人。江戸城出入りの特権商人尼崎屋は新田開発をし、寒天輸出を一手に担う。廻船により各地物産は、荷受問屋を通して、流通する。秘伝南蛮吹の精銅技術をもとに鉱山開発までした住友家。「天下の町人」となった呉服商。江戸の経済を牛耳っていた商都大阪の活況を描く。

*目次


第一章 天竺徳兵衛と毛剃九右衛門
 1 中世末の貿易と御朱印船 / 2 天竺徳兵衛のこと / 3 角倉船と角倉了以 / 4 鎖国の成立と貿易 / 5 密貿易と毛剃九右衛門 / 6 鎖国貿易と大阪

第二章 永瀬七郎右衛門と漆屋仁右衛門
 1 糸割符の成立と大阪 / 2 糸割符の盛衰と大阪 / 3 糸割符の分配方法と大阪 / 4 大阪の糸割符商人 / 5 永瀬七郎右衛門のこと / 6 長崎唐物本商人 / 7 漆屋仁右衛門のこと

第三章 五軒問屋加賀屋一統と辻忠右衛門
 1 唐物の配給径路 / 2 舶来品と大阪市場 / 3 五軒問屋と加賀屋一統 / 4 岩井文助のこと / 5 辻忠右衛門家 / 6 河辺七兵衛と糸荷廻船

第四章 百足屋又右衛門と近江屋長兵衛
 1 商業集団地域 / 2 船場の町名とその景観 / 3 伏見町について / 4 芝川家の家系 / 5 芝川又右衛門と明治維新 / 6 唐物町の山口吉郎兵衛 / 7 道修町と小西一族 / 8 道修町の由来 / 9 道修町の薬種業と業態 / 10 道修町の風習と商慣習 / 11 近江屋長兵衛店のこと / 12 大阪の売薬業者

第五章 薩摩屋仁兵衛と川端半兵衛
 1 大阪の河川と運河 / 2 新地開発と橋 / 3 薩摩堀川と薩摩屋仁兵衛 / 4 薩摩屋仁兵衛の営業と薩摩問屋 / 5 薩摩定問屋の地位 / 6 大阪の問屋と荷受問屋について / 7 蔵屋敷について / 8 薩摩屋半兵衛のこと / 9 川端家とボードウィン

第六章 住友政友と蘇我理右衛門
 1 住友の歴史と二祖 / 2 住友政友 / 3 文殊院の処世訓 / 4 蘇我理右衛門

第七章 住友友以と友芳
 1 住友の成立 / 2 住友友以 / 3 住友友信 / 4 住友友芳 / 5 別子銅山と開拓 / 6 幕府の銅山振興と住友 / 7 銅貿易と友芳 / 8 立川の合併と入江友俊と住友歴代 / 9 銅座と住友 / 10 幕末に至る住友

第八章 尼崎屋又右衛門
 1 三町人と初期の門閥的特権商人 / 2 尼崎屋又右衛門の系譜と家柄 / 3 尼崎屋の新田開発 / 4 尼崎屋と寒天取締 / 5 天保改革と尼崎屋の寒天取締 / 6 尼崎屋の寒天取締と布海苔元草

第九章 寺島藤右衛門と山村与助
 1 三町人 / 2 寺島惣右衛門と瓦職 / 3 寺島藤右衛門と京都の寺島家 / 4 その後の寺島藤右衛門家 / 5 寺島家特権の剥奪 / 6 山村与助と中井主水 / 7 山村与助諸職人支配権の伸長 / 8 天保度改革後の中井家支配 / 9 江戸時代の職人と大阪

第十章 升屋平右衛門と升屋小右衛門
 1 升屋平右衛門 / 2 升屋小右衛門 / 3 升平・升小のあと / 4 北船場の景観 / 5 大名賃と大阪町人 / 6 仙台藩と升平と升小 / 7 升屋の起証文と業態 / 8 明治維新と升屋 / 9 升屋小右衛門の人となりと著作 / 10 山片蟠桃の経済思想 / 11 山片蟠桃と草間直方

第十一章 下村彦右衛門と正太郎
 1 呉服師と呉服町について / 2 呉服屋について / 3 大阪の呉服屋と心斎橋筋 / 4 高麗橋通りの呉服店、越後屋 / 5 富山家の盛衰と岩城 / 6 平井小橋屋その他 / 7 下村彦右衛門正啓 / 8 大丸の出店と現金掛値なし / 9 正啓と大文字屋 / 10 大丸の地位と営業 / 11 明治以後の大丸

