絶版文庫書誌集成
新潮文庫 【ふ】
深沢 七郎 (ふかざわしちろう)
｢千秋楽｣ (せんしゅうらく)
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＊242頁
＊発行 昭和49年
＊目録文
ストリップ劇場の楽屋に織りなされる芸人たちの流転の人生をさりげない筆致で描く長編
深沢 七郎 (ふかさわしちろう)
｢庶民烈伝｣ (しょみんれつでん)
＊カバー・芹澤銈介
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＊237頁 / 発行 昭和56年
＊カバー文
文明の波に百姓が百姓でなくなってゆくなかの、農民の哀れにも滑稽な死とその姿『べえべえぶし』『土と根の記憶』。ママの座をめぐって狡猾に諍うホステスたちの世界『サロメの十字架』。ほかに『おくま嘘歌』『お燈明の姉妹』『安芸のやぐも唄』と、強情で意地っぱりで、しかし騙されやすく世間の眼を第一に考える庶民たちのすさまじいまでの生き方を、恐るべきユーモアとペーソスで描く。
＊目次
『庶民烈伝』序章
おくま嘘歌 (『庶民烈伝』その一)
お燈明の姉妹 (『庶民烈伝』その二)
安芸のやぐも唄 (『庶民烈伝』その三)
サロメの十字架 (『庶民烈伝』その四)
べえべえぶし (『庶民烈伝』その五)
土と根の記憶 (『庶民烈伝』その六)
『庶民烈伝』あとがき
楽譜 著者自筆
解説 松田修
深沢 七郎 (ふかざわしちろう)
｢東北の神武たち｣ (とうほくのずんむたち)
＊カバー・斎藤清
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＊｢新潮文庫の復刊｣版カバー
＊349頁 / 発行 昭和47年
＊カバー文
神武(ずんむ)と呼ばれる東北地方の次・三男は、土地が狭いので分家して貰えない。だから嫁も貰えない。貧しさ故の性的飢渇をめぐる農民の悲惨な境遇を、独特な語り口で民話的軽味のうちに描く表題作。終戦直後に執筆された著者の処女作ともいうべき『白笑(うすらわらい)』、実在の殺人事件を素材に犯罪少年の内面を不思議な透視力をもって描写した『絢爛の椅子』、ほか『数の年齢』『ポルカ』など8編を収録。
＊目次
白笑
東北の神武たち
揺れる家
絢爛の椅子
流転の記
枕経
ポルカ
日本風ポルカ / 支那風ポルカ / 江戸風ポルカ / 落語風ポルカ / 支那風ポルカ / 江戸風ポルカ / 廓風ポルカ / ポルカ・アカデミカ / 歌舞伎風ポルカ / 編曲風ポルカ / ポルカ・パントマイム / ポルカ・クラシカ / 自叙風ポルカ
解説 佐伯彰一
福永 武彦 (ふくながたけひこ)
｢加田伶太郎全集｣ (かだれいたろう)
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＊379頁
＊発行 昭和50年
＊カバー装画・Victor Vasarely.“Chillan”.1952 (C) S.P.A.D.E.M. Paris.1975
＊カバー文
福永武彦が加田伶太郎のペンネームで発表した『完全犯罪』『失踪事件』『赤い靴』などの傑作探偵小説8編に、随筆『素人探偵誕生記』を併せ収めた異色の一巻。文化大学古典文学科の助教授で、自ら安楽椅子探偵を以って任ずる伊丹英典氏は、ワトソン役の研究室助手久木進君を伴い、お得意の分析力・想像力・論理力を駆使して、あわや迷宮入りかと思われた難事件・怪事件を颯爽と解決する。
＊解説頁・都筑道夫
福永 武彦 (ふくながたけひこ)
｢夢みる少年の昼と夜｣ (ゆめみるしょうねんのひるとよる)
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＊317頁 / 発行 昭和47年
＊カバー・麻生三郎
＊カバー文
