絶版文庫書誌集成

未分類絶版文庫 【み】

三木 のり平・聞き書き 小田 豊二 (みきのりへい・おだとよじ)
「のり平のパーッといきましょう」
(のりへいのぱーっといきましょう)
小学館文庫


*カバーデザイン・太田和彦
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*489頁 / 発行 2002年

*カバー文
 いや、こんなこと、しゃべったの、はじめてだよ。
 つまんなくないか? おもしろい?
 そうかい。おい、飲めよ、素面(しらふ)で聞かれると、調子つかないからさ。つまみも取って。遠慮しないでさ、それ、僕がつくったんだ。
 (中略)どうして役者になったか? あわてるなよ、これから話してあげるからさ。
 お前、飲んでばかりいないでさ、食べてる? だからさ、そのつまみ。そう、僕がつくったんだから。まずかったらいいよ、無理して食べなくたって。
 え、うまい? 当たり前じゃねぇか。 (本文より)

*目次
 はじめに
序章 ちっぽけ酒場
  夜の銀座の街角で
一章 けものみち
  花街の少年 / 画家志望 / 赤紙が来た!
二章 コメディアン誕生
  ブタ箱 / かみさんは大恩人 / 喜劇開眼 / ミュージカル事件簿
三章 社長漫遊記
  どじょうすくい / 芸談なんかしたくねぇ / ダメ出し親爺
四章 飲み打つ買う物語
  デカい話 / はい、どっちも、どっちも
五章 貉(むじな)
  稽古仲間 / 先輩に失礼! / 懐かしい喜劇の仲間たち
六章 酔談粋談
  雑学博士 / 「猫ばば」は、猫の糞
七章 恋文
  ラブレター
終章 大雪の夜
  帰って来いよ
 三木のり平 芸能年譜 / 赤い野球帽 あとがきにかえて / 文庫版解説 寺田農


三島 由紀夫 (みしまゆきお)
「幸福号出帆」
 (こうふくごうしゅっぱん)
集英社文庫



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*341頁
*発行 昭和53年
*カバー・毛利彰

*カバー文
“おお、そはかの人か……”歌劇カルメンのように華やかで、胸おどる冒険。イタリアのオペラ歌手を父に持ち、類い稀な美貌の混血青年敏夫と、ソプラノを唱う妹三津子との熱い愛情。東京湾に行きかう外国船を縫って走る“幸福号”の密輸アドヴェンチャー。オペラへの夢と青春の愛と冒険のロマネスクな世界を絢爛と展開する長篇。

*解説頁・磯田光一


水上 勉 (みずかみつとむ)
「<完本>閑話一滴」
(かんぽんかんわいってき)
PHP文庫


*装丁・印牧真和
 装画・水上勉
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*345頁 / 発行 2015年

*カバー文
便利さ、効率のよさ、損か得かなど、都会に暮らす現代人の日常は、すべからく何らかの利得を動機に流れていく。しかし、真の人間らしさとは何か。自然への畏敬、生命への讃歌、人と人とのご縁への感謝……。文豪・水上勉が、身近の出来事から折々につづった随想をまとめた本書は、静謐な筆致のなかに、人生に大切な様々な気づきを与えてくれる。『閑話一滴』と『続・閑話一滴』を合本し、改題。

*目次
T 一滴の水
燈明代十三銭 / 奉公袋 / 木挽きのひとり言 / 工夫のよろこび / かんな屑の話 / 一滴の水 / 小さな目 / うるし壺 / 八重桜の話 / おりんの墓 / 番傘の匂い
U 才市の指痕
鎮守 / 竹の力 / 竹の面 / ある外科医の死 / 才市の指痕 / 小孩のこと / ある手紙 / 遠い町の友だち / 五山の送り火 / 雪門さんの墓 / 奇妙な桜 / 柿の実
V 若狭いさざ
魚籠の話 / チリゴミ取りのこと / 筆の道 / 水車とゲートボール / 再びゲートボールについて / 若狭いさざ / 奉公人の木 / 土の花 / 成都の竹 / こほろぎの壺 / 宇野浩二先生の机 / 物に教えられる / へしこの話 / 天気予報の悲しみ
続・閑話一滴
T 一霊一木
欲について / 一霊一木 / 毎日が死 / 風邪ひき三日 / 豊葦原瑞穂のくにに、 / 祖母のこと / ひとりの留学生 / 六祖の石 / ぼくの八月十五日 / 死と親しむ / こころの貯金 / 子を抱いた野仏
U 達磨の縄跳び
皮を脱ぐ話 / 風流の雪、恐怖の雪 / 漉くということ / 天の恵み / つぐみのいのちに / なんじゃもんじゃの苗 / イカ釣り舟の灯に / 小さな送り火 / ことしのお盆 / 湧水の話 / 達磨の縄跳び / 一本の樫の木
V 墓のこと、それから
広州光孝寺にて / 昆明にて / 墓のこと、それから / 肥大について / 桜と楓のものさしの話 / ニューヨークの禅堂にて / アメリカでの話 / 亀と蛇と / 書斎の話 / 柵の話 / 何ども言うようだが……

あとがき(旧版)


水上 勉 (みずかみつとむ)
「虚竹の笛 尺八私考」
(きょちくのふえ)
集英社文庫


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*512頁
*発行 2006年
*カバーデザイン・内部隆 / イラストレーション・船山滋生