参考文献 / 解説 宮本又郎 / 索引


宮本 又次 (みやもとまたじ)
「豪商列伝」
(ごうしょうれつでん)
講談社学術文庫


*カバーデザイン・蟹江征治
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*237頁 / 発行 2003年

*カバー文
近代巨大財閥の礎を築いた三井・住友・鴻池各家の創業者。豪富・蕩尽でその名を残す紀伊国屋文左衛門、奈良屋茂左衛門 ── 。農工生産の向上、流通改革、土木、治水、土地投資と開発、金融業。時代が彼らを生み、彼らが時代を作った。豊富なエピソードを交え、時代の繁栄を演出した豪商たちの姿を追い、その巨富の哲学と経営手法を探る異色の商業史。

*目次
まえがき
1 近世の豪商
2 島井宗室
3 神屋寿貞と宗湛
4 末吉勘兵衛と孫左衛門
5 淀屋常安と个庵
6 鴻池新六と宗利
7 住友政友と蘇我理右衛門
8 住友友以と友芳
9 三井殊法と高利・高平
10 河村瑞賢
11 紀伊国屋文左衛門
12 近江屋長兵衛
13 奈良屋茂左衛門


三輪 太郎 (みわたろう)
「死という鏡 この30年の日本文芸を読む」
(しというかがみ)


*カバー装画・小林愛美
 カバー、本文デザイン・内山尚孝(next door design)
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*288頁 / 発行 2011年

*カバー文
狂奔の’80年代から30年の小説は、みなが眼を背けてきたはずの、「死」にまみれていた ―― 。まったく新しい視点で現代文学を読み解く、感動的なブックガイド。村上春樹『1Q84』、よしもとばなな『アムリタ』、小川洋子『博士の愛した数式』、綿矢りさ『蹴りたい背中』など、全58作品を解説。〈文庫オリジナル〉

*目次
はじめに ── やさしくて、ほの明るい、無常の文学

01 村上春樹 … 羊をめぐる冒険
02 村上春樹 … ダンス・ダンス・ダンス
03 村上春樹 … ねじまき鳥クロニクル
04 村上春樹 … 1Q84
05 よしもとばなな … ムーンライト・シャドウ
06 よしもとばなな … アムリタ
07 よしもとばなな … 最後の日
08 小川洋子 … 冷めない紅茶
09 小川洋子 … 博士の愛した数式
10 村上龍 … コインロッカー・ベイビーズ
11 村上龍 … イン ザ・ミソスープ
12 南木佳士 … ダイヤモンドダスト
13 鈴木光司 … リング
14 岩井志麻子 … ぼっけえ、きょうてえ
15 高村薫 … レディ・ジョーカー
16 浅田次郎 … 鉄道員
17 浅田次郎 … 立花新兵衛只今罷越候
18 桐野夏生 … OUT
19 桐野夏生 … 柔らかな頬
20 桐野夏生 … 魂萌え!
21 宮部みゆき … 火車
22 宮部みゆき … 理由
23 東野圭吾 … 白夜行
24 東野圭吾 … 手紙
25 篠田節子 … ゴサインタン ─ 神の座
26 北方謙三 … 檻
27 梨木香歩 … 西の魔女が死んだ
28 湯本香樹実 … 夏の庭 The Friends
29 川上弘美 … センセイの鞄

30 川上弘美 … 真鶴
31 宮本輝 … 五千回の生死
32 宮本輝 … 花の降る午後
33 宮本輝 … 草原の椅子
34 高樹のぶ子 … 透光の樹
35 高橋源一郎 … さようなら、ギャングたち
36 辻原登 … 遊動亭円木
37 辻原登 … ジャスミン
38 池澤夏樹 … マシアス・ギリの失脚
39 村田喜代子 … 蕨野行
40 保坂和志 … 残響
41 松浦寿輝 … 半島
42 笙野頼子 … 二百回忌
43 阿部和重 … シンセミア
44 町田康 … 告白
45 吉田修一 … 悪人
46 絲山秋子 … 沖で待つ
47 田口ランディ … コンセント
48 角田光代 … ロック母
49 白石一文 … この胸に深々と突き刺さる矢を抜け
50 山田詠美 … トラッシュ
51 多和田葉子 … 容疑者の夜行列車
52 平野啓一郎 … 決壊
53 綿矢りさ … 蹴りたい背中
54 金原ひとみ … 蛇にピアス
55 青山七恵 … かけら
56 柴崎友香 … その街の今は
57 川上未映子 … ヘヴン
58 中村文則 … 掏摸

村上春樹の「僕」とともに三十年