絶版文庫書誌集成

未分類絶版文庫 【む】

椋 鳩十 (むくはとじゅう)
「山の太郎熊」
(やまのたろうぐま)
小学館文庫新撰クラシックス



*カバーイラスト・山本祐司
 カバーデザイン・村上光延

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*250頁 / 発行 2004年

*カバー文
 大自然を舞台とした動物と人間のふれあいを、いきいきと、そしてあたたかく描いた椋鳩十。彼の作品は、日本初の動物文学として、日本はもとより、海外でも高い評価を得ている。
 本書では、野性味あふれる少年たちと子熊の交流を通して命の尊さを謳う表題作「山の太郎熊」、猟師とその獲物である雁の間にいつしか芽生えた交情が感動を呼ぶ「大造爺さんと雁」、激しい風雨のなか、生きるもの同士が助けあう様を描いた「片耳の大鹿」など、名作十三篇を収録した。

*目次
山の太郎熊
金色の足跡
大造爺さんと雁
月の輪熊
金色の川
暗い土の中でおこなわれたこと
父とシジュウカラ
母グマ子グマ
片耳の大鹿
底なし谷のカモシカ
犬太郎物語
いたずらサル
犬塚

椋鳩十 その生涯と作品 たかしよいち
椋鳩十のふるさとを歩く(文学散歩地図)


武蔵野 次郎 (むさしのじろう)
「わが思い出のヒーローたち ― 大衆文芸の昭和史」
 (わがおもいでのひーろーたち)
PHP文庫



*装幀・装画 織田隆司
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*332頁 / 発行 1989年

*カバー文
姿三四郎、無法松、国定忠治、座頭市、眠狂四郎、雪之丞、明智小五郎……過ぎ去りし昭和の時代、大衆の心にしみ入った郷愁のヒーローたち。本書は、映画・演芸・出版物など、大衆文芸の世界で脚光を浴びたヒーローたちを取り上げ、その誕生の秘話、作者たちの知られざる人間像を描くとともに、彼らの魅力の秘密を、その時代背景の上に考証した、興味ある一書である。

*目次
第一章 不滅のヒーローたち
第二章 絢爛たる物語の魅力
第三章 芝居と映画と小説と…
第四章 人と人との出合いの妙
第五章 大衆文芸の興味・面白さ
 あとがき(旧版)
 解説 清原康正


武藤 禎夫 (むとうさだお)
「万治絵入本 伊曾保物語」
(まんじえいりぼん いそぽものがたり)
岩波文庫


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*345頁 / 発行 2000年

*カバー文
「イソップ寓話集」は、江戸初期以来、各種の木版本『伊曾保物語』の出版により広く日本にも普及した。「イソップ寓話集」を、江戸時代の人々と同様にやさしい文語文で読み、浮世絵師描くところの挿絵とともに味わう一冊。付録の『絵入教訓近道』など豊富な資料を集め、日本における多様なイソップ受容をたどることができる。

*目次
凡例 / 伊曾保物語上巻 / 伊曾保物語中巻 / 伊曾保物語下巻 / 付 絵入教訓近道 / 補注 / 解説

角川文庫版(サイト内リンク)


棟田 博 (むねだひろし)
「拝啓天皇陛下様 ― 庶民派作家が描く兵隊人情の世界」 (はいけいてんのうへいかさま)
光人社NF文庫


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*294頁
*発行 1996年
*カバー絵・加藤孝雄 映画「拝啓天皇陛下様」の主人公山田正助役の渥美清(前)と著者

*カバー文
渥美清が主演で映画化された感動の兵隊物語 ―― 規律のきびしい軍隊の内務斑で中国大陸の戦野で、そして戦後の混乱した社会のかたすみで、たくましく生きる下積みの男のユーモアとペーソスあふれる人生ドラマ。庶民派作家・棟田博が、四十年余りの歳月をかけて営々ときずきあげてきた温故知新、兵隊人情の世界。

*解説頁・伊藤桂一


棟田 博 (むねたひろし)
「板東俘虜収容所物語 ― 日本人とドイツ人の国境を越えた友情」
(ばんどうふりょしゅうようじょものがたり)
光人社NF文庫


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*361頁・上下二段組頁 / 発行 2006年
*カバーイラスト・渡部和夫 / 扉・表紙絵 「つどい」高橋幸彦 / 装幀・渡辺和夫(Watanabe Office)