帰りの遅い父を待ちながら優しく甘い夢を紡ぐ孤独な青年の内面を、ロマネスクな筆致で描いた『夢みる青年の昼と夜』。不可思議な死をとげた兄の秘密が、やがて自己の運命にもつながっていることを知る若い女性の哀れ深い生を描いた『秋の嘆き』。他に『死神の馭者』『鬼』など、意識の底の彷徨を恐ろしいほどに凝視し、虚構の世界にみごとに燃焼させた珠玉短編あわせて11編を収録する。
＊目次
夢みる青年の昼と夜 / 秋の嘆き / 沼 / 風景 / 死神の馭者 / 幻影 / 一時間の航海 / 鏡の中の少女 / 鬼 / 死後 / 世界の終り / 解説 篠田一士
藤澤 清造 (ふじさわせいぞう)
｢根津権現裏｣ (ねづごんげんうら)
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＊377頁
＊発行 2011年
＊カバー装画・信濃八太郎
＊カバー文
根津権現近くの下宿に住まう雑誌記者の私は、恋人も出来ず、長患いの骨髄炎を治す金もない自らの不遇に、恨みを募らす毎日だ。そんな私に届いた同郷の友人岡田徳次郎急死の報。互いの困窮を知る岡田は、念願かない女中との交際を始めたばかりだったのだが ── 。貧困に自由を奪われる、大正期の上京青年の夢と失墜を描く、短くも凄絶な生涯を送った私小説家の代表作。解説・西村賢太。
藤澤 清造著 / 西村 賢太編 (ふじさわせいぞう / にしむらけんた)
｢藤澤清造短篇集｣ (ふじさわせいぞうたんぺんしゅう)
＊カバー装画・信濃八太郎
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＊391頁 / 発行 2012年
＊カバー文
盛り場に遊ぶ友人たちに、恥を忍んで重ねる無心。瀕死の母を故郷に残した深い悔恨。子沢山の悲しみ。妻の不貞……。望んでいた理想の人生が、貧窮ゆえに潰えてゆく。大正から昭和初期、絶望の底を這いながら、なお淫心に翻弄され、自らもまた都市無産者の運命を生きた作家・藤澤清造。残された小説、戯曲を歿後弟子・西村賢太が厳選。新発見原稿も収録し、その才気と情熱を伝える。
＊目次
一夜
ウィスキーの味
刈入れ時
女地獄
母を殺す
犬の出産
殖える癌腫
ペンキの塗立
豚の悲鳴
槍とピストル
敵の取れるまで
〈戯曲〉
恥
嘘
語注 西村賢太・編集部
解説 西村賢太
年譜 西村賢太編
舟橋 聖一 (ふなはしせいいち)
｢女めくら双紙｣ (おんなめくらぞうし)
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＊231頁
＊発行 昭和34年
＊｢解説｣より
盲目文学は概して愛欲のことを主題とし、それによって昔ながらの｢愛は盲目｣とか｢盲目的な愛情｣とかいうような民衆の知恵の裏付けをする。『女めくら双紙』もそのような作品の、貴重な一つである。
＊解説頁・高橋義孝
舟橋 聖一 (ふなはしせいいち)
｢雪夫人絵図｣ (ゆきふじんえず)
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＊376頁
＊発行 昭和53年
＊カバー文
雪のような肌と、美しい容貌を持つ子爵信濃直之の妻“雪”は、淫乱でサディスティックな夫との耐えがたい夫婦生活を解消したいと願う一方、彼女の肌はなおも夫を求めつづける……。彼女の恋人に作家方哉(まさや)、同性愛的に憧れる女中浜子、ツバメ的な誠太郎少年を配し、煩悩に狂う美しい女体を捉える華麗な小説。痴情と愛欲の世界を描いては現代髄一といわれる舟橋文学の頂点を示す作品。
＊解説頁 亀井勝一郎
船山 馨 (ふなやまかおる)
｢石狩平野 (下)｣ (いしかりへいや)
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＊809頁
＊発行 昭和46年
＊カバー・悳(いさお)俊彦
＊カバー文
