絶版文庫書誌集成

旺文社文庫・日本の著作
【や】


八木 重吉著 (やぎじゅうきち) 郷原 宏編 (ごうはらひろし)
「八木重吉詩集」 (やぎじゅうきちししゅう)


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*237頁
*発行 1978年

*カバー文
「この明るさのなかへ ひとつの素朴な琴をおけば 秋の美しさに耐えかねて 琴はしずかに鳴りいだすだろう」 ―― 天上からの贈りもののような、奇蹟の輝きを持つ作品をこの世に残して、八木重吉は三十年の短い一生を終えた。その珠玉の詩篇の数々は、人間への無垢な愛と哀しみを知る多感な青春のこころを、永遠にとらえて放さない。

*解説頁・郷原宏


八木 義徳 (やぎよしのり)
「女」 (おんな)


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*316頁
*発行 1977年
*カバー・辻光典

*カバー文
戦時下のシンガポールで出会った日本人記者と中国女との激しい恋。いちずに燃えつきようとする男と女の愛の核をさぐった「女」と、作者自らの体験をもとに愛の挫折を描いた「美しき晩年のために」「二度目の嘘」「返り花」の三編に、八木文学の原点ともいうべき「翳ある墓地」を加えた。

*解説頁・高橋英夫


八木 義徳 (やぎよしのり)
「摩周湖・海豹 他五編」 (ましゅうこ・かいひょう)


*題字・カバー装画 三井永一
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*367頁
*発行 昭和50年

*カバー文
荒漠たる満州での生活で神経を病んだ妻、そしてその愛しい妻と幼な子を東京大空襲で喪うという体験を持つ八木義徳の作品には、強く自伝的要素がぬりこめられている。本書に収めた「海豹」「劉廣福(リュウ・カン・フウ)」「胡沙(こさ)の花」「母子鎮魂」「私のソーニャ」「摩周湖」「漁夫画家」の七編は、八木文学の精髄であるとともに一芥川賞受賞作家の精神史でもある。

*解説頁・自己回生の文学 武田友寿


安岡 章太郎 (やすおかしょうたろう)
「海辺の光景」 (かいへんのこうけい)


*カバー・小泉淳作
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*179頁 / 発行 1978年

*カバー文
 高知湾をのぞむ海辺の精神病院で死にゆく母と、それを看取る元陸軍少将の父とその息子の九日間を、戦後の窮乏する一家の生活を回想しつつ、あざやかな心象風景に定着させた長編小説。戦後文学史上、屈指の名作。他に、ユニークな視点とやわらかな感性にみちた文学批評七編を付した。

*目次
海辺の光景
 ※
文学批評
 私小説の不可能性 / 新しい文学はマスコミからは生まれない / 七生報国 / 文体について / 贅沢な文学 / 上品な文学・下品な文学 / 近代化と文学
 解説 坂上弘
 年譜


安岡 章太郎 (やすおかしょうたろう)
「とちりの虫ユーモア・エッセイ」 (とちりのむし)


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*270頁
*発行 1983年
*カバー画・秋野卓美

*カバー文
どうも自分の身体の中には一匹の虫が棲んでいて、それが自分を終始とちらせたり、失敗やへまをくり返させたりしているらしい ――
そんな“とちりの虫”を身体の中に飼ってきた著者が、みずからの青春を哀歓をこめて語ったのが本書である。透徹した作家の目と、あふれるユーモアが、内容にいっそうの輝きを与えている。

*解説頁 とちりの虫 ― 安岡章太郎のこと ― 阿川弘之


安岡 章太郎 (やすおかしょうたろう)
「遁走」 (とんそう)

*発行 昭和51年

*カバー文
北満孫呉の歩兵部隊に応召した安木加介の内務班生活は、員数合せとナグラレルこと、そして食物への執着と排泄行為への重大な関心とに明け暮れる。しかし、このダメな陸軍二等兵はすこぶる透徹した眼で《軍隊》を凝視〈みつ〉めているのである。――巧まざるユーモアの滲む著者最初の長篇小説。



やなぎや けいこ
「はるかなる黄金帝国」
 (はるかなるおうごんていこく)


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*255頁
*発行 1983年
*カバー画・大野隆也

*カバー文
今から700年ほど前、アンデス山中のクスコ地方に、一つの部族があらわれた。この部族はやがて急速に勢力をのばし、15世紀には強大な国家を築いた。インカ帝国である。しかし、その最後はあまりにも悲惨であった。輝かしい日々と、その滅亡を悲劇の皇帝アタワバルを通して描いた歴史ロマン。

