絶版文庫書誌集成

未分類絶版文庫 【て】

手塚 治虫 (てづかおさむ)
「虫られっ話」
 (むしられっぱなし)
潮文庫



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*217頁 / 発行 1986年
*カバー絵・日暮修一 / デザイン・杉浦康平 赤崎正一+佐藤篤司

*カバー文
漫画界の巨匠が広大無辺な世界、そして少年の夢、人生へのかぎりない愛着を激白する。

*目次(対談集)
宇宙は笑う●小松左京
女は突然変身する●北杜夫
のらくろとアトム●田河水泡
宇宙意識の目覚め●横尾忠則
マンガは反逆のメッセージ●ジュディ・オング
いまコミックに何を求めるか●尾崎秀樹
鉄腕オサムの家庭教育●磯村尚徳
アニメ映画と心中する●石ノ森章太郎 / 松本零士
 夫についてのモノローグ 手塚悦子


デュラス / コクトー著・渡辺 守章訳 (Marguerite Duras / Jean Cocteau・わたなべもりあき)
「アガタ / 声」 (AGATHA / LA VOIX HUMAINE)
光文社古典新訳文庫


*装画・望月通陽 / 装幀・木佐塔一郎
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*249頁 / 発行 2010年

*カバー文
お互いに記憶の深層から紡ぎ出した欲望の言葉で、“近親相姦”を語る兄と妹(『アガタ』)。不在の男を相手に、女が電話越しに“別れ話”をひたすら語る(『声』)。男と女、すれ違う言葉と想い……。対話と独白の、抑制された動きと「語り」の濃密さが、鮮烈な印象を与える、一幕もの傑作2篇。

*巻末頁
 訳注
 解題 渡辺守章 アガタ / 声
 年譜 デュラス / コクトー
 上演アーカイブ
 訳者あとがき


デュレンマット著 増本 浩子訳 (Friedrich D・urrenmatt ますもとひろこ)
「失脚/巫女の死 デュレンマット傑作選」 (しっきゃく / みこのし)
光文社古典新訳文庫


*装画・望月通陽
 装幀・木佐塔一郎
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*325頁 / 発行 2012年

*カバー文
いつもの列車は知らぬ間にスピードを上げ……日常が突如変貌する「トンネル」、自動車のエンストのため鄙びた宿に泊まった男の意外な運命を描く「故障」、粛清の恐怖が支配する会議で閣僚たちが決死の心理戦を繰り広げる「失脚」など、本邦初訳を含む4編を収録。

*目次
 はじめに
トンネル
失脚
故障 ── まだ可能な物語
巫女の死
 解説 増本浩子
 年譜
 訳者あとがき


寺尾 五郎 (てらおごろう)
「悪人親鸞」 (あくにんしんらん)
徳間文庫


*カバーデザイン・秋山法子
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*314頁 / 発行 1989年

*カバー文
 一四八八年、蓮崇に率いられた国人衆、門徒農民軍は、加賀・高尾城に守護富樫政親を襲い一族郎党を抹殺、勝利を戦いとった。加賀一向一揆である。一向一揆はなぜ強かったのか。「その理由の最大のものは、思想の力である。それは信仰の強み、イデオロギーの役割である」。暗黒の中世を舞台に登場し、人民を果敢な蜂起に立ち上がらせた日本で最初の思想家・親鸞の生涯とその革命性を論じる長篇歴史評論。

*目次
 初刊本まえがき
第T章 中世の革命と鎌倉仏教
 第一節 古代末期の激動
 第二節 革命と新権力
 第三節 鎌倉仏教の革新性
第U章 親鸞の思想の革命性
 第一節 親鸞における人間のとらえ方
 第二節 親鸞における権力のとらえ方
第V章 闘う親鸞と思想の深化
 第一節 若き日の親鸞
 第二節 社会と対決する親鸞
 第三節 晩年の闘い
第W章 下克上から一向一揆へ
 第一節 下克上と土一揆
 第二節 一向一揆
 初刊本あとがき / 文庫版あとがき / 解説 ひろさちや


寺尾 五郎 (てらおごろう)
「草奔 吉田松陰」 (そうもうよしだしょういん)
徳間文庫


*カバーデザイン・秋山法子
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*473頁 / 発行 1991年

*カバー文
 徳川幕藩体制は、内憂外患によって揺らぎつつあった。内には世直し一揆、打毀しが続発、外では、黒船が開国を迫っていた。吉田松陰は、二十九年の短い生涯を、その激動の時代に生き抜いた。彷徨と挫折、入獄と幽閉の連続のなかで苦闘し、安政の大獄に倒れた。幕末にあって、最初に「草莽崛起」による討幕の思想をうちたてたのだ。その討幕路線は、高杉晋作、相楽聡三へと受け継がれる。格調たかき長篇史論。

*目次
 まえがき
第一章 幕末をつくりだした力
第二章 革命の志士 松陰 ―― 松陰の思想
第三章 彷徨、挫折、そして探求 ―― 松陰の生涯
第四章 松陰の継承者と背教者


寺山 修司 (てらやましゅうじ)
「海に霧 ― 寺山修司短歌俳句集」
 (うみにきり)
集英社文庫



*AD・菊地信義 写真・オリオンプレス
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*248頁 / 発行 1993年

*カバー文
 テーブルの下の旅路や
  きりぎりす

俳句という最も凝縮した詩形式を拠り所として魂の故郷を求める旅に出た少年は、やがて短歌、評論、演劇と多彩な活動の中で自らを問うた。

 マッチ擦る
  つかのま海に霧ふかし
   身捨つるほどの祖国はありや

47歳で逝った寺山修司の心震える生の序章・短歌俳句選集。

*目次
十五才 ― 初期歌篇より
空には本 ― 第一歌集より
血と麦 ― 第二歌集より
田園に死す ― 第三歌集より
テーブルの上の荒野 ― 未完歌集より
花粉航海 ― 第一句集より
わが高校時代の犯罪 ― 自選句集より
浪漫飛行 ― 未完句集より
 語注 栗坪良樹
 解説 〈魂の故郷〉への探究 栗坪良樹
 鑑賞 「一番短い寺山さん」へ 竹宮惠子
 年譜 栗坪良樹