*カバー文
日本留学僧と中国女性の子として宋にうまれ、尺八を日本に伝えたといわれる虚竹禅師。南朝の御落胤といわれながら破戒の生涯を送った一休和尚。このふたりが、宇治吸江庵で出会い……。遙か古代から近代までの和漢往来を、尺八の海峡を渡る望郷の響きに託した伝来記。日本と中国の交流の深い絆と歴史を壮大な物語に結実させた、著者最後の長編。第二回親鸞賞受賞作品。


水上 勉 (みずかみつとむ)
「私版 東京図絵」 
(わたくしばんとうきょうずえ)
朝日文庫


*カバー装幀・司 修
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*219頁 / 発行 1999年

*カバー文
『雁の寺』『飢餓海峡』ほか数々の名著を生んだ著者が「人生と文学の修行の道場だった」という東京。文学の師・宇野浩二氏との交流、文壇作家たちへの憧憬、幸田文さんの思い出、女性遍歴…多感・無頼の苦闘時代を、駒込蓬莱町、初音町、高松町、富坂二丁目など、東京の町筋に辿る名紀行エッセイ。

*目次
蓬莱町
動坂目赤不動
柏木五丁目
神田鍛冶町
護国寺時代
富坂二丁目
初音町の家
高松町の家
成城六丁目の家
 心楽しい伴走記 村上義雄
 文庫化によせて

*写真 / 内藤久雄(朝日新聞東京支社写真部)


水上 勉 (みなかみつとむ)
「停車場有情」
(ていしゃばうじょう)
朝日文芸文庫


*カバー
 デザイン=司修
 絵=司修
  「青葉山中腹の分教場」(若州一滴文庫)
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*196頁 / 発行 1996年

*カバー文
「私は大正八年三月に若狭本郷に生まれて、九歳で家を出て以来、今日も旅の途上にある」 ―― 人間を孤独なる旅行者と捉える筆者が出会ったいくつかの印象的な停車場の風景。故郷若狭を中心に、遠くは旧満州奉天駅まで、その日その時の駅と往来する人々とに自身の心模様を重ね描き上げた28編。

*目次
 暦のなかの停車場
小浜線若狭本郷駅 故郷の駅
小浜線若狭本郷駅 故郷の歳月
山陰本線丹波口駅 遊女の町
山陰本線和知駅 丹波の満月
大連港駅 暗い人のむれ
旧満州奉天駅 娼婦の駅
山陽本線下関駅 関釜連絡船の駅にて
梅小路駅 馬が来た梅小路駅
小浜線粟野駅 兄の召集
小浜線青郷駅 タカちゃんのこと
小浜線加斗駅 八月十五日の駅
篠ノ井線松本駅 宇野先生との一日
小浜線新舞鶴駅 新舞鶴蝉しぐれ
山陰本線保津峡駅 霊魂のねむる駅
北陸本線高月・虎姫駅 伊吹山のふもとで
東武線足利駅 行商の町
越美北線九頭竜湖駅 湖底に消えた村
七尾線輪島駅 能登の初雪
北陸本線敦賀駅 敦賀の小雨
山陰本線温泉津駅 浅原才市の駅
北陸本線今床駅 昔ながらの風情
湖西線近江今津駅 駅舎が姿を消す日
山陰本線綾部駅 盆地の町
丹波篠山町 駅を拒否した町
札幌空港 浜なすの花
信越本線軽井沢駅 変わる信濃路
温泉鎮 中国旅行から
 あとがき
 文庫版あとがき


ミステリー文学資料館編 (みすてりーぶんがくしりょうかん)
「古書ミステリー倶楽部」
(こしょみすてりーくらぶ)
光文社文庫


*カバーデザイン・高林照太
 カバー写真・ istockphoto.com/Anastazzo
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*394頁 / 発行 2013年

*カバー文
江戸川乱歩の名作「D坂の殺人事件」は古本屋の女房殺しを描いたものである。これは乱歩が本郷団子坂で古書店を営んでいた経験が執筆の契機だった。新刊書と違い、複数の人の手を経た本には、持ち主の書き込みや挟み込みがあったり、本自体の来歴にも謎めいた要素が尽きない。そんなミステリアスな古書を題材に、斯界の名手たちが腕をふるった傑作アンソロジー!

*目次
まえがき
口絵 … 江戸川乱歩
二冊の同じ本 … 松本清張
怪奇製造人 … 城昌幸
焦げた聖書 … 甲賀三郎
はんにん … 戸板康二
献本 … 石沢英太郎
水無月十三ヤオ九(みなづきシーサンヤオチュー) … 梶山季之
神かくし … 出久根達郎
終夜図書館 … 早見裕司
署名本が死につながる … 都筑道夫
若い沙漠 … 野呂邦暢
展覧会の客 … 紀田順一郎
倉の中の実験 … 仁木悦子
 解説 新保博久


ミステリー文学資料館編 (みすてりーぶんがくしりょうかん)
「探偵小説の風景 ― トラフィック・コレクション〈下〉」 (たんていしょうせつのふうけい)
光文社文庫


*カバーデザイン・森川和洋
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*380頁 / 発行 2009年

*カバー文
鉄道を始め、自動車、乗合バス、客船など、乗り物を事件の舞台や小道具に使ったミステリーを集めたアンソロジーの第二弾。狭い電車内で起きたトリッキーな射殺事件、霧深い夜に出会った美女とのドライブの意外な結末、極秘任務を携えた男の奇妙な船旅……など戦前に発表された探偵小説を十四編収録。往時の社会風俗を偲ばせるレトロな味わいをご堪能下さい。