*さし絵・装幀 大野隆也


柳家 小さん・口演 (やなぎやこさん)
「小さん落語集」上中下巻 
(こさんらくごしゅう)

*上巻351頁・中巻340頁・下巻326頁 / 発行 1987年

*目録文
五代目柳家小さんの十八番を紙上で再現。長屋ばなしを語らせたら天下一品。オリジナル保存版

*収録内容
上巻
道具屋 / 青菜 / あくび指南 / 笠碁 / たぬき / ふだんの袴 / 長屋の花見 / 長者番付 / 不動坊 / 粗忽長屋 / 富久 / ろくろ首 / 祝いがめ / 子別れ

中巻
出来心 / 湯屋番 / 親子酒 / 真二つ / 高砂や / 時そば / 大工調べ / 言訳座頭 / 三人旅 / 芋俵 / 猫久 / 粗忽の使者 / 宿屋の富 / らくだ

下巻
かぼちゃ屋 / 饅頭こわい / 蜘蛛駕篭 / 頓馬の使者 / 提灯屋 / 万金丹 / 猫の災難 / お神酒徳利 / 堪忍袋 / うどん屋 / 御慶 / ちりとてちん / 禁酒番屋 / 三軒長屋



柳田 国男 (やなぎだくにお)
「海南小記」 (かいなんしょうき)

*306頁 / 発行 1976年

*目録文
すぐれた旅人でもあった柳田国男が、南九州・沖縄旅行における見聞を、各所に民俗学的課題をちりばめつつ綴った名著。



柳田 国男 (やなぎだくにお)
「木綿以前の事」 (もめんいぜんのこと)


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*358頁 / 発行 1976年
*カバー・麻田鷹司

*カバー文
木綿、団子、餅、煙草、酒などは、我々に最も身近な事物である。本書において柳田翁は、この微細な問題に焦点を合わせ、日本人の歴史を具体的に精緻に、さらに体系的にとらえるという、新しい学問(柳田民俗学)の見取図を縦横に展開した。日本民族学の記念碑的労作である。

*巻末頁
解説 野口武徳
代表作品解題 益田勝実
参考文献 相馬庸郎
年譜 鎌田久子

柳原 良平 (やなぎはらりょうへい)
「アンクル・トリス交遊録」 (あんくるとりすこうゆうろく)


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*240頁
*発行 1983年

*カバー文
広告界に大旋風をまき起こした“アンクル・トリス”は、東京・茅場町の木造二階建てオフィス(寿屋東京支店)で誕生した。その生みの親、柳原良平が描く“作家志望”開高健・山口瞳ら同僚との青春交遊録。ほかに乗り物マニア列伝、アンクル・トリスの広告学を収録。

矢野 健太郎 (やのけんたろう)
「数学のおくりもの」 
(すうがくのおくりもの)

*303頁 / 発行 1980年

*目録文
誰にとっても頭の痛い数学を、著者一流のユーモアと、興味深い題材から選んで語った好読物。


矢野 直明 / 岡田 明彦 (やのなおあき / おかだあきひこ)
「巨大科学の挑戦 ― ロケット&核融合 サイエンスグラフィックス」
 (きょだいかがくのちょうせん)

*186頁 / 発行 1984年

*目録文
人類永年の夢である宇宙開発最前線と地上のミニ太陽核融合開発を華麗な映像と最新情報で紹介。


矢野 直明 / 岡田 明彦 (やのなおあき / おかだあきひこ)
「がん治療最前線 サイエンスグラフィックス」 (がんちりょうさいぜんせん)

*323頁 / 発行 1983年

*目録文
サイエンス・グラフィック第二弾。「がん治療最前線」など医療技術の革命を華麗な映像で描く。


矢野 直明 / 岡田 明彦 (やのなおあき / おかだあきひこ)
「コンピューターの衝撃
サイエンスグラフィックス」 (コンピューターのしょうげき)

*190頁 / 発行 1983年

*目録文
ハードコア・ソフトウェア・シミュレーションの三部構成。最新取材写真満載の華麗な映像世界。


八尋 不二 (やひろふじ)
「聖徳太子 飛鳥の王の王」
 (しょうとくたいし あすかのおうのおう)


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*261頁
*発行 1984年

*目録文
大和国飛鳥を舞台にくりひろげられる陰謀と愛憎の歴史絵巻。律令国家建設を目ざす若き日の太子。


八尋 不二 (やひろふじ)
「卑弥呼の末裔」 (ひみこのまつえい)


