絶版文庫書誌集成

講談社文庫 【に】

新美 南吉 (にいみなんきち)
「童話集 花のき村と盗人たち ごんごろ鐘 ほか九編」
 (はなのきむらとぬすびとたち・ごんごろかね)


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*205頁 / 発行 1977年
*カバー装画・谷中安規

*カバー文
豊かな郷土性と澄明な詩情とで人生の哀歓を謳い上げ、三十歳の若さで病没した天才的な童話作家新美南吉の作品集。表題作のほか「正坊とクロ」「てぶくろを買いに」「嘘」「和太郎さんと牛」など十一編を選定し、既刊の「ごんぎつね・最後の胡弓ひき」で収録した十六編とあわせて南吉童話の代表作を網羅した。

*目次
正坊とクロ / てぶくろを買いに / 丘の銅像 / おしどり / 決闘 / 嘘 / 貧乏な少年の話 / ごんごろ鐘 / 和太郎さんと牛 / 花のき村と盗人たち / ひろった ラッパ / 解説 関英雄


西尾 道子 (にしおみちこ)
「新約聖書の英語 現代英語を読む手引き」 (しんやくせいしょのえいご)
講談社学術文庫


*カバーデザイン・蟹江征治
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*312頁 / 発行 1999年

*カバー文
西洋人が伝統的に受け入れてきた新約聖書の教えは、現代の日常的英語表現の中にも息づいている。それらはいったいどんなかたちであらわれるのか、そしてどんなニュアンスを秘めているのか?英米人の平均的な考え方が浮き彫りになる新聞、雑誌、小説等に広く材をとり、新約聖書を淵源とする表現とその背景にあるものを探る。

*目次
まえがき ― 新約聖書と現代英語
Chapter T Characters 登場人物
Chapter U Sermon on the Mount 山上の説教
Chapter V Jesus: His Life and Ministry イエスの生涯と宣教
Chapter W Jesus: His Passion and Resurrection イエスの受難と復活
Chapter X Paul: His Conversion and Thought パウロの回心と思想
Chapter Y Day of Judgment 審判の日
英文項目索引
和文項目索引
引用・参考文献


西沢 爽 (にしざわそう)
「雑学 東京行進曲」
 (ざつがくとうきょうこうしんきょく)


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*417頁
*発行 1984年
*カバー装画・川田幹

*カバー文
夜は歌につれないが、歌は世につれる。はやる歌謡曲は大衆の本音を映し出す。エロ・グロ・ナンセンスの昭和初頭。その余りに今に似た世相風俗を、東京行進曲などの大ヒット曲を手がかりに生きいきと再現する。歌謡曲・作詞界の大御所、“雑学”の大家が、尨大な資料の山に分け入ってものしたおもしろい警世の書。


西田 豊穂 (にしだとよほ)
「カラー版 蝶の切手」
(ちょうのきって)


*カバーデザイン・廣瀬郁
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*180頁 / 発行 昭和61年

*カバー文
蝶切手のコレクションは、いま静かながらも世界的なブームで、テーマ収集の中でも人気が高い。本書に収録した蝶切手は、発行国だけでも一七〇を超える。一国の平和と自然保護のシンボルでもある最小の芸術 ―― 蝶切手、その美しさをあますところあくカラーで紹介。収集の手引きも兼ねた格好の入門書!

*目次
まえがき
アジアの蝶切手 ―― 日本以下36カ国
 日本の蝶切手 / 国蝶・オオムラサキの切手 / ミカドアゲハとギフチョウの切手 / 藤島武二の「蝶」とプシュケ神話 / 中国のロング・セットの蝶切手 / 台湾は胡蝶天国 / ウオレスと世界最初の蝶切手

ヨーロッパの蝶切手 ―― スイス以下26カ国
 ヨーロッパの「準」蝶切手 / 美しいスイスの昆虫シリーズ / キアゲハの切手 / ヨーロッパの切手になぜ南米の蝶? / ソビエト連邦の蝶切手 / アリに育てられるシジミチョウの切手 / 変わったアイデアのジブラルタルの切手

北米・中南米の蝶切手 ―― アメリカ合衆国以下42カ国
 民主的な(?)アメリカの蝶切手 / ジャマイカの国蝶、ホメルスアゲハ / 蝶切手の切手の切手の切手(?) / 「スリナム昆虫変態図集」の切手 / 郵趣家泣かせのガイアナの加刷

アフリカ諸国の蝶切手 ―― エチオピア以下45カ国
 入手の難しい近東、アフリカ、中南米の蝶切手 / 値の高い蝶切手と最高値の蝶の話 / 清廉潔白の人の国、ブルキナ・ファソの蝶切手 / スコット・カタログに出ていない蝶切手 / 目打ちのない蝶切手