*目次(アンソロジー)
 まえがき
省線電車の射撃手 … 海野十三
空を飛ぶパラソル … 夢野久作
百日紅 … 牧逸馬
白い手 … 中野圭介
隼のお正月 … 久山秀子
豆菊 … 角田喜久雄
セントルイス・ブルース … 平塚白銀
奇譚六三四一 … 光石介太郎
白妖 … 大阪圭吉
踊る影絵 … 大倉Y子
砂丘 … 水谷準
若鮎丸殺人事件 … マコ・鬼一
新聞紙の包 … 小酒井不木
鑑定料 … 城昌幸
 解説 山前譲


ミステリー文学資料館編 (みすてりーぶんがくしりょうかん)
「幻の探偵雑誌@『ぷろふいる』傑作選」
(ぷろふいるけっさくせん)
光文社文庫


*カバーデザイン・丸尾靖子
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*441頁 / 発行 2000年

*カバー文
 大正末期から昭和初期は、探偵小説の第一次黄金時代だった。昭和8(1933)年創刊された「ぷろふいる」は主だった作家が寄稿し、探偵小説文壇の動向をヴィヴィッドに伝える探偵雑誌であった。その全48冊のなかから選び抜いた収録作11編は、マニアならずとも見逃せない。
 当時の時代背景を感じさせつつも、今日なお新鮮さを失わない名作群 第1弾!

*目次
まえがき ミステリー文学資料館
探偵小説ファンの熱気に満ちた「ぷろふいる」 山前譲
血液型殺人事件 甲賀三郎
蛇男 角田喜久雄
木魂 夢野久作
不思議なる空間断層 海野十三
狂燥曲殺人事件 蒼井雄
陳情書 西尾正
鉄も銅も鉛もない国 西嶋亮
花束の虫 大阪圭吉
両面競牡丹 酒井嘉七
絶景万国博覧会 小栗虫太郎
就眠儀式 木々高太郎
当時の探偵小説界と世相
「ぷろふいる」作者別作品リスト


ミステリー文学資料館編 (みすてりーぶんがくしりょうかん)
「幻の探偵雑誌E『猟奇』傑作選」 (まぼろしのたんていざっし・りょうきけっさくせん)
光文社文庫


*カバーデザイン・丸尾靖子
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*507頁 / 発行 2001年

*カバー文
「猟奇」は、昭和3(1928)年、関西の作家仲間で創刊された。
 創作は短編がほとんどだったが、力作をそろえ、歯に衣着せぬコラムが人気だった。江戸川乱歩は、「小粒ながらピリリとした愉快な雑誌」と評した。作家から、反発も買ったが、一目置かれる存在であり、「探偵小説雑誌」としては、5年続いた長命雑誌でもあった。
 好評シリーズ第6弾!

*目次
まえがき  ミステリー文学資料館
辛口寸評が話題を呼んだ「猟奇」 山前譲
瓶詰の地獄 夢野久作
拾った遺書 本田緒生
和田ホルムス君 角田喜久雄
ビラの犯人 平林タイ子
扉は語らず(又は二直線の延長に就て) 小舟勝二
黄昏冒険 津志馬宗麿
きゃくちゃ 長谷川修二
雪花殉情記 山口海旋風
下駄 岡戸武平
ペチィ・アムボス 一条栄子
【コラム「りょうき」PARTT】
朱色の祭壇 山下利三郎
死人に口なし 城昌幸
【コラム「りょうき」PARTU】
「猟奇」の再刊に際して 国枝史郎
吹雪の夜半の惨劇 岸虹岐
肢に殺された話 西田政治
仙人掌の花 山本禾太郎
【コラム「りょうき」PARTV】
当時の探偵小説界と世相
「猟奇」総目次
「猟奇」作家別作品リスト


ミステリー文学資料館編 (みすてりーぶんがくしりょうかん)
「幻の探偵雑誌I 『新青年』傑作選」
(まぼろしのたんていざっし・しんせいねんけっさくせん)
光文社文庫


*カバーデザイン・丸尾靖子
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*559頁 / 発行 2002年

*カバー文
 1920(大正9)年、「新青年」は創刊された。その後、1950(昭和25)年に廃刊されるまで、400号を重ねた。この雑誌抜きに探偵小説を語ることはできない。このシリーズの掉尾を飾るにふさわしい雑誌である。
 本書では、これまでの「新青年」アンソロジーに未収録の作品、このシリーズで登場していない作家の佳作を収録した。「幻の探偵雑誌」全10巻完結。

*目次
まえがき ミステリー文学資料館
探偵小説の百科全書「新青年」 山前譲
偽刑事 川田功
遺書 持田敏
犠牲者 平林初之輔
印象 小酒井不木
越後獅子 羽志主水
綱 瀬下耽
凍るアラベスク 妹尾韶夫
正義 浜尾四郎
第三の証拠 戸田巽
嘘 勝伸枝
氷を砕く 延原謙
地獄に結ぶ恋 渡辺文子
三稜鏡(笠松博士の奇怪な外科医術) 佐左木俊郎
豚児廃業 乾信一郎
寝台 赤沼三郎
三人の日記 竹村猛児
燻製シラノ 守友恒
あのころぼくは新幼年だった 辻真先
当時の探偵小説界と世相
「新青年」作者別作品リスト