*カバー文
第一次大戦の青島で捕われの身となったドイツ兵捕虜九百三十九名を私淑させ、畏敬させた板東俘虜収容所長松江豊寿。そのヒューマニズムを軸に、日本で最初に「第九交響曲」を演奏したドイツ捕虜と日本の若者たちの管弦楽団の逸話などドイツ兵と四国徳島板東の人々との民族を越えた人間愛をえがいた感動の物語。

*目次
プロローグ / ああ青島 / 戦乱成金 / 捕虜の家 / 会津降伏人 / カイゼルの犬 / 日語通 / 特殊捕虜 / 愁色 / クリスマス前後 / ドイツ天長節 / 俘虜展覧会 / 前線・銃後 / 絵と詩 / オーロラの下 / 波紋 / シークフリード倒る / 異国の土 / ヴェルサイユ宮殿 / 望郷 / ドイツ・ブリュッケ / 春の跫音 / サヨナラ / 星霜 / エピローグ / あとがき


村上 元三 (むらかみげんぞう)
「戦国風流 ― 乱世の異端児・前田慶次郎の生涯」 (せんごくふうりゅう・らんせのいたんじまえだけいじろうのしょうがい)
PHP文庫


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*324頁
*発行 1988年
*カバー装画・佐多芳郎

*カバー文
 戦国の雄・前田利家の甥として生まれながら、生涯、特定の主君に仕えず、己れの人生哲学を求め続けた男前田慶次郎。
 調略、城の受渡しなど、蔭で抜群の働きを示しながらも、自らの立身出世はのぞまず、乗阿弥に導かれて風流の心を磨いていった“脱世俗の生き様”とは……。

*解説頁・磯貝勝太郎


村松 梢風 (むらまつしょうふう)
「川上音二郎」(上)
 (かわかみおとじろう)
潮文庫



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*330頁
*発行 1985年

*カバー文
この本での音二郎と貞奴は、著者の品のよい語り口と詳しさとに相俟って、時代を超越して、われわれに迫るものがある。それは歴史のいたずらのなかで、運命に流されながらも、あえて逆らう男と女の、対になることで互いの遥かなる道を疾駆する男と女の哀れさを(中略)著者は共感しつつも、冷めて淡々と描いたことからくるものであろうし、読後の爽やかさもそこにあるのだろう。 ― 作家・岡部耕大(解説より)


村山 知義 (むらやまともよし)
「忍びの者 ― 真田忍者群」
(しのびのもの ― さなだにんじゃぐん)
光文社時代小説文庫


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*527頁
*発行 1988年
*カバーイラスト・堂昌一

*カバー文
 太地の浦で一番の鯨漁師・霧隠才蔵、山伏修行の三好清海、そして服部半蔵ひきいる忍者の群れから生まれ出る、海野六郎・筧十蔵。太閤秀吉の朝鮮の役を背景に、忍者伝説の生まれる源流を鋭く抉った大作!


村山 知義 (むらやまともよし)
「忍びの者 (1)序の巻」
(しのびのもの)
岩波現代文庫


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*494頁
*発行 2003年

*カバー文
戦国乱世、天下を狙う諸侯に諜報、暗殺を請け負う集団、忍者。苛烈な訓練に鍛えられた肉体、冷徹にして非情な精神をもつ彼らの本拠地伊賀に対立拮抗する異様な二人の領主、百地三太夫と藤林長門守とは何者か。闇に生きる者たちの中に若き石川五右衛門が……。荒唐無稽な講談の世界を現代に甦らせ、権力の闇を切り裂く大河時代小説。(全5冊)

*解説頁・忍者の時代 尾崎秀樹


村山 知義 (むらやまともよし)
「忍びの者 ― 忍びの陣」
 (しのびのもの・しのびのじん)
光文社時代小説文庫



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*490頁
*発行 1989年
*カバーイラスト・堂昌一

*カバー文
興亡激しい戦国の世に、周到な謀をめぐらして家名を守りぬく、真田昌幸とその子信之・幸村、そして配下に従う腕利きの忍者群。天下分けめの関ケ原で、ついに父子・兄弟は敵味方に分かれて戦う羽目に……。

*解説頁・縄田一男


村山 知義 (むらやまともよし)
「忍びの者 ― 忍び砦のたたかい」
 (しのびのもの・しのびとりでのたたかい)
光文社時代小説文庫



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*514頁
*発行 1990年
*カバーイラスト・堂昌一

*カバー文
 関ヶ原の役後、天下統一を目ざす家康は、冷酷非情なまでの豊臣潰しを画策。風雲急を告げる大坂城に、真田忍者群は精巧な手投げ弾、犬・猿・蛇から鼠まで奇抜な武器を駆使して、壮絶な死闘を展開した。

*解説頁・戸部新十郎