小島嶼国の蝶切手 ―― モルジブ以下14カ国
蝶切手の小型シート
蝶切手のエラー
メキシコの複十字シール
FDCのいろいろ
 世界最初の準蝶切手
 幼虫を描いた蝶切手
 愛すべきものの代名詞・蝶と花
 自然保護と蝶のファウナ
 話題の蝶切手あれこれ
世界の切手に出演した名蝶たち
 蝶切手の学名について
 蝶切手を集める人へのアドバイス(あとがきに代えて)
この本に出た世界の蝶切手リスト

  写真撮影 ―― 正木信之
  本文レイアウト ―― 日下充典


西野 辰吉 (にしのたつきち)
「秩父困民党」 
(ちちぶこんみんとう)


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*287頁
*発行 昭和47年

*カバー文
明治17年秋、秩父全域の農民たちは困民党を結成し蜂起した。いわゆる秩父騒動は、軍隊の出動によって鎮圧された。彼らの要求は何故いれられなかったのか。日本における民主革命挫折の一因を、鋭く描き出す。毎日出版文化賞受賞作品。

*解説頁 小田切進


西村 雄一郎 (にしむらゆういちろう)
「殉愛 原節子と小津安二郎」
(じゅんあい)


*写真提供・鎌倉文学館
 カバーデザイン・谷口博俊
 (next door design)
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*464頁 / 発行 2017年

*カバー文
原節子と小津安二郎の“恋愛”は存在したのか? ── この永遠の問いに答える評伝の決定版。数々の傑作を残しながら六十歳で世を去った巨匠と、彼に殉じ、四十二歳で銀幕を去った“永遠の処女”。『晩春』『東京物語』をはじめ、名作の地を訪ね歩き、多くの関係者に取材して綴られた名作誕生秘話と“二人の真実”。

*目次
 プロローグ ── パリの原節子
第一章 節子の誕生
第二章 紀子の季節 『晩春』(一九四九年)
第三章 忍ぶ恋 『麥秋』(一九五一年)
第四章 永遠の契り 『東京物語』(一九五三年)
第五章 孝子の季節 『東京暮色』(一九五七年)
第六章 秋子の季節 『浮草』(一九五九年)
第七章 喪服を着けて 『小早川家の秋』(一九六一年)
 エピローグ ── 円覚寺の小津安二郎
あとがき
文庫版あとがき
原節子・小津安二郎 全作品年表
主要参考文献


西脇 順三郎 (にしわきじゅんざぶろ)
「野原をゆく」
(のはらをゆく)
講談社文芸文庫 ― 現代日本のエッセイ


*デザイン・菊地信義
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*374頁 / 発行 1990年

*カバー文
人間と自然の“存在自身の淋しさ”に美の極致を見、己れを遂に帰らぬ「永劫の旅人」に擬する西脇順三郎。赤土の崖の野っ原を彷徨う詩人の逍遥は、時空を超え枯れ野への夢を追った芭蕉や西行の旅の想いに重なる。『Ambarvalia』、連作詩『旅人かへらず』によって、現代日本の詩の世界に衝撃的な影響を与えた詩人が、透徹した文体の裡に静かな感動を与える名エッセイ。

*目次
四季の唄
 春 / 水鳥の言葉 / 春すぎて / 夏から冬へ / 秋の日 / タイフーン / 月、なす、すすき / むさし野 / 美しい季節 / 年の終り / MEMORY AND vision (1)(2)(3)(4)(5)(6) / テオクリトス / 曖昧な意味 / トランプ / 山歩き / 人間の話
漂泊
 旅人 / 北海道の旅 / 私のローマの休日 / 新春 / 半島の春 / 二つの旅行 / 日本人の旅行感覚 / ゴーガンの村
永遠への帰郷
 永遠への帰郷 / 文学青年の世界 / 美について / 茶人礼賛 / われ、素朴を愛す / 矛盾と偶然 / 手紙 / 追憶の美 / 野原をゆく / 樵夫と近代芸術 / 彫刻 / ピカソと近代芸術 / 日本絵画
 人と作品 新倉俊一
 年譜 新倉俊一
 著書目録


新田 次郎 (にったじろう)
「風の遺産」 
(かぜのいさん)


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*270頁
*発行1981年

*カバー文
偶然がもたらした伊村と蓉子との邂逅。2人は共通の趣味、登山を通して深く関わりあっていた。乾徳山、鷹取山、丹沢……。しかし、悲劇の芽は初めから育っていた。蓉子は人妻なのだ。冬の谷川岳に挑んだ2人は、猛吹雪で7日間閉じ込められてしまう。生還を期する彼らを待ちうけるものは……。異色山岳小説。

