絶版文庫書誌集成

旺文社文庫・日本の著作
【か】


海音寺 潮五郎 (かいおんじちょうごろう)
「史伝 西郷隆盛」 (しでんさいごうたかもり)


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*315頁 / 発行 1985年

*カバー文
鎌倉初期以降九州南部に勢力を張った名族島津家特有の家風と、薩摩の風土・人情を背景として、幕末の名君重豪・斉彬と若き日の西郷隆盛のふれあいを軸に、維新前夜の疾風怒濤時代を描いた傑作歴史読物。重豪と斉興の確執、お由羅騒動、将軍世子問題、藤田東湖・橋本左内・月照らと西郷の交わりと鋭い史眼でとらえ、維新の英傑西郷隆盛の実像に迫る畢生の名作。

*目次
一 郷中教育 / 二 『近思録』くずれ / 三 明治維新と尊王論 / 四 島津斉彬 / 五 お家騒動 / 六 斉彬襲封 / 七 初上り / 八 藤田東湖 / 九 将軍世子問題 / 十 斉彬の死 / 十一 内勅降下 / 十二 逃避行 / 十三 平野国臣 / 十四 月照入薩 / 十五 入水事件 / 十六 土中の死骨
 解説 磯貝勝太郎


海音寺 潮五郎 (かいおんじちょうごろう)
「宗春行状記」 (そうしゅんぎょうじょうき)



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*321頁
*発行 1987年

*カバー文
江戸幕府もようやく安定期に入った享保年間。将軍継嗣問題の宿怨から、8代将軍吉宗と尾張中納言徳川宗春はことごとに対立した。綱紀を粛正し倹約を命ずる吉宗の政策を嘲笑うように、大勢の供を連れて遊廓に通い、城下で芝居・遊興を催す宗春であった。 ― 江戸時代随一の風流大名、尾張宗春の豪胆奔放な半生を活写した長編時代小説。


海音寺 潮五郎 (かいおんじちょうごろう)
「本朝女風俗 ― 絵島の恋」 (ほんちょうおんなふうぞく えじまのこい)


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*248頁
*発行 1987年

*カバー文
六代将軍家宣の治世。幕府財政の打開策として貨幣改鋳の出目による収益を計るべしと主張する勘定奉行の荻原重秀、改鋳による物価騰貴を憂慮する侍講の新井白石、二人の意見は平行線をたどった。…幕府政治に強い影響力をもつ大奥の実力者、年寄の絵島と、重秀の用人長井半六の道ならぬ恋を、権謀術数の渦巻く江戸城を舞台に描く傑作時代小説。


海音寺 潮五郎 (かいおんじちょうごろう)
「柳沢騒動」 (やなぎさわそうどう)


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*371頁
*発行 1986年
*カバー装丁 倉橋三郎

*カバー文
元禄徳川騒動 将軍綱吉、光圀をめぐる人間模様―生類憐み令、側用人政治の弊習、将軍継嗣問題をめぐって起こる混乱を描いた傑作歴史小説。


海音寺 潮五郎 (かいおんじちょうごろう)
「蘭陵の夜叉姫」 (らんりょうのやしゃひめ)



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*300頁 / 発行 1986年

*カバー文
山東省・蘭陵の街をほろ酔い機嫌で歩いていた青年・崔生は、広壮な邸宅に引き込まれ、謎の美女からこの世ならぬ歓楽を与えられたが…。表題作ほか、大富豪・呂不韋の波乱の半生を描く「美女と黄金」、「鉄騎大江を渡る」、「天公将軍張角」など四編を収録した中国時代小説集。

*目次(収録作品)
美女と黄金 / 鉄騎大江を渡る / 天公将軍張角 / 崑崙の魔術師 / 蘭陵の夜叉姫


片岡 孝夫 / 坂東 玉三郎 (かたおかたかお / ばんどうたまさぶろう)
「桜姫東文章孝夫・玉三郎」 (さくらひめあずまぶんしょう)


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*207頁
*発行 1985年

*カバー文
修行僧自久清玄と稚児白菊丸の入水心中に端を発し、波乱万丈たる運命の中に生きる"破戒清玄、釣鐘権助、風鈴お姫"。絢爛な舞台の上に描き出される「人間の業」。四世鶴屋南北の詩情溢れる世界を活き活きと再現する。