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*371頁
*発行 1983年

*目録文
シナリオ「女王卑弥呼」の展開に伴い、作家の身辺で次々に起こる奇妙な事件。長編伝奇ロマン。


山川方夫 (やまかわまさお)
「安南の王子・その一年 他六編」
(あなんのおうじ・そのいちねん)


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*297頁
*発行 1973年

*収録作品
安南の王子・その一年 / 昼の花火 / 煙突 / 春の華客 / 猿 / 月とコンパクト / 夏期講習


山下 勝利 (やましたかつとし)
「今を盛りのいい女列伝30代色香研究」 (いまをさかりのいいおんなれつでん)

*379頁 / 発行 1986年

*目録文
松尾嘉代、いしだあゆみ、松坂慶子、大原麗子、加賀まりこ…女盛りの女優、歌手37人の色香研究。

*目次
松尾嘉代〈女優〉 / 大楠道代〈女優〉 / 大谷直子〈女優〉 / 加賀まり子〈女優〉 / いしだあゆみ〈女優〉 / 岬マコ〈ダンサー〉 / 太地喜和子〈女優〉 / 梶芽衣子〈女優〉 / 伊東ゆかり〈歌手〉 / 生田悦子〈女優〉 / 三林京子〈歌手〉 / 夏木マリ〈歌手〉 / 大原麗子〈女優〉 / 前田美波里〈ミュージカル・タレント〉 / 秋川リサ〈女優〉 / 篠ひろ子〈女優〉 / 宮子順子〈女優〉 / 中野良子〈女優〉 / りりィ〈歌手〉 / 佐藤オリエ〈女優〉 / 新倉まり子〈ダンサー〉 / 内藤やす子〈歌手〉 / 新藤恵美〈女優〉 / 三田和代〈女優〉 / 阿川泰子〈歌手〉 / 中山ラビ〈歌手〉 / 丘みつ子〈女優〉 / 小林麻美〈女優〉 / 小柳ルミ子〈歌手〉 / 酒井和歌子〈女優〉 / 吉田日出子〈女優〉 / 市毛良枝〈女優〉 / 十朱幸代〈女優〉 / 上原まり〈琵琶奏者〉 / 木内みどり〈女優〉 / 池波志乃〈女優〉 / 松坂慶子〈女優〉



山下 勝利 (やましたかつとし)
「芸バカ列伝」 
(げいばかれつでん)

*313頁 / 発行 1985年

*目録文
ジミー時田、白山雅一、早野凡平、高品格ら、一芸に執着し続ける二五人の芸人たちの軌跡を描く。

*目次
ジミー時田〈ウエスタン歌手〉 / 白山雅一〈歌謡声帯模写〉 / 松平直樹〈歌謡コーラス〉 / 山崎唯〈ピアノ弾き語り〉 / 内藤陳〈ボードビリアン〉 / 灘康次〈歌謡漫談〉 / 高英男〈シャンソン歌手〉 / 三門博〈浪曲〉 / 中野プラザーズ〈タップ・ダンス〉 / 高品格〈俳優〉 / 東京コミックショウ〈コント〉 / 早野凡平〈べしゃりマイム〉 / スマイリー小原〈バンドマスター〉 / 東冨士夫〈曲芸〉 / 古今亭志ん好〈落語〉 / 大江美智子〈女剣劇〉 / 牧伸二〈ウクレレ漫談〉 / 来宮良子〈声優〉 / 玉置宏〈司会〉 / 浜村美智子〈歌手〉 / Wけんじ〈漫才〉 / 小金井芦州〈講談〉 / 横森良造〈アコーディオン〉 / 林家正楽〈紙切り〉 / 関敬六〈コメディアン〉 / あとがきに代えて
写真・平地勲



山下 勝利 (やましたかつとし)
「サヨウナラあなた ― 現代の離婚」


*237頁 / 発行 1986年

*目録文
二分五十七秒に一組の夫婦が別れている。激増する離婚の実態を興味深く探る。「週刊朝日」連載。



山田 風太郎 (やまだふうたろう)
「赤穂飛脚」
 (あこうひきゃく)


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*323頁
*発行 1985年

*目録文
萱野三平を慕う女賊お銀の献身的活躍を描く赤穂義士外伝と「山田真竜軒」などを収めた講談小説集。


山田 風太郎 (やまだふうたろう)
「女死刑囚」 (おんなしけいしゅう)