*解説頁・尾崎秀樹


新田 次郎 (にったじろう)
「風の中の瞳」
 (かぜのなかのひとみ)


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*227頁
*発行 昭和51年

*カバー文
中学校は高校の予備校か!――現代中学生にも共通する進学・恋愛・友情の悩み、喜び……。東京郊外の、まだ武蔵野のおもかげを残す飛塚中学の生徒たちと新任の先生との一年間の物語。新制中学三年生が直面した問題を作者が作者自身の子供という身近な題材をえて鋭く描いた感動の名品。

*解説頁・大河内昭爾


新田 次郎 (にったじろう)
「笛師」 (ふえし)


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*206頁
*発行 昭和50年

*カバー文
厳しい世襲の笛師の世界 ― 飛田家の後継者清浩は伝統のかたちを解せず、サラリーマンになった。チロルの高峰グロース・ベネディガーに遊び、霧にまかれて遭難した清浩は、父の作った竜笛を吹き始める……。幕末から現在までという激動する社会に、伝統を追求し続けた人々と、その変転を描きあげた長編。

*解説頁・巌谷大四
*年譜付


新田 次郎 (にったじろう)
「密航船水安丸」
 (みっこうせんすいあんまる)


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*420頁
*発行 1982年

*カバー文
無償の情熱に生きた開拓者アメリカ及甚〈おいじん〉の劇的生涯。待つのは栄光か悲惨か? 明治39年、及川甚三郎が率いる82人の密航者は、宮城県の荻浜港から帆船で新天地カナダへ向った……。日本人の理想郷をつくるため、あらゆる困難を乗りこえ、勇気と行動力とでその夢の実現に生涯を賭けた男及甚を描く長編力作。


新田 次郎 (にったじろう)
「鷲ケ峰物語」
 (わしがみねものがたり)


*カバー装画・熊谷博人
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*287頁 / 発行 昭和57年

*カバー文
大自然への愛と怖れを喪失した現代人の魂の危機を描く中編集。異常透明現象に覆われた霧ヶ峰高原、鷲ヶ峰。山頂に安置された二体の石地蔵をその日持ち去った若者たちが次々と数奇な運命に襲われる表題作ほか、愛憎綾なす男と女の心の襞を描く「谷川岳春色」、石仏の由来をさぐる「万治の石仏」など力作4編を収録。

*目次
鷲ケ峰物語
谷川岳春色
万治の石仏
『妙法寺記』原本の行方
大地震の生霊
 解説 尾崎秀樹


日本推理作家協会編 (にほんすいりさっかきょうかい)
「中島河太郎 探偵小説辞典 江戸川乱歩賞全集(1)」
(なかじまかわたろう たんていしょうせつじてん)


*カバーデザイン / 表紙・扉デザイン・辰巳四郎
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*648頁 / 発行 1998年

*カバー文
江戸川乱歩、横溝正史、クイーン、クリスティらの内外作家紹介。『心理試験』『緋色の研究』『オランダ靴の秘密』などの名作案内。ミステリへのかぎりない愛情と作家への敬意、蘊蓄のありったけをかたむけた項目別大辞典。
 第二回受賞「『ポケットミステリ』の出版」については目録を所収。

*目次
 江戸川乱歩賞全集刊行のことば 社団法人 日本推理作家協会
探偵小説辞典 中島河太郎
 索引 / 年譜 / 受賞の言葉 / 第一回江戸川乱歩賞選評 / 第二回江戸川乱歩賞 / 「ポケットミステリの出版」目録所収 早川書房 / 解説 権田萬治 / 巻末エッセイ「縁の深い賞」 北方謙三


丹羽 文雄 (にわふみお)
「鮎・母の日・妻 丹羽文雄短篇集」
(あゆ・ははのひ・つま)
講談社文芸文庫


*デザイン・菊池信義
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*304頁
*発行 2006年

*カバー文
幼くして生母と離別し、母への思慕と追憶は、作家・丹羽文雄の原点ともなった。処女作「秋」から出世作「鮎」、後年の「妻」に至る、丹羽文学の核となる作品群。時に肉親の熱いまなざしで、時に非情な冷徹さで眺める作家の<眼>は、人間の煩悩を鮮烈に浮かび上がらせる。執拗に描かれる生母への愛憎、老残の母への醜悪感……。思慕と愛憎と非情な<眼>による、「贅肉」「母の日」「うなずく」「悔いの色」ほか10篇。

*目次
秋 / 鮎 / 贅肉 / 菜の花時まで / 母の日 / うなずく / もとの顔 / 妻 / 悔いの色 / 解説 中島国彦 / 年譜 中島国彦 / 著者目録