*制作協力 松竹株式会社 / 歌舞伎座
*写真撮影 佐藤英世
*解説 郡司正勝


加太こうじ (かたこうじ)
「紙芝居昭和史」
(かみしばいしょうわし)


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*306頁 / 発行 1979年

*目録文
今はなつかしい紙芝居の世界に青春の情熱をそそいだ著者が語る、興味深い昭和紙芝居興亡史。

*目次
まえがき
紙芝居との出合い(小野照崎神社 / 『西遊記・孫悟空』 / 東京写絵業組合)
世界経済恐慌
黄金バット(『黒バット』 / テキヤシステム / 話の日本社)
レコードとラジオ(満州事変 / 『祖国を護れ』)
昭和七年(荒川区三河島 / 紙芝居製作所 / 鈴木一郎)
庶民芸術と怨念(『黄金バット』 / プロレタリア美術運動 / 教師・翠川涼 / 山川惣治 / 『ハカバキタロー』 / エロ・グロ物)
紙芝居の確立(『天誅蜘蛛』 / タクヅケ / 太平洋美術学校)
大日本画劇株式会社(昭和十年頃 / 会社設立)
紙芝居の青春(『雨のブルース』 / ミルクホール)
軍国紙芝居と赤マント(印刷紙芝居 / 紙芝居コンクール / 三河島報告詩)
画劇会社争議
画劇会社炎上(大政翼賛会 / 南満州鉄道 / 東京大空襲 / 正ちゃん会)
焼跡の雑草(ともだち会 / 焼跡ヤミ市 / 新日本国劇社)
GHQと紙芝居(作家画家組合 / 『人民の旗』)
第二建設期(冒険活劇文庫 / 伊藤和子)
関東と関西
税金騒動
相馬泰三と子どもを守る会(相馬泰三 / 作品コンクール)
両家群往来(凡天太郎 / 水木しげる / 白土三平 / 小島剛夕)
紙芝居の死
あとがき
紙芝居の作り方・演じ方
解説(鶴見俊輔)


桂 文楽 (かつらぶんらく)
「あばからべっそん」

*285頁 / 発行 1980年

*カバー文
あばからべっそん……と申しても、別にオランダ渡りの輸入ことばではございませんで、文楽師はこれを、ご婦人にもてたりなどして、ありがたくてありがたくて、というような意味あいに用いておりましたな。好きで入ったこの社会で、芸の悩みこそあれ、しじゅうみなさんに可愛がられて、゛あばからべっそん"の落語家人生。ご存知黒門町の師匠こと八代目桂文楽の半生記。



加東 大介 (かとうだいすけ)
「南の島に雪が降る」
 (みなみのしまにゆきがふる)


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*272頁 / 発行 1983年
*カバー題字・画 谷内六郎

*カバー文
昭和18年10月、俳優加東大介は大阪中座の楽屋で召集を受けニューギニア戦線へ ―― 。敗色すでに濃いジャングルで、死の淵をさ迷う兵たちを鼓舞するために“劇団”づくりを命じられた。
“舞台”に降る「雪」に故国を見た兵たちは、痩せた胸を激しくふるわせた ―― 感動の記録文学。

*目次
四人の演芸グループ / さようなら日本 / 三味線の功徳 / 成功した初公演 / スター誕生 / 墓地に建てた劇場 / ニセ如月寛多 / 本格的な稽古 / 別れの「そうらん節」 / マノクワリ歌舞伎座 / 演劇分隊の心意気 / この次まで生きてくれ / 食い気とホーム・シック / 南の島に雪が降る / 支隊全員に見守られて / デザイナー隊長の加入 / ワイが女になるんや / 螢の光 / 七千人の戦友 / あとがき / 後記 沢村貞子


加藤 治郎 (かとうじろう)
「昭和のコマおと」 (しょうわのこまおと)

*233頁 / 発行 1985年

*目録文
学士棋士第一号として、活躍した日本将棋連盟名誉九段が語る棋界エピソード。棋士たちの昭和史。



神吉 拓郎 (かんきたくろう)
「芝の上のライオンたち」 (しばのうえのらいおんたち)