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*324頁
*発行 1985年

*目録文
女死刑囚の凄惨と哀愁を描く表題作はじめ「天国荘奇譚」「男性週期律」など奇想天外小説四編収録。


山田 風太郎 (やまだふうたろう)
「怪異投込寺」 (かいいなげこみでら)


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*279頁 / 発行 1985年
*カバー切絵・小宮山逢邦

*カバー文
蜀山人が「全盛の君あればこそこの廓は花も吉原月も吉原」と領歌を捧げた松葉屋の花魁薫にふられた津軽候は御抱絵師に薫の枕絵を描くことを命じた。絵師は自らの芸の未熟さを嘆き妹女郎と情死を決意、その姿態描写を葛飾北斎に依頼したが……。表題作のほか「お江戸英雄坂」「獣人の獄」「大谷刑部は幕末に死ぬ」など五篇を収めた妖異時代小説集。

*目次
怪異投込寺 / 芍薬屋夫人 / 獣人の獄 / お江戸英雄坂 / 大谷刑部は幕末に死ぬ


山田 風太郎 (やまだふうたろう)
「虚像淫楽」 (きょぞういんらく)

*286頁 / 発行 1985年

*目録文
偽りの愛が生む悲劇を描く表題作ほか、「黒衣の聖母」「わが愛しの妻よ」などを収めた推理小説集。



山田 風太郎 (やまだふうたろう)
「剣鬼と遊女」 (けんきとゆうじょ)

*286頁 / 発行 1984年

*目録文
公儀御試御用・山田浅右衛門と遊女の戦慄の中の悦楽を描く表題作ほか、妖異時代小説六編を収録。



山田 風太郎 (やまだふうたろう)
「笊ノ目万兵衛門外へ」 (ざるのめまんべえもんがいへ)


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*284頁
*発行 1984年
*カバー切絵 小宮山逢邦

*カバー文
「待て、殺しはせぬ。―― 来れば殺す」凄まじい声とともに、白日の虚空に血の糸を引いて、白いものが一本飛んで来て、万兵衛の足もとに落ちた。肘から断ち切られた女の生腕であった。』〈笊ノ目万兵衛門外へ〉より 人質の大工親子救出のため幼い息子を身替りにし、母を、そして愛する妻を御役目のため失った、幕末の鬼同心・笊ノ目万兵衛の凄まじい生きざまを描く表題作ほか、傑作時代小説四編を収録。


山田 風太郎 (やまだふうたろう)
「白波五人帖」 (しらなみごにんちょう)


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*372頁
*発行 1986年
*カバー切絵 小宮山逢邦

*カバー文
闇の将軍として公儀に挑む日本左衛門、魔性の魅惑を湛えて無惨絵を描く弁天小僧、自訴した頭領を必死に救わんとする南郷力丸、恋人お麻と蛇地獄に情死する赤星十三郎、無情を歎じて自ら御用提灯の海へ身を投じる忠信利平。―宝暦の江戸を舞台に、策謀と悲恋渦巻くなかで、権力に抗して生きる白波五人男の運命を描く、伝奇時代ロマン。



山田 風太郎 (やまだふうたろう)
「不知火軍記」 (しらぬいぐんき)

*278頁 / 発行 1985年

*目録文
天草扇千代と不知火姫の宿命の対決を描く表題作ほか、「盲僧秘帖」「幻妖桐の葉おとし」を収録。



山田 風太郎 (やまだふうたろう)
「東京南町奉行」 (とうきょうみなみまちぶぎょう)


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*350頁 / 発行 1987年

*目録文
天保の妖怪・鳥居耀蔵の凄まじい後半生を描く表題作ほか「斬奸状は馬車に乗って」など五編収録。

*収録作品
斬奸状は馬車に乗って
明治暗黒星
天衣無縫
首の座
おれは不知火
東京南町奉行


山田 風太郎 (やまだふうたろう)
「踏絵の軍師」 (ふみえのぐんし)


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*277頁 / 発行 1986年

*カバー文
関ヶ原役後、竹中家に寄寓していた小西行長の遺姫鞠(まり)は、十八歳のとき竹中采女正に犯され失踪した。そして十数年後、長崎奉行としてキリシタン弾圧に狂奔する采女正の前に現れた彼女は、楚々たる姿態に類いない妖艶さを加えた大魔王(サタン)・地獄太夫に変身していた。……踏絵の創始者竹中采女正の心の敗北を描く表題作ほか、「売色使徒行伝」「姦臣今川状」など六篇を収めた妖異時代小説集。