*幻の探偵雑誌シリーズ・全十巻(2000年〜2002年)
@「ぷろふいる」傑作選
A「探偵趣味」傑作選
B「シュピオ」傑作選
C「探偵春秋」傑作選
D「探偵文藝」傑作選
E「猟奇」傑作選
F「新趣味」傑作選
G「探偵クラブ」傑作選
H「探偵」傑作選
I「新青年」傑作選


ミステリー文学資料館編 (みすてりーぶんがくしりょうかん)
「『密室』傑作選 甦る推理雑誌D」
(みっしつけっさくせん)
光文社文庫


*カバーデザイン・丸尾靖子
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*496頁 / 発行 2003年

*カバー文
 1950年代前半のミステリー界は同人誌の活動が盛んだった。なかでも、'52年8月に創刊された『密室」は、その華やかさと内容の充実とで、とりわけ目を引くものだった。
 本巻では、鮎川哲也「りら荘事件」の原型をなす「呪縛再現」、天城一の傑作長編推理「圷(あくづ)家殺人事件」他を収録する。
 いずれの作品にも、同人誌ならではの熱気が満ちている。

*目次
まえがき ミステリー文学資料館
鬼たちの熱気に満ちた「密室」 山前譲
【密室】
苦の愉悦 ―― 密室発刊に際して ―― 竹下敏幸
罠 山沢晴雄
訣別 ―― 副題 第二のラブ・レター ―― 狩久
草原の果て 豊田寿秋
呪縛再現(挑戦篇) 宇多川蘭子(鮎川哲也)
呪縛再現(後篇) 中川透(鮎川哲也)
〈長編小説〉 圷(あくづ)家殺人事件 天城一
赤い夢と老後の楽しみと私的な伝言(プライベート・メッセージ) はやみねかおる
太平洋戦争終結後十五年の推理小説界と世相
「密室」総目次 / 「密室」作者別作品リスト

*甦る推理雑誌シリーズの構成
「『ロック』傑作選 甦る推理雑誌 1」
「『黒猫』傑作選 甦る推理雑誌 2」
「『X』傑作選 甦る推理雑誌 3」
「『妖奇』傑作選 甦る推理雑誌 4」
「『密室』傑作選 甦る推理雑誌 5」
「『探偵実話』傑作選 甦る推理雑誌 6」
「『探偵倶楽部』傑作選 甦る推理雑誌 7」
「『エロティック・ミステリー』傑作選 甦る推理雑誌 8」
「『別冊宝石』傑作選 甦る推理雑誌 9」
「『宝石』傑作選 甦る推理雑誌 10」


御園京平+みそのコレクション (みそのきょうへい)
「活辯時代」 (かつべんじだい)
同時代ライブラリー(岩波書店)


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*172頁 / 発行 1990年

*カバー文
春や春、春南方のローマンス……かつて日本映画には活辯があった。つまらない活動写真をも面白く観せるために汗水たらして語りつづけた彼らは、大衆芸術のヒーローであり、映画は当時最もモダンな娯楽だった。膨大な“みそのコレクション”の精髄をカラー写真で収録した本書は、昭和初年に至る大衆文化の貴重な史料でもある。(書下し)

*目次
辯士の誕生 / 辯士の系譜 / 活辯時代 / 辯士の世界 / 辯士の退場 / 資料篇 / あとがき


道浦 母都子 (みちうらもとこ)
「無援の抒情」
(むえんのじょじょう)
岩波現代文庫


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*261頁 / 発行 2000年

*カバー文
 明日あると信じて来たる屋上に旗となるまで立ちつくすべし
 煙り雨しずかに森を潤せる夕べとなりて一人が染みる
全共闘世代の闘いと愛と孤立をうたい、日常の風化に抗する意志表示として熱い同時代的共感を呼びおこした歌集『無援の抒情』を中心に、その後の歌集より自選した四百首を加えた。

*目次
無援の抒情(完本)
 われらがわれに還りゆくとき / 冬の旅 / 曳航の旗
青虹(一九八〇年代作品抄)
 「水憂」抄 / 「ゆうすげ」抄
残照(一九九〇年代作品抄)
 「風の婚」抄 / 「夕駅」抄

 わが世代を歌う ── 道浦母都子小論(後藤正治)


三谷 博俊 (みたにひろとし)
「埴谷雄高と吉本隆明 ― 日本の作家」
(はにやゆたかとよしもとりゅうめい)
トレビ文庫(日本図書刊行会)



*カバー装幀・武井すみ江
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*197頁 / 発行 昭和63年

*カバー文
 「共同幻想」という病原体は、遠野という隔離病棟の闇の中から発生します。そして、その核である「禁制」は、恐怖の共同性から成り立っています。人々は「出離」の恐怖と「入眠幻覚」という餌で「禁制」を育てます。そして、それは共同生活の慣習の中で媒容され、嘘に変容しながら権威を持ちます。また、そうした村落の中で生活する人々は、病原体に侵され、侵された者たちの集団は相互感染しながら「禁制」の核を堅め、病原体を強烈なものにし、病原体はまたますます「禁制」を発生、強化しているのです。そして、物質にめぐまれた現代社会が、遠野の世界とは別の所にあるという根拠はどこにもないのです。 (「『共同幻想』病原体」より。)

*目次
独楽の悲劇 ― 埴谷雄高と「純粋理性批判」
吉本隆明と「聖書」
思想の行く末 ― 吉本隆明の「『マチウ書試論』論」
「共同幻想」病原体(一) ― 吉本隆明の「共同幻想論」の世界
「共同幻想」病原体(二) ― 吉本隆明の「共同幻想論」の世界


