*342頁 / 発行 2002年 *カバー図版・桜川慈悲成の「中入り」の口上(初代歌川豊国画)をもとに水月千春が着彩。
*カバー文
座布団が置かれた、間口三間ほどの舞台。落語家は、扇子と手拭い、話術だけで勝負する。聴衆をことばに酔わせ、架空の世界の高みへと、そして最後は一気に現実の世界に引き落とす。マエオキ、オチ、演題などを軸として、噺家の個性をも重ね合わせ、その特徴・構造・魅力を言語学的に解読する。
*目次
第一章 落語の言語空間
話芸としての落語 / 落語のことば・落語家のことば / 談話としての落語 /
落語の構造
第二章 マエオキはなぜあるのか
マエオキについてのまえおき / 桂文楽のマエオキ / 一九六〇年ごろの落語家たち
― その一 / 一九六〇年ごろの落語家たち ― その二 / 現代の落語家たち ―
その一 / 現代の落語家たち ― その二 / 落語速記以前の状況 / 近代落語の成立とマエオキ
/ 三遊亭円朝のマエオキ / 人情噺のマエオキの系譜 / マエオキの構造
第三章 オチの構造
オチとはなにか / オチの成立 / オチのいろいろ / これまでのオチの分類 /
オチの分布 / ワライにおける緊張と緩和 / 落語とクライマックス / オチからみた噺の構成
/ 枝雀の四分類 / 談話行動としてのオチ / 独話によるオチ / 対話によるオチ
/ 質問表現に対するオチ / 説明要求表現に対するオチ / 命令表現と行動 / 命令表現に対する拒否表現
/ 判叙表現に対するオチ / 要求表現をともなう判叙表現 / 判叙表現に対する否定表現
/ ジグチの構造 / ジグチオチの位置 / 落語にはなぜオチがあるのか / 談話行動からみたオチの類型
/ 発話行動によるオチの分類
第四章 演題の成立
落語の演題の特徴 / 東京落語の演題 / 演題の構成 / 命名の視点 / 演題における造語・命名の特徴
/ 上方落語の演題との比較 / 演題の意味するもの
文献
あとがき
わが青春の全落連と早稲田大学
平凡社ライブラリー版 あとがき
解説 ― 凍結された言葉の世界へ 矢野誠一
索引
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