*収録作品
踏絵の軍師
地獄太夫
姦臣今川状
生きている上野介
売色使徒行伝
殿様


山田 風太郎 (やまだふうたろう)
「明治かげろう俥」 (めいじかげろうぐるま)

*279頁 / 発行 1985年

*目録文
ロシア皇太子救助の功で多額の年金を与えられた車夫がたどる数奇な運命を描く表題作ほか二篇。



山田 風太郎 (やまだふうたろう)
「山屋敷秘図」 (やまやしきひず)


*カバー切絵・小宮山逢邦
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*265頁 / 発行 1984年

*カバー文
「おお、天帝(デウス)! 天帝!」
 キアラは息絶え絶えにうめいた。
が、それは救いを呼ぶ声でなく、恐怖の悲鳴だった。……
「どうぞ……伴天連さま……」
 蒼白くふとった四肢がからみついた。汗にヌルヌルした乳房がべったりとのしかかった。〈序文〉より
―― 沢野忠庵の奸計に陥て背教者となった伴天連キアラの奇妙な感情倒錯を描く、表題作ほか八編を収録した異色時代小説集。

*目次
スピロヘータ氏来朝記
山屋敷秘図
奇蹟屋
姫君何処におらすか
みささぎ盗賊
蓮華(れんげ)盗賊
万人坑(ワンインカン)
降倭変


山中 恒 (やまなかひさし)
「おれがあいつであいつがおれで」


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*222頁
*発行 1982年
*カバー画と挿し絵・長谷川集平

*カバー文
おれの名前は斉藤一夫。つらも、スタイルも、頭のできも、あまり上等とはいえないが、れっきとしたオスガキだ。ここんとこよくおぼえておいてほしい。そのおれが、転校生の女の子斉藤一美に体当たりをくらわしたとたん、なんと、おれと一美は、身体ごとそっくり入れかわってしまったのだ。

*解説頁・大林宣彦


山中 恒 (やまなかひさし)
「餓鬼一匹」 (がきいっぴき)


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*203頁
*発行 1981年
*カバー・村上豊

*カバー文
「児童文化と総称される文化は、あくまでもおとなの趣好に見合った形で、おとなの意図操作によって成立するものである」 ― 児童読物作家・山中恒が自らの幼年・少年期をふり返りながら、子ども自身の創造性をわすれている現代の児童文化をするどく批評する。子どもの世界を考えるための好エッセイ。


山中 恒 (やまなかひさし)
「背後霊倶楽部 必読名作シリーズ」 (はいごれいくらぶ)


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*226頁
*発行 1989年
*カバー画、さし絵、装丁・石坂啓

*カバー文
主人公、花美詩織(はなみしおり)は、背が小さくて、おとなしく、まるで目立たない女の子だったが、ある日、その詩織に背後霊がつくようになってから様子は一変した。
詩織の通学する学園では、背後霊の目に見えない力によって、奇想天外な事件が次々に起こる。……奇想天外・痛快面白小説。


山本 太郎 (やまもとたろう)
「サハラ放浪 ― 文明ぎらいの旅2万キロ」 
(さはらほうろう)

*387頁 / 発行 1981年

*目録文
詩人と画家の、中年ヤジキタ・コンビがサハラ砂漠にいどむ、"文明ぎらいの旅"二万キロ!



山本 直純 (やまもとなおずみ)
「オーケストラがやって来た ― 音楽の森への招待」
 (おーけすとらがやってきた)


(画像拡大不可)

*258頁
*発行 1983年

*目録文
テレビでおなじみの山本直純がオーケストラの魅力を、豊富な経験を通じて語った音楽エッセイ。


山本 直純 (やまもとなおずみ)
「チャルメラ協奏曲
ヒゲとメガネの名曲案内」 (ちゃるめらきょうそうきょく)


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*269頁
*発行 1983年
*カバー・山藤章二

*カバー文
「忘れ去られた幾千の元名曲たち、元気に、あるいは細々と、生きつづける現役の名曲、……それらのふるさとは、やはり、音楽を愛する人々の心のかたすみであろう」 ―〈あとがき〉より―
テレビでおなじみ名指揮者山本直純が、名曲の誕生・演奏にまつわるエピソードをユーモラスに語った音楽エッセイ。

*さし絵 山藤章二


山本有三 (やまもとゆうぞう)
「兄弟・ふしゃくしんみょう」
 (きょうだい・ふしゃくしんみょう)

*234頁 / 発行 1979年

*目録文
一人の武士の清冽な生きざまを描いて名高い表題作の他、「兄弟」等、珠玉の短編四編を収録。