光瀬 龍 (みつせりゅう)
「歌麿さま参る」
 (うたさままいる)
ハヤカワ文庫



*カバー、装幀、挿絵・石井三春
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*275頁 / 発行 昭和51年

*カバー文
風呂敷をかかえた男が、古道具屋に持ちこんだ刀は、まぎれもない名刀だった。それも、何十年、何百年に一刀という、見る者の魂を吸いとるようなものだ。だが、不思議なことに、柄には、あきらかに最近つけられた血のしみが残されていた。――その後、あちこちで、いままで知られなかった名刀が売りに出された。刀だけでなく、謎の絵師として知られる写楽の新しい絵までもが売りに出されたのだ……。笙子、元、かもめ、3人の時間局員が活躍する代表作ほか、著者会心の時代SF集。

*目次
関ヶ原始末
三浦縦横斎異聞
ペニシリン一六一一大江戸プラス
勝軍明王まいる
紺屋町御用聞異聞
歌麿さま参る


光瀬 龍 (みつせりゅう)
「明治残侠探偵帖」
(めいじざんきょうたんていちょう)
徳間文庫



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*282頁
*発行 1983年
*カバーイラスト・三井永一 / カバーデザイン・池田雄一

*カバー文
時は明治24年春、所は新政府の御用商人大川商会当主の大邸宅。まさにこの邸において舞踏会の宴たけなわであった。突如、客の1人が殺され、時価300万円のダイヤが消えた。ところが捜査は難航をきわめ、犯人像すら特定できない。かくして、さっそう登場したのが洋行帰りの客警視・新宮寺清之輔。無頼の秘密探偵・捨吉の協力を得て容疑者を捕えたが、取調中、その男は躍り込んだ壮漢に斬殺されてしまった!?

*解説頁・武蔵野次郎


光瀬 龍 (みつせりゅう)
「歴史そぞろ歩き」 
(れきしそぞろあるき)
大陸文庫



*カバーイラスト・依光隆
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*294頁 / 発行 1989年

*カバー文
歴史の大きなうねりの中には、数々の秘話がひそんでいる ― 。記紀と『東日流外三郡誌(つがるそとさんぐんし)』、武将たちの葛藤、石川五右衛門の秘密、鹿鳴館に仕えた女性…。17のエピソードを収録した、もうひとつの日本史。

*目次
漂泊(さすらい)の剣客
宮本武蔵とその周辺
義経はどこへ消えた
あわれ武士(もののふ)よ
豊臣方大名は暗殺されたのか
松平忠輝改易・正宗の影
石川五右衛門・大盗賊にされた忍者の不覚
伊賀忍者とその周辺
御三家はなぜ成立したか
真田幸隆・真田忍者の宿命
三百年の対決 ― 家康対真田昌幸・幸村親子
家康を三河へ帰せ
伊達政宗・まつろわぬ者どもの末裔
空を飛ぶ新皇の首・平将門
鳥居元忠 ― 壮烈! 伏見城の玉砕
鹿鳴館のおんな
「東日流外三郡誌(つがるそとさんぐんし)」考


皆川 博子 (みながわひろこ)
「世阿弥殺人事件」
(ぜあみさつじんじけん)
徳間文庫


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*285頁 / 発行 1994年
*カバーイラスト・文月信 / カバーデザイン・秋山法子

*カバー文
「世阿弥を歩く会」ツアーに参加して、ヴィデオ撮影をしてほしい ―― 卒論提出が遅れ、留年が決まった中谷祐也は、同じゼミの高瀬道子に頼まれ、佐渡へと向かった。世阿弥は佐渡に流刑されたと言われ、そこに伝わる久世流の能が、世阿弥から受け継がれたものなのかどうかを調べるためだ。だが久世家で演能を鑑賞中、彼らが見たものは、武者姿の何者かに惨殺された日本画家・北野華子の無残な姿だった。長篇推理。

*解説頁・山前譲


皆川 博子 (みながわひろこ)
「聖餐城」
(せいさんじょう)
光文社文庫



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*864頁 / 発行 2010年
*カバーデザイン・坂野公一 / カバー写真・(C)Getty Images

*カバー文
「馬の胎から産まれた少年」アディは、新教と旧教が争う三十年戦争の戦地を渡り歩きながら育った。略奪に行った村で国王にも金を貸すほど裕福な宮廷ユダヤ人の息子イシュアと出会う。果てない戦乱のなか傭兵となったアディは愛してはいけない女性に思いを寄せ、イシュアは権謀を巡らし権力を握ろうとする。二人の友情を軸に十七世紀前半の欧州を描く傑作歴史小説!