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*268頁
*発行 1984年

*目録文
だまされて試合にかり出されてから、おれはラグビーに熱中するハメになった。青春ラグビー小説。


神吉 拓郎 (かんきたくろう)
「笑う魚」 (わらうさかな)


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*267頁
*発行 1984年
*カバー画・細田雅亮

*カバー文
おもてに出ると、空は真ッ暗だった。拳銃から弾丸を抜いて、どこかの家のゴミバケツに投げ込み、拳銃の方は大通りのポストに入れた。宛名は書いてないがなんとか警察に届くだろう。(「俺とお前のダリ」)
ハードボイルド、綺譚、ミステリ、SF、ブラック・ユーモア、艶笑、現代風コントなど都会派ムードあふれる傑作ショートショート24編。

*解説頁・矢野誠一


亀井 勝一郎 (かめいかついちろう)
「青春について」 (せいしゅんについて)


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*407頁
*発行 1968年
*カバー・生悦住喜由

*カバー文
亀井勝一郎は、意識的に『青春』を保持し、つねに裸の自己へ回帰しようとした思想家と言える。青春の不安は、人生の不安、時代の不安であり、そこに人間の原型を見る。それゆえ、本書は、単なる狭義の「青春論」ではなく、人間論ともいうべき広がりを持つ。他に、『近代恋愛詩』を収録した。


亀井 勝一郎 (かめいかついちろう)
「読書論」 (どくしょろん)


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*247頁 / 発行 1983年
*カバー・生悦住喜由

*カバー文
著者は『読書に関する七つの意見』『私の読書遍歴』の二つの文章を通じて、読書の精神と意味を解明した。数多くの書物が氾濫する今日、何を、どのように読むかは、若き読書人の重要な課題といえよう。他に、日々の思索を結晶させた『断想』を併録。

*巻末頁
解説 佐古純一郎
思い決した一生 中島健蔵
代表作品解題
参考文献
年譜 利根川裕
 カット 東光寺啓


亀井 俊介 (かめいしゅんすけ)
「バスのアメリカ」

*274頁 / 発行 1984年

*目録文
「バスは地上を走る。つまり土地そのものだ。」広大な大陸を駆けぬけるアメリカ文化発見の旅。


亀井 俊介 (かめいしゅんすけ)
「摩天楼は荒野にそびえ」
(まてんろうはこうやにそびえ)


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*311頁
*発行 1984年

*目録文
フロンティアの丸太小屋から混沌の現代アメリカまで、博覧強記の著者によるアメリカ文化誌。


鴨居 羊子 (かもいようこ)
「のら猫トラトラ」
 (のらねことらとら)


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*172頁
*発行 1981年

*目録文
服飾デザイナーとのら猫たちとの交際録。著者自身によるイラスト・写真多数の楽しいエッセイ。


鴨居 羊子 (かもいようこ)
「わたしは驢馬に乗って下着をうりにゆきたい」 (わたしはろばにのってしたぎをうりにゆきたい)


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*265頁
*発行 1982年

*目録文
新聞記者から一転して下着デザイナーになった彼女は斬新な製品を次々に発表する。自伝エッセイ。


唐十郎 (からじゅうろう)
「風に毒舌」 (かぜにどくぜつ)


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*208頁
*発行 1984年

*目録文
紅テントの唐十郎、快刀乱麻のエッセイ集。「世相風刺」「宿敵寺山修司を悼む」「追想・人と作品」など。


河口 慧海 (かわぐちえかい)
「チベット旅行記」 (ちべっとりょこうき)


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*668頁
*発行 1978年
*カバー・池田拓

*カバー文
河口慧海は明治三二年、我が国未伝の経典を求め、日本人として初めて秘境チベットに潜入した。当時チベットは国を鎖し、天然の嶮によって多くの探検かも、容易に近づき得なかった。しかし師は、不屈の意志をもってヒマラヤの大山系を越え、ついにラサ府に至り、ダライ・ラマにも拝謁した。この大旅行の記録は我が国の記録文学史上、不滅の光芒を放っている。

*解説頁 壬生台舜 〈みぶだいしゅん〉


河盛 好蔵 (かわもり よしぞう)
「パリ物語」 (ぱりものがたり)


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*249頁
*発行 1984年

*目録文
オッフェンバッハ、モディリアーニ、エリック・サティ……天才たちの、「華麗なパリの物語」。