絶版文庫書誌集成

講談社文庫 【せ】

関 容子 (せきようこ)
「日本の鴬 堀口大學聞書き」 
(にほんのうぐいす)


*カバー装画・山本文彦(作品「始原」)
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*349頁 / 発行 1984年

*カバー文
女流画家マリー・ローランサンは若い堀口大學を「日本の鶯」と呼んで愛したという。そんな青春の秘話をはじめ生涯を通じての友佐藤春夫との交遊、恩師与謝野寛・晶子夫妻の思い出など、恋と文学と人生について大詩人は親しく語りつづける。 日本エッセイストクラブ賞受賞。

*目次
 序 堀口大學
第一章 現役の詩人
第二章 陶印譚
第三章 若き二十(はたち)の頃なれや
第四章 詩人と酒
第五章 山中湖にて
第六章 ジャン・コクトーのこと
第七章 マリー
第八章 ギヨーム・アポリネールのこと
第九章 子供のときから作文が得意
第十章 盗む
第十一章 春の夜の夢
第十二章 第一書房主人
第十三章 ある銅版画家の思い出
第十四章 女たち
第十五章 ズズのことなど
 あとがき
 文庫版あとがき
 解説 河盛好蔵


瀬沼 茂樹 (せぬましげき)
「日本文壇史19 白樺派の若人たち」
(にほんぶんだんし)
講談社文芸文庫


*デザイン・菊地信義
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*368頁
*発行 1997年

*カバー文
明治四十三年四月、武者小路実篤、志賀直哉、有島武郎、生馬ら若い作家、美術家たちの個性溢れた「白樺」創刊。明治四十四年、堺利彦、為子夫妻の“売文社”は大逆事件関係者の救援本部の体をなした。三月、帝国劇場開場。六月、白秋抒情小曲集『思ひ出』刊。九月、平塚らいてう等「青鞜」創刊。旧友からの遺託“伊藤文壇史”の理念と方法論を尊重しつつ、独自の識見のもと“瀬沼文壇史”を構築。読売文学賞受賞。

*巻末頁
あとがき / 参考文献 / 解説 紅野敏郎 / 年譜 河合康峯 / 著書目録・参考文献 河合康峯 / 索引


瀬沼 茂樹 (せぬましげき)
「日本文壇史20 漱石門下の文人たち」
(にほんぶんだんし)
講談社文芸文庫


*デザイン・菊地信義
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*340頁 / 発行 1998年

*カバー文
帝国劇場完成後、岡本綺堂ら近代劇の脚本家が輩出。無名の谷崎潤一郎は荷風の大讃辞を得、明治四十四年十二月第一創作集『刺青』刊、一躍文壇に登場。漱石の『彼岸過迄』。晶川の死、小山内薫、泡鳴、秋江、牧水、夕暮、中里介山の動静。のちの漱石門下三羽烏鈴木三重吉、寺田寅彦、中勘助や小宮豊隆、和辻哲郎、阿部次郎等々。新思潮が競い咲く明治末年、多岐多様な文学ジャンルを担う若者たちの青春群像。

*巻末頁
あとがき / 参考文献 / 解説 藤井淑禎 / 著書目録 河合康峯 / 索引


瀬沼 茂樹 (せぬましげき)
「日本文壇史21 『新しき女』の群」
(にほんぶんだんし)
講談社文芸文庫


*デザイン・菊地信義
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*264頁
*発行 1998年

*カバー文
平塚らいてう、神近市子、伊藤野枝ら「青鞜」の活動、“吉原登楼”など「新しい女」達は激しい批判を呼ぶと共に“現代の婦人問題”の端緒を拓いた。晶子はロンドンで婦人運動に目を瞠る。白樺派の作家、谷崎、荷風と三田派の青年、白秋、露風、等の交遊と多感な生活。啄木の死。『一握の砂』刊。明治天皇崩御。乃木希典夫妻殉死の衝撃と鴎外の『興津弥五右衛門の遺書』。拑堝の如き文壇、社会を抱き時代は大正へ。

*巻末頁
あとがき / 参考文献 / 解説 尾形明子 / 著書目録 河合靖峯 / 索引


瀬沼 茂樹 (せぬましげき)
「日本文壇史24 明治人漱石の死」
(にほんぶんだんし)
講談社文芸文庫


*カバーデザイン・菊地信義
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*364頁
*発行 1998年

*カバー文
大正社会主義を明確にうちたてた大杉栄の月刊「平民新聞」、第二次「近代思想」は巧妙に弾圧された。大正五年、荷風、慶応義塾辞任。鴎外退官。藤村帰国。上田敏永眠。芥川、久米ら第四次「新思潮」創刊。十七歳の宮本百合子『貧しき人々の群』で登場。次代を担う多くの青年に敬愛された漱石、『明暗』掲載途中絶筆。漱石逝き、鴎外筆を断ち名実ともに明治は終焉。白樺派の大正文壇制覇前夜であった。全二十四巻完結。

*巻末頁
解説 曾根博義
年譜 河合靖峯
著書目録 河合靖峯
索引


千 玄室 (せんげんしつ)
「茶の精神」
(ちゃのせいしん)
講談社学術文庫


*カバーデザイン・山岸義明デザイン室
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*224頁・大文字版 / 発行 2003年

*カバー文
中国を源とし、わが国へ伝播した喫茶の風習は、歴史的な曲折を経たのち、世界に比類ない茶の湯という独自の文化体系へと昇華した。村田珠光に始まり、武野紹鴎を経て、千利休により大成された茶の湯が志向するところとは何か。裏千家四百年の伝統を継承する十五世家元が、数々の古典のうちに先匠の思索の跡を追いつつ、茶の湯の究極の理想を追究する。

*目次
はじめに
第一章 序章のための一つの寓話
第二章 茶の境涯とその理想
第三章 茶仙の意図とその世界
第四章 平安の茶煙
第五章 日本的なるものへの屈折
第六章 茶の究極の理想世界
第七章 茶の点前作法の意義
参考文献一覧


千田 夏光 (せんだかこう)
「従軍慰安婦」
 (じゅうぐんいあんふ)


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*272頁
*発行 昭和59年
*カバーデザイン・辰已四郎

*カバー文
旧軍関係者は、自分たちが従軍慰安婦なる兵隊性欲処理機関をともなって戦場へおもむいていたことを、戦中も戦後も秘密にしてきた。理由は、神聖なる天皇の軍隊の名誉にキズがつく、軍が国家予算で売春宿を経営していたことを一般国民に知られたくない、女性の大半は朝鮮半島から強制動員したがそのことを秘匿しておきたい、などであった。

*解説頁・高木俊朗