*解説頁・金原瑞人(翻訳家)


皆川 博子 (みながわひろこ)
「総統の子ら(上中下)」
(そうとうのこら)
集英社文庫

  
*カバー・宇治晶 (画像はクリックで拡大します)

*上360頁 / 中344頁 / 下384頁 / 発行 2006年

*カバー文

1934年、ドイツ。ナチスのエリート養成機関「ナポラ」に入学をはたした13歳のカールは、厳しい規律と訓練の続く寄宿生活の中で、エルヴィンというかけがえのない親友を得る。そしてエルヴィンのいとこである親衛隊所属のヘルマンへの憧れ。選ばれし少年たちの輝かしい日々の先には、希望と夢があるはずだった。

1938年、オーストリア。SSの中尉であるヘルマンは、失意の中にあった。乗馬でオリンピック出場の予定が、落馬事故でかなわなくなったからだった。だが、ヘルマンにとっては「親衛旗」を除隊して保安諜報部部員になったことのほうが大きかった。「総統は命じ、我らは従う」戦争の影が、人々の上に垂れこめる。

1942年、フランス。親衛隊所属となり過酷な戦いを強いられてきたカールは、束の間の休息を得ていた。一方、ヘルマンはソ連軍に捕らえられ捕虜として屈辱の毎日を送っていた。それでも「戦争」は続く。「ヒトラー・ユーゲント」の時代を生きた男たちの、心の軌跡をたどり、運命に翻弄されゆく姿を描く長編ここに完結。


皆川 博子 (みながわひろこ)
「たまご猫」 (たまごねこ)
ハヤカワ文庫JA


*カバー・北見隆
(画像はクリックで拡大します)

*270頁 / 発行 1998年

*カバー文
遺書さえものこさずに自殺してしまった姉が、いたずらに鉛筆で紙に書き散らしていた“クライン・キャット”という謎めいた文字。この奇妙な言葉だけを頼りに、生前には知りえなかった姉の素顔をさぐろうとした妹を待ちうける、不可解な恐怖の正体とは? 日常生活にぽっかりとひらいた陥穽を描いた表題作「たまご猫」をはじめとして、夢とうつつの狭間に生じる不条理を題材とした、妖しくも美しい、10篇の恐怖のかたち。

*目次
たまご猫
をぐり
厨子王
春の滅び
朱の檻
おもいで・ララバイ
アズ・タイム・ゴーズ・バイ
雪物語
水の館
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 解説 / 東雅夫
 皆川博子著作リスト


皆川 博子 (みながわひろこ)
「花闇」
(はなやみ)
集英社文庫



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*352頁
*発行 2002年
*装画・岡田嘉夫 / 装丁・中島かほる

*カバー文
幕末から明治の初めにかけて一世を風靡した歌舞伎役者がいた。三代目・沢村田之助。名門に生まれ、美貌と才能に恵まれた女形として絶大な人気を博しながら、不治の病におかされて三十四歳の若さで逝った。進行する病魔と闘い、足を失いながらも舞台にたつその気迫。芸に憑かれた人気役者の短くも数奇な生涯を、同門の大部屋役者の目を通して情緒豊かにつづる長編小説。

*解説頁・池内紀


皆川 博子 (みながわひろこ)
「薔薇忌」 (ばらひ)
集英社文庫


*カバー・杉本典巳 / AD・中島かほる
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*249頁 / 発行 1993年

*カバー文
降りしきる薔薇のはなびらで窒息することを夢見て、縊死した劇団員を描いた「薔薇忌」、水を汲んだ桶を覗きこむと、その人のために祈ってくれているなにものかが水に映るという「祷鬼」、現実のセックスでは不感症であるが、眠りの中で濃密な性の悦びを得られるという女を描いた「紅地獄」等々、舞台芸術に生きる男と女が妖しく織りなす世界を描く短編集。柴田錬三郎賞受賞。

*目次
薔薇忌
祷鬼
紅地獄
桔梗合戦
化粧坂
化鳥
翡翠忌
 解説 石堂藍


皆川 博子 (みながわひろこ)
「妖恋」
(ようれん)
PHP文芸文庫


*装丁・柳川貴代
 装画・佳嶋
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*246頁 / 発行 2013年

*カバー文
年下の火消し鳶と祝言をひかえた女が、火事の夜に知ってしまった男の秘密に、自らの暗い深淵を覗き込む「心中薄雪桜」。菊作りに精を出す隠居した男が月夜に出会った、娘姿の人形を操る不思議な少年に魅せられてゆく「十六夜鏡」。変化朝顔に魅入られた男女の虚ろで残酷な恋の末路を、無垢な少女が見つめる「濡れ千鳥」など、江戸の四季の風物に彩られた七つの妖しく切ない恋のかたちを描く、珠玉の短編集。

*目次
心中薄雪桜【しんじゅううすゆきざくら】
螢沢【ほたるざわ】
十六夜鏡【いざよいかがみ】
春禽譜【しゅんきんふ】
妖恋【ようれん】
夕紅葉【ゆうもみじ】
濡れ千鳥【ぬれちどり】
 解説 近藤史恵


南 伸坊 (みなみしんぼう)
「モンガイカンの美術館」 (もんがいかんのびじゅつかん)
朝日文庫


*カバー装丁・南伸坊
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*343頁 / 発行 1997年

*カバー文
「自分にとって面白いモノとは?」という観点に立って、門外漢の立場から「ゲージュツ」の「ゲージュツ」たるゆえんを、「南伸坊コトバ」で説く異色の美術エッセイ。古今東西の名画・名作から、著者の手による名作まで図版多数収録。冗談かと思うと哲学、哲学かと思うと冗談の不思議な一冊。

