絶版文庫書誌集成
大衆文学館 文庫コレクション(講談社) 【は行】
土師 清二 (はじせいじ)
「砂絵呪縛」〈上下〉 (すなえしばり)
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* 上334頁・下328頁 / 発行 1997年
*カバー文
上
綱吉の後継将軍擁立をめぐり幕閣は二派に分かれて熾烈(しれつ)に対立。柳沢吉保(よしやす)は紀州綱教(つなのり)を立て柳影組をつくり陰謀をめぐらせば、他方、間部詮房(まなべあきふさ)は背後に水戸光圀(みつくに)がいて天目党を組織。誘拐、スパイ等々、両派の確執を横目に、首領の、凄艶な女の肌に刺青(いれずみ)を彫る砂絵師――。坂東妻三郎主演で映画化されるや、ニヒルな主人公が多くの共感を呼び、熱狂的読者を獲得した、土師清二の名作伝奇小説、出世作。
下
柳影組にさらわれた清純無垢な露路(つゆじ)の行方は!? また、天目党に捕われの身となった贋金作り黒阿弥はどこにいる!? 将軍後継をめぐる陰謀合戦は、大坂城に秘蔵される黄金の竹流し分銅争奪戦へと発展の兆しをみせていよいよ激烈に。一方、女首領への恋情に妄執(もうしゅう)の虜となって夜な夜な徘徊する砂絵師――。鬼気が鬼気をよび、波乱が波乱をよんで、変転極まりなく展開する伝奇文学屈指の大作完結編。
長谷川 伸 (はせがわしん)
「荒木又右衛門(上下)」 (あらきまたえもん)
長谷川 伸 (はせがわしん)
「股旅新八景」 (またたびしんはっけい)
林 不忘 (はやしふぼう)
「丹下左膳 乾雲坤竜の巻」〈上下〉 (たんげさぜん けんうんこんりゅうのまき)
林 芙美子 (はやしふみこ)
「絵本猿飛佐助」 (えほんさるとびさすけ)
*426頁 / 発行 1996年
*カバー文
信州の山奥で仙人・戸沢白雲斎から独得の武芸を伝授された少年猿飛佐助は、真田幸村に乞われ沼田城に入った。時は戦国、佐助の奇策は徳川や北条の城攻めを次々に封じる。だが、自然児にとって武士の世界はなじみにくかった。放浪の旅に出た彼は、人の野心、怨恨、情愛をしたたかに思い知らされる…。「立川文庫」最大のヒーローを、著者自身の体験と重ね合わせて、人間として捉えなおした異色の長編。
日影丈吉 (ひかげじょうきち)
「ハイカラ右京探偵全集」 (はいからうきょうたんていぜんしゅう)
*472頁 / 発行 1996年
*カバー文
山高帽に針のような口髭、鹿革の手袋に細身の杖(ケーン)、フランス好みの洋服に身を包み、突如登場する怪紳士は、元国際スパイと噂も高い外務省嘱託で探偵・右京慎策。変幻自在の行動と推理で、警視庁随一の腕利き吾来警部を相手に、時には挑発、時には助力、文明開化が惹き起こす難事件を次々に解く。単行本未収禄2編を加えた<ハイカラ右京シリーズ>決定版!
*目次
舶来幻術師 / 明治の青髯 / 幽霊買い度し / 異説蝶々夫人 / 当世錬金術 / 新春双面神 / 右京閑日月 / 開花隠形変 / 怪異八笑人 / 開化百物語 / 牡丹灯異変 / 美人通り魔 / 双児の復讐 / 明治吸血鬼 / 狼男の恋
久生 十蘭 (ひさおじゅうらん)
「真説・鉄仮面」 (しんせつてっかめん)
*299頁 / 発行 1997年
*カバー文
1666年、白馬に乗った王室の公用使が、新雪をついてアルマソン村の宏壮な城館(やかた)に到着した。これが、貴公子マッチョリ殿の数奇な運命の発端となろうとは!?
仏王ルイ14世の双生児(ふたご)の兄弟、本来なら、華麗な宮殿に住み、優雅な日々を約束されたはずなのに……。その誕生にまつわる秘密とは?
ボアゴべ、デュマなどであまりにも有名な鉄仮面伝説に、久生十蘭独自の史観と、一流の切口で迫る真実!
火野 葦平 (ひのあしへい)
「花と龍」〈上下〉 (はなとりゅう)
藤原 審爾 (ふじわらしんじ)
「赤い殺意・罪な女」 (あかいさつい・つみなおんな)
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*238頁
*発行 1997年
*カバー文
夫と子供の不在の一夜、強盗に踏まこまれた、一人の平凡な主婦と強盗との接点を、誰にでも日常的に起こる得る恐怖と描く心理サスペンス『赤い殺意』。貧しく不幸に生まれ、ただ一筋に男に尽くすしかない可愛い女を浮き彫る直木賞受賞「罪な女」。精細な心理描写の丹念な積み重ねと、定評のある女の情感描写の双方が響き合って、人間の哀しさと人間愛へと収斂されていく長短編の代表作を収録。
船山 馨 (ふなやまかおる)
「お登勢(上下)」 (おとせ)
(画像拡大不可)
*上339頁・下308頁 / 発行 1997年
*カバー文
上
幕末期、徳島藩とその属藩稲田家は陰湿な対立状態にあった。本藩の下級家臣に奉公に出たお登勢は、陪臣津田貢にはげしく惹かれる。だが一方で、主家の嫡子から恋慕される。しかもその嫡子の妹と貢のあいだに縁談がもちあがるのだ。一介の下女と武士のあいだに横たわる身分の壁。一少女に時代は酷だ。 ―― 激動する幕末維新期の荒波のなかで愛一筋を生きた女の運命を描く著者会心の長編歴史ロマン!
下
徳川政権瓦解は徳島藩の属藩稲田家にも暴風のごとき嵐となって吹きつけた。北海道静内への移住。先に渡道した津田貢のあとを追って、お登勢も厳寒の北海道へとわたる。だが、その地で見出したのはあまりにも厳しい大自然の猛威だった。さらに、お登勢は思いもかけぬ愛の苦境、愛の修羅場に立たされる ―― 幕末維新期の荒波を超えて、大地に生きる女性の断乎たる生きざまを描く長編歴史大作。