時代は変わって大正・昭和の日本は激動期を迎え、歴史の波は北海道をも包む。軍国主義の高揚してゆく中で鶴代は、夫の壮太をはじめ息子、娘夫婦、孫娘夫婦を次々に失い、孫娘の遺児二人と共に残される ― 。歴史のただ中に立ち、不屈の闘志をもって石狩の大地とともに生きる鶴代を通して近代日本百年の歩みと人間の限りない生命力を追求した大作の完結編である。
＊解説頁・小松伸六
フランシス・ジャム 堀口 大學訳 (Francis Jammesu ほりぐちだいがく)
｢ジャム詩集｣ (CHOIX DE POESIES)
平成6年発行｢新潮文庫の復刊｣版カバー
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＊222頁 / 発行 1951年
＊カバー文
｢私は思う、唯一つの詩派が存在するべきであると、それはジャンミズムであると｣田園風景と、神聖な恋愛と、純潔な少女以外の誌題を知らないジャムの詩は、ボードレールが理想としていたように、神聖なる源泉からほとばしりでる水である。堀口大學による名訳で知る詩人の夢想と魂。
＊目次
序詩
『明の鐘から暮の鐘まで』(一八八八年より一八九七年まで)
お氣の毒な校長さん / 私が死んだなら / 家は薔薇の花と / 私は驢馬が好きだ / 白い雲が / 昔私は愛してゐた / 日曜日には / 食堂 / 若しもお前が / 古びた村は / 鶴のむれが / その頃 / 綠の水の岸邊に / 少女は / 人は云ふ / 平和は森に / 水が流れる / 哀憐が私を殺す / 雲が一線に / 百姓が / 樹脂が流れる / お前は退屈して？ / 篩から立つ埃が / 正午の村は / あなたは書いてよこされた / 私はお前が貧乏なのを知つてゐる / また秋の時節が來た / 近いうちにまた雪が / 貧しい靴屋が一人ある / 私は古びたしゃ亭でものを書いてゐる / 聞け
櫻草の喪(一八九八年から一九〇〇年まで)
哀歌 第一 / 哀歌 第二の一 / 哀歌 第七 / 哀歌 第九 / 哀歌 第十四 / 哀歌 第十七 / 去年のものが / 私に彼等が云うた / ブリュウジ / 他人が幸福である爲めの祈り / 星を得る爲めの祈り / 子供の死なぬ爲めの祈り / 苦痛を愛する爲めの祈り / 驢馬と連れ立つて
庭のおもひ(一九〇六年)
利口な驢馬 / 結論
雲の切れ目(一九〇二年から一九〇六年まで)
夜の沈默の中で / ある詩人が云つた / 雨の一滴が / 人の云ふことを信ずるな / 私を慰めてくれるな / 女の子が?本を讀んでゐる / 爐ばたに足を投げ出して / 秋になると私たちは見るのです
四行詩 第一集(一九二三年)
宇宙 / そしりをゆるす / 流動性 / 二つの歎き / 兒等に與ふる父の言葉 / ある詩人の妻に與ふ / うまい返答 / 行程 / 踏切 / 牧歌
拾遺
雨後
ルウルド靈驗由來
ルウルド靈驗由來
フランシス・ジャム小傳
古井 由吉 (ふるいよしきち)
｢白髪の唄｣ (はくはつのうた)
＊カバー装画・竹内浩一
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＊469頁
＊発行 1999年
＊カバー文
｢白髪というものは、時によって白く見えたり黒く見えたりするものですね｣ ── 知りもしない唄をゆるゆると、うろ声を長く引いて唄うような気分。索漠と紙一重の恍惚感……。老鏡へ向かう男の奇妙に明るい日常に、なだれこむ過去、死者の声。生と死が、正気と狂気が、夢とうつつが、そして滑稽と凄惨とが背中合せのまま、日々に楽天。したたかな、その生態の記録。毎日芸術賞受賞。
＊解説頁 ｢書きつつ狂う｣ 藤沢周
古谷 綱武 (ふるやつなたけ)
｢日々の幸福のために｣ (ひびのこうふくのために)
＊210頁 / 発行 昭和29年
＊目録文
愛情の持ち方、豊かな生活技術・心を養う文學・映畫・演劇の味わい方等古谷生活隨想集