*目次
まえがき / 芸術はUFOである / 芸術はウソである / 芸術は冗談である / 芸術はキチガイである / 芸術はリクツである / 芸術はヤミクモである / 芸術はタベモノである / 芸術はウンコである / 芸術はエンギモノである / 芸術は女である / 芸術はなんでもないものである / フランス美術、栄光の大売出し / ドーセぼくたち畜生道 / 岸田劉生は冬瓜を描く / 荒川修作は東洋思想か / 東郷はグレートか? / モジリアニはマストロヤンニだ / コップの底はバクハツだ! / イヴ・クラインもエライ / 不思議のメガネ / ブリジッドは不思議のキューを出す / 山口百恵はマンダラである / 梅原龍三郎を破いた人 / チャイナタウンとバンブーチルドレン / 人形はなぜ面白いのか / 姓は堀内、名は正和 / 怪人二十面相とモンゴル絵画 / ゲンバクに効く芸術 / スケベな絵 / 芸術家は神様です / ビュッフェ氏は忙しかった / タイトルで勝負 / 版画は二枚目だ / 写真の見方 / マチスはNOWい / ハッキリいって酒井抱一がキライだ / カーワイーイ / エッシャーなんて不思議じゃない / ケシキってなんだろう? / 青春なんてキライダ!? / 横尾忠則はマスをかく / あとがき


見延 典子 (みのべのりこ)
「頼山陽(上中下)」
(らいさんよう)
徳間文庫






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*上651頁 / 中592頁 / 下535頁
*発行 2011年
*カバー&本文イラスト・西村緋祿史 / カバーデザイン・bookwall


*カバー文

 歴史書『日本外史』で幕末の若者達を尊皇へと傾けた文化文政期最高峰の文筆家、頼山陽。その人生は、儒家の大家である厳格な父と父が信奉する幕藩制度への反抗から始まった。放蕩の末、二十一歳で脱藩、家を断絶寸前に追い込んだ青年山陽に翻弄される頼一族。だが「都に出て文筆家として名をなす」という山陽の夢をいち早く理解し応援したのは母の静だった。第27回新田次郎文学賞受賞作。


 偉大すぎる父・春水の死は山陽に深い自省をもたらした。心喪(しんそう)三年を誓って欲望を断ちさらに九州へと旅して己を作り替えようとする。そんな山陽を愛し、支えた二人の女性がいた。自ら書画を嗜む才女・細香(さいこう)と、家庭的で気働きのきく若き妻・梨影(りえ)。二人は山陽の奔放さに翻弄されながらも、その生き様に、当時の女性が知らなかった「自由」の夢を見た。第27回新田次郎文学賞受賞作。


 山陽はいつも真夏の太陽のようにぎらぎらと輝いていた。酒を愛し、己を信じ、友との交流を楽しみ、欲望を隠さず、自由で反骨精神に溢れていた。そんな山陽を支えていたのは、自身が忌避したはずの「家」という制度を必死で守り続けた頼一族の絆だった。そのことに気付いた山陽は、二十余年の歳月を経てついに『日本外史』を上梓する。幕末の歴史を変え、戦後封印された思想家の破天荒な生涯。


宮後 年男 (みやごとしお)
「明治の美人画 ― 絵はがきに見る明治のエスプリ」
(めいじのびじんが)
京都書院アーツコレクション


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*255頁
*発行 1997年

*内容文
1900年私製はがきが許可されたことにより、日本では空前の絵はがきブームが起こった。"明治のエスプリ"を感じさせる絵はがきを、美人画・滑稽新聞別冊『絵葉書世界』から選び収録。

*目次
美人画絵はがき
滑稽新聞絵はがき
明治のエスプリ 宮後年男
あとがき


三山 晃生 (みやまこうせい)
「室町夢幻物語」
(むろまちむげんものがたり)
ノン・ポシェット(祥伝社)


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*298頁
*発行 1987年

*目録文
大飢饉、天狗流星、大地震、災害、戦乱…と、室町末期の動乱の時代に生きた人たちの、あまりにもはかない生命、人間的な美しさ、寂しさを、夢幻、怪異の世界に描き出す!


宮本 治雄 (みやもとはるお)
「戦後ヒーロー・ヒロイン伝説」 (せんごひーろーひろいんでんせつ)
朝日文庫


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*303頁
*発行 1996年
*カバー装幀・日下充典

*カバー文
長嶋茂雄、大鵬、山口百恵、寺山修司、薬師丸ひろ子…。スクリーンやスタジアムなど、華やかな舞台で戦後史をいろどった65のヒーロー・ヒロインは、多くの人たちを沸かせ、さまざまな思い出を残してきた。写真とともに、この65人について解説する、スターを通して見た戦後50年。


三好 徹 (みよしとおる)
「貴族の娘」
(きぞくのむすめ)
集英社文庫



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*456頁 / 発行 1998年
*カバーイラスト・オリオンプレス / AD・岡邦彦

*カバー文
政界に重きをなす伯爵の孫娘として生まれた城山貴志子。夫を残して実家を出た彼女は親衛隊少佐フランツと恋におちるが、戦争に引き裂かれる。戦後の混乱を切り抜け、貴志子はフランツの消息を求めて欧州へ旅立った。さらに南米へと渡った彼女はカストロ、チェ・ゲバラと出会って…。激動の時代を気高く、そして奔放に生きた女性の一代記。

*解説頁・清原康正


三好 一 (みよしはじめ)
「広告マッチラベル 大正 昭和」
(こうこくまっちらべる)
紫紅社文庫


*表紙・扉デザイン 角田美佐子
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*253頁 / 発行 2010年

*カバー文
近頃は広告マッチを提供してくれる商店や会社がめっきり減ってしまった。喫茶店には店名入りのマッチが置かれているが、それも請求しなければ貰えないという貴重品となりつつあるようだ。旅先のホテルやふと入った町の喫茶店でもらった広告マッチのラベルに、あの時の風景や嬉しかった事や淋しかった感情が湧き上がって来たのを、なつかしく思い出す。今は古い広告マッチや私の集めたラベルの中で、私だけの時の旅を楽しんでいる。

*目次
口絵 / はじめに / たばこ / 交通・旅 / 変型広告マッチ / ホテル・旅館 / 百貨店 / 映画・演劇 / 菓子・喫茶 / バー・キャバレー / 洋酒・日本酒 / 雑誌・新聞・書籍 / カメラ・時計・レコード / 電気器具 / 燃料 / 化粧品・薬・フルーツパーラー / 理容・美容 / 洋品 / 玩具・雑貨・文房具 / 催物・キャンペーン / 金融 / 娯楽 / 美人・抒情画・浮世絵 / 川柳 / 俳句・大津絵 / 趣味・愛燐家自作木版燐票抄


三好 一 (みよしはじめ)
「楽しい小皿」
(たのしいこざら)
青幻舎


*装丁・大西和重
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*263頁 / 発行 2005年

*カバー文
小皿は「おてしょう」とも呼ばれるように手のひらに収まるほどのサイズのものを指します。
また古来、「手塩皿」という呼び方もされてきましたが、単に塩を盛る皿だからということではなく、手塩にかけて育てるような慈しみの心を込めたものでしょう。
小皿の魅力は、あふれる遊び心にあります。
とりどりの形、描かれた絵、さらに裏を返したところまで、細やかな意匠がほどこされ、ひとつの物語を形づくっています。
また、ここに収められた名所図絵や異国情緒のある皿などは、その時代の横顔を生き生きと物語ってくれます。
本書が身近な友として、小皿を迎える道しるべになれば幸いです。

*目次
はじめに / 諸国名所図絵 / 諸国名物と焼物 / 異国への憧れ / 型物手塩皿と小皿 / 丸型絵皿 / 印版手 / 諸国窯いろいろ / 禁裏御所御用小皿 / あとがき


三好 一 (みよしはじめ)
「日本のラベル」
 (にほんのらべる)
京都書院アーツコレクション



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*318頁 / 発行 1997年

*紹介文
上方文庫のコレクションを中心に、明治から昭和にかけて、酒、石けん、菓子、たばこ、薬、化粧品、缶詰などの容器を飾ったラベルをオールカラーで紹介。時代背景を反映した斬新な意匠を見る。

*目次
まえがき
 図版
伝統的木版貼札(ラベル)と袋 / 居留地商館ラベル / ビール / 葡萄酒 / ブランデー / ショータイム・サーカスのデザイン化 / 歯ミガキ / 石ケン / 薬 / レモネード・鉱泉・サイダー / 日本酒 / 煙草 / 茶箱 / 菓子 / 果実 / 海産物 / 寿し / 漬物 / 缶詰 / 調味料 / 素麺 / 足袋 / 絹糸・衣服・染織品 / 化粧品 / 雑品 / セロファン印刷ポスター標語ラベル / 封緘ラベル(昭和) / 大正二年ラベル印刷見本帳より / ラベル用原画(大正)


三好 一 (みよしはじめ)
「明治 大正 昭和 日本のポスター」
 (めいじたいしょうしょうわにほんのぽすたー)
京都書院アーツコレクション



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*255頁 / 発行 1997年

*カバー文
 ポスターと言う外来語は、今では説明を必要としない衆知の言葉となっている。もともとポスターは民衆に告知する内容を掲示するポストに貼られるもの、即ちポスターを指す言葉であった。
 我国ではポスターに該当するものは江戸時代から商業に使われていたビラである。
 私は旅先の海や山中の旅館、バス停などの壁に忘れられたようにそのまま残された仁丹やオロナミン、アリナミンなどの色あせたポスターや絵看板を見つけたとき、何かふと安堵に近い心のやすらぎを感じる。これはポスターのような広告物が私の生活に溶け込んでいるあかしなのかも知れない。

*目次
まえがき
和製ポスター、ビラ / 煙草 / ビールとサイダー / 日本酒 / 洋酒、ワイン / 食料品 / 娯楽、観光 / 旅 / 展覧会、祭、博覧会 / 大売出し / 薬 / 化粧品、歯磨、口腔剤 / 染、洗剤 / 国策宣伝 / 衣服 / 金融 / 満鉄 / 時計 / 電気、機械、洋品 / 雑誌、新聞 / 雑貨 / 印刷見本 / 原画 / 日本のポスター小史
主要参考文献


ミル著・山岡 洋一訳 (John Stuart Mill・やまおかよういち)
「自由論」
(じゆうろん)
光文社古典新訳文庫


*装画・望月通陽
 装幀・木佐塔一郎
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*271頁 / 発行 2006年

*帯文
私たちっは本当に「自由」なのか
簡潔にして明解な訳で甦るイギリス経験論の白眉。「自由」の本質を理解するために。

*カバー文
自立した個人の世紀といえる19世紀ヨーロッパ社会。
その「時代の動向を大きく肯定」し、「自由の大切さを観念的にかたるのではなく、自由に生きるというその生きかたに魅力を、社会生活に即して現実的に描き出そうとするのがミルの『自由論』だった」

*目次
第一章 はじめに
第二章 思想と言論の自由
第三章 幸福の要素としての個性
第四章 個人にたいする社会の権威の限界
第五章 原理の適用
 解説 長谷川宏 / 年譜 / 訳者あとがき